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更新日:2021年2月26日

県内河川に放流されている渓流魚について

ご意見(2021年1月19日受付:Eメール)

私はA水系、B水系で渓流釣りをしていますが、最近とても心配に思うことがあります。

長野県内各漁協で、渓流魚を放流していますが、ここ数年B水系に放流されているアマゴの朱点が異様に大きく滲んだようなものになってきています。
朱点が繋がって帯のようになって本来のアマゴとはかけ離れた容姿になってしまっているものや、大きくなった朱点部分の皮膚が隆起している個体もあります。
A水系では、エラブタが短く変形していてエラブタを閉じてもエラが見えてしまっているイワナをある程度の割合で見かけるようになりました。

これらの魚は、川で育つうちにそうなったわけではなく、漁協がそのような成魚を放流しているのは間違いありません。これらの魚は漁協の経営的な問題から仕方なくそうなってしまったのか、それとも何らかの意図があってやっているのか。
いずれにせよ、これらの魚が秋に婚姻色になったのを見かけないし、ごく小さな稚魚も見かけないので自然繁殖できる魚なのかは疑問です。
信州は自然豊かな渓流がたくさんありますが、そこで泳ぐ魚は生態系の中でちゃんと生きて自然繁殖できる本来の魚であって欲しいと思います。

それと同時に、信州の自然は重要な観光資源という側面もあります。
信州の渓流は素晴らしいので県外からもたくさん釣り人が訪れますが、釣れる魚がこのような魚だとしたらがっかりされて見向きもされなくなる恐れがあります。

便宜上、朱点が大きく乱れたアマゴを「ド派手アマゴ」エラブタの短いイワナを「エラ見えイワナ」と表記します。以下の質問および要望にご回答いただけると幸いです。

1、渓流魚の放流についての質問

(1)B水系の漁協が放流しているド派手アマゴについて把握しているのか。その上で、ド派手アマゴを放流していることに対する見解。
(2)掛け合わせの疑いのあるアマゴおよびニジマスの稚魚が釣れたことに対しての見解。
(3)A水系のエラ見えイワナについて把握しているのか。その上で、エラ見えイワナについての見解。

2、渓流魚の放流についての要望

(1)県主導で各漁協が放流している魚について調査して、現状を把握して欲しい。
(2)これらの放流魚について、県の園芸畜産課および観光課はもちろん、できれば漁協、養殖業者、外部の専門家、一般の釣り人などを含め議論をして欲しい。
(3)個人的には、放流するのであれば人の手が加わる前から棲んでいた魚に近い形質の、自然繁殖できる魚を放し、他県にも誇れる川を取り戻して、未来へと引き継いで欲しい。

以上、よろしくお願いいたします。

回答(2021年2月15日回答)

長野県農政部長の伊藤洋人と申します。
この度は、信州の渓流魚に関しまして貴重なご意見をいただき、誠にありがとうございます。日頃から、信州の観光資源としての遊漁にご関心をいただくと共に、A水系とB水系等の漁場をご利用いただき御礼申し上げます。
「県民ホットライン」にお寄せいただきましたご質問及びご要望について、お答えいたします。回答が大変遅くなってしまいましたことをお詫びいたします。

1.渓流魚の放流についてのご質問について
(1)朱点の大きなアマゴについて
ご指摘のようなアマゴが河川や放流魚に見られるのかについて、アマゴを漁業権対象魚種としている県内の漁協に確認したところ、B水系の漁協から、河川や放流魚に見られるとの回答がありました。
このため、県から、当該漁協が放流魚を仕入れている養殖業者に状況をお聞きしたところ、以前は、放流魚の中に、当該河川に留まらずに川を下ってしまう銀毛個体(※成長に伴い体色が銀白色となる個体)が多く、漁協から改善を求められたことから、親魚の選抜を繰り返した結果、ご指摘のような形質を持つアマゴが含まれるに至ったとのことでした。
上記のとおり、遊漁者に釣りを楽しんでもらおうと改善を図った経過から、このような個体が生じたとのことですが、当該養殖業者からは、今回のご意見も踏まえ、今後、漁協にも相談しながら、交配方法等を検討していきたい旨の回答がありました。
県といたしましても、県水産試験場を通じ当該業者に対して技術的支援を行ってまいりたいと考えております。

(2)交雑の疑いのあるアマゴ及びニジマスの稚魚について
交雑と思われる魚が釣れた場合は、状況を把握したいので、大変恐縮ですが、県水産試験場(電話0263-62-2281)までご連絡いただければと存じます。
なお、ニジマスについては、B水系の漁協において漁業権対象魚種として放流しておりますので、釣れることは十分あり得ることと考えます。

(3)A水系におけるエラが露出するイワナについて
ご指摘のようなイワナが河川や放流魚に見られるのかについて、イワナを漁業権対象魚種としている県内の主な漁協に対し聞き取りを行ったところ、放流魚の中にまれに見られるが、出現頻度は低いとのことでした。
ご指摘のようなイワナの詳細な発生原因は分かっておらず、自然環境下において、遺伝的要因や生息環境によって出現する可能性も否定はできません。
対策を講じている漁協では、養殖業者に改善を依頼したり、放流する前に確認していますが、魚が弱らないよう迅速に実施する必要があることから、放流魚全てについて確認することは難しく、混入してしまう可能性もあると考えます。
県としましては、遊漁者からのご意見として、可能な限り当該魚の混入を減らしていただくよう漁協へ伝えてまいります。

2.渓流魚の放流についてのご要望について
(1)放流魚の調査について
県では、毎年漁協に対して放流魚種や放流量等に関する調査を実施しておりますので、その調査に併せて、ご意見のありました朱点が大きなアマゴやエラ蓋が欠損しているイワナ等の状況について実態把握を行いたいと考えております。

(2)放流魚に関する議論について
県には、漁業者、採捕者(釣り人を含む)、学識経験者等幅広い関係者で構成される内水面漁場管理委員会がありますので、その場で議論させていただきたいと思います。

(3)他県にも誇れる漁場づくりについて
近年、国を始めとする様々な研究機関において、在来の魚を保全しながら、遊漁者のニーズに応じて漁場を区分けして管理する手法や、半天然稚魚や半野生稚魚の放流等、新しい資源管理技術の研究が進められています。
ご提示のありました、国のパンフレットに掲載されている半天然稚魚や半野生稚魚の増殖事例について、水産庁に情報提供を求めたところ、全国で1漁協が国の補助事業を活用して試行的に取り組んでいるとのことですが、新しい技術のため、継代養殖稚魚より飼育しづらく、生産に手間がかかる等の課題があり、更なる研究の蓄積が必要であるとの回答がありました。
本県においては、釣りは重要な観光資源の1つであり、遊漁者ニーズとして在来の魚の保全も重要であると考えていることから、国等の研究機関とも連携しつつ、自然再生産を重視する資源管理技術として、禁漁による増殖効果の検証等に取り組んでいるところです。
今後も引き続き研究を行い、漁協や養殖業者等に対して情報発信、技術指導をしてまいります。

以上、ご質問への回答とさせていただきますが、ご不明な点がございましたら、園芸畜産課長鈴木正幸、担当:水産係までご連絡くださいますようお願い申し上げます。


【問合せ先:農政部園芸畜産課/水産係/電話026-235-7229/メールenchiku(あっとまーく)pref.nagano.lg.jp】

 

(分野別:農業・林業)(月別:2021年1月)2020001434

 

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企画振興部広報・共創推進課

電話番号:026-235-7110

ファックス:026-235-7026

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