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更新日:2026年4月20日

農林水産省所管事業における構造的問題と改善提案について

ご意見(2026年2月18日受付:Eメール等)

この度、農林水産省所管の「多面的機能支払交付金事業」および「中山間地域等直接支払制度」について、地域の現場で生じている深刻な構造的問題をご報告申し上げます。本件は、全国知事会長としての阿部知事に、知事会の場で農水省に対して問題提起していただきたく、情報提供させていただくものです。
1.対象事業の概要
(1)多面的機能支払交付金事業
・所管:農林水産省農村振興局
・開始:平成26年度(2014年度)
・目的:農業者と地域住民による地域資源(農地、水路、農道等)の共同保全管理
・交付金:農地維持支払(田10アール当たり3,000円等)、資源向上支払(共同:田10アールあたり2,400円、長寿命化:田10アール当たり4,400円等)
・対象農地の勾配基準:20分の1
(2)中山間地域等直接支払制度
・所管:農林水産省農村振興局
・開始:平成12年度(2000年度)
・目的:中山間地域における農地維持及び地域活性化のため、5年以上農業継続を約束した農業者等への支援
・交付単価:田(急傾斜)21,000円、田(緩傾斜)8,000円、畑(急傾斜)11,500円、畑(緩傾斜)10アールあたり3,500円
・対象農地の勾配基準:15度以上

2.農水省の構造的欠陥:同一局内での基準不統一
両事業は、いずれも農林水産省農村振興局が所管し、同局内に推進室が10年前から設置されているにもかかわらず、対象農地の勾配基準が統一されていません。
・多面的機能支払:20分の1(勾配比率)
・中山間直払い:15度以上(角度)
数値の単位すら異なり、現場では混乱が生じています。しかも、多面的機能支払の方が制度として使いづらく、誤作動が多発しています。両制度を統合しても何ら支障はないにもかかわらず、農村振興局内でセクション間の綱引きが行われ、省益優先で基準すら統一されない状況が続いています。
これは、農水省に制度改革を任せても、省益優先により国民益が実現されないことを端的に示す事例です。

3.長野県農政部の人事構造上の問題
国の構造的問題に加えて、長野県農政部においても組織運営上の課題が存在します。
現状の職員構成
・農業技術職:5割
・農業土木職:3割
・事務職:2割
現状の幹部ポスト配置
・農政部長:農業技術職
・農政部次長:事務職
・農業土木職:幹部ポストなし
問題点
職員の3割を占める農業土木職に対して、キャリアパスの頂点となる幹部ポストが存在しません。これは組織マネジメント上、以下の問題を引き起こします。
(1)少数意見の尊重の欠如
・職員比率に応じた適正な幹部ポスト配置がなされていない
(2)人材育成の阻害
・現在、優秀な農業土木職が複数存在するにもかかわらず、上を目指す道が閉ざされている
・労働意欲を削ぎ、人材流出のリスクを高める
(3)組織の専門性の軽視
・多面的機能支払事業、中山間直払い事業いずれも、農業土木的知見が不可欠
・暗渠・明渠(あんきょ・めいきょ)工事、水路管理、農道整備等の技術的判断に土木職の専門性が必要
提案
案1:次長ポストの見直し
・農政部長:農業技術職(現状維持)
・農政部次長:農業土木職(変更)
・事務職:別途適切なポスト配置
案2:技監ポストの新設(推奨)
・農政部長:農業技術職(現状維持)
・農政部次長:事務職(現状維持)
・新設:技監(参事級)を農業土木職に配置
最善案:現在、優秀な農業土木職が複数在籍しているため、それらの者を参事級(技監等)に登用し、キャリアパスを明確化することで、組織全体の士気向上と専門性の強化を図る。

4.四層構造による機能不全
現場では、以下の四層構造により、事業が機能不全に陥っています。
(1)国(農水省)
・制度を作り、「使えば特典がある」とニンジンをぶら下げるのみ
・責任は一切取らない
(2)県(長野地域振興局農業農村支援センター)
・制度設計の説明のみ
・課長補佐レベルで市町村任せ
・指導責任を放棄
(3)C市町村
・2から3年ごとに異動する初心者レベルの職員が担当
・指導できる人材がいない
・まれに熱血担当が赴任しても、地元が協力体制にならない
・継続性ゼロ
(4)農地整備組合
・基本的に特定の政党員が組合長を務める
・法律順守より自己実績(マウンティング)を優先
・法律違反しても「自分のせいじゃない」と突っぱねる
・過去の延長線上の議論のみで、抜本的改革には超保守的
・その一方で、見栄(新トラクター競争等)には金を使う
・結果:利益率低下→もうからない→子どもは継がない
・次期組合長も前任者が独断で特定の政党員を任命
・民主的意見を言う者が「おかしい」とされる村社会
この結果:
・農業人材不足
・統括事務局の不在→誤作動の放置、地区間の不公平
・分断された仕組み→制度が熟成しない
・交付金返還事由の発生→法律違反状態の常態化
失敗は成功の基、とならない。引責辞任もなし。

5.具体的事例
・組合長と市町村役場職員の親戚関係
・不透明な会計処理(作業者別明細の不存在、役員のみが金額把握)
・市町村道を農道と偽った舗装工事による交付金返還(市町村役場予備費で国へ返還)
・組合長の説明責任放棄(「自分の責任ではない」「コロナのせい発言」)
・役員の田んぼを優先した暗渠・明渠(あんきょ・めいきょ)工事
これらは、四層構造の機能不全が如実に表れた事例です。

6.本質的問題:昭和から変わらない「その場しのぎ」
食料自給率向上、農産物のブランド化、次世代農業従事者育成など、表面的な政策目標は掲げられますが、実際には「良いだろう運転」と「その場しのぎの政策」の繰り返しです。この構造は昭和の時代から変わっていません。
良いスキームが無いことの悪循環:
(1)問題が起きる→構造的欠陥
(2)もみ消す→責任回避
(3)学習せず、後輩へバトンタッチできないから同じ過ちの繰り返し
農水省が事務局統廃合に賦課金というニンジンをぶら下げても、マウンティング志向の組合長たちが「権限喪失」を恐れて賛同しない構造が固定化しています。

7.提案:総務省方式による強制的改革
この構造的問題を解決するため、以下を提案します。
(1)市町村合併の手法を応用
年号が変わるタイミングで総務省がほぼ強制的に市町村合併を推進した手法を応用し、省庁に任せず、総理主導で強制的に制度改革を実施する。
(2)総務省に横串を刺させる
国策を担当省庁に任せると省益ばかり優先し、結果的に国民益にならない。総務省が他省庁の事業を補完して効率化する役割を担い、農水省事業についても総務省に統括させる。
(3)交付金と連動した数値化・義務化
・事務局の設置を義務化
・事務局の広域化を推進
・交付金支給額を数値化された実績と連動させる
・現状の「張りぼて事務局」(効果なし、検証なし)を排除
(4)省庁間の基準統一
同一省庁内ですら基準が統一されていない現状(多面的:20分の1と中山間:15度)を是正し、現場の混乱を解消する。

8.知事会での発言要請
阿部知事におかれましては、全国知事会長として、知事会の場で農林水産省に対して以下を問題提起していただきたく、お願い申し上げます。
(1)農村振興局内での基準不統一の是正
(2)省益優先から国民益優先への転換
(3)総務省による横断的統括の必要性
(4)事務局の広域化・義務化と交付金連動
(5)地方自治体と地域組織の責任の明確化

9.結び
私は議員でもない一住民ですが、地域の現場で10年以上この問題に向き合い、コロナ前には農水省に改善策をプレゼンしてまいりました。報酬もなく、時に、出る杭は打たれる志向により、批判も受けますが、次世代のために健全な農業の仕組みを残したいとの思いで活動しております。
阿部知事のご理解とご支援を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。

回答(2026年3月5日回答)

長野県農政部長の村山一善と申します。
県民ホットラインにお寄せいただきました、農政部所管事業等に関するご提案について、農政部を所管する私から各項目に沿ってお答えさせていただきます。

「1から2農林水産省所管事業における構造的問題と改善提案等」について
投稿者様ご指摘の二つの制度のうち、地域ぐるみで取り組む農地や水路等を適切に保全管理するための活動などを支援する「多面的機能支払交付金」については、国の基準において、対象農地の勾配基準はありません。

一方で、農業生産条件の不利な中山間地域等において、農用地を維持・管理していくための活動等に対して一定額を交付する「中山間地域等直接支払制度」では、地目および傾斜区分に応じて10アール当たりの交付単価が設定されており、例えば、田の急傾斜は「20分の1以上」、畑の急傾斜は「15度以上」と、地目によって、実務上の慣習に合わせて傾斜を表す単位が異なっている状況です。本制度は中山間地域における営農継続の取組を支援することを目的に、2000年に創設され、既に25年以上が経過しており、制度利用者の一部からは、制度の構造が複雑であるため、簡素化を望む声も寄せられているところであり、投稿者様のご意見も参考に、国と問題意識を共有してまいります。

また、今後とも現場のご意見を踏まえた中山間地域振興に積極的に取り組んでまいります。

「3長野県農政部の人事構造上の問題」について
幹部人事に係るご意見をお寄せいただき、ありがとうございます。
職員の専門性の活用や多様な視点の組織運営への反映、さらには職員の確保や意欲向上といった観点をご提示いただき、貴重なご意見として受け止めております。
志ある職員が意欲的に業務に取り組める環境づくりに努める中で、投稿者様からいただいたご意見は、今後の人材育成や組織体制を検討する際の参考とさせていただきます。

「4から8国、県、市町村の役割分担と連携、知事会での発言要請等」について
現場での活動も踏まえた貴重なご意見をいただき、ありがとうございます。投稿者様からご指摘のとおり、長野県農業を次世代にしっかり引き継いでいくためには、常に問題意識を持ちながら、改善に取り組んでいくことが必要と考えております。様々なご意見を踏まえ、県としての施策構築や国への提言を実施してまいります。

以上、お寄せいただいたご意見への回答とさせていただきますが、ご不明な点がございましたら、農業政策課長:井浦慶久、担当:企画係までご連絡くださいますようお願い申し上げます。

【問合せ先:農政部/農業政策課/企画係/電話026-235-7211/メールnosei(あっとまーく)pref.nagano.lg.jp】

(分野別:農業・林業)(月別:2026年2月)2025000622

お問い合わせ

企画振興部広報・共創推進課

電話番号:026-235-7110

ファックス:026-235-7026

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