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更新日:2020年4月1日
長野県では、県下4箇所の労政事務所で労働相談を行っており、労働者及び事業主の皆様を対象に、労働問題等について公正・中立な立場でアドバイスしています。
寄せられた労働相談のうち代表的なものをピックアップして、Q&Aとしてまとめました。
このQ&Aに掲載した相談はあくまでも代表的な事例であり、また、回答についても、一般的なものになっております。
さらに詳しい内容や対応方法を知りたい場合は、下記の各労政事務所に専門の労働相談員がおりますので電話又は面談、メールでご相談ください。(メール労働相談はこちらをクリックしてください)
(電話・面談による相談受付:平日8時30分~17時15分)
長野県東信労政事務所
〒386-8555上田市材木町1-2-6上田合同庁舎内
TEL0268-23-1629(相談専用)FAX0268-23-1642
e-mai ltoshinrosei@pref.nagano.lg.jp
長野県南信労政事務所
〒396-8666伊那市荒井3497伊那合同庁舎内
TEL0265-76-6833FAX0265-76-6834
e-mai lnanshinrosei@pref.nagano.lg.jp
長野県中信労政事務所
〒390-0852松本市島立1020松本合同庁舎内
TEL0263-40-1936FAX0263-47-7828
e-mail chushinrosei@pref.nagano.lg.jp
長野県北信労政事務所
〒380-0836長野市南長野南県町686-1長野合同庁舎内
TEL026-234-9532FAX026-234-9569
e-mail hokushinrosei@pref.nagano.lg.jp
調べたい相談(質問)をクリックしてください。それぞれの回答にリンクします。
Q 1~Q 7: | 賃金 | Q8~Q10: | 残業手当 | Q11~Q12: | 労働契約 |
Q13: | 労働時間 | Q14: | 休憩時間 | Q15~Q16: | 年次有給休暇 |
Q17: | 産前産後休業 | Q18~Q19: | 育児休業 | Q20: | 介護休業 |
Q21~Q26: | 解雇 | Q27~Q29: | 退職 | Q30~Q32: | 雇用保険 |
Q33~Q34: | 社会保険 | Q35~Q38: | 労災 | Q39~Q40: | いじめ |
Q41: | パワハラ | Q42: | セクハラ | Q43: | 損害賠償 |
Q44: | 兼業 | Q45: | 配置転換 | Q46~Q47: | 労働組合 |
A1
就業規則などで定められた休日に出勤してもらう代わりに、本来の労働日に会社を休んでもらう制度が広く用いられていますが、この制度には、「振替休日」と「代休」の2つがあります。
「振替休日」とは、休日に仕事をさせる前に、あらかじめ、その休日を振り替える日を特定し、その労働日を休日にする制度をいいます。事前の振替により、出勤を命じられた休日は労働日となるので、この日の労働は休日労働にならず割増賃金は発生しません。
「代休」とは、休日出勤した後に、その代償として、特定の労働日を休みとするものです。この場合は、休日出勤した日の労働は休日労働となり、休日労働に対する割増賃金が生じることがあります。
従って、次のような対応をとることが考えられます。
(1) 振替休日なのか、代休なのか、会社に説明を求める。
(事前に休日を指定されていなければ、代休となります)
(2) 常時10人以上の労働者がいる事業所であれば、就業規則を見せてもらい、内容を確認する。
(3)「代休」であること及び就業規則等で割増賃金の支払対象となる休日であることが確認できたら、会社に賃金割増部分(割増賃金と通常賃金との差額)の支払いを求める。
休日労働に対する割増賃金について、もう少し詳しく説明します。
・使用者は、労働者に対して、毎週少なくても1回の休日又は4週間を通して4日以上の休日を与えなければならないとされています。(労働基準法第35条)
・休日労働は、労働基準法第36条に基づく時間外及び休日労働に関する労使協定(36協定)が締結され、労働基準監督署に届出されてはじめて認められるものです。
・就業規則には、休日に関する事項を記載することが義務づけられています。
・労働基準法で定められた1週間に1日又は4週間に4日の休日を「法定休日」といい、勤務した場合は休日割増賃金(35%以上の割増)の支払いが義務づけられています。一方、週休2日制を取っている場合の残り1日の休日と、国民の祝日、会社創立記念日、年末年始休等の休日は「法定外休日」といい、法律上は、割増賃金の支払が義務づけられていません。ただし、労働組合との労働協約や会社の就業規則に「法定外休日」でも割増がある旨規定されている場合は、割増賃金を受け取ることが出来ます。
・振替休日の場合は、休日労働の割増賃金は支払われませんが、その週の労働時間が40時間を超えていた場合は、超過分について時間外労働としての割増賃金(25%以上の割増)が支払われます。
A2
会社の都合による休業は、「使用者の責に帰すべき事由による休業」とされ、労働基準法第26条で、「平均賃金の60/100以上の手当を支払わなければならない。」と定められています。
なお、労働基準法でいう「使用者の責めに帰すべき事由」について、判例では、天変地異等の不可抗力又は労働者の責めによる休業でない限り、休業手当を支払うべきとしています。
従って次のような対応をとることが考えられます。
(1) 会社へ休業理由の説明を求める。
(2) 就業規則の「臨時休業の賃金」等の項目で、記載内容を確認する。
(3) 会社へ休業手当の支払いを請求する。
(4) 会社が対応しない場合は、勤務先の所在地を管轄する労働基準監督署へ申告する。
A3
最低賃金とは、最低賃金法に基づき、国が賃金の最低限度を定め、その金額以上の賃金を支払わなければならないとしている制度で、パートタイマーやアルバイトを含む全ての労働者に適用されます。
最低賃金には都道府県毎に設定され、産業や職種に関わらず適用される「地域別最低賃金」と、各都道府県内の特定の産業で主要な業務に従事する基幹的労働者のみに適用される「特定最低賃金」(産業別)の2種類があります。
従って、次のような対応が考えられます。
(1) 労働時間その他の労働条件を確認する。
(2) あなたの給与から1時間あたりの賃金額を算定する。
(3) 最低賃金との差額を確認し、それを支払うよう使用者に申し入れる。
(4) 支払いがない場合は、勤務先の所在地を管轄する労働基準監督署へ申告する。
最低賃金について、もう少し詳しく説明します。
・あなたの1時間当たりの賃金額は、給与から時間外・休日手当、精皆勤手当、通勤手当、家族手当を控除し、所定労働時間で割って算定します。
・精神又は身体の障がい者、試用期間中の者、軽易な業務に従事する者等については、使用者が労働局長から個別に許可を受けて、最低賃金を減額する特例許可があります。
・「使用者は、最低賃金の適用を受ける労働者に対し、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならない。」(最低賃金法第4条)と規定されています。
A4
賃金は労働条件の中でもっとも重要な要素の一つです。労働条件を変更する場合は、使用者と労働者の合意によることが原則です。
一方、臨時の賃金としての賞与は、月々支払われる賃金と異なり、労働したら当然支払われるものとは限らず、労働協約や就業規則、個別の労働契約等で規定、契約されている場合に限り支払われるものです。業績と関係なく支給すると規定されているかなど、請求権があるかどうか確認が必要です。
従って、次のような対応をとることが考えられます。
(1) 賃金カットやその程度が納得できるものかどうか、経営状況等についてより詳しい説明を求める。納得ができない場合は合意できないという意思表示を行い、合意できる条件について話し合う。労働組合がある場合は労働組合で団体交渉してもらう。また、一律のカットにより最低賃金を下回る労働者がいないかについても確認するよう労働組合に言ってみましょう。
(2) 賞与は、労働協約、就業規則、個別の労働契約等で、業績と関係なく支給する旨が書かれているか確認をする。
労働条件の変更について、もう少し詳しく説明します。
・労働条件は、労使の合意により変更することができます。(労働契約法第8条)
・使用者は、労働者の合意なく、就業規則の変更によって労働者に不利益に労働条件を変更することはできません。(労働契約法第9条)
・なお例外として、一定の要件を満たす場合には、労働者の合意がなくても就業規則の変更によって労働条件を変更することができます。ただしその場合は、変更後の就業規則を労働者に周知させ、就業規則の変更が合理的な場合に限ります(労働契約法第10条)。具体的には、(1)労働者の受ける不利益の程度、(2)労働条件の変更の必要性、(3)変更後の就業規則の内容の相当性、(4)労働組合等との交渉の状況、(5)その他の就業規則の変更に係る事情を、総合的に勘案して判断されます。
A5
働いた分の賃金を請求することは労働者として当然の権利ですが、倒産の場合、経営状態が悪く資金も少ないため、賃金が支払われないことがあります。
破産、民事再生、会社更生など「法律上の倒産」をした場合や、中小企業の事業活動が停止し、再開する見込みがなく、賃金支払い能力がない「事実上の倒産」の場合には、独立行政法人労働者健康安全機構が未払賃金の一部を会社に代わって支払う「未払賃金立替払制度」があります。
未払賃金立替払制度を利用するには、次のように手続きします。
(1) 法律上の倒産の場合は、破産管財人等に倒産の事実と未払い賃金の総額等について証明をしてもらう。事実上の倒産の場合は、労働基準監督署で倒産の事実を認定してもらい、未払い賃金がわかる資料を持参し賃金額の確認を受ける。
(2) 独立行政法人労働者健康安全機構へ立替払いを請求する。
未払賃金立替払制度について、もう少し詳しく説明します。
・立替払いを受けられるのは、(1)1年以上事業活動を行っている事業の倒産であり、(2)労働者が、裁判所への申立日(法律上の倒産の場合)、または労働基準監督署への認定申請日(事実上の倒産の場合)の6ヶ月前の日から2年の間に退職した場合に限ります。
・対象となる未払い賃金は、労働者の退職日の6ヶ月前から請求日の前日までに支払期日が到来している未払いの定期賃金と退職手当で、賞与は対象となりません。未払い賃金の総額が2万円未満の場合も対象外です。
・立替払い額は未払い賃金の総額の原則8割で、年齢により上限額が決められています。
・事実上の倒産の場合、認定申請は退職日の翌日から6ヶ月以内に行なわなければなりません。また、法律上の倒産日・事実上の倒産の認定日の翌日から2年以内に立替払いの請求を行う必要があります。早めに手続きを行いましょう。
ご不明な点は、労働基準監督署または独立行政法人労働者健康安全機構へお問い合わせください。
A6
会社が実損害の程度にかかわらず、損害賠償として一定額をあらかじめ定めておくことは、労働基準法に違反します。また、賃金には「全額払いの原則」がありますので、労使協定等で取り決めがない場合、労働者の合意なく賃金の一部を控除することはできません。
一方で、仕事のミスや遅刻、欠勤などを「制裁」として、その種類及び程度を就業規則に規定した場合は、減給処分となる場合があります。しかし、その場合も、際限なく減給することはできず上限額が定められています。
従って次のような対応が考えられます。
(1) 今回の罰金制度が、損害賠償なのか制裁なのかを社長に確認し、損害賠償であれば労働基準法に抵触することを伝え、撤回を求める。
(2) 制裁として扱う場合は、就業規則の変更手続きを行い、内容についても必要性、相当性を十分に考慮し、法律上の上限を守ることを社長に求める。
(3) 社長と交渉しても解決できない場合は、労働基準監督署へ相談する。
もう少し詳しく関連する法律の説明をします。
・使用者は、損害賠償額を予定する契約をしてはなりません。(労働基準法第16条)
・賃金は原則として、(1)通貨で、(2)全額を、(3)毎月1回以上、(4)一定の期日を定めて、(5)労働者に直接、支払わなければなりません。(労働基準法第24条)
・就業規則で減給の制裁を定める場合の減給額は、(1)1日の賃金の半額以内、(2)1ヶ月の賃金の10分の1以内に限られています。(労働基準法第91条)
・なお、労働者が仕事をする中で会社に損害を与えた場合、その実際に生じた損害について労働者がその賠償を求められることがあります。
※Q43も損害賠償の案件ですので、参考にご覧ください。
A7
使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について差別的取扱をしてはなりません。(労働基準法第4条)
労働者の職務、能率、技能等によって、賃金に個人的差異のあることは、差別的取扱ではありませんが、このような合理的な理由がないのに性別で差をつけることは、違法です。
まずは会社側に賃金に差がある具体的な理由の説明を求めてみましょう。
その理由が単に女性であることであるという確証が得られたのであれば、会社と話し合った詳細をメモするなどして、長野労働局雇用環境・均等室などに相談してください。
A8
残業には、法定内残業と法定外残業(時間外労働)があります。法定内残業とは、法定労働時間より所定労働時間が短い場合に、法定労働時間(8時間)と所定労働時間(例えば7時間30分)の差30分間の労働をいい、賃金の割増は生じませんが、働いた分の賃金はもらえます。法定外残業(時間外労働)とは、法定労働時間の8時間を超えた労働をいい、25%以上の割増賃金の支払いが法律で義務づけられています。
従って、次のような対応をとることが考えられます。
(1) 労働契約、就業規則、労働協約等で労働時間と残業手当の規定を確認する。
(2) タイムカード等で残業した時間を確認し、時間外労働に該当する時間数を計算する。
(3) 会社の給与担当責任者に残業手当の支払いについて説明を求める。
(4) 会社が対応しない場合は、勤務先の所定地を管轄する労働基準監督署へ申告する。
残業手当について、もう少し詳しく説明します。
・労働基準法第32条で定めている労働時間は、週40時間、1日8時間です。常時10人未満の労働者を使用する商業等の事業場は、週44時間、1日8時間です。(労働基準法第40条、労働基準法施行規則第25条の2)
・この法定労働時間を超える時間外労働をさせるには、労働基準法第36条の規定による労使協定(36協定)の締結及び労働基準監督署への届け出が必要です。
・時間外労働の割増率は25%以上で、月60時間を超える時間外労働に対する割増率(当分の間、中小企業は除かれています。)は50%以上です。(労働基準法第37条、第138条)
・年俸制で、一定の時間外労働を見込んで残業手当込みで年俸の金額を定めているという会社もあるようですが、法定労働時間を超える時間外労働に対しては、25%以上の割増賃金の支払いが必要です。
・2020年4月1日の法改正により、残業手当などの賃金の請求権の消滅時効は5年間、但し当分の間は3年間となります。(労働基準法第115条)
A9
割増賃金、いわゆる残業手当(時間外労働に対する手当)の支払義務が生じるのは、法定労働時間を超えた労働が行われた場合ですが、その算出に当たり時間数を計算するときには、留意しておくべき通達があります。
「1ヶ月における時間外労働、休日労働及び深夜業の各々の時間数の合計に1時間未満の端数があるときに、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げることは賃金全額払いの原則に反しない」(昭和63年3月14日基発150号)という通達です。
従って、日単位で30分を境に時間数を切り捨てるやり方では、労働基準法(第37条)に抵触してしまうので、改めなければなりません。
A10
移動時間が「労働時間」に該当すれば、時間外勤務に該当することになります。
実際の作業に従事していない時間が労働時間に該当するか否かは、使用者の指揮命令下に置かれていたものと評価できるか否かにより定まります。
作業に従事していなくても労働からの解放が保証されていない場合には、労働時間に当たるというべきでしょう。
まず、会社側に時間外勤務手当の算出基準について確認してみてはいかがでしょうか。
納得できない場合は、勤務形態、出勤・退社時間等を記録し、管轄する労働基準監督署に相談してください。
個々の労働者と事業主との間の個別労働紛争を解決する手段には、次のようなものがあります。
また、裁判所による解決手段としては次のようなものがあります。
長野県労働委員会(県の機関)による個別労働紛争のあっせん
[あっせんの流れ]
トラブルの発生→労働相談(労政事務所)→労働委員会事務局が調査→あっせん→解決
(あっせん申請の窓口は、労政事務所です。)
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