資料1 1ページ 第2回障がい者権利擁護専門分科会の検討状況について 障がい者支援課 障がいの有無にかかわらず、誰もが認め合い、支え合う共生社会を目指すとともに、障がいのある方が感じる生きづらさの解消を図るための条例について、「長野県社会福祉審 議会障がい者権利擁護専門分科会」の第2回目会合を以下のとおり開催し検討した。 1 開催日時 7月22 日(月)13:15〜16:30 (会場:長野保健福祉事務所) 2 出席委員数 委嘱委員10 名のうち8名出席 3 審議内容 障がい当事者団体、関係団体から意見聴取した「障がい者の現状」や「共生社会実現に向けた施策」、「共生社会づくり条例に望むこと」等について事務局が説明。 また、条例の内容を考える上での論点事項の一部を示し、委員から意見を求めた。 4 各論点に出された意見の主なもの (1) 第1回専門分科会検討内容に関する意見、感想(第1回欠席委員3 名ほか) ・社会の仕組みや社会の構造的なことから生まれてくる自分の努力では解決できない生きづらさを持った方を、広く包含できるようなところに視野を広げてほしい。 ・社会性やコミュニケーションから来る生きづらさの障がいは、小さい頃から適切な対応(教育)をしていけば予防できるので、予防を大事にするような社会づくりを大事にしてほしい。 ・対象者の範囲について、県民の他に旅行者(国内、海外)に対する配慮も必要なのでは。 ・情報保障が不足しているものは、「障がい者差別」と考え、個々のニーズに応じて必要となる情報保障が不足している場合は、「合理的配慮の不提供」になるのではないか。 ・医療、福祉、労働及び教育などの障がい者を取り囲む領域において、混乱なく受け入れられるような文言や表現をお願いしたい。 ・障がい者の人権が、享受できない社会の現実があることから、「人権」についての教育は、若年層から行うことが効果があるのではないか。 (2) 障がい者団体、関係団体等との意見交換について ・精神障がい者団体からの意見で「何が良くなったかが見えない」とあるが、精神障がい者理解の普及に関する部分で、誰がどのように啓発を進めるかが見えない現状を表している。 ・「合理的配慮に携わる福祉関係事業者に助成金等の支援を」という要望はあるが、助成金をもらって行うものでなく、当事者の支援上必要な合理的配慮の普及は福祉事業者として当然の業務である。 ・発達障がいや自閉症関係の当事者団体への聞き取りをお願いしたい 2ページ (3) 「障がい者差別の対象範囲」について(論点4) (1 事業者の定義について) ・障害者差別解消法では、災害時の対応は地域の自治会が中心となるが、今の制度ではどこでフォローするのか分からない。 ・解消法は行政法なので、私人間のことは関与しないため、グループホームの建設に反対する地域の区長等には何の根拠法も持っていない。 ・盲導犬にいたずらしたり、暴言を吐かれたり、バイクで通行妨害されるが、当事者は一切、現在の法律では何ら抗弁できない ・災害時の生命を守るためにも事業者の責務の部分を考えてほしい。 ・視覚障がい者の家庭に自治会の回覧が回ってこないという事例がある。自治会のような任意団体を事業者に含まないと解釈すると、このような差別は対応できるのか。また条例としてどのように扱うのか。 ・社会的偏見・差別の観点から、自治会・PTA・各種サークル等、全てを対象とし、足りない箇所を県条例で補っていくのがいい。 ・精神に分類される、知的障がい・発達障がい・精神障がいの方が一番辛いのは「怖い」との世間の偏見・差別であり、固定観念である。近所の方や企業の方を対象としないと差別の解消にはならない。 ・個別具体的なサークル等は書ききれないので、条例を見た人が判断できるような適切な文言を考えたほうがいい。 ・社会にあるサークル全てを指すと考えてもいいのではないか。 ・任意活動団体の範囲をどのように考えるのか、ある一定のグループ等、差違を明らかにしながら文言でもいいので範囲を決めていく必要がある。 (2 不当な差別的取扱いについて) ・権利条約8条をそのままストレートに翻訳すると「何人」になるのでは。 ・県、事業者に任意活動団体も含め、あらゆる活動を含めると、実質的には何人と全く同義になる。あとは長野県としてどちらの表現がふさわしいか。 ・事業者の表現は違和感がある。「全ての人」という表現が適切なのでは。 ・事業者及び個人を含め、長野県条例では差別を決して許さないと県民にアピールすることは大切。「何人」の表現が一番良い。 ・長野県民の共生社会づくりの基盤は、「長野県」であり、県独自の特色ある条例をつくればいい。 ・障がい者の人権が100%享受できるような環境の社会ができれば共生社会の実現となるので、県条例は、多少法律をはみ出してもいいんじゃないか。 ・共生社会に向け、結果として様々な立場の方が不当な差別を受けないという社会をつくるためのプロセスに焦点をおいたほうが、実効性があると思う。 3ページ (3 合理的配慮の不提供について) ・「合理的配慮」という言葉が一般の県民には分かりにくい。 ・合理的配慮について、細かく定めているのは、障がい者雇用促進法だが、それでも分かりにくい。更に分かりにくくしているのが、「過重な負担」であり、事業者はどこまですればいいのか分かりにくい。是非分かりやすい文言での表記を。 ・当事者によっては、合理的配慮を求めない方もいる一方、求めなくても合理的配慮をしてもらえるものだと誤解している方もいる。 ・合理的配慮は、当事者の意思表示がないとスタートしない。 ・解消法も3年を経過しているので、事業者の合理的配慮の義務化も必要なのでは。 ・合理的配慮の意思表示を重視するのは分かるが、当事者によっては意思表示をしない方も多くいる。 ・まちづくりにおいては、合理的配慮の意思表示を待たず、県本来の仕事として、事業のユニバーサルデザイン的なまちづくりに力を入れてほしい。 ・なぜわかりづらい「合理的配慮」や「過重な負担」という言葉を使うのか、その思いを逆から考えると「防衛」的な表現である。 ・合理的配慮は、当事者が要求することによってボタンが押されるのではなく、当事者が合理的配慮の意思表示をしなくてもよい社会をつくらなければいけない。 ・最も大事なのは、障がい当事者が意思表示しなくても、本人が何で悩み、どうしたいと思っているのかをチームで探るしくみを担保し、紛争や対立を予防していく部分を織り込んだ中で、「合理的配慮」や「過重な負担」という表現をしなくて 済むような表現を考えてほしい。 ・大学の中でも合理的配慮の問題は起きているが、そもそも「合理的」と判断するのは誰なのか。対象となる両者の関係によって内容が同じでも変わってくる。 ・「障がい当事者と建設的な対話」という表現は別として、そのプロセスが欠けたらわけの分からないものになってしまう。 ・つなぎ目がない形で相談をしながらよりよいものを提供していくことが望ましい姿なのでは。 ・お互いに納得を得たうえで、最終的な結論が合理的配慮になるのかもしれない。 (4) 「障がい者差別」の付帯条件について(論点5) ・行政及び事業者の積極的な合理的配慮の提供があると、本人の意思表示がなくても、より共生社会に近い社会に近づいていくので、三重県、福岡県のような考えを長野県の条例に盛り込んでほしい。 ・障がいのある子供の親御さんがやるかたないのは、就学指導の時に、本来通わせたい学校ではなく、就学指導員の指導により特定の学校になってしまうこと。 ・親御さんと一緒に就学相談の担当者がいろいろな学校を見て歩くというプロセスの結果として特別支援学校を選ぶのであればお互いに納得する。 ・関心を持たない方に関心を持ってもらうための支援委員をサポート可能な組織は必要なのでは。また紛争を幾つも重ねることにより普及していくと思う。 4ページ (5) 「県民」、「事業者」の役割(責務)について(論点6・7) (同一記載・相違記載について) ・県民と事業者の役割は、別々に書いたほうが分かりやすい。 ・紛争を解消するための必要な措置を講じる観点から、事業者の役割は県民と一緒にしないほうが実効性がある。 ・県民の中に事業者も含まれるので、特に分ける必要はなく、「県民」の表記で事業者も含むのではないか。 (事業者の役割について) ・児童発達ではなくて保育園にいるべきとか、放課後デイサービスではなく児童館で過ごすなど、「ピープルファースト」、「チャイルドファースト」であるところまで踏み込んだ事業所のあり方とかを打ち出してほしい。 ・信州あいサポート運動を条例の文言の中に残すのであれば、相談に乗り、相談員が啓蒙活動するなどのレベルアップが必要では。 ・長野県が一体どういうものを求めているのか、あいサポート研修のやり方を見直しながら考えてほしい。 ・建設的対話についても、合理的配慮を行う前の段階でしっかり対話していく (県民の役割について) ・長野県が一体どういうものを求めているのか、見直しながら考えてほしい。 ・人は仲良くしろと言われて仲良くなるのではなく、一緒にいる環境が保障されて、その中で一緒にいる中で認め合っていくというプロセスの結果である。 ・プロセスがない中で「共生」と言ったところで、その場の話で終わってしまう。 ・日本は、相手方を訴えたら関係は終わりである。 (障がい者団体の役割について) ・障がい者団体は、自ら当事者の訴えにより介入しているが、トラブルで解決できなかったことはない。 ・事業者とのトラブルも、相手方に具体的な合理的配慮の内容を伝えると、ほぼ解決される。 ・但し、そういう事業所ばかりではないことも事実。 ・問題のある事業者は、補助金をもらって障がい者を格安に使うそれだけ。 ・障がい者団体としては、行政や支援者、相談支援センターに任せていたら一向に進まない思いはある。 ・支援者が、精神障がい者のストレスがかからない対話の仕方を知っている人は少ないので、障がい者の家族会は、ある程度関わっていかないと進んでいかない。 ・障がい者団体として、理解促進を図る活動というのは、当然のことなので、条例に盛り込まなくてもよいのでは。 ・物を言わない障がい者が多いので、一緒に寄り添い伴走するような人を、本の代弁者として置くことも必要。 5ページ (その他) ・共生社会の実現が前段階としてあり、そこで生じるあつれきや差別、合理的配慮の欠如をどう保障していくかというストーリーが条文のどこかで述べる必要がある。 ・理念として、本来あるべき姿についてしっかり記載していく。 ・小さい時から多様な人達が一緒に学んでいる環境はすごくいいことだと思う。 5 次回専門分科会開催予定日 令和元年8月30 日(金)