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更新日:2019年3月22日
長野県知事 阿部守一
今から会見を開きます。よろしくお願いいたします。(手話で表現)
私から冒頭、何件かお話ししたいと思います。
まず本日、部局長会議を開催いたしました。案件がたくさんありましたので、全てをお話はしませんが、その中から2点だけお話ししたいと思います。
まず、自転車活用推進計画の決定についてです。先の県議会で「長野県自転車の安全で快適な利用に関する条例」を制定いただきました。また、国においては自転車活用推進法がすでに制定されているところでして、この法律、条例を踏まえまして、本県の特徴を生かした自転車の安全な利用促進、あるいは利用環境の整備等について、総合的、計画的に進めていくために今回の計画を策定しました。
計画期間は2022年度までということで、約4年の計画にしています。市町村、関係団体の皆さんと連携体制をしっかり構築して、進捗状況のフォローアップあるいは社会情勢を踏まえながら内容の追加更新等を行っていきたいと思っています。
本県内では自転車関連の事故が交通人身事故の約12パーセントを占めていますし、死亡事故も発生している状況です。こうしたことから幼少期から高齢者までライフステージに応じた交通安全教育を充実していきたいと思っています。
また併せまして道路環境の整備ということで、自転車専用の通行帯や路面表示を行っていきたいと思っています。また歩行者、自転車、自動車がお互いの立場を思いやる「シェア ザ ロード」の精神を踏まえた取り組みも進めてまいります。
また、その一方で、自転車を利用した観光振興にも取り組んでいきたいと思っています。「ジャパンアルプス サイクリングロード」、長野県を一周する自転車ロードを設定したいと思っています。自転車による観光振興、地域の活性化にも、この計画を踏まえて、しっかり取り組んでいきたいと考えています。
それから2点目ですが、就業促進・働き方改革戦略会議の当面の方針の策定です。これについては、就業促進働き方改革戦略会議を昨年4月に立ち上げて、経済団体、労働団体、労働局の皆さま方と一緒に、さまざまな取り組みを検討してきたところです。
前回の会議において、私がこの会議の取りまとめ役として一任を受けていましたので、前回の議論を踏まえて一部修正した上で、今回、当面の取り組み方針として定めたところです。今回、県外進学者のUターンをはじめとする若者の就業促進、あるいは女性、障がい者、高齢者の就業促進、さらには働き方改革、こうしたことについて取りまとめているところです。ここに記載されている事項については関係団体の皆さま方と連携協力して、しっかりと取り組んでいきたいと思っています。
また、部局長会議で申し上げましたが、これはあくまでも当面の取り組み方針になっていますので、中長期的な観点での取り組みであったり、個別の分野ごとの取り組みについては、さらに検討を深めて方向性を出していきたいと思っているところです。
座長ということで私の方で一任を受けていましたので、取りまとめたところですが、定めたのは県ではなく戦略会議という位置づけになりますので、よろしくお願いいたします。
長野県知事 阿部守一
それから続きまして、即位日等休日法の施行に伴う大型連休への対応についてです。今年のいわゆるゴールデンウイーク、大型連休に際しましては、長期間休日が続くということで県民生活に支障が生じないよう市町村あるいは関係団体等と連携して取り組んでいきたいと考えています。
また、県民の皆さま方がいろいろ心配されていること、懸念されていることがあるわけですので、県民の皆さま方に状況を分かりやすく周知していきたいと思っております。
医療関係の情報を先般お出ししているところですけれども、3月末の時点で、一応この大型連休への対応状況、各部局で把握している状況を取りまとめさせていただいて、4月上旬の早い段階で対応の方向性を公表していきたいと思っていますし、その後も随時新しい情報に更新させていただいて、県民の皆さまの生活等に混乱が生じないように対応していきたいと考えています。
長野県知事 阿部守一
続きまして、長野県伝統的工芸品の指定に関しての発表です。
本日、長野県伝統的工芸品を新たに指定させていただきましたので、お知らせしたいと思います。伝統的工芸品、伝統技術の継承あるいは地域資源の活用を通じて、地域経済の活性化に寄与する重要な地場産業であると考えていますし、こうした伝統的な技術や産業を文化として積極的に承継していく、次世代に繋いでいくことが大変重要だと思っています。
今回ここに3つ展示させていただいていますけれども、明治時代から農家の冬期の副業として発展してきた「小沼箒(おぬまほうき)」、それから約300年前から生産され長野オリンピックの開会式でも使用された「長野県手作り打上花火」、それから高い技術力を誇り内閣総理大臣賞を8回受賞した「信州組子細工」、この特色ある工芸品3件を長野県伝統的工芸品として新たに指定させていただきました。
この結果、伝統的工芸品のうち、経済産業大臣指定が本県では7品目、県知事指定が21品目となります。今後とも伝統工芸品のPRに努めていきたいと思いますし、ぜひ多くの皆さま方に長野県の誇る伝統工芸品を積極的にご活用いただければありがたいと思っています。
長野県知事 阿部守一
それから、最後に信州花フェスタ2019について申し上げたいと思います。
本日は庭園展示の1つであります「しあわせ暮らしの庭めぐり」についてご紹介したいと思っています。
今回の信州花フェスタにおいては、国内最大級のガーデンショーとして100を超える庭園を展示します。その中で、「しあわせ暮らしの庭めぐり」については、私ども主催者と県内の若手造園家5グループがワークショップを通じて、デザインから考えて、一緒に作り上げる協働の庭園です。昨年7月から今年2月にかけてワークショップを開催してまいりました。資料をお配りしていると思いますけれども、「しあわせ暮らしの庭めぐり」お配りしているような方々とお配りしているようなデザインでの庭作りを行っていきたいと思っています。こういう形で造園家の方々と、そして実行委員会とが共同で庭園を作るというのは全国都市緑化フェアとしては初めての取り組みです。ぜひ多くの皆さま方にご来場いただき、ご覧いただければと思っています。
私からは以上です。よろしくお願いします。
日本経済新聞 佐伯遼 氏
長野県就業促進・働き方改革戦略会議の「当面の取組方針」に関してお伺いします。
今年3月に解禁された企業説明会で、県内企業から、かなり今年は学生の集まりが悪いとかプレエントリーの段階で学生が減っているというような声が聞かれます。改めて実効性のある就業促進策として、県が一番踏み込んでいかなければいけない部分はどのあたりだと考えていらっしゃいますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
新年度予算の中にも、インターンシップの強化を入れさせていただいています。本県の場合は、とりわけ高校を出ると高等教育機関に進学するために県外に出ていってしまう若者が多い現状がありますので、そういう意味で、インターンシップを経済界の皆さんと協力し合いながら充実、強化を図っていきたいと思っています。
そして、今回は当面の取り組み方針なのであまり踏み込んでいませんが、先般も工科短期大学校で応援していただいている企業の皆さんと懇談をさせていただきましたけれども、地元の若者が地元の企業にもっと関心を持ってもらえるような取り組みというものが大変重要だと思っています。伊那地域ではキャリアフェスということで、中学生の子どもたちを対象とした、企業の皆さんと触れ合う場をつくっていらっしゃいますけれども、そうした取り組みを今後、全県的に広げて、県内の子どもや若者が県内の企業と接して、直に感じていただけるような機会を増やしていきたいと思っています。
日本経済新聞 佐伯遼 氏
一昨日、県の人事が発表されました。知事としては適材適所ということだと思うのですが、改めて今回の人事で一番重視した部分というのはどの辺になりますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
皆さんのところにも発表資料をお出しさせていただいていると思いますけれども、大きく四つあります。
一つは、組織の編成と関係しますけれども、当面する課題にしっかり対応していこうということで、先端技術活用推進課であったり、あるいは児童相談・養育支援室であったり、営業局であったり、こうした組織を新たにつくることによって、人員配置ももちろん新たに行って、課題に向き合う体制をしっかり整備させていただきました。
加えて、部局横断的に政策に取り組むポストとしての女性活躍推進監であったり、信州ブランド推進監を置いて、特に重視する女性活躍と長野県の物産振興であったり発信力の強化、こうしたところについては、部局横断で取り組む体制をとらせていただきました。
加えて、女性の活躍、そして、障がい者の活躍、こうしたものに県としてもしっかりと取り組んでいこうという観点で、課長級以上の女性職員数については、この4月には約8.6パーセントで、4年前と比べますと約4パーセント増加するということで、かなりここ近年、女性管理職の割合、課長級以上の職員の割合は意識的に増加させてきていただいています。また障がい者雇用については、本県も障がい者の法定雇用率の算定誤りといったことをしっかり反省し、また教訓としながら、拡大を図っているところですけれども、今回、障がい者の常勤職員としての採用を大幅に増やします。昨年お一人の採用だったのを、今年の4月からは15人採用させていただくということで、大幅に増加します。
こうしたことが今回の人事異動のポイント、特色です。
信濃毎日新聞 鈴木宏尚 氏
先週、デービッド・アトキンソン氏の講演会が長野市内でありまして、知事も聞かれたと思います。私も拝聴して、生産性を向上していかないとこの国は早晩立ち行かなくなると。特に、中小零細企業のことをおっしゃっていまして、生産性を上げていくためには、中小企業は非常に限定的であると。企業の規模のことをおっしゃっていたのですよね。より集約をしていく、それは地方においても無縁ではないと。日本は中小企業に支えられた国だということばかりを言っていてはいけなくて、やはりこれからは統合して、企業が大きくなっていく。そして生産性を伸ばしていくということ以外にないというようなお話だったと思うのですが、知事はどのようなご感想お持ちなのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
アトキンソンさんのお話は直接お伺いさせていただきましたし、『日本人の勝算』という本は線を引きながら一生懸命読ませていただきましたので、おっしゃっていることは、私は非常に頭にすっきり入っています。要は、おっしゃっていることはいくつかの視点に集約されていると思っていますけども、一つは、やはり日本の生産性は低いよね、生産性を上げなければいけないと。そのためには、一番強調されているのは最低賃金の引き上げ、賃金の引き上げによって、所得を継続的に上げていかなければいけないだろうと。それから、輸出ができるような企業は生産性が高い、あるいは生産性を上げなければ輸出はなかなか進まないといったようなこと、輸出の拡大という観点と、それから今お話があったような、事業規模、生産性の比較を国際間で行ったときに、やはり日本の場合は、企業規模が小さいことが生産性の向上を阻害しているのではないかという観点。それから、私も当日質問させていただきましたけれども、大人の教育、成人の再教育、とりわけ経営人材の育成といったようなことがポイントだろうと思っています。
いずれも重要なことだと思いますが、最低賃金の引き上げの部分については県の権限がなかなか及ばないところですので、講演が終わった後にアトキンソンさんと少しお話しましたけれども、これは国レベルで考えてもらわなければいけませんよねと。他の分野については、われわれは十分念頭に置きながら、政策を進めていかなければいけないと思っているとお話をさせていただきました。企業規模の問題であったり、輸出の問題であったり、あるいは人材育成の問題であったり、こうしたことについては具体的にどういう取り組みをしていくかということはこれからさらに検討しなければいけない部分もありますけれども、すでに人材育成とか輸出はそのような方向で取り組んでいますので、企業規模のあり方については少し新しい視点として問題意識を持ちながら取り組んでいきたいと思っています。
信濃毎日新聞 鈴木宏尚 氏
公文書管理の関係なのですが、今日基本方針を拝見しました。私どもメディアという立場で、質問させていただきたいのは、公文書を扱っていくときに、この間の財務省の問題もそうなのですが、公文書なのか私的メモなのかの区分が非常に難しいし、よく議論になる点だと思います。
一番危惧するのは、第2の方向性というところに私的メモの混在を防ぐとあって、なおかつ方向性の3には、後から検証する可能性を踏まえて意思決定の過程が正確に記録されている、それが県民共有の知的資源になるという位置付けがされているわけなのですけれども、一番危惧するのは私的メモに何でも押しやられて、私的メモだからどんどん捨ててしまおうと言って廃棄されてしまうことが私どもの立場からすると一番危惧するところなのですが、この辺の運用については、知事の考えはどのようなものでしょうか。
長野県知事 阿部守一
メディアの皆さんの考え方をよく聞かせていただいた方がむしろいい部分なのかもしれないと思いますけれども、私も例えばアトキンソンさんの話を聞いていろいろメモを取ったりして私の手帳に入っていますけれど、これは誰とも共有していないので多分公文書ではないのだろうと思います。
政策形成過程において、いろいろなことを検討して、あるいは私がいろいろ発言して、私の感覚は県の職員はメモを取り過ぎではないかと実は思っています。メディアの皆さんからすると、もしかすると逆なのかもしれないですけれど。意思決定する前のフリーディスカッションのようなところのメモは全く意味がないと思っていまして、もっともっと自由にアイデアを出して、時には世の中からとんでもないと言われるようなことであっても、内部の検討では出されなければ、激変の時代には対応できないと。
そうしたことを考えると、私は意思形成過程の情報を全部公開すると自由な議論を阻害してしまうことが結構あるのではないかなとも思っています。とは言え、反面、県民の皆さんとの情報共有はしっかり行っていくことが重要だと思っていますが、それはやはり県としての論理がしっかり通ったものとして共有しなければ、かえってミスリードになってしまうのではないかなと思っています。という感覚で私はおりますが、もし何かそういうところでメディアの皆さんの懸念が具体的にあれば、教えていただければまたそういうことも含めて具体化に当たっては検討していきたいと思います。
信濃毎日新聞 鈴木宏尚 氏
差し出がましいのですが、個人メモなのかどうなのかということを、その方たちの恣意的な判断に委ねられてしまうというのが困るかなと思っているのですが、それでもしっかり方向性のなかには所属や担当者によって取り扱いがまちまちにならないようにとありますので、またご検討されればと思うのですけれども。
長野県知事 阿部守一
どちらかというと、例えば決裁文書とかはもっと詳しく書けと言っているのですよね。5年後、10年後に見たときに分かるようなものでなければ決裁しないと言っていて、例えばいろいろな訴訟の案件などでそっけなく書いてあるものは、どうしてこうなっているのかきちんと分かるように書いてくれと言っています。ですから私の問題意識は、どちらかというと私的メモか何かというよりは、むしろ公文書としてきちんと残すべきものをしっかりつくっておかないと後の検証もできないし、なぜそういう意思決定を当時行ったのかというのが分からなくなってしまうと。意思形成過程の部分はむしろ、後々メディアの皆さんが検証したときに、知事はこう言っていたとか部長はこう言っていたとかというのはもちろん必要な部分もあるのかもしれないですけど、政策決定責任者の立場として申し上げれば、そこのプロセスよりは結果にわれわれ責任をとらなければいけませんから、なぜAという結論を出したのかということを、私は、今は必ずしも十分ではないと思っていますので、より明確に残す訓練をしなければいけないのではないかと思っています。
信濃毎日新聞 鈴木宏尚 氏
私の私見ですけれども、そのペーパーをどう使ったのかと、個人のフォルダに入っているのは見たいとは全然思わないですけど、共有フォルダに入れてみんなでそれを資料としてまさに意思決定過程で使ったものというのは、これは公文書なのではないかと思いますので。
長野県知事 阿部守一
それは判断材料としてのデータとかは、先ほど言ったようになぜAとしたのかという根拠としてのデータとか、あるいは県民の意見とか、そういうものは私も重要だと思います。そのようなものを全部とってしまうと、なぜこの意思決定になったかというのが分からなくなってしまうと思いますので、そこはご指摘の点はよく分かりますので具体的に工夫はしていきたいなと思います。
時事通信 真勢春海 氏
先ほど10連休に関して、4月に対応をまとめて公表したいということだったのですけれども、すでに医療の情報については一部公表されていると思うのですけれども、4月に公表される内容というのはどういったものが入ってくるのかというのを詳しく教えていただければ。
人事課長 玉井直
関係する各部とどういった項目があるのかというのを今まさに整理しているところです。一番は、やはり県民の生活に支障が及ぶ、困ったときにどうなるかということですが、各部局単位で縦でやっていますのを一元的に取りまとめて、県民に分かりやすく周知することが必要だということで各部と連携をして整理しています。できるだけ今月末時点のものの対応状況を取りまとめて、できるだけ早く4月上旬にも公表したいと思っています。
時事通信 真勢春海 氏
先日、知事はShare(シェア)金沢を訪問されていると思うのですけれども、これを見られての感想とか今後どのように長野県に活かしていかれるのかという点をお伺いできればと思います。Shere金沢の運営法人の理事長は、駒ケ根のJOCA(ジョカ/公益社団法人青年海外協力協会)の関係もされていると思いますけれども、長野県内でどこに活かそうかという想定があるのかどうかもお伺いできればと。
長野県知事 阿部守一
JOCAの本部が駒ケ根に移ってきていただいて、雄谷理事長はJOCAと佛子園、Share金沢の運営と両方を手がけていらっしゃるので、ごちゃ混ぜのまちづくりというコンセプトであったり、あるいは実際に取り組まれている活動は、大変すばらしいものだと感銘を受けて帰ってきました。
長野県において具体的にどうするのかというご質問ですけれども、駒ヶ根市にJOCAの本部があって、駒ヶ根市もリニア時代に向けたまちづくりを考えていらっしゃいます。駒ヶ根は長野県としても、西駒郷であったり、あるいは心の医療センターであったり、あるいは看護大学であったり、保健福祉関係の県の施設が非常に集中している場所でもありますので、これから駒ヶ根市として具体的にどういうことをご検討されるかという部分もありますけれども、一緒にごちゃ混ぜのまちづくりを、駒ヶ根市であったり、あるいはJOCAの皆さんと一緒に考えていければありがたいなと思っています。
日本経済新聞 北川開 氏
先ほど局長会議で策定されました「長野県医療機器産業振興ビジョン」についてお尋ねしたいと思います。こちら食品産業と航空機に続く3本目の柱として県内産業振興策という位置づけになっていますが、前二つに比べて、スパンが15年単位というのはかなり長いロングスパンの計画になっていますが、知事としては5年後、10年後、15年後、県内の医療機器産業・精密機器産業をこのビジョンを通じてどうしていきたいか。例えば、ベンチャーをどのぐらい創出していきたいかかと、医療機器参入企業をどのくらい増やしたいかとか、もしくは出荷額をどうしていきたいのか、知事として今後医療機器産業をどうしていきたいか、目標をお伺いしたいなと。目指していく意気込みをお伺いしたいと思います。
長野県知事 阿部守一
先般もテルモにお伺いして、社長ともいろいろ懇談させていただきましたけれども、医療機器分野はかなり長期間の取り組みを要する分野だと思っています。そういう意味で、「医療機器産業振興ビジョン」も、しっかり地に足をつけながら、着実に取り組んでいきたいと思っていまして、フェーズ1、フェーズ2、フェーズ3という形で、それぞれのフェーズごとに取り組んでいくべき方向性を定めさせていただいています。
とりわけ私としては、今日部局長会で配られた資料の「医療機器産業振興ビジョン」の中で、目指す姿の実現に向けた取り組みとして、丸の4番目にエコシステムの形成とを書かせていただいています。医療機器産業は、もとより医療機関との連携協力が不可欠でありますし、また、ベンチャー企業をしっかりと育てていく上でのベンチャーキャピタルの設立をはじめ、医療機器産業が育っていくような風土や地域をしっかり作っていくことが必要だと思っていますので、県としてはとりわけここに記載しているようなエコシステムの形成について力を入れて取り組んでいきたいと思っています。
日本経済新聞 北川開 氏
同じく本日策定されました、「AI・IoT、ロボット等利活用戦略」についてお伺いしたいのですけれども、KPI(ケーピーアイ/重要業績評価指標)としては3年後に導入規模50パーセントという目標を立てられまして、それの実現に向けて今後やっていかれるということだと思います。やはり人口減、人手不足と言われている中で、喫緊の対応をだと思うのですけれども、実現に向けた、知事が特に課題だと思っている分野やこれを通じて産業生産性をどうしていきたいかということについてお伺いしたいと思います。
長野県知事 阿部守一
いくつか視点があると思いますけれども、AI(エーアイ/人工知能)とかIoT(アイオーティ/モノのインターネット)だとかロボットというのはある程度普及していくのだと思います。ただ、そうしたものをいち早くどう取り入れるかということで、企業の競争力にも差がついてくると思いますので、そういう意味で先端技術にしっかりコンタクトできる、取り組みの柱立ても技術を知る、技術を導入し使いこなす、それから環境を整備するという三つに分けていますけれども、まずは本県の多くの産業分野においては、まず知る機会を増やしていくことが重要だと思っています。それと同時に、県行政は学びの県づくりということを進めていますので、人材育成、すでに企業に就職されている方、産業に従事されている方の育成もそうですし、また将来AIとかロボットを活用して、医療、福祉、農業なども含めて広い意味での産業分野で活躍できるような人材を育てていくことも重要だと思っています。そういう意味では、高校改革であったり、先般工科短期大学校で企業の皆さんとお話してきましたけれども、工科短期大学校、技術専門校といったもののあり方であったり、こうしたものも時代の変化に対応して、AI、ロボットをしっかり活用できる人材を育てられるような機関になるように、充実あるいは改変をしていきたいと思います。
長野朝日放送(abn) 渡辺亮 氏
消防防災ヘリに関してお伺いしたいのですけれども、運航を8日から休止していたわけですが、本日から運航再開となりました。知事としての受け止めをまずお願いいたします。
長野県知事 阿部守一
人材確保の観点でヘリを運航できないという状況を生じさせて、県民の皆さま方の安全安心を守るという観点から、若干空白の期間が生じてしまったことに対しては、私としては残念な部分もありますし、他の県から応援をいただかなければなりませんので、ご迷惑おかけしている関係の皆さんには感謝をしたいと思っています。
これから消防防災航空体制は、安全第一に、以前に比べてより充実した体制を構築していかなければいけないという思いで、これまでも取り組んできていますので、パイロットあるいは整備士、こうした専門技能を持たれている方の確保であったり、規制であったり、こうしたものについても、これまで以上に力を入れて取り組んでいきたいと思っています。
長野朝日放送(abn) 渡辺亮 氏
今、知事からも発言がありましたけれども、整備士はかなり人手不足の部分があるというところに関して、今回こういった事態が発生してしまったということですが、今後何かこの具体的な強化策であったり対応策というのは何かお考えでしょうか。
長野県知事 阿部守一
これは先ほどの就業促進・働き方改革戦略会議で働き方改革ということもあって、操縦士であったり整備士の方たちも、働き方改革の観点でも考えていかなければいけない部分がたくさんありますので、そういう意味では、平常時からやはり充実した体制を組んでいくことが重要だと思っています。それからパイロット等の不足は本県だけの問題ではなくて、日本全体の問題でもあるので、ぜひそういう部分については国レベルでのしっかりした対応の検討をお願いしていきたいと思っています。
朝日新聞 岡林佐和 氏
来週、今年度末で中島副知事が退任されます。女性の副知事として、中島さんは4年間、いろいろな取り組みをされてきていると思うのですが、知事としてどのようにご覧になって評価しているのかという点と、女性の副知事の登用というのは、阿部知事ご自身が知事選で公約にも掲げて導入をされてきた経緯があると思うのですが、加藤さん、それから中島さんと8年間長野県には女性の副知事がいらして、お仕事されてきたということになると思います。女性の副知事の存在というのが長野県にどんな変化を、インパクトを与えたのか、または与えなかったのか、その辺をどういうふうにご覧になっているか教えてください。
長野県知事 阿部守一
まず、中島副知事には副知事として4年間、私を支えていただいて、県政の発展に大変尽力いただいたこと、心から感謝したいと思います。
女性の副知事としては、もちろん県庁内でのいろいろな議論の際に女性の視点であったり、女性の立場から、今日も就業促進のところで発言いただきましたけれど、積極的な発言をして議論をリードしてもらえたということで、大変県の政策づくりにいろいろな角度からの視点、とりわけ女性の活躍の視点を入れていただけたことはありがたいなと思っています。
環境エネルギー分野をはじめ、女性副知事としてではなくて、これまでの経験とか取り組みを生かした分野でも大きな成果を上げていただけたと思っています。
女性副知事は、私の一番最初の選挙公約だったわけでありますけれども、長野県は、県庁組織の中に女性が極めて少ないと。8年前、9年前ですけれども。私はいろいろなところで神奈川県庁の話をさせていただいていて大変恐縮なのですけれども、相当前私が神奈川県庁に勤務していたころと、当時8年前、9年前を比べてもまだまだやはり女性がいないのが当たり前みたいな組織風土があるのではないかということで、女性副知事を登用すると公約に掲げさせていただきました。
先ほど中島さんについて申し上げたように、加藤副知事のときも、例えば審議会の委員に女性をどんどん入れるような取り組み等活躍していただいたわけですので、組織に変化を与えるという一定の役割は果たしていただけたと思っています。
ただ、今日も部局長会議で、トップダウンとか一部の人事課が言っているからとかいう話ではなくしてくれといろいろなところで言っていますけれども、女性の副知事がいるから女性の観点が入るとか、そういうことではいけないのだろうなと思っています。もちろん、男性であっても女性の立場をしっかり考えられるようにしていかなければいけないと思いますし、あるいは、一部のポストに女性がいるから女性政策が進むということではなくて、全体的に女性が県組織の中でも活躍していくようにしなければいけないと思っています。
そういう意味で、人事でも女性の管理職はこれまでで最高の率にはなってきていますけれども、まだまだ増やしていかなければいけないと思っていますので、女性の活躍を県組織全体として進めていくという観点では、まだ道半ばのところもたくさんあるなと思っていますので、引き続き、この視点、女性の目線であったり、女性の活躍であったり、こうしたことは意識しながら県政進めていきたいと思っています。
朝日新聞 岡林佐和 氏
これで女性の副知事としては、県庁からは姿を消すことになりますけれども、そうしますと、ある程度の役割を果たして次のフェーズに移るようなところになると、役割を十分果たしたのではないかというお考えなのでしょうか。今後についても、道半ばというようなことはなありましたけれども、今後に関してはトップとして阿部知事がコミットしていくというお考えなのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
一つは女性活躍推進監というポストを新たにつくります。中島副知事がいろいろな女性の皆さんとのネットワークをこれまで築かれてこられました。これを雲散霧消させてしまうようなことがあってはいけないという思いと、それから県全体で女性活躍を進めていくという明確なメッセージを出すという意味で、そういうポストをつくらせていただいて、具体的な取り組みを進めていきたいと思っています。
ただ、一人のプレーヤーに依存することでは大きな組織は運営できません。一人ひとりの職員とか、それぞれの所属がしっかりと思いを共有しなければいけないわけです。
先ほど文書管理みたいな話とか今日の部局長会議で言った人材育成の話も、総務部がやる話とかではなくて、それぞれの部局が考えなければいけない話であると思っていますので、そういう意味で女性の目線とか女性の活躍ということも、より一般政策化していく。それぞれの部局の考え方として、しっかり反映し取り組めるような形にしていくことが、これからの長野県にとっては必要なのだろうと思っています。
中日新聞 我那覇圭 氏
確認なのですけれども、先ほど情報公開の関係で、意思形成過程を全部公開すると自由な議論を阻害するとおっしゃっていて、これをこのまま受け止めると誤解を招くような気がしなくもないのですけれども。そこら辺の真意をもう一度伺ってもよろしいですか。
つまり私的メモを、それを公文書とみなして開示対象とするかどうかというのは別の議論になると思うのですけれども、できる限り詳細を残すというのは極めて大事なことだと思うのですが。
長野県知事 阿部守一
確認いただいてありがとうございます。
例えば審議会とかいろいろな委員会で、どういう議論が出てどういう方向づけがされたかみたいなことは当然記録として残さなければいけない話だと思っています。ただ、意思形成過程も海の物とも山の物ともつかないことを議論することもいっぱいあるわけで、そういうものをどこまで出してどこまで出さないかというのは、私としてはさっき申し上げたような感覚です。
ただ、先ほど申し上げたように、メディアの皆さんとか、あるいは県民の検証という観点からどこまで必要なのかというのは、また少し違う切り口の見方とか意見があるだろうと思いますので、そういうご意見はできるだけ受け止めさせていただきながら考えたいと思っています。
一番、私が組織の中で仕事をしていて感じるのは、メモだとか、意思形成過程というような話よりは、なぜこういう意思決定を県がしたのか、あるいは知事はなぜこういう判断をしたのかということを正確に明確に残すということが重要なのではないかなと思っています。
毎日いろいろな情報がたくさんあります。先ほど部局長会議でも言いましたけれども、100枚のあまり詰まっていないような紙を残されるよりも、一つの精緻に詰められた紙を共有してもらった方が私は仕事がやりやすいです。おそらく検証とか、県民の皆さんが意見や批判するときにも、わけのわからない100のペーパーがあるよりも、明確な1枚のペーパーである方が実は分かりやすいのではないかというのが私の感覚です。ただ、それについてはそうではないというご意見もあり得るのだろうと思いますので、よく研究をしたいなと思います。
長野県知事 阿部守一
どうもありがとうございました。
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