資料3 第2回 長野県障がい者権利擁護専門分科会 「長野県障がい者共生社会づくり条例(仮称)」検討会 論点提示資料 【専門分科会で御議論いただきたい論点】 ○論点4   「障がい者差別の禁止」の対象範囲について ○論点5   「障がい者差別の禁止」の付加規定について ○論点6・7 「県民」、「事業者」、「障がい者」の役割 ○論点8   「障がい者差別の禁止を担保する仕組み」 令和元年7月22日 長野県 健康福祉部 障がい者支援課 1ページ 第1回分科会で提示した検討する事項を一部変更します (当初) 4 県の責務(役割)について 5 事業者の責務(役割)について 6 県民(障がい者)の責務(役割)について 7 「障がい者差別の禁止」の対象範囲について 8 「障がい者差別の禁止」の付加規定について 9 あっせん等の対象事案について (他法令・制度との整合性、相談実施等の条件設定) 10 あっせん・調停・勧告・公表等の制度について 11 勧告・公表等の対象案件及び審査機関について 12 共生社会実現の施策に盛り込むべき事項について(項目、盛り込むべき内容等) 13 前文の盛り込むべき項目について 14 目的について 15 その他必要な項目 (県民への理解促進手法、守秘義務等) (変更後) 4 「障がい者差別の禁止」の対象範囲について 5 「障がい者差別の禁止」の付加規定について 6・7 県民・事業者の役割責務について 8 障がい者差別の禁止を担保する仕組み (総論・各論) 9 県の責務(役割)について 10 市町村との連携(新設) 11 共生社会実現の施策に盛り込むべき事項について(項目、盛り込むべき内容等) 12 その他必要な項目 13 前文の盛り込むべき項目について 14 目的について 分科会での議論項目について 第2回は4から8まで 第3・4回は9から11まで ※集中的に 議論すべき課題 時間を設けて議論 第4回 又は 第5回は12から14まで 2ページ ■ 論点 4 「障がい者差別の対象範囲」について ≪主な論点≫ ○ 条例の対象となる「障がい者差別の対象範囲」についてどのように考えるか。 (考え方のポイント) ・「不当な差別的取扱い」「合理的配慮の不提供」に分けて議論。 ・「不当な差別的取扱い」については、対象範囲を拡大する必要があるのか。 ・「合理的配慮の不提供」については、対象範囲の拡大が必要か。また、義務化等の上乗せ規定が必要なのか。 1 事業者の定義について 【議論をする上での前提条件の確認】 「障害者差別解消法」における記載 (第2条第7項) 商業その他の事業を行う者(国、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人を除く。)をいう。 〔障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針による基本的な考え方〕 対象となる対象となる事業者は、商業その他の事業を行う者(地方公共団体の経営する企業及び公営企業型地方独立行政法人を含み、国、独立行政法人等、地方公共団体及び公営企業型以外の地方独 立行政法人を除く。)であり、目的の営利・非営利、個人・法人の別を問わず、同種の行為を反復継続する意思をもって行う者である。したがって、例えば個人事業者や対価を得ない無報酬の事業を行う者、 非営利事業を行う社会福祉法人や特定非営利活動法人も対象となる。 基本方針では、同種の行為を反復継続する意思を思って行う者であれば営利・非営利の別、個人・法人を問わず事業者に該当し、通常考えられている事業者の範囲よりは広義である。 自治会、PTA、各種サークル活動等の任意団体は、反復継続して意思を持って活動しているものの、「事業を行う者」に該当するかは明記されておらず、事業者の範囲に含まれるか明確でないが、任意団体は、各種機会の提供者であると考えられる。 任意団体への参加機会は、障がい者の社会参加を促進する観点から、非常に重要なことであり、参加機会の保障する仕組みはと思われる。 そこで、長野県の条例においては、事業者の範囲をどのように考えるかを整理する必要がある。 議論のポイント 長野県の条例において、「事業者」の範囲をどのように考えるのか。 任意活動団体を事業者に含めるか。含めないのか。 (参考) 他都県の状況 (平成28 年4 月以降に条例を施行した12 都県の状況) 〇障害者差別解消法第2条第7項に規定する事業者のうち、県(都)の区域内において商業活動その他の事業を行う者 3都県 (群馬県、東京都、三重県(県の区域の記載なし) 〇目的の営利若しくは非営利又は個人若しくは法人の別を問わず、同種の行為を反復継続する意思をもって、県内で商業その他の事業を行う者(県等を除く) 福岡県 他の県は記載なし 3ページ 2 不当な差別的取扱いについて 「障害者差別解消法」における記載 〇 行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない (第7条第1項) 〇 事業者は、その事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。(第8条第1項) → 行政機関等及び事業者は、不当な差別的取扱いの禁止は義務化 他県の状況(平成28 年4 月以降に条例を施行した10 都県の状況 (島根県・佐賀県を除く)) いずれも義務化であり、対象範囲を以下のように定めている。 「何人も」としている県 7県(秋田県、福島県、群馬県、滋賀県、福井県、福岡県、香川県) 「県・事業者」としている県 3都県(三重県、東京都、静岡県) 議論のポイント 長野県の条例において、不当な差別的取扱いを禁止する範囲は、どのように考えるべきか。 対象範囲の拡大(「何人も」など)する場合においては、その必要性等も議論願いたい。 (参考) 〔障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律Q&A集 H25.6 内閣府障害施策担当〕 Q:本法では事業者でない一般私人の行為や個人の思想や言論も対象としているのか A:本法においては、事業者でない一般私人の行為や個人の思想、言論については、法により規制することは不適当と考えることから対象としていない。一般私人については、第15 条に規定する国や地方公共団体による啓発活動を通じ、本法の趣旨の周知を図っていくこととする。 3 合理的配慮の不提供について 「障害者差別解消法」における記載 〇 行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。 (第7条第2項) 〇 事業者は、その事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害 することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をするように努めなければならない。(第8条第2項) → 行政機関等は義務化、事業者は努力義務化 4ページ 〔障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針による基本的な考え方〕 〔合理的配慮の基本的考え方〕 ア (前略) 合理的配慮は、行政機関等及び事業者の事務・事業の目的・内容・機能に照らし、必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られること、障害者でない者との比較において同等の機会の提供を受けるためのものであること、事務・事業の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばないことに留意する必要がある。 → 障がい者への一般的な配慮と合理的配慮は性質が異なるものとして捉えている 〔障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律Q&A集 H25.6 内閣府障害施策担当〕 Q:合理的配慮は、行政機関のみが義務で、民間事業者は努力義務としている理由は如何。 A:障害者と相手方との関係は様々であり、求められる配慮も多種多様であることから、本法においては、合理的配慮は、一律に法的義務とするのではなく、国の行政機関や地方公共団体、独立行政法人等の政府の一部を構成するとみられる法人など公的主体については、法的義務を課し、民間事業者については、努力義務を課した上で対応指針により自主的な取組を促すこととしている。 Q:民間事業者の合理的配慮について、努力義務にとどめているが、どのようにして実行性を担保するのか。 A:1 上記回答に同じ 2 その上で、主務大臣が特に必要があると認めるときは、報告書の徴取、助言、指導、勧告といった措置を講じることができることとしており、これらの権限が適切に行使されることにより、実効性が担保されるものと考えている。 他県の状況(平成28 年4 月以降に条例を施行した10 都県の状況 (島根県・佐賀県を除く)) ア 対象範囲の拡大について 県及び事業者としている県 6都県(福島県、群馬県、三重県、福井県、東京都、静岡県) 県・事業者に加え県民としている県 1県 (秋田県) 何人もとしている県 2県(滋賀県、福岡県) 合理的配慮について言及している記載のない県 香川県 (何人も、障害のある人に対して、障害を理由として、差別その他の権利利益を侵害する行為をしてはならない) イ 義務化について 事業者について義務化している県 2都県(秋田県、東京都) 事業者について努力義務としている県 5県 (福島県、群馬県、三重県、福井県、静岡県) 何人も差別としてはならないとしている県 2県 (滋賀県、香川県) 福岡県:何人も合理的配慮の提供を誠実に行うことにより、社会的障壁の除去に努めらければならない。なお、秋田県の県民は努力義務としている。 議論のポイント 長野県の条例において、合理的配慮の不提供を禁止する範囲は、どのように考えるべきか。 事業者等について義務化することは必要なのか。 対象範囲の拡大や義務化等の上乗せ・横出しする場合においては、その必要性等も議論願いたい。 5ページ ■ 論点 5 「障がい者差別」の付帯条件について ≪主な論点≫ ○ 「障がい者差別の禁止」において、通常記載されている内容以外について、記載する内容はあるのか。 (考え方のポイント) ・差別の禁止部分、その他の付加的な規定に分けて議論。 他県条例における障害者差別に関する一般的な規定 不当な差別的取扱い 何人も、障害者に対して障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。 (群馬県) 合理的差別の不提供 事業者は、その事業を行うに当たり、障がいのある人から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合においては、障がいのある人の権利利益を侵害することとならないよう、 当該障がいのある人の性別、年齢及び障がいの状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をするよう努めなければならない。(福島県) 条例における障害者差別に関する一般的規定以外の表記をする都道府県 東京都(合理的配慮の不提供) 都及び事業者は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、当該障害者と建設的な対話を行い、その実施に伴 う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢、障害の状態等に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなけれ ばならない。 参 考 : 障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針による基本的な考え方 不当な差別的取扱い  (2)不当な差別的取扱いの視点  正当な理由に相当するのは、障害者に対して、障害を理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否するなどの取扱いが客観的に見て正当な目的の下に行われたものであり、その目的に照らしてやむを得ない と言える場合である。行政機関等及び事業者においては、正当な理由に相当するか否かについて、個別の事案ごとに、障害者、事業者、第三者の権利利益(例:安全の確保、財産の保全、事業の目的・内容・機能の 維持、損害発生の防止等)及び行政機関等の事務・事業の目的・内容・機能の維持等の観点に鑑み、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要である。 行政機関等及び事業者は、正当な理由があると判断した場合には、障害者にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めることが望ましい。 合理的配慮の提供 (2)過重な負担の基本的な考え方 過重な負担については、行政機関等及び事業者において、個別の事案ごとに、以下の要素等を考慮し、 具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要である。 行政機関等及び事業者は、過重な負担に当たると判断した場合は、障害者にその理由を説明するものとし、 理解を得るよう努めることが望ましい。 (以下略) 6ページ 障害者差別に関し、付帯的な事項を記載している都道府県(平成28 年度以降策定の12 都県) 三重県 ・県等の地方公共団体等職員の対応要領 県の機関及び地方独立行政法人は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律第十条第一項に規定する地方公共団体等職員対応要領を定めるものとする。 ・不当な差別的取扱い等の事例の具体化 不当な差別的取扱いをすることによる障がい者の権利利益の侵害の防止等及び社会的障壁の除去の実施についての合理的な配慮を的確に行うことに資するため、障害福祉サービスの提供その他の障がい者の日 常生活及び社会生活に関する分野ごとに不当な差別的取扱い及び社会的障壁の除去の実施についての合理的な配慮の事例の具体化を図る措置を講ずるものとする。 ・社会的障壁の除去の実施について合理的な配慮に関する環境の整備 行政機関等及び事業者は、障がい者から社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があるか否かにかかわらず、社会的障壁の除去の実施についての合理的な配慮を的確に行うため、自ら設置する施設 の構造の改善及び設備の整備、関係職員に対する研修その他の必要な環境の整備に努めるものとする。 福岡県 ・事業分野別の合理的配慮 県は、前条の規定の趣旨が、障がいのある人の日常生活又は社会生活において広く実現されるよう、次に掲げる分野ごとに、不当な差別的取扱い及び合理的配慮の提供に当たり特に配慮すべき具体的事項につい て情報を集積し、当該分野に携わる事業者及び行政機関等に対する必要な情報の提供及び啓発を行わなければならない。(以下10 の分野を記載) ・事前的改善措置 県、市町村及び事業者は、合理的配慮の提供を的確に行うための環境の整備として、次に掲げる措置を、障がいのある人からの改善の申出を待つことなく、あらかじめ講ずるよう努めるものとする。 @自ら設置する施設のバリアフリー化 A介助者等の人的支援 B障がいのある人にとって円滑な情報の取得及び利用、意思表示並びにコミュニケーションに資する支援 香川県 障害のある人の日常生活又は社会生活に関する分野において配慮すべき事項を別に定める 以上以外の県は特に示していない。 議論のポイント 〇 単に差別の禁止だけでなく、東京都のように「建設的対話」や「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針」の考え方(正当な理由があると判断した場合には、障がい者にその理由を説明し、理解を得るように努めるなど)を条例に含ませる必要はあるのか。 〇 三重県・福岡県のような考え方を条例に取り入れる必要があるのか。 7ページ ■ 論点 6・7 「県民」・「事業者」の役割(責務)について ≪主な論点≫ ○ 県民と事業者の役割(責務)について条例ではそのように記載するのか。 (考え方のポイント) ・「県民」「事業者」に分けて役割(責務)について記載するのか。内容を変更するのか。 ・「県民」の役割(責務)については、どのような内容とすべきか。 ・「事業者」の役割(責務)については、どのような内容とすべきか。 ・「障がい者(障がい者団体)」の役割については、記載すべきか。 1 県民・事業者の役割について(同一記載・相違記載) 他都県の状況 (平成28 年4 月以降に条例を施行した12 都県の状況:以下の論点において同じ) @ 県民及び事業者の役割(責務)と記載をしている県 7都県 (秋田県、福島県、滋賀県、福井県、東京都、静岡県、香川県) A 県民と事業者の役割(責務)を別に記載をしている県 4県 (鳥取県、群馬県、三重県、福岡県) B 県民の役割のみ記載 香川県 Aのうち、記載内容を変更している県 3県 (群馬県は事業者に「その事業を行うにあたり」という文言が入っているのみが相違事項) 鳥取県における記載内容(県民・事業者に別の役割を持たしている県の代表例) 県民は、基本方針にのっとり、 障がい及び障がい者に対する理解を深めるとともに、 県及び市町村が実施する障がい者が暮らしやすい社会づくりを推進する施策に協力するよう努めるものとする。 事業者は、基本方針にのっとり、障がい者が利用しやすいサービスを提供し、 障がい者が働きやすい環境を整備するとともに、県及び市町村が実施する障がい者が暮らしやすい社会づくりを推進する施策に協力 するよう努めるものとする。 福島県における記載内容(県民と事業者とが同じ役割としている県の代表例) 県民及び事業者は、障がい及び障がいのある人に対する理解を深めるとともに、共生社会の実現に向けた施策及び障がいを理由とする差別の解消の推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。 議論のポイント 長野県の条例において、「県民」と「事業者」の役割は同一で良いのか。 8ページ 2 県民の役割(責務)について 他都県の状況 〇 内容(エッセンス)について @ 障がい及び障がい者(社会モデル)についての理解促進 A 県(市町村)が実施する差別解消(共生社会の実現)に向けた施策に協力については、佐賀県を除くすべての県で盛り込んでいる。 この2つの要素以外を県民の役割(責務)している県の状況 秋田県 〇県民等は、障害者が地域社会を構成する一員として社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加できる社会の実現に寄与するよう努めるものとする。 〇県民等は、日常生活又は社会生活の様々な場面において、社会的障壁があることについて伝え合い、その除去が重要であることを理解するよう努めるものとする。 〇県民等は、障害者及びその家族が障害による生活上の困難を軽減するための支援を求めやすい社会の実 現に寄与するよう努めるものとする。 群馬県 〇県民は、基本理念にのっとり、(中略) 障害者が社会的障壁の除去に必要な支援を求めやすい社会の実現に寄与する等障害を理由とする差別の解消の推進に資するよう努めるものとする。 三重県 〇県民は、共生社会を実現する上で障がいを理由とする差別の解消が重要であることに鑑み、障がい者に対する理解及び社会的障壁の除去の重要性に対する理解を深めるものとする。 〇県民は、県が実施する共生社会の実現に向けた施策に協力するよう努めるとともに、障がい者の意思を尊重しつつ、障がい者の自立及び社会参加への支援を主体的に行い、共生社会の実現に寄与するよう努めるも のとする。 福岡県 〇県民は、基本理念にのっとり、障がい及び障がいのある人への理解を深めるよう努めるとともに、障がいのある人及びその家族その他の関係者が障がいによる生活上の困難を軽減するための支援を周囲に求めるこ とができる社会環境の実現に寄与するよう努めなければならない。 佐賀県 県民は、支援を必要としている障害のある人に対し、次のようなそれぞれの立場でできる配慮や支援に努めるものとする。 9ページ 〇 義務、努力義務の別について 「義務」的な表現を用いている県は滋賀県のみ。(協力しなければならない) 他はすべて努力義務的表現。 〇 項目数について 多くの県の1項目のみ。他は2項目(三重・福岡・香川)、最大は秋田県の4項目 論点の整理 〇 「障がい及び障がい者等についての理解促進」や「県(市町村)が実施する施策に協力」は、ほとんどの県で採用している。(福島県の例を参考) 〇 「社会的障壁」という用語を採用し、理解の促進を考えているのは、秋田県、群馬県、三重県。 〇 「支援を求めやすい」環境整備(社会の実現)をいう趣旨は、群馬県、福岡県で採用。 〇 「支援を必要としている障害者への配慮や支援」を採用しているのか佐賀県のみ。 〇 項目数が多ければ、多くの事項を県民に求められるが、一般的でない用語が多くなると、県民に対して何を求めるのかが、かえって不明確になる。 議論のポイント 長野県の条例において、県民の役割(責務)について、どのような内容を記載すべきなのか。 (理解促進、施策への協力以外に盛り込むべき要素は何か) 県として推進している「信州あいサポート運動」を推進するような規定(佐賀県のような規定)は必要か。 県民の分かりやすさの観点も考慮し、項目数はどの程度とすべきなのか。 10ページ 3 事業者の役割(責務)について 【前提条件:県民と事業者について別の記載が望ましいとした場合】 他都県の状況 (県民と事業者の内容を変更している3県の状況) 鳥取県 事業者は、基本方針にのっとり、障がい者が利用しやすいサービスを提供し、 障がい者が働きやすい環境を整備するとともに、県及び市町村が実施する障がい者が暮らしやすい社会づくりを推進する施策に協力するよう努 めるものとする。 三重県 事業者は、県が実施する共生社会の実現に向けた施策に協力するよう努めるとともに、その事業活動を行うに当たっては、共生社会の実現に主体的に取り組むよう努めるものとする。 (理解促進の内容がなくなっている) 福岡県 事業者は、その事業活動を行うに当たっては、基本理念にのっとり、障がいを理由とする差別の解消の推進に関し必要な措置を講ずるよう努めなければならない。(理解促進の内容はなくなっている。) 事業者は、県及び市町村が実施する障がいを理由とする差別の解消の推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。(県民と同じ内容) 論点の整理 〇 県民と事業者を同一的に扱っている都県も含めると、「県(市町村)が実施する施策に協力」は、ほとんどの県で採用している。 〇 独自の規定としている県は、「理解の促進」の項目がなくなっている。 〇 独自の規定をしている県は、「障害者差別解消に必要な措置を講じる」「障がい者が利用しやすいサービスの提供」等事業者に特化した内容となっているが、共通した事項はない。 議論のポイント 長野県の条例において、事業者の役割(責務)について、どのような内容を記載すべきなのか。 事業者の役割(責務)として、必要な内容は何か。 11ページ 4 障がい者(障がい者団体)の役割について 障がい者又は障がい者団体の役割を記載している県は3県ある。 @ 障がい者の役割 2県 (群馬県、香川県) A 障がい者団体の役割 1県 (秋田県) (1) 障がい者について 群馬県 障害者は、自らの障害の特性及び社会的障壁の除去に必要な支援について、可能な範囲で周囲に伝えることにより、障害及び障害者に対する理解の促進が図られるよう努めるものとする。 香川県 障害のある人は、自らの障害の特性及び社会的障壁の除去のために必要な支援について、可能な範囲で周囲に伝えることにより、適切な支援が得られ、障害等に対する理解の促進が図られるよう努めるものとする。 → 両県とも同じ内容 (2) 障がい者団体について 秋田県 障害者の団体その他の関係団体は、基本理念にのっとり、障害及び障害者についての理解を深めるための活動並びに障害を理由とする差別の解消に資する活動に取り組むとともに、県及び市町村が実施する障害を理 由とする差別の解消の推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。→ 多くの県で採用している県民や事業者の役割にほぼ同じ 議論のポイント 障がい者について 「共生社会を実現する」という観点から考え、障がい者の役割について、長野県の条例に記載すべきか。 障がい者団体 別の項目を設けて、記載する必要があるか。 12ページ 県民の役割についての他県の状況 (各県のエッセンスを分析) 区分 "理解 促進" 内容 障がい及び障がい者(社会モデル)についての理解(関心)を深める 先行県の状況 鳥取、秋田、福島、群馬、滋賀(義務)、三重、福井、東京、福岡、静岡、香川、計11都県 区分 施策 への 協力 内容 県(市町村)が実施する差別解消の施策に協力 先行県の状況 秋田 福島 群馬 滋賀(義務) 福井 東京 福岡 静岡 香川 計9都県 区分 施策 への 協力 内容 県(市町村)が実施する共生社会実現に向けた施策に協力 先行県の状況 鳥取 福島 三重 福井 計4県 区分 "差別 解消" 内容 障がいを理由とする差別の解消を推進 先行県の状況 群馬 計1県 区分 "差別 解消" 内容 社会的障壁の除去の重要性について理解 先行県の状況 秋田 三重 計2県 区分 "共生 社会" 内容 共生社会の実現に寄与 先行県の状況 三重 計 1県 区分 "共生 社会" 内容 生活上の困難を軽減するための支援を求めやすい社会の実現に寄与 先行県の状況 秋田、群馬、福岡 香川 計4県 区分 "共生 社会" 内容 障がい者が地域社会の一員としてあらゆる分野の活動に参加できる社会の実現に寄与 先行県の状況 秋田 1県 区分 その他 内容 支援を必要としている障がい者に対し、それそれの立場でできる配慮や支援に努める 先行県の状況 佐賀 1県 ※ 多くの都県で、冒頭に「基本理念(方針)にのっとり」いう表現を付している。 項目数では、多くの都県で1項目(8都県)、他は2項目が3県(三重、福岡、香川)、最大は秋田県の4項目 13ページ 事業者の役割についての他県の状況 (各県のエッセンスを分析) 区分 "理解 促進" 内容 障がい及び障がい者(社会モデル)についての理解(関心)を深める 先行県の状況 秋田 福島 群馬 滋賀(義務) 福井 東京 静岡 香川 計8都県 区分 "施策 への 協力" 内容 県(市町村)が実施する差別解消の施策に協力 先行県の状況 秋田 福島 群馬 滋賀(義務) 福井 東京 福岡 静岡 香川 計9都県 区分 "施策 への 協力" 内容 県(市町村)が実施する共生社会実現に向けた施策に協力 先行県の状況 鳥取 福島 三重 福井 計4県 区分 "差別 解消" 内容 障がいを理由とする差別の解消を推進 先行県の状況 群馬県 計1県 区分 "差別 解消" 内容 社会的障壁の除去の重要性について理解 先行県の状況 秋田県 計1県 区分 "差別 解消" 内容 障がいを理由とする差別の解消を推進に関して必要な施策を講じる 先行県の状況 福岡県 計1県 区分 "共生社会" 内容 共生社会の実現に寄与 先行県の状況 三重県 計1県 区分 "共生社会" 内容 生活上の困難を軽減するための支援を求めやすい社会の実現に寄与 先行県の状況 秋田 群馬 香川 計3県 区分 "共生社会" 内容 障がい者が地域社会の一員としてあらゆる分野の活動に参加できる社会の実現に寄与 先行県の状況 秋田県 計1県 区分 "その他" 内容 障がい者の利用しやすいサービスの提供 先行県の状況 鳥取県 計1県 区分 "その他" 内容 働きやすい環境の整備 先行県の状況 鳥取県 計1県 ※鳥取、三重、福岡は、県民と事業者で役割に違いのある県(3県) 14ページ 他県条例分析  【県民等(県民・事業者)】 鳥取県 県民 県民は、基本方針にのっとり、障がい及び障がい者に対する理解を深めるとともに、県及び市町村が実施する障がい者が暮らしやすい社会づくりを推進する施策に協力するよう努めるものとする。 " 事業者 事業者は、基本方針にのっとり、  障がい者が利用しやすいサービスを提供し、  障がい者が働きやすい環境を整備するとともに、  県及び市町村が実施する障がい者が暮らしやすい社会づくりを推進する施策に協力するよう努めるものとする。" 秋田県 県民及び事業者 県民及び事業者(以下「県民等」という。)は、基本理念にのっとり、障害及び障害者についての理解を深めるとともに、県及び市町村が実施する障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。   県民等は、障害者が地域社会を構成する一員として社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加できる社会の実現に寄与するよう努めるものとする。 県民等は、日常生活又は社会生活の様々な場面において、社会的障壁があることについて伝え合い、その除去が重要であることを理解するよう努めるものとする。 県民等は、障害者及びその家族が障害による生活上の困難を軽減するための支援を求めやすい社会の実現に寄与するよう努めるものとする。" 障がい者 障がい者団体 【障害者団体】 障害者の団体その他の関係団体は、基本理念にのっとり、障害及び障害者についての理解を深めるための活動並びに障害を理由とする差別の解消に資する活動に取り組むとともに、県及び市町村が実施する障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。" 福島県 県民及び事業者 県民及び事業者は、  障がい及び障がいのある人に対する理解を深めるとともに、  共生社会の実現に向けた施策  及び障がいを理由とする差別の解消の推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。 群馬県 県民 県民は、基本理念にのっとり、  障害及び障害者に対する理解を深め、  県及び市町村が実施する差別解消推進施策に協力するとともに、  障害者が社会的障壁の除去に必要な支援を求めやすい社会の実現に寄与する等障害を理由とする差別の解消の推進に資するよう努めるものとする。 " 事業者 事業者は、その事業を行うに当たり、基本理念にのっとり、 障害及び障害者に対する理解を深め、 県及び市町村が実施する差別解消推進施策に協力するとともに、 障害者が社会的障壁の除去に必要な支援を求めやすい社会の実現に寄与する等障害を理由とする差別の解消の推進に資するよう努めるものとする。" 障がい者 障がい者団体 【障害者】 障害者は、自らの障害の特性及び社会的障壁の除去に必要な支援について、可能な範囲で周囲に伝えることにより、障害及び障害者に対する理解の促進が図られるよう努めるものとする。" 滋賀県 県民及び事業者 県民および事業者は、基本理念にのっとり、  障害等に関する理解を深めるとともに、  県が実施する障害を理由とする差別の解消の推進等に関する施策に協力しなければならない。" 三重県 県民 県民は、共生社会を実現する上で障がいを理由とする差別の解消が重要であることに鑑み、 障がい者に対する理解及び社会的障壁の除去の重要性に対する理解を深めるものとする。 県民は、県が実施する共生社会の実現に向けた施策に協力するよう努めるとともに、 障がい者の意思を尊重しつつ、障がい者の自立及び社会参加への支援を主体的に行い、共生社会の実現に寄与するよう努めるものとする。" 事業者 事業者は、県が実施する共生社会の実現に向けた施策に協力するよう努めるとともに、 その事業活動を行うに当たっては、共生社会の実現に主体的に取り組むよう努めるものとする。 " 福井県 県民及び事業者 県民および事業者は、障害および障害者について理解を深めるとともに、  県または市町の実施する障害者の自立及び社会参加の支援等  ならびに障害者差別の解消のための施策の実施に協力するものとする。" 東京都 県民及び事業者 都民及び事業者は、基本理念にのっとり、障害、障害者及び障害の社会モデルについて  自ら積極的に関心と理解を深めるとともに、  都が実施する障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。" 福岡県 県民 県民は、基本理念にのっとり、 障がい及び障がいのある人への理解を深めるよう努めるとともに、 障がいのある人及びその家族その他の関係者が障がいによる生活上の困難を軽減するための支援を周囲に求めることができる社会環境の実現に寄与するよう努めなければならない。 県民は、県及び市町村が実施する障がいを理由とする差別の解消の推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。" 事業者 事業者は、その事業活動を行うに当たっては、基本理念にのっとり、 障がいを理由とする差別の解消の推進に関し必要な措置を講ずるよう努めなければならない。 事業者は、県及び市町村が実施する障がいを理由とする差別の解消の推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。" 静岡県 県民及び事業者 県民、事業者及び障害を理由とする差別の解消の推進に関する関係団体は、基本理念にのっとり、 障害者及びその障害に対する理解を深めるとともに、 県又は市若しくは町が実施する障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。 県民等は、障害者等が合理的な配慮を求めることができる社会環境の実現に寄与するよう努めるものとする。" 香川県 県民及び事業者 県民等は、基本理念にのっとり、  障害等に対する理解を深めるとともに、  第4条第1項及び前条の施策に協力するよう努めるものとする。  県民等は、障害のある人及びその家族等が障害による生活上の困難を軽減するための支援を求めやすい社会の実現に寄与するよう努めるものとする。" 障がい者 障がい者団体 【障害者】 障害のある人は、自らの障害の特性及び社会的障壁の除去のために必要な支援について、可能な範囲で周囲に伝えることにより、適切な支援が得られ、障害等に対する理解の促進が図られるよう努めるものとする。" 佐賀県 "【県民】 県民は、支援を必要としている障害のある人に対し、次のようなそれぞれの立場でできる配慮や支援に努めるものとする。 (1) 困っていたり、支援を必要としている障害のある人に気づいたときは、手伝えることがないかなど、声かけをすること。 (2) 災害が発生したとき、障害のある人を円滑に支援できるよう、日頃からあいさつや声かけなどをすること。 (3) 言葉だけでなく、絵、写真、筆談、手話、点字など障害に応じたコミュニケーションの方法を用いて、分かりやすく伝えること。 (4) 車椅子や杖を使用している人、盲導犬を連れている人などには、道を譲るなど、通行しやすくすること。 (5) 障害のある人の専用駐車場や点字ブロック、手すりなどの設備は、利用しやすくしておくこと。 (6) 職場では、障害のある従業員や同僚の持つ特性を知り、それぞれの特性に応じた仕事のやり方を支援するなど、働く環境を整えること。 配慮や支援が必要であることを伝えられたものは、それぞれの立場でできる配慮や支援に努めるものとする。" 配慮や支援が必要であることを伝えられたものは、それぞれの立場でできる配慮や支援に努めるものとする。 障がい者 障がい者団体 【障害者】 障害のある人やその家族、支援者などは、次のようなときには配慮や支援が必要なことを周りの人や地域コミュニティに遠慮なく伝えることができる。 @災害時 A意思疎通 B移動 C働く" 15ページ ■ 論点 8−1  「障がい者差別の禁止を担保する仕組み」(総論)について    ≪主な論点≫ ○ 条例において「障がい者差別の禁止」を担保する仕組みをどう構築するのか。 (考え方のポイント) ・相談、あっせん、勧告、公表等の仕組みを構築する必要があるのか。 ・当該仕組みは、どこまで必要なのか。 1 担保する仕組みについて  「障害者差別解消法」における記載 (第12条) 主務大臣は、第八条の規定の施行に関し、特に必要があると認めるときは、対応指針に定める事項について、当該事業者に対し、報告を求め、又は助言、指導若しくは勧告をすることができる 〔障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針による基本的な考え方〕 事業者における障害者差別解消に向けた取組は、主務大臣の定める対応指針を参考にして、各事業者により自主的に取組が行われることが期待される。しかしながら、事業者による自主的な取組のみによっては、 その適切な履行が確保されず、例えば、事業者が法に反した取扱いを繰り返し、自主的な改善を期待することが困難である場合など、主務大臣は、特に必要があると認められるときは、事業者に対し、報告を求め、又 は助言、指導若しくは勧告をすることができることとされている。  こうした行政措置に至る事案を未然に防止するため、主務大臣は、事業者に対して、対応指針に係る十分な情報提供を行うとともに、事業者からの照会・相談に丁寧に対応するなどの取組を積極的に行うものとする。 また、主務大臣による行政措置に当たっては、事業者における自主的な取組を尊重する法の趣旨に沿って、まず、報告徴収、助言、指導により改善を促すことを基本とする必要がある。主務大臣が事業者に対して行っ た助言、指導及び勧告については、取りまとめて、毎年国会に報告するものとする。    「障害者差別解消法」における記載 (第14条) 国及び地方公共団体は、障害者及びその家族その他の関係者からの障害を理由とする差別に関する相談に的確に応ずるとともに、障害を理由とする差別に関する紛争の防止又は解決を図ることができるよう必要な体制の整備を図るものとする。 長野県としての取組 障がい者差別解消推進員の配置 (平成28年4月) 障害者虐待防止・差別解消連携推進会議の設置 (平成28年7月) 周知・啓発  障がい者差別解消推進員による出前講座、「信州あいサポート運動」による障がい者理解の推進、「ヘルプマーク」配布による障がい者への援助・配慮の支援、市町村・県職員を対象とした研修会の実施 → 相談窓口で対応してもなお、事業者による自主的な改善を期待することが困難な案件等については、あっせん、勧告等による実効性の確保が必要となるが、あっせん等の調整を行う機 関の設置について具体的に明記されておらず、現状では調整を行うことができない。 16ページ 先行県の状況 相談、あっせん、勧告、公表等の仕組みを条例に規定   10都県 条例に規定していない  2県(鳥取県、佐賀県) 先行県の仕組み 先行都県の紛争解決の仕組みは、各都県でほぼ同様。その方法は以下のとおり。 1 相談への対応(相談体制の整備・相談員の設置) 2 「あっせん等」の申立て (障がい者等 → 県) 3 調査  4 「あっせん等」の求め  (県 → 協議会等)  5 「あっせん等」の実施  (必要に応じて協議会等による調査 → あっせん案提示) 5 勧告の求め (協議会等 → 県  : あっせん案な応じない場合など) 6 知事による勧告 7 知事による公表 * 罰則規定を設けている都県はない。(守秘義務違反は除く) 障がい者差別の禁止を担保する仕組みを設けることのメリット・デメリット 区 分 仕組みを設ける メリット 事業者による自主的な改善を期待することが困難な案件等について対応が可能となる デメリット 障がい者差別の範囲等を限定せざるをない(不当な差別的取扱い合理的配慮の不提供 に限定等) 区 分 仕組みを設けない メリット 障害者基本法のような広い障がい者差別の概念を禁止対象とすることが可能 デメリット 事業者による自主的な改善を期待することが困難な案件等について対応ができない(現行と変わらない) 議論のポイント  障がい者差別の禁止を担保する仕組み(紛争解決の仕組み)を構築する必要があるのか。 参考 「あっせん」とは、 紛争当事者の間に専門機関が入り、双方の主張の要点を確かめ、調整を行い、話し合いを促進すること。 「勧告」とは、勧告とは、相手方の処置を勧め、又は促す行為である。 勧告は、それが尊重されることを、もちろん前提としているが、法律上相手方を拘束する意味までは持っていない 17ページ ■ 論点 8−2  「障がい者差別の禁止を担保する仕組み」(各論)について    ≪主な論点≫ ○条例において「障がい者差別の禁止」を担保する仕組みをどう構築するのか。 (考え方のポイント) ・各都県で考え方に差のある事項について、長野県としてはどのように考えるのか。 1 相談への対応(相談体制の整備・相談員の設置)    代表的な記載方法 ・何人も、知事に対し、障害を理由とする差別に関する相談を行うことができる。(秋田県) ・障がいのある人及びその家族その他関係者は、県に対し、障がいを理由とする差別に関する相談をすることができる。(福島県) ・県は、法第十四条の相談に的確に応ずることができるよう、当該相談に応ずるための窓口を設置するとともに、相談体制の充実を図るものとする。(群馬県) 先行県に考え方の相違がある事項  (平成28年度以降に制定した12県のうち担保する仕組みのある10県状況:以下同じ) 〇 相談対象者 何人も ⇒ 4県(秋田県、滋賀県、静岡県、香川県) 障害者及びその家族その他関係者並びに事業者 ⇒ 3都県(福島県、三重県、東京都) 障がい者(意思表明が困難な場合は家族)及び事業者 ⇒ 1県(福岡県) 対象者の記載なし 2県(群馬県、福井県) 議論のポイント  対象者をどのように考えるのか。 2 相談を受けた際に実施する内容     代表的な記載内容   県は、相談の申出があったときは、次に掲げる措置を講ずるものとする。   (1)  相談に応じ、必要な助言および情報の提供を行うこと。   (2)  相談に係る当事者その他の関係者間の調整を行うこと。   (3)  関係行政機関への通告、通報その他の通知を行うこと。 先行県に考え方の相違がある事項  代表的な記載と同様な都県  7都県(福岡県、福井県、三重県を除くすべて) 福岡県 : 具体的内容の記載なし 福井県 : (3)の記載なし) 三重県 : 代表的な3項目に加え、障害者虐待防止法及び障害者雇用促進法に該当する案件の対応も記載 (関係行政機関への通告、通報その他必要な対応を図るものとする。) 議論のポイント     先行県と同様な内容で良いのか。 18ページ 3 あっせん(あっせん又は助言)の申し立て     先行県での規定方法  ・ 障がい者、障がい者の家族、事業者その他の関係者は、前二条の規定による相談を経ても差別事案の解決が期待できないと認められるときは、知事に対し、当該差別事案を解決するために必要な助言又は あっせんを行うべき旨の申立てをすることができる。(三重県) ・ 障害者並びにその家族及び後見人その他障害者を現に保護する者は、第七条各項の規定に違反する取扱いを受けたと認める場合で、第八条第三項の規定により相談を行い、当該相談について広域支援相談員が対応してもなおその解決が見込めないときは、知事に対し、紛争の解決のために必要なあっせんを求めることができる。(東京都) 先行県に考え方の相違がある事項  〇あっせん・あっせん又は助言    「あっせん」 5都県 (秋田県、群馬県、滋賀県、福井県、東京都)        「助言又はあっせん」 5県  (福島県、三重県、福岡県、静岡県、香川県)    *「助言又はあっせん」としている県に、ここでの相談と相談員による相談との相違を聴いたが明確な相違はない 〇申立人    障がい者、家族、後見人その他関係者 7都県        障がい者、家族、事業者 、その他の関係者 1県 (三重県)    障がい者(意思表明が困難な場合はその保護者)又は事業者 1県 (福岡県)    障がい者  1県 (福井県) 〇あっせん(助言含む)の申し立て要件 相談による対応によってもなお解決することができない(見込まれる)   9都県 条件なし  1県 (福井県) 〇あっせん(助言含む)の申し立てができない事項 条件なし  福井県のみ 障がい者の意思に反する家族等からの申し出のみ  福島県、静岡県 (この事項は、「家族等からの申し出ができる」規定を有しているは、すべての都県が規定) 行政不服審査法その他の法令に基づく不服申立て又は苦情申立てをすることができるとき 秋田県、滋賀県、東京都、香川県 障害者雇用促進法に該当する案件      秋田県、群馬県、滋賀県、東京都 同一の対象事案について過去にあっせんの申し出あり  秋田県、群馬県、滋賀県、東京都 対象事案の発生日から3年を経過したもの 群馬県、三重県、福岡県 当事者のすべてが県外に居住又は所在 福岡県 議論のポイント    「あっせん」とするのか「助言又はあっせん」とするのか 申立人は、どの範囲まで対応とするか。 相談による対応をあっせんの前提要件とするのか。    申立ができない事項としては何が適切か。(他県で設定したものうち不要なものは何か) 19ページ 4 あっせん等の申し立て後の対応     (1) 調査に関する規定 代表的な例    知事は、前条の規定による申立てがあったときは、当該申立てに係る事実の調査を行うものとする。(福島県)      先行県に考え方の相違がある事項 ) 〇申し立てがあった場合の調査の考え方     調査を行う(させる)ものとする。  6都県 (秋田県、福島県、群馬県、東京都、静岡県、香川県)         調査ができるものとする      三重県     調査自体の規定なし  3県 (滋賀県、福井県、福岡県)      なお、「調査についての協力」「証明書の携行・提示」等の規定も各都県により相違があるが、必要な事項については、事務的な内容であるため別途事務局で検討 議論のポイント     申し立てがあった際の調査の実施の有無 (2)あっせんの手続き(協議会等に対する求め) 代表的な記載例 前条第一項の調査の結果に基づき、対象事案についてあっせんを求めることが適当でないと認めるとを除き、協議会にあっせんを行うよう求めるものとする。(群馬県) 協議会は、第一項の規定によるあっせんの求めがあった場合において、必要があると認めるときは、対象事案関係者に対し、資料の提出又は説明を求めることその他の必要な調査を行うことができる。 (群馬県) 先行県に考え方の相違がある事項  (平成28年度以降に制定した12県のうち担保する仕組みのある10県状況) 〇「あっせん等」の検討主体     協議会等し  9都県      県(知事) 〔協議会等に意見を求める〕  三重県  〇協議会等に対する求めの条件     条件なし      6県      あっせんを求めることが適当でないと認める場合を除き  2県(群馬県、三重県)     影響が大きい事案であり、紛争解決のために必要と見込まれるとき   東京都     必要があると認めるとき   静岡県    ・協議会等の調査規定は、三重県(知事が調整機関であるため)、福井県を除き、すべての都県で規定。  ・なお、「調査についての協力」「調査の委任」規定も各都県により相違があるが、必要な事項については、   事務的な内容であるため別途事務局で検討 議論のポイント 「あっせん等」の検討主体は協議会で良いのか 協議会等に対し求めを行う際の条件付与の有無 20ページ (3)あっせんの手続き(協議会等における「あっせん等」の実施) 代表的な記載例  委員会は、第一項の求めがあったときは、次に掲げる場合を除き、あっせんを行うものとする。(秋田県) 先行県に考え方の相違がある事項  (平成28年度以降に制定した12県のうち担保する仕組みのある10県状況) 〇協議会等が「あっせん等」を実施しない場合の条件     条件なし   2県(福井県、静岡県)      あっせんの必要がないと認める場合(申立人が取り下げた場合等)  7県(上記を除くすべて)     性質上あっせんを行うのが適当でない場合  6県(福井、静岡、群馬を除く全て)     申立が3年間を経過したと判明したとき   福岡県     三重県、静岡県、群馬県は協議会等への求めの時点で制限あり   議論のポイント   協議会等に「あっせん等」を実施しない場合の条件の内容   (4)あっせんの終了 代表的な記載例    あっせんは、次のいずれかに該当したときは、終了する。 あっせんにより紛争事案が解決したとき。 あっせんによっては紛争事案の解決の見込みがないと認めるとき。  (東京都) 先行県に考え方の相違がある事項  (平成28年度以降に制定した12県のうち担保する仕組みのある10県状況) 〇あっせん終了の規定の有無     規定なし  3県(福島県、福井県、静岡県)      規定あり  7都県(秋田県、群馬県、滋賀県、三重県、東京都、福岡県、香川県) 〇あっせん終了の条件    対象事案が解決したとき(又はあっせんを受諾したとき)  6都県(除く三重県)    あっせんによって対象事案の解決の見込みがないと認められるとき    7都県    あっせん案を受諾しないとき 福岡県、香川県    継続することが困難と認められるとき  福岡県、香川県     議論のポイント       終了規定の有無 終了時の条件 21ページ 5 勧告・公表     (1)協議会等による勧告の求め 代表的な記載方法    調整委員会は、知事に対し、次の各号のいずれかに該当する場合は、事業者に対して、障害を理由とする差別の解消に必要な措置を講ずるよう勧告を求めることができる。 @あっせんを行った場合において、当該事業者が、正当な理由なく、あっせん案を受諾せず、又は受諾したあっせん案に従わず、これを放置することが障害を理由とする差別の解消の推進に著しい支障があると認められるとき A正当な理由なく(調整委員会)の調査を拒み、妨げ、又は忌避したとき。 B(調整委員会)の調査に対し、当該事業者が虚偽の資料を提出し、又は虚偽の説明を行ったとき。 先行県に考え方の相違がある事項 (平成28年度以降に制定した12県のうち知事への勧告権仕組みのある9県状況) 〇知事への勧告を行う条件     あっせんを受託しない、従わない、放置する   全都県 (放置は東京都のみ)         調査を拒み、妨げ、忌避したとき  5都県(秋田県、滋賀県、東京都、静岡県、香川県)   議論のポイント   知事への勧告を行う場合の条件について (2)知事による勧告 代表的な記載方法 ・ 知事は、前項の規定による求めがあった場合において、必要があると認めるときは、関係当事者に対して、必要な措置をとるように勧告をすることができる。(福井県) ・ 知事は、委員会から前項の勧告の求めがあった場合において、必要があると認めるときは、勧告を行うものとする。(香川県) 先行県に考え方の相違がある事項      なし 協議会等の求めがあった場合無条件で勧告する県はない   (3) 公表 代表的な記載方法    知事は、前条第二項の規定による勧告を受けた対象事業者が正当な理由なく当該勧告に従わないときは、当該勧告の内容その他規則で定める事項を公表することができる 先行県に考え方の相違がある事項      なし    正当な理由なく従わないときを条件として、公表できるという規定は同じ なお、(2)、(3)について、「勧告・公表の対象者から意見を述べる機会を設ける規定」、「勧告、公表時に協議会等への意見の徴取」に各都県において差が生じているが、事務的な事案であるため事務局で検討する。 22ページ 先行県における代表的な紛争解決の仕組み(フロー) 相談 "障がい者 家族、後見人、養護者 事業者"【各都県により考え方に相違】 相談を受けた 際の対応内容" 相談に応じ、必要な助言および情報の提供 相談に係る当事者その他の関係者間の調整 関係行政機関への通告、通報その他の通知 相談により解決しないとき(条件) "「あっせん」 の申し立て" "障がい者等 から 県 障がい者 家族、後見人、養護者" 【各都県により考え方に相違】 "申し立てが できない事項" 行政不服法等その他の法令で対応可能なもの 障害者雇用促進法に該当するもの 同一案件で過去にあっせん等の申し出を行ったもの 等 調査 実施主体:県 「あっせん」 の求め 県 から 協議会等 "「あっせん」 の求めの条件" あっせんも求めることが適当でない場合 等 【各都県により考え方に相違】 "「あっせん」 の実施" "実施主体:協議会等 必要に応じて調査を実施 審査  から 「あっせん」の提示" 「あっせん」を行わない場合  "あっせんの必要がないと認める場合(取り下げ等) 性質上あっせんを行うのが適当でない場合  等 " 「あっせん」を終了するとき  "対象事案が解決したとき あっせんを受諾したとき  対象事案の解決の見込みがないと認められるとき 等 " 勧告の求め 協議会 から 県 "勧告 の求めの条件" "あっせんを受託しない、従わない、放置する 調査を拒み、妨げ、忌避したとき "【各都県により考え方に相違】 勧告 知事 勧告の要件 必要がると認めるときは、勧告することができる 公表  知事 公表の要件 正当な理由なく勧告に従わないときは、公表することができる