資料4 1ページ 不当な差別的取扱いの判断基準等について 不当な差別と思われる場合は「黒丸」、判断に迷うケースは「三角」、不当な差別ではないと思われる場合は「丸」で表示 【バス利用】車いすユーザーの場合 黒丸 【ケース1】 車いすユーザーが駅前のバス停から、低床バスに乗車をしようと運転手に申し出たら、運転手から、「車いすの方は乗車できません」と言われた。(間接差別、不当な差別的取扱い、拒否) 黒丸 【ケース2】 車いすユーザーが、市の巡回バスに乗車をしようとしたら、「万が一のことがあったら安全を確保できないから、乗車できない」と言われた。(正当な理由の過剰な判断) 三角 【ケース3】 車いすユーザーが、バス乗車の予約を入れたら、指定した時間のバスは低床バスでないため、時刻表にある30分後の車いす乗車可能な低床バスの予約にしてくれと言われた。(正当な理由の判断) 三角 【ケース4】 車いすユーザーが、自宅付近のバス停から乗車予約をバス会社に入れたら、「そのバス停は道幅が狭く、乗降に時間がかかり交通の混乱を起こす可能性があるから、そのバス停からの乗車はできない」と言われた。(正当な理由の判断) 三角 【ケース5】 車いすユーザー2人が、バス乗車をしようとしたら、すでに一人車いすユーザーが乗車していた。運転手から「固定できるのは2台だけなので、一人しか乗れません」と言われた。車いすユーザーの一人が「車いすから降りて座席に座るから」と申し出ても、「安全を確保できないので難しいです」と断られた。(正当な理由の判断) 丸 【ケース6】 車いすユーザーが、駅前のバス停から乗車しようとしたら、「以前乗車したときに、運転手からの障害者手帳の確認にも応じず、バス運賃も支払わず、無賃乗車をした。今回も障害者手帳の提示を求めたが拒否されたので、乗車は出来ません」と言われた。 【ホテル・旅館宿泊】聴覚障がい者の場合 黒丸 【ケース1】 聴覚障がい者が、ホテル予約をしたら、「当ホテルは聴覚障がい者を受け入れた経験がなく、どのように対応していいかわからない。お客様に迷惑をかけるといけないので予約は受けられません」と言われた。(不当な差別的取扱い、拒否) 黒丸 【ケース2】 聴覚障がい者が、ホテル予約をしたら、「万が一ホテルが火事になった時に、安全に避難誘導することができないから、予約は受けられない」と言われた。 (正当な理由の過剰判断) 三角 【ケース3】 聴覚障がい者の団体50人が手話通訳者なしでホテルの予約をしようとしたら、「当ホテルでは手話通訳ができるものがおらず、従業員の数も少ないホテルなので、予約を受けるのは難しい」と言われた。(正当な理由の判断) 三角 【ケース4】 聴覚障がい者が民宿の宿泊に際して、民宿側に「食事等の連絡は、LINE(SNS)を使って連絡してほしい」と申し出た。しかしその民宿のオーナーは高齢でスマートホンやPCなどに不得手なため、「そのような連絡はできない」と宿泊を断った。(正当な理由の判断) 三角 【ケース5】 聴覚障がい者がホテルに宿泊予約をする際、「手話通訳者をホテルでつけてほしい」と申し出があったが「ホテル従業員には手話ができる者がいないので、付けるとなると別料金になる」と言ったところ「手話通訳者を付けるのはホテル側の役目だ」とろう者から言われた。 (合理的配慮の提供にかかわる正当な理由の判断) 丸 【ケース6】 聴覚障がい者が都内のホテルを予約したら、「オリンピックのシーズンでホテルが満室なので予約を受けることができない」と言われた。 2ページ これって合理的配慮を求められる? 〜障害者差別解消法 Q&A〜  NHKハートネット より 事例 1 わたしは車椅子に乗っています。バスに乗ろうとしたら運転手さんに「難しいです。」と一言だけ言われ、乗せてもらえませんでした。発車まで3分しかなかったからなのか、すでに車椅子席に他のお客さんが乗っていたからなのか、スロープを出すのが大変だったからなのか、混雑していたからなのか、理由はわかりません。どこからが差別として声をあげていいのでしょうか?     はるる(二分脊椎)20代 女性 【回答】 この事例は、典型的な差別事例で、ぜひ声を上げてほしいと思います。 「理由がわからないから、差別ではないのかもしれない・・・」と思われたのかもしれません。しかし、バスや電車などの公共交通機関や役場などの公共施設はもちろん、レストランや銀行などの一般大衆に向けられた施設は、基本的に全ての市民が利用できなければなりません。 もし障害のある人に対して利用を拒否した場合、拒否する側は、「障害を理由とする差別」ではない「正当な理由」を説明する責任を負います。 では、どういった場合が「正当な理由」にあたるか…。 この点については、現時点では具体的なケースがまだ整理されておらず、今後の法律の運用の中で具体的な事例を積み重ね、探っていくことになりますが、内閣府の出した基本方針では、拒否理由が「客観的に見て正当な目的の下に行われたのであり、その目的に照らして、“やむを得ない”と言える」ことが必要とされています。  今回のはるるさんの場合、「何も説明がされていない」ということから、バス会社は、「車いす」であることを理由に乗車拒否したと判断されても仕方ない対応と言えます。 事例 2 ある電話会社の「お客様サポートダイヤル」に、手話通訳さんを介してかけましたが、『ご本人以外の方とは、お話し出来ないキマリになっております』と言われ、「本人が聴覚障害なので通訳してます」と伝えてもダメでした。不当な差別になるのでしょうか?   かたつむり(聴覚障害)40代 女性 【回答】. これも差別にあたり、会社の側に「合理的配慮」を求めることができます。 「個人情報の守秘義務の点から難しいのでは?」という意見もあるかもしれませんが、そもそも、そのことから検討する必要があります。 個人情報保護法は、本人の同意のない個人情報の利用を防止するもので、本人の同意がある場合には、第三者に個人情報を提供することは問題がありません。ご相談のケースの場合も、ご本人が手話通訳者に個人情報が提供されることには同意していると考えられますので、手話通訳者を介してのやり取りを行うことは、法的には問題がありません。 「ご本人以外の方とは、お話し出来ない」というのは、あくまで「会社のキマリ」であって、この「会社のキマリ」によって、通訳者を介して電話をした聴覚障害者が電話サポートを利用できない事態が生じていることから、「障害を原因に不利益をこうむっている」ということになり、差別に当たります。 会社側は、障害者を差別する意図はなかったかもしれませんが、例え「そのつもり」が無くても、結果的に障害者差別に当たると認定されることになりますので、「会社のキマリ」を作成する際、注意が必要です。 今回の場合、かたつむりさんは、会社に対して、聴覚障害の人でもサービスを利用できるよう、手話通訳者を介しての電話問い合わせを認めてもらう、または、メールやFAXでの利用を可能にしてもらうといった合理的な配慮を求めることができます。 また、国の相談窓口に相談して、場合によっては同省から会社に指導・勧告を求めることも可能です。さらに、多くの自治体で、独自に障害者差別解消条例を作り、相談窓口や調停委員会を設置しているので、市区町村に相談してみる方法もあります。 3ページ 事例 3 息子が重度の重複障がい児です。先日プラネタリウムを見せたいと思い行ったところ、「静かにできないなら困る」と入場を断られました。うちの子は口頭軟化症もあるので、常にゴーゴーと音がしてしまい、静かにできないんです。これは差別にならないのでしょうか?   ケンケン(息子が脳性まひ)50代 女性 【回答】. このケースも、「ゴーゴーと音がしてしまう」という、“口頭軟化症という障害がある以上避けられないこと”を理由にプラネタリウムの利用を断っているため、正当な理由がない限り、障害を理由とした差別に当たります。 確かに、静かな環境でプラネタリウムの鑑賞を利用者に提供するという目的自体は、正当性が認められるように思います。しかし、静かにプラネタリウムを見たい人のために、障害のある人の利用を拒否することはやむを得ないといえるのか…。 プラネタリウムのように、大衆に向けて開かれ、多くの人が利用することを想定して造られている施設の場合、その施設の運用は、障害のある人の利用も想定して行われるべきです。特に、運用が公的機関によって行われている場合には、なおさらです。 この場合、施設側は、 ・音の出る人(小さな子供等も対象になると思います)のための時間帯を設ける ・防音スペースを用意する といった工夫、合理的配慮をすることで、静かにプラネタリウムを見たい人の需要と、障害のある人のプラネタリウムを見たい需要を両立することは可能であり、「音が出る」と言う理由で障害者を一律に排除することが、静かなプラネタリウムの運営のためにやむを得ないとは言えないと考えられます。 施設側に合理的配慮を求めた上で、改善が認められない場合は、所轄官庁である厚生労働省から会社に指導・勧告を求めることが可能です。また、多くの自治体で、独自に障害者差別解消条例を作り、相談窓口や調停委員会を設置しているので、市区町村に相談してみる方法もあります。 事例 4  ダウン症のある3歳の娘が、今年度、保育園入園決定後 断られました。 保育園入所申込み前に母子で見学に連れて行って障害について説明済みで、その後市からの入所許可通知後、保育園から呼ばれ、「人手不足」「最適な環境が作れない」等を理由として、保育園から受け入れできないと断られました。これは障害者差別解消法には違反しないのでしょうか?入所決定後に人材を確保するべきで、合理的配慮に欠けていると思うのですが、専門家のかたの意見が知りたいです。    あっちゃん(娘がダウン症)40代 女性 【回答】. 障害があることを理由に、入園を拒否することは明確な差別であり、許されません。 特に、幼少期において障害のある子と障害のない子を分けないことは、障害者に対する差別・偏見のない社会を育てていくうえでとても重要なことです。 2014年1月20日に日本が批准した「障害者権利条約」においても、「障害のある児童が他の児童との平等を基礎として、全ての人権及び基本的自由を完全に享有することを確保するための全ての必要な措置をとる」ことが締結国に求められています。 「障害者差別解消法」も、「障害者権利条約」に沿って解釈がされるべきであり、法律上は、障害のある子が、入園した保育園で他の児童と一緒に成長していけるよう、園の側で、支援員等の配慮を提供することが求められます。 あっちゃんさんの場合、ダウン症という以外に、どういった配慮が必要なのかが明確ではないですが、ダウン症というだけで必ずしも特別な配慮が必要とは限りません。 保育園が、障害についての知識がないことで、必要以上に拒否的になっているとも考えられるため、まずは保育園側に、その子がどういったお子さんかを見てもらう機会を設けるなどして、入園できる方向で話し合いを進めて行くとよいと思います。 4ページ 事例 5 自力歩行は可能ですが階段の昇り降りが困難です。 就職活動中で、8階にオフィスを構える会社で希望職種が見つかり、脚に障害がある旨を話しました。すると「地震などもしもの時の保証ができない。命を預かる以上責任があるので」と応募を断られました。確かにエレベーターが止まるような事態が起きれば、命に関わることにもなり兼ねません。高層階で働いている車椅子利用者の方は、非常時の対策は何かされているのでしょうか?  (40代・女性) 【回答】. 本件のように、「非常時に責任が持てない」と言って、障害者を拒否する事例は、残念ながらよくあります。このような断り方は、「本人のために」という理由であり、一見もっとものことであるように思われます。 しかし、「危険だから」「緊急時に対応できないから」という理由が本当に根拠のあるものかについては、現実的な危険性がどの程度あるのかを含めて、しっかりとした検証をする必要があります。 例えば、本件の会社では、これまで社員が足を怪我した場合に、出社停止などの措置をとっていたのでしょうか。 足を怪我した社員は、非常時の対応ができないので、一律に出社を認めないという運用が取られているならともかく、そうでないのであれば、足が不自由な障害者にのみ非常時の対応を持ち出すことは、合理性が認められません。 よって、「非常時に責任が持てない」という理由は、現実的な根拠を欠く“建前”に過ぎず、実質的には障害があることを理由に応募を拒否したとみられ、差別に当たるとみなされます。本件の雇用に関する問題は、「障害者差別禁止法」だけでなく、「障害者雇用促進法」(※)も適用され、会社の側は、障害者に対する合理的配慮をすることが法的な義務となります。 「高層階で働いている車椅子利用者の方は、非常時の対策は何かされているのでしょうか?」と言うご指摘にもあるように、本来、会社の側には、障害がある人を想定に置いた上で緊急時対策マニュアルを作ることが、今後一層求められるようになります。実際、東日本大震災をきっかけに、障害のある人を想定した緊急時対策マニュアルの作成も、各市町村や事業者で進んできています。 以上。