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更新日:2017年1月31日

長野県教育委員会地域懇談会(松本工業高等学校)

長野県教育委員会地域懇談会を松本工業高等学校で開催しました

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 ICTを活用した教育施策を行う上での参考とするため、「長野県教育委員会地域懇談会」を12月に松本工業高等学校で開催しました。

 

○日  時  平成28年12月8日(木) 正午から午後3時15分まで

○場  所  松本工業高等学校(松本市筑摩4丁目11−1 電話0263-25-1184)

○出席者   

 [企業関係者]

  富士通株式会社、株式会社コミュニケーションズ・アイ 担当者

 [高等学校]

  松本工業高校校長、教頭、関係教職員

  松本県ヶ丘高校校長

 [県教育委員会]

  教育長、教育委員、教育次長、教学指導課長 ほか

○懇談テーマ  「ICTを活用した学びの可能性について」

 

○懇談の概要

(菅沼教育次長)

 進行を務めます教育次長の菅沼と申します。まずは、教育委員の皆様から感想や質問を出していただき、やりとりをさせていただければと思います。荻原委員いかがでしょうか。

 

(荻原教育委員)

 特に現代社会の授業の中でリーサスを扱っていらっしゃるかと思いますが、どんな授業にも活用できると感じました。一方では、リーサスの中にあるデータが果たして本物かどうかという観点も必要になってきますので、例えばデータの信憑性を確かめるために、生徒が実際に現場に出向いてみること等にもつながっていけば、さらに良い教育の材料になるなと感じました。

 

(菅沼教育次長)

 ありがとうございました。このリーサスは既に松本県ヶ丘高校でも授業において活用されておりますが、リーサスを活用することの可能性についてはいかがでしょうか。

 

(松本県ヶ丘高校 永原校長)

 本校では情報の時間と総合的な学習の時間を使い、リーサスを活用した信州学を進めています。本日の授業のような導入の段階を経て、生徒一人ひとりが自分自身のテーマ・課題を設定し、インターネット上だけではなく文献等で調査を行い、政策的な提案を行うといったような内容になっています。現在は最後の提案をどのように行うかという段階に入っているところです。

 

(富士通株式会社 永田氏)

 松本県ヶ丘高校では、生徒の皆さんがそれぞれ夏休みに自分の課題を考えることになっていて、一人ひとりが考えては来るのですが、課題が明確にならなかったり、もやもやしている状態が見られました。そこでリーサスを活用して様々な角度からデータを見ながら、自分の頭で解釈しながら、徐々に課題の絞り込みを掛けていくというところでまず使っていただきました。その後、ある程度課題が明確になったところで、文献をあたってもらう等していくことで、探究的な学びの導入にあたる、課題の発見や発想といったところで役立ったのではないかと考えています。

 

(株式会社コミュニケーションズ・アイ 伊藤氏)

 基本的に生徒が課題を発見する際には、これまではインタビューや文献が中心であったと思いますが、それには言葉を媒介することになり、言葉の部分から課題を発見できない生徒もいたかと思います。このリーサスは「可視化」というのがキーワードになっているのですが、視覚的に問題点の把握が出来、その上で辿り着いたキーワードから課題探究をスタートしたり、深掘りしたりすることが出来ます。地理的に地域を捉えることも含めて、感覚的に情報に触れることが出来、子どもたちが情報やデータにアクセスする上での敷居を低くしてくれるものだと感じています。

 

(菅沼教育次長)

 データの信憑性についてはいかがでしょうか。

 

(株式会社コミュニケーションズ・アイ 伊藤氏)

 リーサス内のデータは必ず出典が明記されています。松本県ヶ丘で授業を行った際も、出典があることからデータそのものに制約があることに気付いてくれる生徒もいました。データの根拠となっているものは何であるか、生徒が自ら意識してもらうということは出来ていたと思います。

 

(荻原教育委員)

 政府や省庁が持っているデータがベースになっているのですか。

 

(富士通株式会社 永田氏)

 現在は総務省等の国が収集しているデータが大半ですが、民間企業が収集したデータも集約されています。

 

(耳塚教育長職務代理者)

 どのような利用者を念頭においてこのシステムを考えられたのですか。

 

(富士通株式会社 永田氏)

 本システムは我々(富士通)が作ったものではなく、国が開発し公開しているシステムですので正確なことは申し上げられないのですが、地方創生に関連して地方自治体の職員が政策を作り上げる際に、勘や経験、思い込みだけに頼るのではなく、データに基づく政策立案が求められており、その際の活用を想定して開発されたと聞いています。

 

(耳塚教育長職務代理者)

 それは、利用者の効率性追求がモデルであって、教育モデルではないのではないでしょうか。松本県ヶ丘高校であったようにデータの限界に気付くことは大切なことですが、本当に欲しいデータを探した結果として気付く等、他の方法で気付かせた方が良いと思います。指標にする際も、自分の頭で考えて指標をつくることが大切であり、分析手法を自ら選ぶことも重要です。そのようなことを行わせることこそが探究的な学習であると思います。予めデータが存在する状態からスタートさせるのではなく、そこに至るまでが重要ですので、ある段階以降の学習者には有効だと思いますが、最初からリーサスを使ってしまうのはどうかというのが率直な感想です。

 

(富士通株式会社 永田氏)

 耳塚委員がおっしゃるように、リーサスはあくまでもデータを使ってみる、データに触れてみるといったきっかけを与えるツールです。授業の入り口の部分は当然、先生方に指導いただいて、課題設定をしていただき、ヒアリングや文献調査と並行して、データにアクセスする際に活用してもらっています。松本県ヶ丘高校でも、生徒がインターネットで情報を検索する際にデータの信憑性を意識するようになったと聞いており、リーサスを活用してデータの使い方の基本を学んだことによる効果だと考えています。

 

(菅沼教育次長)

 平林委員、いかがでしょうか。

 

(平林教育委員)

 非常に先進的な形での授業を見させていただきました。私が学校に勤務していた時代に現代社会の授業を担当させていただいたこともありますが、地図帳や資料集を生徒一人ひとりが見て学習をしていました。そのような時代に比べると、非常に豊富なデータに能率的・効率的にアプローチできるということで素晴らしいなと感じました。しかし、自分なりに苦労して面倒くさがらずに学びを行うことが、発達段階にもよりますが、知識・判断力・応用力の定着につながるのではないかという思いもあります。ですので、昔ながらの素朴なやり方も残していく必要があるのではないかと感じました。

 

(菅沼教育次長)

 ありがとうございました。教育長、授業の感想も含めていかがでしょうか。

 

(原山教育長)

 これからの社会はあらゆるものにセンサーが付き、人の動き、社会の動きが全てデータから読み取れる時代になってくることは間違いないと思います。子どもたちはそのような社会に歩み出していくわけですので、データというものをどう捉えるかと言う感覚は、我々が子どもの頃に持っていたものとはかなり違ってくると思います。一方で、人間が持っている力そのものは大きく変化しているわけではないので、平林委員がおっしゃったような原点はあると思いますが、データというものを使って育てたい力、スキルは何かということを考えていく必要があると思います。

 

(菅沼教育次長)

 データでどのような力をつけていくかという点について、企業側の視点からいかがでしょうか。

 

(株式会社富士通総研 蛯子氏)

 いわゆるデータリテラシーをどのように育んでいくかということだと考えています。データリテラシーだけではあまり意味がなく、分析的・数学的なリテラシーも必要ですし、さらには人に説明するための言語化リテラシーも必要になります。この3つが、今後、高校生が身に付けていかなければならない力だと思っています。本日のテーマは「ICTを活用した学びの可能性」ということですので、少しリーサスから範囲を広げてお話をしたいと思いますが、ICTを活用する上で一番最初の誤解というのは、教師がICTのソフトウェアになり替わるという認識です。ICTは普通教室で行う授業の教師力をいかに高めるかという観点で活用するものであります。ICTを活用していく中では3つの段階があると思っていまして、1つ目の段階は「新たな教材としての活用」です。本日のリーサスはまさにこれに該当するのですが、ここで止まってしまっては意味がないと考えます。2つ目は「コミュニケーションをどう変えていくか」です。これは国が進めている次期指導要領の根幹にもなるものですが、協働的な学び・主体的な学びというものを、授業の中にどのように組み込んでいくかという視点が重要になってくると思います。本日の授業の中では、少しこのコミュニケーションの部分が不足していたと感じました。最後の3つ目の段階は、「データをどのように活用していくか」というもので、最終的には「個の学び」をどのように実現していくかに繋がってくると思います。今回リーサスの取組の中で、3つ目の部分は中々難しいと思いますが、2つ目の部分は改善の余地があると思いますし、リーサスをあえて使わない場面をどのように作っていくかという視点も重要です。本来の授業の質を高めるためのICTをいかに活用するかという視点が大切だと感じたところです。

 

(菅沼教育次長)

 ありがとうございました。リーサスの使い方については、学びの導入の部分で使うこともあるし、検証の部分で使うこともあり、いくつか使い方があると思います。それを意識しながら活用することが大切だと思いますが、少し話を広げてICT全体の話に移りたいと思います。先程、特にICTを使ったコミュニケーションというお話がありましたが、ICTを活用する中で生徒の協働的な学びが具体的に進んでいる例などあればお伺いしたいと思います。

 

(松本県ヶ丘高校 永原校長)

 生徒が課題を深めていく段階でグループごとに議論をしていきますので、お互いの課題について情報交換する中で学びを深めていくことが出来たのではと考えています。中には、昆虫食をテーマとしたグループがあったのですが、信州大学での関連する講義を自ら受講したり、大学教授に質問をしに行ったりしていました。また、いくつかのグループに見られたのですが、スマートフォンを活用したアンケート調査を行う生徒もおりました。そのような姿を見ると、生徒たちが協働しながら学びを行う良いモデルになっているのではと感じています。

 

(耳塚教育長職務代理者)

 松本県ヶ丘高校でリーサスの学習をした際には、分析手法についてはどういった形で教えられていたのでしょうか。大学になってしまえば、大学で教えるほかないのですが、小・中・高それぞれの段階で、分析の手法についてどこまで教えるかということは1つ問題になるかと思います。

 

(松本県ヶ丘高校 永原校長)

 生徒が使っているデータは様々ですので、分からない部分については各担当教員に質問できるような環境づくりをしています。私たち高校のレベルでは、大学で研究するのとは異なりますので、「学び方を学ぶ」ことが出来れば良いのではないかと考えています。疑問や課題を持つ生徒に対して達成感を味あわせてあげて、そこから先は大学にバトンタッチすることが出来ればと考えています。

 

(耳塚教育長職務代理者)

 自分自身も考え事をするときは、ディスプレイを用いた作業ばかりやっていますので、そう考えると、高校までの段階でもう少しコンピューターとともに学ぶ場面を作ってあげた方が良いのではと感じます。実生活との連続性を考えても重要なことではないかと思います。

 

(富士通株式会社 野沢氏)

 まさにおっしゃるとおりだと考えておりまして、普通教室の中で普通教科を学ぶためのツールとしてICTがあるのであって、リーサスを教えるためにリーサスがある、つまりICTを教えるためにICTがあるのではないと考えています。本日の授業については後ほど反省しなければならないと思うのですが、リーサスの操作説明に終始してしまっていて、生徒の皆さんも何のためにこれをやっているのかという部分が理解出来なかったのではないかと思います。今回最後に説明してしまったリーサス活用の授業のねらいをもう少ししっかりと、授業の最初の段階で明示すべきだったのではないかと感じました。教える側からの一方通行になってしまい、授業中のコミュニケーションが足りていなかったと思います。

 

(原山教育長)

 企業に入ったら当たり前のようにプロジェクトというものがありますので、であればプロジェクトベースの学び(以下PBL)を高校時代からやりましょうということになる。ICTを考えた時にも、今の企業がどのように活動しているかと言えば、完全にICTを活用しているので、であればICTを高校時代から学んでいきましょうということになる。つまり、既に社会でやっていることが前提としてあって、その社会に入っていくためには高校時代から社会で通用する力を身に付けなければならないということではないでしょうか。先程、ICTを活用していく中で3つの段階というお話がありましたが、2つ目の「コミュニケーション」というのは、まさに社会において必要となる力を身に付けましょうということだと思います。その際特に、今の社会においてはICTが不可欠であるので、ICTを学びましょうということなのだと考えるのですが、そのような理解で良いのでしょうか。

 

(株式会社富士通総研 蛯子氏)

 PBLは、教科横断的に知識の再構築化を図ることなのだと思います。当然のことながら、企業においても日常のルーティンワークがあり、それぞれの気付きがあるからこそプロジェクトになった時に生きるのだと思います。その意味では、PBLの場面のみでICTを活用するのではなくて、日常的な授業の中でICTをいかに活用していくかが大切で、その集大成としてPBLがあるのではと考えています。参考になるかは分かりませんが、小学校の授業においてICTを活用している教科で最も多いのは、国語と算数です。逆に一番使われていないのは体育や総合的な学習の時間です。例えば、国語においてICTがどのように使われているかと言えば非常に単純で、黒板を使いながら、この部分を「焦点化」したいという時にプロジェクターや電子黒板が使用されています。ICTを活用して「焦点化」を図ることによって、学習規律が整うことと学習のめあてがはっきりするということは間違いないと思います。

 

(菅沼教育次長)

 長野県ではICT環境が充分ではない学校もありますが、ICT機器を導入する際のベーシックというのはどういうものなのでしょうか。

 

(富士通株式会社 野沢氏)

 教科書等を大きく提示できる電子黒板的なものと教材提示装置が最優先であると考えています。また、少なくとも1クラス分の1人1台タブレットの導入は提案させていただいているところです。

 

(耳塚教育長職務代理者)

 プロジェクターと電子黒板のようなものであれば、どちらが必要ですか。

 

(株式会社富士通総研 蛯子氏)

 今、文部科学省で、全国の教室の標準化をどのように進めるかという議論がなされているところです。電子黒板については書き込みが出来たり、文字等の拡大が出来るという特徴がありますので、以前はそのような機能が必要だということでありました。しかし、かなりコストが高いということもあり、現在は、プロジェクターが各教室に1台ずつあれば良いのではといった意見も出てきているところです。

 

(富士通株式会社 野沢氏)

 休み時間内に準備を終えなければならないという制約の中で、電子黒板は、移動させて、セットするまでの時間と手間がかかってしまうことは事実ですので、大型表示できるものは教室に常設されていることが望ましいと思います。

 

(原山教育長)

 先日、いじめ防止サミットに出席した際に、子どもたちが小さなホワイトボードに書いた自分たちの意見を、機器を使用して大きく映し出して全体に見せるというようなことを行っていて、そのような形でもある程度は有効だと感じたところです。

 

(株式会社富士通総研 蛯子氏)

 予算が限られている中で、いきなりフルセットのものを揃えるというのは難しいと思います。例えば教員が持っているタブレットで生徒のノートを撮影して、それを使って生徒に回答の説明をさせるというようなことが出来れば、生徒一人ひとりがタブレットを持っていなくても、コストが無くても、ICTを活用した授業を進めることが可能になります。

 

(菅沼教育次長)

 申し訳ございませんがお時間となりました。様々ご意見も頂戴しましたので、今後の参考にさせていただきたいと思います。本日は大変ありがとうございました。

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所属課室:長野県教育委員会事務局教育政策課

長野県長野市大字南長野字幅下692-2

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