資料3 表紙 第5回 長野県障がい者権利擁護専門分科会 「長野県障がい者共生社会づくり条例(仮称)」検討会 論点提示資料 令和元年10 月28 日 長野県 健康福祉部 障がい者支援課 【専門分科会で御議論いただきたい論点】 論点11 共生社会実現のための施策について 論点12 その他 論点13 目的 論点14 前文に盛り込むべき事項 1ページ ■ 論点 11 共生社会実現のための施策について ≪主な論点≫ ○ 「共生社会実現のための施策」として、どのような項目が必要なのか。 ○ 各項目おいて、どのような事項を盛り込むべきか 選定条件の整理 1 共生社会実現のための施策の実施主体 先行県の状況 (平成28 年度以降に制定した12 県のうち共生社会実現のための施策の記載のある10 都県状況 香川県、佐賀県を除く都県の状況 、以下本論において同じ) 県(都)としている県 9都県(鳥取県を除く全て) 県・県又は市町村としている県 鳥取県 地方自治法第245 条の2 普通地方公共団体は、その事務の処理に関し、法律又はこれに基づく政令によらなければ、普通地方公共団体 に対する国又は都道府県の関与を受け、又は要することとされることはない。 右矢印 県の条例に記載する「共生社会実現のための施策」の実施主体は、「県」に限定 市町村に対して、「義務(努力義務)」を強いることはしない。 2 「共生社会実現のための施策」の各項目に記載すべき内容 先行県の状況 各項目について、基本的には1項のみで、包括的に記載している 5都県 秋田県、福島県、福岡県、静岡県、東京都 多くの項目について、複数の項を設け、具体的内容も記載している 4県 群馬県、滋賀県、三重県、福井県 必要な項目は「章」建てし、非常に詳細な内容をも記載 鳥取県 → 「多くの項目について、複数の項を設け、具体的内容も記載」の方法を採用することを前提に議論を 3 議論の進め方 別紙1参考 @ 多くの都県が条例に記載している項目について、どんな内容を盛り込むかを、障害者基本法の記載内容、先行県での状況等を提示した上で、項目ごとに議論   A 少数の県で採用している項目について、県条例への記載を検討 B 長野県障がい者プラン2018 の重点施策も参考にし、他に盛り込んだ方が良い項目について議論 右矢印  内容をどのように整理するのかは、事務局で検討 なお、複数の県で施策として掲げている「県民理解の促進」、「県民等への支援」は、「県の責務」として整理することするため、本論点としては整理しない。 2ページ 1−1 医療・福祉 採用県:鳥取県、福井県 障害者基本法における記載(医療、介護等) @ 国及び地方公共団体は、障害者が生活機能を回復し、取得し、又は維持するために必要な医療の給付及びリハビリテーションの提供を行うよう必要な施策を講じなければならない。 A 国及び地方公共団体は、前項に規定する医療及びリハビリテーションの研究、開発及び普及を促進しなければならない。 B 国及び地方公共団体は、障害者が、その性別、年齢、障害の状態及び生活の実態に応じ、医療、介護、保健、生活支援その他自立のための適切な支援を受けられるよう必要な施策を講じなければならない。 C 国及び地方公共団体は、第一項及び前項に規定する施策を講ずるために必要な専門的技術職員その他の専門的知識又は技能を有する職員を育成するよう努めなければならない。 D 国及び地方公共団体は、医療若しくは介護の給付又はリハビリテーションの提供を行うに当たつては、障害者が、可能な限りその身近な場所においてこれらを受けられるよう必要な施策を講ずるものとするほか、その人権を十分 に尊重しなければならない。 E 国及び地方公共団体は、福祉用具及び身体障害者補助犬の給付又は貸与その他障害者が日常生活及び社会生活を営むのに必要な施策を講じなければならない。 F 国及び地方公共団体は、前項に規定する施策を講ずるために必要な福祉用具の研究及び開発、身体障害者補助犬の育成等を促進しなければならない。 代表的な記載方法 (福井県) 〇 県は、障害者が自立した日常生活等を営むことができるよう、必要な福祉サービスの提供体制の確保その他必要な施策を講じるものとする。 〇 県は、障害者の性別、年齢、障害の状態および生活の実態に応じた治療、リハビリテーションその他の医療が提供されるよう必要な施策を講じるものとする。 〇 県は、障害者が乳幼児期、学齢期、成人期等生涯にわたり一貫して途切れることなく支援を受けることができるよう必要な施策を講じるものとする。 (人材育成、確保の要素は除く) 先行県での上記以外の要素 〇相談体制の充実 〇成年後見制度の利用促進 議論のポイント どのような内容を盛り込むべきか。 県が推進してきた、「地域移行」、「総合相談窓口の設置」、「自立支援協議会との連携した地域基盤の整備」等長野県らしさをどう反映すべきか。 3ページ 1−2 学校教育 採用県:鳥取県、秋田県、福島県、群馬県、滋賀県、三重県、福井県 障害者基本法における記載 @ 国及び地方公共団体は、障害者が、その年齢及び能力に応じ、かつ、その特性を踏まえた十分な教育が受けられるようにするため、可能な限り障害者である児童及び生徒が障害者でない児童及び生徒と共に教育を受けられるよ う配慮しつつ、教育の内容及び方法の改善及び充実を図る等必要な施策を講じなければならない。 A 国及び地方公共団体は、前項の目的を達成するため、障害者である児童及び生徒並びにその保護者に対し十分な情報の提供を行うとともに、可能な限りその意向を尊重しなければならない。 B 国及び地方公共団体は、障害者である児童及び生徒と障害者でない児童及び生徒との交流及び共同学習を積極的に進めることによって、その相互理解を促進しなければならない。 C 国及び地方公共団体は、障害者の教育に関し、調査及び研究並びに人材の確保及び資質の向上、適切な教材等の提供、学校施設の整備その他の環境の整備を促進しなければならない。 代表的な記載方法 (群馬県) 〇 県は、学校教育において、障害のある児童及び生徒が、その発達及び特性並びに本人の意思に応じて、学びの場及び進路の選択等を適切に行うことができるようにするとともに、それぞれの場において十分な教育を受けられ るよう必要な施策を講ずるものとする。 〇 県は、学校教育において、障害のある児童及び生徒と障害のない児童及び生徒とが、共に学び相互に理解を深め合う交流及び共同学習の機会の確保が図られるよう必要な施策を講ずるものとする。 先行県での上記以外の要素 〇 障がい者のない児童、生徒等が正しい知識(理解)を深めるための教育 〇 点字図書、拡大図書、字幕又は手話言語を用いた映像その他の教材の提供、適切なコミュニケーション手段の確保その他の支援ない相談体制の充実 (鳥取県) 〇 教育従事者へのコミュニケーション支援研修(鳥取県) 〇 障がい者である児童及び生徒が在籍する学校の設置者及び当該学校、当該児童及び生徒の保護者、地域住民その他の関係者間における連携が図られるよう必要な措置を講ずる。(三重県) 議論の整理 多くの県で取り入れられている事項は以下のとおり @ 発達及び特性並びに本人の意思に応じて、学びの場及び進路の選択等の機会の確保 A それぞれの場において十分な教育を受けられるよう必要な施策 B 障害のある児童及び生徒と障害のない児童及び生徒とが、共に学び相互に理解を深め合う交流及び共同学習 の機会の確保 C 障がい者のない児童、生徒等が正しい知識(理解)を深めるための教育 上記以外の要素を採用しているのか、鳥取県、三重県のみ(内容は記載のとおり) 議論のポイント どのような内容を盛り込むべきか。 4ページ 1−3 社会教育 採用県:鳥取県、福島県、群馬県、滋賀県、福井県 障害者基本法における記載 なし 代表的な記載方法 (群馬県) 〇 県は、社会教育において、市町村、社会教育団体等と連携協力し、県民が障害及び障害者に関する理解を深め、障害を理由とする差別の解消の重要性について認識するための学習の機会の確保が図られるよう必要な施策を 講ずるものとする。 〇 県は、社会教育において、市町村、社会教育団体等と連携協力し、障害者と障害者でない者とが共に学ぶ機会を充実させるよう必要な施策を講ずるものとする。 先行県での上記以外の要素 〇 障害、障害者及び障害の社会モデルに関する正しい知識を持つための教育が行われるように情報の提供(東京都) 〇 障がい者及びその家族その他の関係者が、当該障がい者に係る障がいの特性に応じた適切なコミュニケーション手段その他障がいに関する知識について適切な時期に学ぶ機会を設けることその他のそれらを習得す るための環境の整備(鳥取県) 議論の整理 多くの県で取り入れられている事項は以下のように集約される。 @ 障がい者理解等促進のための学習機会の確保(含む情報提供) A 障害者と障害者でない者とが共に学ぶ機会を充実させるよう必要な施策 上記以外の要素を採用しているのか、鳥取県のみ(内容は記載のとおり) 議論のポイント どのような内容を盛り込むべきか。 1−4 就労支援 採用県:鳥取県、秋田県、福島県、群馬県、滋賀県、三重県、福井県 障害者基本法における記載 〔職業相談等〕 @ 国及び地方公共団体は、障害者の職業選択の自由を尊重しつつ、障害者がその能力に応じて適切な職業に従 事することができるようにするため、障害者の多様な就業の機会を確保するよう努めるとともに、個々の障害者の 特性に配慮した職業相談、職業指導、職業訓練及び職業紹介の実施その他必要な施策を講じなければならない。 A 国及び地方公共団体は、障害者の多様な就業の機会の確保を図るため、前項に規定する施策に関する調査及び研究を促進しなければならない。 5ページ B 国及び地方公共団体は、障害者の地域社会における作業活動の場及び障害者の職業訓練のための施設の拡充を図るため、これに必要な費用の助成その他必要な施策を講じなければならない。 〔雇用の促進等〕 @ 国及び地方公共団体は、国及び地方公共団体並びに事業者における障害者の雇用を促進するため、障害者の優先雇用その他の施策を講じなければならない。 A 事業主は、障害者の雇用に関し、その有する能力を正当に評価し、適切な雇用の機会を確保するとともに、個々の障害者の特性に応じた適正な雇用管理を行うことによりその雇用の安定を図るよう努めなければな らない。 B 国及び地方公共団体は、障害者を雇用する事業主に対して、障害者の雇用のための経済的負担を軽減し、もつてその雇用の促進及び継続を図るため、障害者が雇用されるのに伴い必要となる施設又は設 備の整備等に要する費用の助成その他必要な施策を講じなければならない。 代表的な記載方法 (滋賀県) 〇 県は、障害者の多様な就業の機会を確保するため、個々の障害者の意向および特性に応じた就業の場の開拓その他の必要な施策を講ずるものとする。 〇 県は、障害者の職場への定着を促進するため、関係機関と連携し、就業に伴う日常生活上の支援その他の必要な支援を行うものとする。 先行県での上記以外の要素 〇 障がい者の希望及び適性に応じた雇用契約に基づく就労を促進(鳥取県) 〇 就労移行支援事業所及び就労継続支援事業所における賃金及び工賃の水準の向上その他障がい者の就労の促進に必要な環境の整備を図ること。(鳥取県) 〇 障害者の雇用及び就労に関する事業者の理解を深めるとともに、障害者の雇用及び就労を促進するために必要な施策(秋田県) 〇 障害者の特性に配慮した職業相談、職業指導、職業訓練及び職業紹介の実施その他必要な施策(群馬県) 〇 障がい者の就労に関する情報の共有及びその適切な活用を図る(三重県) 〇 障害者雇用率の達成はもとより、一層の障害者雇用の促進に努める(福井県) 〇 障害者が就労その他の生産活動により供給する物品または役務に対する需要を促進し、その受注の機会の増大を支援するために必要な措置を講じる(福井県) 議論の整理 「多様な就業機会の確保」は多くの県で採用されているが、それ以外は、条例に記載されている内容に非常に大きな相違がある。 議論のポイント どのような内容を盛り込むべきか。 どのような視点を重要視するのか。 6ページ 1−5 建物等のバリアフリー・住環境の整備 採用県:滋賀県、三重県、福井県 障害者基本法における記載 〔住宅の確保〕 国及び地方公共団体は、障害者が地域社会において安定した生活を営むことができるようにするため、障害者のための住宅を確保し、及び障害者の日常生活に適するような住宅の整備を促進するよう必要な施策を講じなければ ならない。 〔公共的施設のバリアフリー化〕 @ 国及び地方公共団体は、障害者の利用の便宜を図ることによって障害者の自立及び社会参加を支援するため、自ら設置する官公庁施設、交通施設(車両、船舶、航空機等の移動施設を含む。次項において同じ。)その他の 公共的施設について、障害者が円滑に利用できるような施設の構造及び設備の整備等の計画的推進を図らなければならない。 A 交通施設その他の公共的施設を設置する事業者は、障害者の利用の便宜を図ることによって障害者の自立及び社会参加を支援するため、当該公共的施設について、障害者が円滑に利用できるような施設の構造及び設備の 整備等の計画的推進に努めなければならない。 B 交通施設その他の公共的施設を設置する事業者は、障害者の利用の便宜を図ることによって障害者の自立及び社会参加を支援するため、当該公共的施設について、障害者が円滑に利用できるような施設の構造及び設備の 整備等の計画的推進に努めなければならない。 代表的な記載方法 (福井県) 〇 県は自らの設置する公共施設、交通施設その他の公共的施設について、障害者が円滑に利用できるような施設の構造および設備等の計画的推進を図らなければならない。 〇 交通施設その他の公共的施設を設置する事業者は、当該公共的施設について、障害者が円滑に利用できるような施設の構造および設備の整備等の計画的推進に努めなければならない。 先行県での上記以外の要素 〇 県営住宅への入居において特別の配慮(滋賀県) 〇 住環境の整備のために必要な施策(滋賀県) 福祉のまちづくり条例的な条例を有している都県 全ての都県 7ページ 長野県福祉のまちづくり条例について(抜粋) 県の責務 県は、市町村、県民及び事業者との連携と協力の下に、福祉のまちづくりのための総合的な施策を推進するものとする。 事業者の責務 自ら所有し、又は管理する施設(旅客の運送の用に供する自動車及び鉄道の車両を含む。)について、障害者等が安全かつ容易に利用できるようその責任において整備に努めなければならない。 施策の基本方針 (1) すべての県民の積極的な参加を促進するため、思いやりの心をはぐくむとともに、福祉のまちづくりへの理解を深めるよう必要な措置を講ずること。 (2) 障害者等の社会参加の妨げとなっている障壁を取り除き、建築物等の安全かつ容易な利用を図るため、特定施設の整備等を促進するよう必要な措置を講ずること。 (3) 障害者等の行動範囲を拡大し、積極的に社会参加ができるようにするため、安心して生活できる環境の整備を促進するよう必要な措置を講ずること。 (4) すべての県民が主体となり、互いに連携し、協力して福祉のまちづくりを推進するため、市町村の施策及び県民又は事業者の自主的な活動を促進するよう必要な措置を講ずること。 障害者等の移動の支援 県は、障害者等の行動範囲を拡大し、積極的に社会参加ができるようにするため、県民及び事業者と協力し、障害者等のための自動車の駐車の用に供する部分の適正な利用の推進その他の必要な措置を講ずるものとする。 議論の整理 採用している県は少ない。 重複している項目は少ない。 長野県としては、「福祉のまちづくり条例」を有している。 議論のポイント 福祉のまちづくり条例との整合性を考え、条例として記載することが適切か。 この項目を設けるのであれば、記載するとすれば、どのような内容を盛り込むべきか。 また、事前的改善措置(福岡県の例を参考)を設けるのであれば、それとの整合性の検討。 (内容的に重複することが多いので、どちらの側面を重視するのか) 8ページ 1−6 災害時の対応 採用県:鳥取県、福島県、群馬県、滋賀県、三重県、福井県、福岡県 障害者基本法における記載 (防災及び防犯) 国及び地方公共団体は、障害者が地域社会において安全にかつ安心して生活を営むことができるようにするため、 障害者の性別、年齢、障害の状態及び生活の実態に応じて、防災及び防犯に関し必要な施策を講じなければならな い。 代表的な記載方法 〇 災害時における障害者に対する情報の迅速かつ的確な伝達の方法および避難所における障害者の円滑な利用の確保その他の障害者の災害時における支援について、市町に対し、情報の提供、助言その他の必要な支援を 行うものとする。(滋賀県) 〇 県は、障害者が地域社会において安全にかつ安心して生活を営むことができるよう、防災に関し必要な施策を講ずるに当たっては、障害の特性及び状況に配慮するものとする。(群馬県) 〇 県は、災害その他非常の事態において、障がいのある人が、その障がいの特性に応じた必要な支援を受けることができるよう、市町村その他の関係機関と連携し、必要な措置を講ずるものとする。(福島県) 先行県での上記以外の要素 〇 障がいのある人の個々の障がいの特性及び状況に応じて、防災及び防犯に関し必要な対策を講ずるものとする。 (福岡県、障害者基本法) 〇 支援する人材の育成に必要な施策(福井県) 〇 多様な情報提供の手段を確保するよう必要な施策(福井県) 〇 県及び市町村は、自助に加え、地域住民が災害時における避難に当たり支援を要する障がい者に対して、声掛け、避難所への同行その他の共助を行うことができる関係を地域社会において築く取組を推進するよう努めるもの とする。(鳥取県) * 鳥取県は、「災害時における障がい者支援」という章建てをして記載 議論の整理 「市町村への支援」(滋賀県、三重県)と「県の実施すべき事項」(群馬県、福井県)と「包括的な表現」(福島県、福岡県)に大別される。 市町村への支援としては、情報伝達、避難所、その他必要な支援 県が実施することは、障がい者に配慮した計画策定、情報伝達手段、人材確保 が要素となっている。 議論のポイント どのような内容を盛り込むべきか。 「市町村への支援」「県として実施すべき事項」どちらの(又は両方の)視点を取り入れるのか。 9ページ 1−7 意思疎通支援 採用県:鳥取県、福島県、群馬県、滋賀県、三重県、福井県、東京都、福岡県 障害者基本法における記載 (情報の利用におけるバリアフリー化等) @ 国及び地方公共団体は、障害者が円滑に情報を取得し及び利用し、その意思を表示し、並びに他人との意思疎通を図ることができるようにするため、障害者が利用しやすい電子計算機及びその関連装置その他情報通信機器 の普及、電気通信及び放送の役務の利用に関する障害者の利便の増進、障害者に対して情報を提供する施設の整備、障害者の意思疎通を仲介する者の養成及び派遣等が図られるよう必要な施策を講じなければならない。 A 国及び地方公共団体は、災害その他非常の事態の場合に障害者に対しその安全を確保するため必要な情報が迅速かつ的確に伝えられるよう必要な施策を講ずるものとするほか、行政の情報化及び公共分野における情報 通信技術の活用の推進に当たつては、障害者の利用の便宜が図られるよう特に配慮しなければならない。 B 電気通信及び放送その他の情報の提供に係る役務の提供並びに電子計算機及びその関連装置その他情報通信機器の製造等を行う事業者は、当該役務の提供又は当該機器の製造等に当たつては、障害者の利用の便宜 を図るよう努めなければならない。 代表的な記載方法 (福井県) 〇 県は、障害者の言語その他の意思疎通ならびに情報の取得および利用のための手段についての選択の機会の確保および拡大を図るために必要な施策を講ずるものとする。 〇 県は、点字、音声、字幕、わかりやすい表現その他の方法により障害者にとって利用しやすい方法により、障害の特性に応じた多様な情報提供の方法が普及するように必要な施策を講ずるものとする。 〇 県は、点訳、手話通訳、要約筆記その他の方法により障害者の意思疎通を支援する者の養成および技術の向上のために必要な施策を講じるものとする。 〇 県は、障害者が円滑に県政に関する情報を取得することができるよう、可能な限り、障害者に配慮した形態、手段及び様式によって情報の提供を行うものとする。 先行県での上記以外の要素 〇 障がい者が適切に意思疎通を行うために必要な訓練の実施 〇 意思疎通を支援する者の派遣、情報通信機器の整備その他のコミュニケーション手段の確保及び充実 〇 障がい者情報アクセシビリティの保障に資する拠点の設置及び運営 〇 障がい者福祉団体又は事業者が行う障がい者情報アクセシビリティを保障するための取組に対する支援 以上すべて鳥取県。(過重な負担とならない範囲でという条件は付されている。) * 鳥取県は、「障がい者情報アクセシビリティの保障及びコミュニケーション手段の充実」という章建てをして記載 10ページ 議論の整理 鳥取県を除く都県では、 @ 選択の機会の確保および拡大を図るために必要な施策 A 障害の特性に応じた多様な情報提供の方法が普及するように必要な施策。 B 意思疎通を支援する者の養成および技術の向上 C 県が発信する情報について、可能な限り、障害者に配慮した情報の提供 のいずれか又は全部を記載している。(包括的な表現を採用している県を除く) なお、手話について、2都県において記載がある。 東京都: 都は、独自の文法を持つ手話は一つの言語であるという認識に基づき、都民及び事業者において言語としての手話の認識を広げるとともに、手話の利用が普及するよう必要な施策を講ずるもの とする。 三重県: 手話による情報の発信等及び手話通訳を行う人材の育成等については、三重県手話言語条例の定めるところによる。 議論のポイント どのような内容を盛り込むべきか。 手話について、三重県のような規定を設けた方が良いのか。 1−8 社会参加の促進(スポーツ・文化芸術) 採用県:鳥取県、秋田県、福島県、群馬県、滋賀県、福井県、静岡県 障害者基本法における記載 (文化的諸条件の整備等) 国及び地方公共団体は、障害者が円滑に文化芸術活動、スポーツ又はレクリエーションを行うことができるようにするため、施設、設備その他の諸条件の整備、文化芸術、スポーツ等に関する活動の助成その他必要な施策を講じなけ ればならない。 代表的な記載方法 〇 県は、障害者が文化芸術活動、スポーツ等に参加する機会を確保することその他の障害者の文化芸術活動、スポーツ等の推進に必要な施策を講ずるものとする。(群馬県) 〇 県は、障害者が障害の特性に応じて参加できることができるスポーツの振興を図るとともに、障害者と障害者でない者が、相互理解が促進されるよう必要な施策を講じるものとする。 〇 県は、障害者が障害者スポーツに参加できる機会の提供に努めるとともに、障害者スポーツの指導者の養成及び資質の向上その他の必要な施策を講じるものとする。 〇 県は、パラリンピック競技大会、デフリンピック競技大会その他の国際的な規模のスポーツ競技会または全国的な規模のスポーツの競技会で活躍できる障害者スポーツの選手を育成するために必要な施策を講するものとする。 (以上:福井県) 11ページ 考え方の整理 この項目は、3つの考え方に大別 @ スポーツ・文化芸術を同一の項目として記載(秋田県、福島県、群馬県、滋賀県) A スポーツと文化芸術を別項目として整理しているが、記載内容はほぼ同一(静岡県) B スポーツと文化芸術を別項目として整理した上で、それぞれ必要な施策を記載(鳥取県、福井県) 鳥取県、福井県での記載要素 〔スポーツ〕 @ 県民の幅広い理解及び支援が得られるよう、障がい者スポーツの普及及び啓発 A 障がい者スポーツに関する競技水準の向上 B 指導者の確保及び育成 C 障がい者スポーツの振興団体が行う活動に対して必要な支援 〔文化芸術〕 @ 県民の幅広い理解及び支援が得られるよう、障がい者の文化芸術活動の普及及び啓発 A 知識及び経験を有する者であってこれを支援するものの確保及び育成を図ること。 B 障がい者の文化芸術活動を担う個人及び団体の取組を必要な支援を 議論のポイント どのような考え方で記載すべきか。 (東京パラリンピックや2027 年度全国障害者スポー大会開催も考慮して) 鳥取県、福井県スタイルであれば、どのような要素を盛り込むべきか。 1−9 地域交流 採用県:鳥取県、秋田県、福島県 (共に学ぶという視点:群馬県、滋賀県) 障害者基本法における記載 なし 代表的な記載方法 〇 県は、障害者と障害者でない者との相互理解を促進するため、両者の交流の機会を確保するとともに、その積極 的な参加を促進するために必要な施策を講ずるものとする。(秋田県) 〇 県は、障がいのある人及び障がいのない人の交流を積極的に促進し、相互理解を推進するものとする。(福島県) 先行県での上記以外の要素 〇 障がい者福祉サービス事業者等は、市町村と連携し、障がい者と地域住民との交流の促進その他事業者同士 の連携等によるサービスの充実に資する取組に努めるものとする。(鳥取県) 議論の整理 様々項目(社会教育、スポーツ、文化芸術等)で、交流を推進する内容は他県でも含まれている。 別に項目を整理する必要があるのか。 議論のポイント 項目として盛り込むべきか。どのような内容を盛り込むべきか。 12ページ 1−10 福祉人材育成・資質向上 採用県:秋田県、群馬県、三重県、福井県 障害者基本法における記載 なし(医療、介護等に人材育成はある。前出) 代表的な記載方法 (秋田県) 〇 県は、障害者に対する支援を適切に行うため当該支援に関する業務に従事する職員の育成を図るとともに、全ての職員が障害及び障害者についての知識及び理解を深めることができるよう必要な措置を講ずるものとする。 先行県での上記以外の要素 〇 障害に関する専門的な知識及び技能を有する者の育成(障害者差別の解消目的)(群馬県) 〇 福祉事業等従事者の確保および県民の社会福祉事業に関する理解の促進するために必要な施策(三重県) なお、各分野での人材育成、資質向上は、その項目に記載 議論の整理 本論で取り上げた県のうち、福祉サービスについて記載があるのは福井県のみ。 他の3県は、福祉サービスについて記載がないが、福祉人材の確保について記載がある。 議論のポイント どのような内容を盛り込むべきか。 整理とすれば、医療・福祉(項目を設ける場合)とするのが良いか。 1−11 選挙 採用県:滋賀県、三重県 障害者基本法における記載 (選挙等における配慮) 国及び地方公共団体は、法律又は条例の定めるところにより行われる選挙、国民審査又は投票において、障害者が円滑に投票できるようにするため、投票所の施設又は設備の整備その他必要な施策を講じなければならない。 代表的な記載方法 〇 県は、法律または条例の定めるところにより行われる選挙、国民審査または投票において、障害者が円滑に投票できるようにするための取組を促進するため、市町に対し、情報の提供、助言その他の必要な支援を行うものとす る。(滋賀県) 〇 県は、法律又は条例の定めるところにより行われる選挙、国民審査又は投票において、公職選挙法第四十七条に規定する点字投票その他の選挙人による投票を支援する制度の周知その他の障がい者が円滑に投票できるよう にするための取組を推進するため、市町に対する情報の提供、技術的な助言その他の必要な支援を実施するよう努めるものとする。(三重県) 議論の整理 2県しか採用していないが、内容の要旨は同じ。(障害者基本法の要旨も同様) 議論のポイント どのような内容を盛り込むべきか。 13ページ 2−1 虐待防止 採用県:鳥取県、福岡県 障害者基本法における記載 なし 代表的な記載方法 〇 県は、市町村その他の関係機関と連携して、障がい者に対する虐待を防止するため、障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律第2条第4項に規定する障害者支援施設及び障害福祉サービス事業等 に係る業務に従事する者に対する啓発及び研修を行うものとする。 前項に規定する障害者支援施設及び障害福祉サービス事業等に係る事業者は、障害者虐待防止法第15 条の規定による研修の実施に加え、障がい者の虐待の防止に関する従業員への啓発に努めなければならない。 (鳥取県) 〇 県は、障がいのある人に対する虐待の防止が、障がいのある人の権利及び尊厳を尊重する上で極めて重要であることに鑑み、障がい及び障がいのある人への理解を深めるための研修の実施、障がいのある人に対する虐待 の防止に関する啓発及び相談に係る体制整備その他の必要な対策を講ずるものとする。(福岡県) 議論のポイント 「虐待防止」と事項を、共生社会づくりを本旨とする本県の条例でどのように扱うべきか。 2−2 権利擁護 採用県:福井県のみ 障害者基本法における記載 なし 記載方法 〇 県は、障害者のどこで誰とそのように生活するかについての選択の機会を確保および健康で安心して生活できる場の確保を確保するために必要な施策を講じるものとする。 〇 県は、障害者及びその家族等に対する成年後見制度その他の障害者の権利利益の保護等のための施策または制度が、広く利用されるよう必要な施策を講じなければならない。 なお、成年後見制度の普及促進は、鳥取県でも記載(福祉サービスの項目) 議論のポイント 権利擁護を項目として盛り込む必要があるのか。 その場合、どのような内容が良いのか。 14ページ 2−3 医療を要する障がい者への支援 採用県:鳥取県のみ 障害者基本法における記載 (類似:療育) @ 国及び地方公共団体は、障害者である子どもが可能な限りその身近な場所において療育その他これに関連する支援を受けられるよう必要な施策を講じなければならない。 A 国及び地方公共団体は、療育に関し、研究、開発及び普及の促進、専門的知識又は技能を有する職員の育成その他の環境の整備を促進しなければならない。 記載方法 〇 県は、医療を要する障がい者が、地域で安全かつ安心な生活を営むことができるよう、医師、歯科医師、相談員その他の医療を要する障がい者を支援する者の確保、支援制度の拡充その他障がい者の年齢に 応じた切れ目のない支援を行うものとする。 〇 前項の支援の実施に当たっては、医療、福祉、保健、教育その他の関係分野に従事する者は、一層の連携に努めるものとする。 議論のポイント 医療と必要とする障がい児(者)は、医療と福祉の連携体制が不可欠である。 先行県においては、「療育」の項目を採用していないが、非常に重要な分野である。 現在の障がい者プラン2018 では、重点施策の分野として、「多様な障がいに対する支援の推進」を掲げている。(医療的ケア児、発達障がい、強度行動障がい等) そうした点も踏まえ、この事項をどのように整理し、どのような内容としていくのか。 2−4 移動手段の確保 採用県:福井県のみ 障害者基本法における記載 なし(公共的施設のバリアフリー化等にはある。前出) 記載方法 〇 県は、障害者が障害の別や程度にかかわらず、いかなる差別も受けることなく自立した日常生活等のために必要な移動の手段が確保されるよう、公共交通事業者および県民の理解の促進に努めなければなら ない。 参考 : 長野県福祉のまちづくり条例 障害者等の移動の支援 県は、障害者等の行動範囲を拡大し、積極的に社会参加ができるようにするため、県民及び事業者と協力し、障害者等のための自動車の駐車の用に供する部分の適正な利用の推進その他の必要な措置を講ずるものとする。 議論のポイント 福祉のまちづくり条例に同種の規定がある中で、どのように考えるのか。 15ページ 3 他に盛り込むべき内容の検討 長野県障がい者プラン2018 における重点分野 1 障がいへの理解と権利擁護の推進 2 地域生活の充実 3 社会参加の推進 4 多様な障がいに対する支援の推進 障害者基本法の「障害者の自立及び社会参加の支援等ための基本的施策」 他県で「共生社会実現のための施策」として採用されていない項目 〇 年金 〇 経済的負担の軽減 〇 消費者としての障害者の保護 〇 司法手続き (注:「療育」も同様であるが、既に議論済み) 議論のポイント 上記も踏まえ、追加する事項はそるのか 16ページ ■ 論点 12 その他 ≪主な論点≫ ○ 障害者差別解消法、他県の条例との比較検討で、各論点について検討したが、他に条例に盛り込むべき項目等はないか。 障害者差別解消法、他県の条例との比較検討で、各論点について検討したが、他の要素からみて、条例に盛り込むべき項目等はないかを検討する。 1 長野県手話言語条例 長野県手話言語条例において盛り込まれている項目で、現在、検討の遡上に上がっていない事項。 第11 条 施策の策定及び推進 県は、障害者基本法(昭和45 年法律第84 号)第11 条第2項の規定による障害者計画において、手話の普及等に関する必要な施策について定め、これを総合的かつ計画的に推進するものとする。 2 知事は、前項に規定する施策について定めようとするときは、あらかじめ、長野県障がい者施策推進協議会の意見を聴かなければならない。 3 知事は、第1項に規定する施策について、実施状況を公表しなければならない。 4 第2項の規定は、第1項に規定する施策の変更について準用する。 現在検討している他県の条例において類似の規定を有している県 : 三重県 (共生社会の実現に向けた施策に関する計画) 県は、障害者計画において、共生社会の実現に向けた施策について定め、これを総合的かつ計画的に推進するものとする。 2 知事は、前項の施策について定めようとするときは、あらかじめ、三重県障害者施策推進協議会の意見を聴かなければならない。 3 前項の規定は、第一項に規定する施策の変更について準用する。 議論のポイント 条例の整合性から考え盛り込む必要があるか。 17ページ 2 障がいのある人もない人も共に生きる社会を目指す研究会 報告書 研究会の検討内容 1 差別等に当たる行為の定義づけ → 議論済み 2 差別等を解決する仕組み → 議論済み 3 効果的な施策や取組 → 議論済み (1) 差別等を未然に防止する取組 → 切り口 : 幅広い層、障がいある人に関わる方、障がい者との交流、障がい者への施策) (2) 既存制度の浸透や改善 (取組支援、バリアフリー、情報保障、福祉制度、政治参加) (3) 社会の意識改革 (県をはじめ事業者との協働) (4) 障がい者の生活基盤の強化 (教育・就労) 3 他県の条例に盛り込まれている内容で議論していない事項 1 守秘義務 滋賀県・東京都 滋賀県の記載例 規定に違反し秘密を漏らした者は、1年以下の懲役または50 万円以下の罰金に処する。 (対象:差別解消推進員、調整委員会) 障害者差別解消法 第25 条 第19 条の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。 第26 条 第12 条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、二十万円以下の過料 に処する。 第19 条(守秘義務) 協議会の事務に従事する者又は協議会の事務に従事していた者は、正当な理由なく、協議会 の事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。 第12 条(報告の徴収並びに助言、指導及び勧告) 主務大臣は、第八条の規定の施行に関し、特に必要があると認めるときは、対応指針に定める 事項について、当該事業者に対し、報告を求め、又は助言、指導若しくは勧告をすることができる。 論点整理 ・ 差別解消法の規定をそのまま準用している都県はない。 ・ 罰則規定自体を設けている県は少ない。 18ページ 2 条例施行後の検討 福島県、滋賀県、三重県、福井県、東京都、福岡県、静岡県、佐賀県 代表的な記載方法 都は、社会環境の変化及びこの条例の規定の施行の状況その他障害を理由とする差別の解消の推進の状況を勘案し、必要があると認めるときは、この条例の規定について検討を加え、その結果に基づいて所要の 措置を講ずるものとする。(東京都) 知事は、この条例の施行後3年を目途として、この条例の施行状況および障害者の差別の解消に関する法制の整備の動向等を勘案し、障害の範囲を含め、この条例の規定について検討を加え、 その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。(滋賀県) 論点整理 施行後(3年)の期限を定めている県 福島県、滋賀県、三重県、福井県、福岡県、静岡県 施行後(5年)の期限を定めている県 佐賀県 必要があると認める場合 東京都 補足事項 障害者差別解消法附則第7条(検討) 政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、第八条第二項に規定する社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮の在り方その他この法律の施行の状況について検討 を加え、必要があると認めるときは、その結果に応じて所要の見直しを行うものとする。 19ページ ■ 論点 13 目的 ≪主な論点≫ ○ 今までの議論を踏まえ、目的について、ご意見をいただきたい。 1 事務局が想定している「目的」のたたき台 この条例は、障がい者の自立及び社会参加の支援等並びに障がいを理由とする差別の解消に関し、基本理念を定め、県の責務等を明らかにするとともに、当該施策の基本となる事項を定めること等により、全ての県民が障が いの有無によって分け隔てられることなく、互いに人格と個性を尊重し、人々の多様な在り方を相互に認め、支えあう共生社会の実現に寄与することを目的とする。 2 議論いただきたい事項 @ 「共生社会の実現に寄与すること」を目的としたいが、如何か。 A 共生社会の姿を現す表現として、どのような表現が適切なのか。 全ての県民が障がいの有無によって分け隔てられることなく、互いに人格と個性を尊重し、人々の多様な在り方を相互に認め、支えあう共生社会 3 共生社会の表現について 先行県の状況 (平成28 年度以降に制定した12 県の状況) 代表的な記載方法 (秋田県) 障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現 *この表現を採用している県 : 8県 (この表現の基は、障害者基本法、障害者差別解消法の目的) 代表的な記載方法を若干アレンジしている県 〔福井県〕 障害の有無により分け隔てられることなく、相互の人格と個性を尊重し会いながら幸せに暮らせる共生社会 〔香川県〕 障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し、支え合いながら共生する社会 代表的な記載方法とは異なる表現をしている県 〔鳥取県〕 障がい者が地域社会の中で自分らしく安心して生活することができる社会 〔東京都〕 障害を理由とする差別を解消し、もって共生社会の実現 20ページ 【参考】 障害者基本法の目的 この法律は、全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念にのつとり、全ての国民が、障害の有無によつて分け隔てられることなく、相互に人格と個 性を尊重し合いながら共生する社会を実現するため、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策に関し、基本原則を定め、及び国、地方公共団体等の責務を明らかにするとともに、障害者の自立及び社会参加の支援等のため の施策の基本となる事項を定めること等により、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を総合的かつ計画的に推進することを目的とする。 障害者差別解消法 この法律は、障害者基本法の基本的な理念にのっとり、全ての障害者が、障害者でない者と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有することを踏まえ、障害を理由 とする差別の解消の推進に関する基本的な事項、行政機関等及び事業者における障害を理由とする差別を解消するための措置等を定めることにより、障害を理由とする差別の解消を推進し、もって全ての国民が、障害の有無によって分け 隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的とする。 文部科学省 特別支援教育の在り方に関する特別委員会報告 「共生社会」とは、これまで必ずしも十分に社会参加できるような環境になかった障害者等が、積極的に参加・貢献していくことができる社会である。それは、誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合い、人々の多様な在り方を相互に認め合 える全員参加型の社会である。 内閣府障害者施策のトップページより 障害の有無にかかわらず、国民誰もが互いに人格と個性を尊重し支え合って共生する社会を目指し、障害者の自立と社会参加の支援等を推進します。 21ページ ■ 論点 14 前文に盛り込むべき事項 ≪主な論点≫ ○ 前文に盛り込んでおくべき、要素、表現等について、ご意見をいただきたい。 参考のために、長野県手話言語条例、三重県、滋賀県の条例の前文を紹介 1 長野県手話言語条例 手話は言語である。 私たちは、手話が、音声言語とは異なる語彙や文法体系を有し、手や指、体の動きや表情などにより視覚的に表現される言語であり、我が国においては、明治時代に始まり、手話を使う、ろう者をはじめとする関係する多くの人々の間 で大切に受け継がれ発展してきたものであることを、まず認識しなければならない。 しかしながら、手話は、今日に至るまで決して順調な発展を続けてきたわけではない。意思の伝達手段として尊重されることもあったが、ろう学校での読唇と発声の訓練を基本とする口話法の導入により、手話が自由に使用できないこと や、手話を習得し、手話で学ぶなどの機会を十分に得られないことで、これまで、ろう者が数々の困難に直面した歴史があることにも思いを至らせなければならない。 ようやく手話が、国際的に言語として位置付けられたのは、国際連合総会において、平成18 年に障害者の権利に関する条約が採択されたことによるものである。これにより、我が国においても、平成23 年の障害者基本法の改正や 平成26 年の障害者の権利に関する条約の批准が行われ、制度的には前進したものの、手話への理解やその普及は、まだ大きな広がりを得ていない状況にある。 言語は、人と人とをつなぐ絆である。 長野県には、先人によって守り育てられてきた豊かな自然とともに、人と人との絆を大切にする心が息づいている。 そして手話には、これまで手話により、周囲の世界を知り、考え、意思を伝えてきた人々の魂が宿っている。 2 滋賀県 全ての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である。障害の有無にかかわらず、一人ひとりが基本的人権を享有し、相互に人格と個性を尊重し合いながら共に生きる社会を実現することは、私たち県 民に課せられた責務である。 滋賀でそのような社会の実現を目指した先人は、福祉の実践の中で障害者の放つ命の輝きに社会を変えていく力があることを見いだし、「この子らを世の光に」の言葉に代表される福祉の思想を遺のこした。この思想は時を経て滋賀 の各地に広がり、更なる福祉の実践を生み出してきた。 一方で、滋賀ではかつて深刻な障害者虐待事案が発生し、その教訓を踏まえ障害者の権利利益の擁護に取り組んできたが、依然として人権侵害や生活上の制約を受けている障害者が存在する。さらに、人と人との絆きずなが薄れつ つある社会にあって、社会保障の狭間で困難な暮らしを余儀なくされ、また、周囲の無関心や無理解により孤立する人々が存在しており、共生社会の実現は道半ばにある。 障害者の権利に関する条約は、障害者の人権や基本的自由の享有を確保し、障害者の固有の尊厳の尊重を促進しなければならないことを示すとともに、障害の社会モデルに立脚し、社会的障壁を取り除くことは社会の責務であるこ とを示した。これは、福祉の実践を通じて社会を変えようとした滋賀の先人の思想に通じるものである。 私たちは、改めて障害を理由とする差別の解消を誓うとともに、先人の思想を道しるべとし、障害の有無にかかわらず、一人ひとりに社会を変革する命の輝きがあることを信じて、滋賀の地に県民の共感と連帯、そして協働による共生 社会を実現することを決意し、ここに滋賀県障害者差別のない共生社会づくり条例を制定する。 22ページ 3 三重県 平成十八年十二月、障がい者の人権と基本的自由の享有を確保し、障がい者の固有の尊厳の尊重を促進することを目的とする障害者の権利に関する条約が採択され、我が国は、平成二十六年一月に同条約を締結した。 障害者の権利に関する条約は、「障がいが、機能障がいを有する者とこれらの者に対する態度及び環境による障壁との間の相互作用であって、これらの者が他の者との平等を基礎として社会に完全かつ効果的に参加することを妨げ るも のによって生ずる」という社会モデルの考え方を基本としている。また、同条約は、合理的配慮の否定を含めたあらゆる形態の差別を障がいに基づく差別とし、この差別を撤廃するための措置をとることを定めるとともに、合理的配慮 とは、障がい者の人権と基本的自由の享有を確保するための「必要かつ適当な変更及び調整」であり、恩恵的に施されるものではないことを明らかにした。 これらの画期的な考え方をはじめとする障害者の権利に関する条約の理念を実現するため、政府は、関係する法律の整備などを行っており、三重県においても、これらを踏まえ、 障がい者の権利を守るための取組を進めているところ である。 しかしながら、今なお、障がい者に対する理解や、障がい者との対話を通じて社会的障壁を認識し、除去することの重要性に対する理解が十分に深まっておらず、障がい者はもとより、その家族も様々な偏見や差別に直面し、苦悩し ている。また、障がい者とその家族は、障がい者が自らの選択に基づき、地域において自立し、社会参加することについて不安を抱えている現状がある。 このような状況を踏まえ、県民が互いに支え合い、社会全体で常に障がい者との積極的な対話を通じて社会的障壁の除去に取り組み、障がいを理由とする差別や障がい者の自立と社会参加を妨げている諸要因の解消を図らなけれ ばならない。我々は、このような取組を進めることによって、障がい者がその個性と能力を発揮し、社会のあらゆる分野に参加し、活躍できることが、県民一人ひとりの幸福の実現につながるものと確信している。 障がいの有無にかかわらず誰もが共に暮らしやすい三重県づくりは、県民一人ひとりの理想であり、果たすべき使命である。 ここに、我々は、このような三重県づくりに向けた「未来への新たな一歩」を踏み出し、共生社会を実現することを決意し、この条例を制定する。 以上。