資料1 1ページ 第3回障がい者権利擁護専門分科会の検討状況について 障がい者支援課  障がいの有無にかかわらず、誰もが認め合い、支え合う共生社会を目指すとともに、障がいのある方が感じる生きづらさの解消を図るための条例について、「長野県社会福祉審議会障がい者権利擁護専門分科会」の第3回目会合を以下のとおり開催し検討した。 1 開催日時  8月30日(金)13:30〜16:40 (会場:長野県庁 本館棟 特別会議室) 2 出席委員数  委嘱委員10名のうち8名出席 3 審議内容  障がい当事者団体、関係団体から意見聴取した「障がい者の現状」や「共生社会実現に向けた施策」、「共生社会づくり条例に望むこと」等について事務局が説明。  なお、条例の内容を考える上での論点事項の一部を示し、委員から意見を求めた。また、3名の障がい当事者を専門分科会に招き、当事者の体験談や共生社会づくり条例に望むこと等について意見交換を行った。 4 委員等から出された主な意見 (1) 第2回専門分科会で議論された論点について(第2回欠席委員2名ほか)  ・合理的配慮の過重の判断というのは分かりにくいので、合理的配慮の文言を使わずに表現が出来ればいい。  ・人権という観点から、小さな頃から障がいがある人も出来るだけその地域で一緒に暮らしていける方向の条例内容が望ましい。  ・障がい者差別の対象範囲について、事業者、行政のみでなく、さまざまな場面で、生きづらさを感じていらっしゃる方々が多いと思う。 広く、地域の中というのは難しいかとは思うが、少し拡大した考え方で進めていただきたい。 ・精神病院の医師と、その当事者の間で、トラブルが発生をした場合、合理的配慮を求めることができるのか。 (2)障がい当事者からの発言内容及び意見について  【身体障がい(肢体不自由)男性】  ・障がい者が地域で生活(共生社会)することは、いろいろやらなければいけないことが多く、一度に変えることはできないとは思うが、お互いの両者の歩み寄りが非常に重要だと思っている。  ・学校の選択について、第三者が勝手な偏見等で限られた環境に導いたり、選択を迫ることが問題。あくまでも本人や家族が最終的に決める事である。  ・自分の場合は運に恵まれて、普通学校で生活を送ることが出来たが、中には自分の想いとは違って自分が希望する学びが出来なかった者もいるので、運に左右されない誰もが自分の希望する学ぶ場所に行けるように、必要な保障を行い環境を整備することが非常に大事である。 ・健常者と同じ土俵の中で、障がい当事者として何が出来るかを考えた時、障がい者の存在や障がい者の生活を伝えることが必要と思うのでそういう場を設けてほしい。 (次ページに続く) 2ページ (前ページからの続き) ・障がい当事者も自分達のことを特別な存在と思ってしまうと、両者の関係性が離れてしまい共生社会につながりづらい。 ・共生社会実現に向けた県公式CMについて、内容の企画、立案から障がい当事者が参加し、出演するようなものを作成してほしい。 ・中には特別支援学校が合っている人もいるので、その人においても多様性を感じられ、関わり合える環境は必ず保障してほしい。(例えば副学籍を全域で進めていく等) ・ハード面が満たされていても、心のバリアフリーは育たない。 ・ハード面があった上で人々の優しい気持ちが必要であり、それを学べる場を障がい当事者とともに考えていく。 ・コミュニケーションの場や交流の場はとても大事であり、そこで生まれる会話も重要で、社会に出た時に力になると思う。障がい当事者のエンパワーメントにつながるような支える環境の整備が必要。  【身体障がい(聴覚障がい)女性】  (女性障がい者の現状について) ・聴覚障がい者で女性である方に聞いてみたが、「昔のことは思い出したくない」、「本当に苦しい思いだったから言いたくない」というような方がいた。 ・昔の古い考え方をした人は、聴覚障がい者同士で結婚すべきでないと思っている。 ・聴覚障がい者同士で結婚しても、子供を産むべきではない。産んでも困るだろうと言われ、避妊手術をされた人もいる。 ・聴覚障がい者が聴者と結婚することを決めて、お互いの親に報告した時、相手の両親から反対されることも昔は結構多かった。 ・交際相手に自分の親が聴覚障がいであることを告げると、本人は聞こえているのに、今後聞こえなくなるのではないかと言われ、嫌な思いをした人もいる。(聴覚障害に対する理解不足) ・子供が生まれても、「赤ちゃん、耳が聞こえるんだね、おめでとう」と言われ、すごく違和感を感じてしまう。 ・セクハラについても、聞こえないということで、コミュニケーションが難しく、相手に伝えにくく、我慢をしてしまうことがあると聞いている。 ・PTAの役員を決める時も、障がいがあるから引き受けられないと思われてしまう。 ・本人がやる気もあるのにそう思い込まれてしまうのがとても多い。 ・旅行の申込みやアパートの契約時も、安全の確保や電話連絡が出来ない等の理由で断られている。 ・最近は、「電話リレーサービス」というオペレーターを通じて電話が出来るものもあるので、皆さんに知ってほしい。 ・最近、聴覚障がい者の中でも重複障がいの方が増えており、重複障がいの聴覚障がい者が社会参加する際、どのような支援が必要なのか考えていかなければいけない。 ・聴覚障がい者は、耳からの情報が不足しているので、足りない情報を補えて、皆さんと同じ情報が得られることにより差別が解消されたことになる。 ・情報が入ってこない事について皆さんに理解してほしい。  (次ページに続く) 3ページ (前ページからの続き) (共生社会づくり条例に求めること) ・障がいやLGBTなど生きづらさを抱えている方達が、お互いに尊重し合いながら自分らしく生きていけるような社会になってほしい。 ・「聞こえないから出来ない」と決め付けないでほしい。適切な配慮があればできることもあるので、相談し合える環境があればいいと思う。 ・ホテルや公共交通機関等、いろいろな場面で、「こんにちは」とか「ありがとう」等のあいさつ程度でもいいので、皆さんに手話を覚えてもらいたいと感じている。 ・少しでも手話をやってもらえるととても安心できる。 ・手話を知ってる範囲でやってもらえるような社会になってほしい。 ・県民の皆さんに聞こえないことについて理解をしてもらい、自分達も理解を求めていかなければと感じている。   【精神障がい 女性】  (女性障がい者の現状について) ・平成23年に「障害のある人もない人も共に生きる社会を目指す研究会」が設置され、自分自身も委員として参加した。 ・障がいを理由とした差別と思われる事例を募集したところ、寄せられた事例総数は、726事例に及んだ。今でもはっきり記憶している事例が結婚に関する差別である。 @妹が精神障がい者であることを理由に姉の結婚が破断になったケース A相手方の親戚から結婚を反対されたケース  ・2年前には長野市の病院で知的障がいの女性に男性医師がわいせつ行為を繰り返していた事件があったが、訴える事が出来ない女性を狙った卑劣な行為だと思う。  ・弱い立場の障がい者ほど複合差別に遭いやすいので、このような虐待や差別をなくしてほしいと強く願う。  ・LGBTの方にも複合差別があると思うので、新しい条例の中にはそういった視点も加えてほしい。  ・自分自身、精神科病棟に入院した経験があるが、自殺予防のためという理由でベッド周りにはカーテンもなく、着替えやポータブルトイレの使用時など、女性患者に対する配慮がされていなかった。  ・自分の周りの女性障がい者に複合差別について聞いたが、昔の嫌な記憶がフラッシュバックするため、言いづらかったり、思い出したくない場合もある。  ・差別を言いづらい事が、複合差別を減らせない理由ではないか。   (共生社会づくり条例に望むこと)  ・運営委員会の委員に様々な意見を聞いたところ、最も大きな話題になったのは災害時の支援についてだった。  ・精神障がい者は、処方薬がないと安定した生活ができないことが多く、災害により常時服用している薬が入手できないことでさらに不安が増すケースもあると聞いている。  ・地域の援助者である民生児童委員に災害時の援助をお願いしたいという声も多く聞かれた。  ・今の時代になってもグループホームの建設反対運動が引き起こされている。  ・長野県の条例の中にグループホーム建設の問題も取り入れてほしい。また、入居後に、障がい児者自身が安心して暮らせることを最優先にした条文をつくってほしい。  ・何よりも、私たち障がい当事者の日々の暮らしを支えてくれる条例がつくられること、そして多様性に支えられた条例がつくられることを心から願っている。 4ページ (3) 障がい当事者団体、関係団体及び事業者からの聞き取り調査について    特になし (4) 専門分科会で議論する論点について ア 集中的に議論する共生社会づくりのテーマについて 学校教育、社会教育 ・重い障がいのある子どもたち、医療ケアを必要な子どもたちを、まず焦点を当ててほしい。 ・学校側から親が付き添うことを要求された事例が全国で1,900件近くある事態や、就学の決定が、本人や保護者の意思ではなく、最終的に教育委員会が決定する現状がある。これらを克服するような長野県らしい教育のシステムを提案してほしい。 ・学校現場での制度と現実の乖離は大きな問題。意思の尊重が大切。 ・障がいのない児童・生徒が正しい知識、理解を深めるための教育を進めてほしい。 ・PTAへの教育も一緒に進めることにより、より理解が深まるのではないか。 ・最終的には、通常の学級でしっかり授業を受けられる仕組みを。 ・来年度から教員になるためには特別支援に関する授業科目が免許法上、1単位必須となった。いじめ・不登校等の問題が山積みのため、1単位が限界な現状がある。 ・障がい当事者もきちんと学習し、自分達はどう行動すればいいのか勉強すべき。 イ 「障がい者差別の禁止を担保する仕組み(総論)について ・障害者雇用促進法は、厳しい規定を設けているので、できるだけその仕組みに近いものをつくってほしい。 ・長野県のまちづくり条例との整合性を図り、まちづくり条例の仕組みを踏襲してほしい。 ・相談窓口を一本化し、障がい者虐待、差別解消及びほじょ犬等の相談について統合し対応を図ってほしい。 ・仕組みを設けると、範囲が狭くなるのであれば、「あっせん」ではなく「仲介」とか、話し合いの機会を設けて理解を求めるような仕組みがあるというのも考えられる。 圧力みたいなもので強制させるのではなく、県が積極的に中に入り、理解を求められるような仕組みも考えられるのでは。 ・条例は、権限を持った勧告等の行為が出来るような条例でなければいけないと思っ ている。  ウ 「障がい者差別の禁止を担保する仕組み(各論)について ・構造としては、相談からあっせん申立て、調査、あっせんの実施、勧告、公表と連続的になるので、対象者は一貫してなければならないのではないか。 ・協議会はどんなメンバー(組織)を想定しているのか。 ・協議会の機能(仕事の内容)をどのように規定するかが大切になってくる。 5 次回専門分科会開催予定日 令和元年9月17日(火) 以上。