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更新日:2023年6月12日

北安曇郡小谷村中土地区清水山

中土村図(一部:明治初期)

清水山 meiji1

※長野県立歴史館所蔵の村絵図を加工して作成

概要

 対象地は、小谷村内を流れる姫川と支流の中谷川の合流点付近に位置しています。村内の姫川周辺では、糸魚川―静岡構造線とそれに付随する断層帯があって地すべり多発地帯となっており、清水山もその一つです。この場所では、複数の地すべりブロックが個々に様々な形態で繰り返し滑動していることが特徴です。
 最も古い記録では718年(養老2年)に地すべりの記録が残っており、現在に至るまで度々地すべりが発生して、寺社や民家が被災したり、流れ出た土砂によって中谷川がせき止められて被害が拡大したりするなどしました。1502年(文亀元年)の地すべりでは、土砂によって中谷川がせき止められて天然ダムが形成されたことにより、「沖」という地名ができ、神宮寺は宮の上に移転したとされています。また近年では、1994年(平成6年)に融雪によって地すべりが発生し、民家16戸が孤立しました。
 対策は、昭和17年に姫川砂防事務所が設置され、根止工などの小規模な対策が行われた後、昭和35年に地すべり防止区域に指定されたことをきっかけに、45億円余り、47年間(昭和31年度~平成14年度)の費用と時間をかけて、杭打工、排水トンネル工、集水井、アンカー工、水路工等の本格的な対策工事が行われました。その結果、土砂の流出は減少し、家屋の災害も激減しました。
 

関係図面

1.地図

清水山 map1

2.地質図

清水山 tisiyu1

3.航空写真

清水山 kuusatu1

現地状況写真

 

集水井1

清水山 pic1-1(PDF:639KB)

集水井1

清水山 pic1-2(PDF:639KB)

集水井1

清水山 pic1-3(PDF:639KB)

集水井2

清水山 pic1-6(PDF:486KB)

アンカー工

清水山 pic1-4(PDF:499KB)

アンカー工

清水山 pic1-5(PDF:499KB)

伝承

(1)山王の池の主
 中土清水山上區には、山王様が祀ってあり、其の附近に山王の池があった。この池の主は赤牛で、村の人たちが草刈に行くと其の牛が出ていっしょに遊んだそうである。少し前にこの池を潰して大きな田にしたが、近年清水山部落の崩落と共にぬけて、又池になりはじめてゐる。(小林すぎ)
(出典:信濃教育會北安曇部會編(1930)北安曇郡郷土誌稿第一輯口碑傳説篇第一冊(長野県北安曇教育会,1979復刻))

(2)姫川流域における風鎮めの信仰と凪鎌
 杉本によると、「姫川流域地方では薙鎌が、風鎮めの信仰に、つながりを持っている。この地方の民家では大風が吹くと、鎌を「スイノー」(そばをすくう物)と共に長い竿の先に一緒に結び付けて庭先に立てて風を鎮めることを祈る風習がある。これは薙が凪に通ずる為ではないかと考えられるが、諏訪明神様が風鎮めの信仰に深い関係があることは古い歴史を持っている。当地方の風鎮めの信仰では鎌に関する物として、家屋の新築や屋根替の時の棟木に、両端へ鎌を打ち付けて風除けする風習がある。これも凪に通ずる祈念である。

…(中略)…

 姫川流域の三分の二は長野県側であり、三分の一は新潟県の糸魚川市である。糸魚川市の神社は大きなお宮は奴奈川姫命を祀り、長野県側は主として諏訪明神様である。姫川の下流から記載すると
 土戸、境の宮諏訪社。仲又、小倉明神社。横河、諏訪社。大綱、諏訪神社。深原、諏訪神社。来馬、諏訪神社。中谷、大宮諏訪神社。土谷、諏訪神社。奉納、諏訪社。池原、諏訪神社。宮本、諏訪神社。黒川、諏訪神社。千国、諏訪神社。川内、諏訪神社。桐窪、諏訪神社。細野、諏訪神社。嶺方、諏訪神社。三日市場、諏訪神社。
 計十八社であるが、全長の短い姫川流域として、同じ祭神をこれだけ祀ってあるのは、祭神と深い関係をもっていることを偲ばせるものである。」としており、中谷の大宮諏訪神社をはじめ、小谷村内の神社には、諏訪大社から神授品として受けた薙鎌がそれぞれ神殿に納められていることが書かれています。
(出典:杉本好文. いにしえの里小谷 -姫川流域における史話-. 信毎書籍出版センター, 1984, 266p.)

清水山 pic1-7(PDF:385KB)
中谷 大宮諏訪神社に納められている薙鎌

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お問い合わせ

建設部砂防課

電話番号:026-235-7315

ファックス:026-233-4029

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