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更新日:2018年6月18日
≪阿部知事からの説明≫
4 日本財団パラリンピックサポートセンターとの協定締結について
≪取材者からの質疑≫
20 「県民ホットライン」の今後の公表方針等について(その2)
長野県知事 阿部守一
それでは今から会見を開きます。よろしくお願いいたします。(手話で表現)
私の方から冒頭5点お話を申し上げたいと思います。
まず1点目ですが、SDGs未来都市に選定されたということでございます。
本日、国から長野県SDGs未来都市に選定をいただきました。先ほど、総理官邸で安倍総理から選定証をいただいたところです。私どもの「しあわせ信州創造プラン2.0」でもSDGs(エスディージーズ/国連が定めた持続可能な開発目標)をかなり強く意識したものにさせていただいていますし、本県はこれまでも環境エネルギー政策をはじめとして、SDGsの理念にかなう取り組みを進めてきたことが、国においても認めていただけたものと受け止めています。大変うれしくありがたく思っています。
長野県としては経済、社会、環境、こうした観点からさまざまな課題を統合的に解決していきたいと思っています。また、誰にでも居場所と出番がある信州をつくろうと取り組んでまいりましたが、誰1人取り残さないというSDGsの理念は、長野県のこれまでの取り組みとも大変合致しているものですし、今回の選定を契機にさらに長野県としてのSDGsの視点を持った取り組みの強化をしていきたいと思っています。
今回選定されたことを受けて、関係省庁のタスクフォースから強力なご支援をいただけるということです。これはSDGsについて世界の国々が連携をしながら達成していこうということで、国際的な目標になっているわけですので、本県としても、国とも十分に連携しながら、地域からSDGsの理念をしっかり広めていくとともに、世界的な視野に立った取り組みを進めて、世界の中でもSDGsの観点で注目される地域になるように全力で取り組んでいきたいと思っています。
長野県知事 阿部守一
それから2点目ですが、先ほどの部局長会議の協議決定事項等についてです。
まず、6月補正予算案につきましては、当初予算編成後の状況の変化を踏まえて、必要な予算措置を講じようとするものです。規模は3億7000万円余と、その他債務負担行為として30億8000万円余という規模でございます。
主な内容でございますが、まず、信州まつもと空港の発展、国際化でございます。その中でも大きく3つございますが、1つは札幌丘珠(おかだま)線就航セレモニーの実施です。8月、札幌丘珠空港への新規就航が実現したわけですので、初日の8月8日に記念のセレモニーを行っていきたいと思っています。
2つ目は、国際チャーター便誘致を進めるための予算措置です。当初予算におきましては年間30便を目標ということで予算計上させていただいていますが、現在交渉中のものを含めますと、これを上回るチャーター便の就航が見込まれています。そういう観点で、目標便数を20便分増やして50便として取り組んでいきたいと思っています。
それから3点目が空港施設の機能強化に向けた駐車場の増設です。昨年度の信州まつもと空港利用者は14年ぶりに13万人台で非常に増加傾向にあります。こうした中で、繁忙期には駐車場が足りないという状況になっていますので、駐車場の増設に着手していきたいと思っています。引き続き信州まつもと空港の発展、国際化に向けた取り組みをしっかり進めていきたいと思っています。
それから大きな2つ目が、G20関係閣僚会合の開催準備経費です。来年6月、軽井沢町で開催される予定のG20関係閣僚会議ですが、まず官民一体で協議会を設立して受け入れ体制を整備していきたいと考えています。関係閣僚会合の成功に向けて地元としての準備体制をしっかり整えていきたいと思っています。
またこの会合を、単に会合が開催されたということではなくて、本県の取り組みをさらに加速させていく契機にしていかなければいけないと考えています。そうした観点で、環境エネルギー政策に関連するシンポジウムの開催を行っていきたいと思っています。
また、今回の補正予算上は直接出てきませんけれども、関連して1点だけ申し述べますが、先般G20関係閣僚会合が開催決定された際に、世耕経済産業大臣そして中川環境大臣から県職員の派遣についてご要請をいただいていました。7月1日付けで、経済産業省そして環境省に一名ずつ県職員を派遣することにしたいと思っています。
それから大きな3点目でございますが、消防防災航空体制の再構築についてです。安全運航には十分配慮しながら段階的な消防防災ヘリコプターの運用を行ってきているわけですが、ヘリコプターの機体の購入手続きに着手していきたいと考えています。
昨年度消防防災航空体制のあり方検討会においては、自ら機体を購入すべき、自前で持つべきという方向性が示されています。財源的にも自前で保有したほうが起債等も活用できるということもあります。
4月から仕様等検討会を設置して安全運行に必要な装備品等について検討を行ってきたわけですが、その結果、2020年度中の機体の納入を目指して必要な手続きを進めていきたいと考えています。
消防防災航空体制は現場の職員が本当に努力をして訓練に励んできていただいていますので、私どもとしても、しっかりとヘリコプター自体の購入手続きを進めていきたいと思っています。
それから、本日は条例案について3件決定しました。まず特別職の職員の給与に関する条例の一部改正条例案ですが、特別職報酬等審議会の答申に基づき、県議会議員の議員報酬額、そして、私や副知事の給料月額を引き上げるとともに、副知事、知事等の退職手当の支給割合を引き下げる改正を行うものです。
また、県税条例等の一部改正条例案につきましては、地方税法等の一部改正に伴いまして、県のたばこ税の税率を段階的に引き上げるとともに、個人県民税の基礎控除の見直しに合わせて、高所得者につきまして調整控除の適用をしないこととする等の改正を行うものです。
また、旅館業法施行条例の一部を改正する条例案においては、旅館業法等の一部改正により、ホテル及び旅館の営業種別が旅館・ホテル営業というかたちで統合されたことに伴い、規定の整理等を行うものです。補正予算案に計上した事業、あるいは条例案の具体的な内容につきましては、後ほど担当部局に取材いただければと思います。
長野県知事 阿部守一
それから3点目ですが、県民ホットラインの公表のあり方について、ここの会見の場でも何回かご質問等いただいたわけでありますけれども、方針を定めましたのでご報告させていただきたいと思います。
この公表に関する対応につきましては、有識者のご意見も伺いながら検討してきたところです。今後ともお寄せいただいたご意見を原則として全文公表していく姿勢は変わりませんが、今回、人権上の配慮に欠けているのではないかとご指摘をいただきましたので、真摯に受け止め、大きく2点、改めていきたいと思っています。
1点目は、まず公表する際のご意見の修正削除等の対象として、これまで個人または法人等に関する情報、あるいは個人等に対する誹謗(ひぼう)中傷、こうしたものを修正削除等の対象ということで、お示ししていたわけですけれども、今回、差別的と思われかねない、人権への配慮を欠いた表現ということも追加して、こうした表現がある場合には、修正削除の対象となり得るということを明示していきたいと思っています。
それから、2点目ですが、他方でご意見を削除修正するということについては、できる限り慎重に対応する必要があるということもありますので、人権問題に対して知見を有する有識者の方のアドバイスを受けた上で、修正削除等を行っていくかたちにしていきたいと思っています。
人権への配慮を欠いた表現というものを文言のみならず前後の文脈等も判断していかなければいけない部分もありますので、有識者の方からアドバイスを受けて、しっかりとした対応を県として行っていきたいと考えています。
また、この制度はご意見をお寄せいただく皆さま方の意見表明の場を保証するものではないと考えていますので、県が修正等を行った場合に、事後的に第三者機関でチェックすることまでは行わないということにさせていただく考えですが、ただ、公表後の問い合わせ等に対しては、丁寧に対応していきたいと考えています。
今回の対応につきまして、この会見の終了後、広報県民課から詳細にご説明させていただきたいと思っています。改めて県庁全体で人権に対する意識をしっかりと持って県政を進めていきたいと思っています。
長野県知事 阿部守一
それから4点目ですが、すでにプレスリリースさせていただいているところですけれども、日本財団パラリンピックサポートセンターとの協定の締結についてです。
来る6月17日の日曜日に、軽井沢町におきまして、「パラスポーツフェスタin 軽井沢」というイベントを開催したいと思っています。長野オリンピック・パラリンピックの開催から20年経過するということで、このイベントにおきまして、多くの県民の皆さま方がスポーツの持つ楽しさや可能性に気づいていただくこととあわせて、障がいがある方も含めて多様性を尊重する長野県の社会づくりに向けた大きなステップとなるように、このフェスタを開催していきたいと思っています。
このイベントにあわせまして、公益財団法人日本財団パラリンピックサポートセンター、通称「パラサポ」と呼んでいますけれども、「スポーツを通じた共生社会の創造に向けた連携・協力に関する協定」を結ぶことといたしました。これは全国の自治体では初めてです。イベント当日は、同センターの山脇会長にもご出席いただいて、協定締結のセレモニーを行いたいと思っています。
長野県は全国障がい者スポーツ大会の開催もほぼ決まっているわけですし、スペシャルオリンピックスやパラリンピックを開催してきた県です。これからもスポーツを通じた共生社会の実現に向けた取り組みに力を入れていきたいと思っています。具体的には例えば総合型地域スポーツクラブにおける障がい者の受け入れ体制の強化であったり、あるいはこれから全国障がい者スポーツ大会を開催していくわけですので、それに向けた障がい者スポーツの振興であったり、こうしたことにパラサポと一緒になって取り組んでいきたいと思っています。
長野県知事 阿部守一
最後5点目でありますが、事業承継ネットワークの設立についてです。お手元にプレスリリース資料をお配りしているのでご覧いただければと思いますが、この度、中小企業振興センターを中心として「事業承継ネットワーク」を6月20日に立ち上げることとしました。
これまで県としては事業引継ぎ支援センターを設置して、個別のマッチング支援等を行ってきたわけでありますけれども、潜在的な事業承継ニーズの掘り起こし等が不十分である、また、専門的な人材が不足しているのではないかという課題がありました。今回、事業承継ネットワークを設立して、関係の皆さま方に幅広く加わっていただく中でネットワーク化するわけですけれども、設置することにより経営者の方々に事業承継の必要性について早期の気づきを促していきたいと思っています。あわせまして専門家となりうる人材を発掘し、育成を行ってまいります。そして、産業支援機関、金融機関、あるいは税理士、弁護士等の専門家が相互に連携して、関係機関が一体となった課題解決を促進することによって、企業の事業承継を促進していきたいと考えています。
県としても、経済界の皆さま方と問題意識を共有して、長野県の企業、産業がさらに継続的に発展することができるように取り組んでいきたいと思っています。
私の方からは以上です。よろしくお願いいたします。
共同通信 岡田健太郎 氏
消防防災ヘリの購入の目途がついたということで、先ほど知事からも発言がありましたけれども、財源的なメリットと、運航と活用におけるメリットを知事としてどうお考えか、改めてお聞かせください。
長野県知事 阿部守一
充当率が高く交付税措置がある起債を充当できるという財源的なメリットがあります。リースだとどうしても一般財源で対応しなければいけませんので、財政的には明らかに差が大きいと思っています。
それから機体を購入して自己所有することになれば、当然、操縦士であったり、あるいは救助隊のメンバーが、その機体を中心にいろいろな訓練ができるわけです。リースであるとどうしてもまた機体が途中で変わったりする可能性がありますけれども、長野県が保有すれば、もちろん耐用年数等ありますが、その間はしっかり使えるということで、安定的な消防防災航空体制の運用を行っていく上でもメリットがあると思っています。
日本経済新聞 佐伯遼 氏
先ほど発表がありました事業承継ネットワークの件で質問ですが、これはマッチングとかまで踏み込んで事業承継の案件の数の拡大に繋げていくお考えなのか、それとも先ほどおっしゃったとおり専門家の育成に重点を置くのか、そこら辺をもうちょっと詳しく教えていただけないでしょうか。
産業立地・経営支援課長 矢後雅司
マッチングの支援に関しては、現在でも事業引継ぎ支援センターで個別案件についてやっているので、そういう観点では引き続きやっていきます。今回、事業承継ネットワークの設立に当たり、潜在的な事業承継のニーズをしっかりと深掘りをしていき、そこに積極的に関わっていくことでニーズを引き出して、各支援機関に引き継いでいくということで、両方ともしっかりと取り組んでいくということです。
日本経済新聞 佐伯遼 氏
実働部隊としては各支援機関、金融機関であったり支援センターであったりに案件を渡して、そちらで例えば事業承継の最終的なM&A(エムアンドエー/合併・買収)であったりそういう方式を支援機関で手掛けていくというようなイメージになるのでしょうか。
産業立地・経営支援課長 矢後雅司
基本的には各支援機関でしっかりとM&Aですとか、そういう事業承継に取り組んでいただくと。その際の潜在的な事業承継のニーズをしっかりと事業承継診断の実施等を行いながら課題等をしっかりと明確にした上で、それを引き継いでいくということで取り組んでいきたいと考えています。
日本経済新聞 佐伯遼 氏
先般、新潟県知事選挙で花角氏が知事に就任されましたが、改めて隣県の知事に期待されることは何かありますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
まさに新潟県とは県境を接しているわけで、例えば松本糸魚川連絡道路をはじめとして、共通する課題もたくさんあります。また、例えば栄村での地震の際にも、新潟県との連携協働というのは大変重要な取り組みですので、そういう意味で新しい花角知事ともしっかり協力できるような体制を作っていきたいと思います。
時事通信 真勢春海 氏
先日、骨太の方針の原案が示されたと思うのですけれども、これについて地方財政に与える影響について知事のお考えをお聞かせください。
長野県知事 阿部守一
今回の骨太の方針でわれわれが最も注目していたのは、地方の一般財源総額をどうするかということです。これについては、本年度の地方財政計画の水準を下回らないように自主的に同水準を確保すると明記されたことはありがたいと思いますし、評価したいと思っています。ただ地方財政においても、まだまだ社会保障関係経費の伸びがこれから見込まれていくなかで、一般財源総額を確保されたということだけで財政運営が楽になるわけではないので、引き続きわれわれ自身の努力もしていかなければいけないと思いますし、また国に対しても制度改正してもらわなければいけないということについてはしっかり求めていきたいと思っています。
それからもう1点は、幼児教育の無償化に関連して、信州型自然保育「信州やまほいく」を県として認定していますので、全体を無償化の対象にしてもらいたいということを要請してきたわけですけれども、保育の必要性があると認定された子どもだけが対象になるので、ここについてはわれわれの要望が通ってないということです。県としてもどういう対応しなければいけないかということについては、国の考え方もしっかり把握しながら、県としての対応も考えていかなければいけないと思っています。
信濃毎日新聞 千野雅樹 氏
消防防災ヘリの話ですが、新しい機体を購入されるということで、これでまた一つ次のステップに進んだのかなと思うのですが、その辺の受け止めと、今後入札をして2020年度の納入を目指すということになると思うのですが、この自前の機体と自前のパイロットで運航するいわゆる自主運航の再開の時期は、イメージされていたら教えていただきたいのですが。
消防課長 吉原英樹
先ほど知事から説明がありましたが、新機体の導入については2020年度中で、納入を受けて速やかに慣熟訓練に入り、終了後2020年度中には活動を開始したいと考えたいということです。
信濃毎日新聞 千野雅樹 氏
2020年度中に自主運航ということで。
消防課長 吉原英樹
パイロットは基本的に全部県職員で賄うことが今のところ難しい状況かと思いますので、基本的には県職員と派遣を受けたパイロットによるかたちでの運航になろうと思います。
長野県知事 阿部守一
ダブルパイロット制をとりますので、これまでよりパイロットの数が必要になってきますので、そういう意味ではパイロットについてはしばらく派遣が続くというかたちになると思います。
信濃毎日新聞 千野雅樹 氏
これでまた一つ、次のステップに進んだことについて知事は今どのように受け止めていらっしゃいますか。
長野県知事 阿部守一
消防防災航空隊は空から長野県の安全安心を守っている組織ですので、私としては着実にステップを踏みながら従前の体制、あるいは従前以上の体制がとれるように進めていきたいと思っています。
信濃毎日新聞 千野雅樹 氏
今週、米朝の首脳会談が行われて歴史的な会談になった一方で、北朝鮮の非核化を巡っていろいろな論調もあると思うのですが、知事は報道等を通して今回の米朝首脳会談をどのように受け止められたか教えていただければと思うのですが。
長野県知事 阿部守一
若干評論家的な話にしかならないですけれども、北朝鮮からミサイルが飛んできて私どももアラートが鳴るという事態が生じたわけですので、そういう意味でそういった状況が遠のいたということについては良い方向にいっている部分だと思います。
ただ、北朝鮮がこれから具体的に核の放棄をどうしていくのか、ミサイルの放棄をどうしていくのかという事は、明確に分からないことがたくさんありますし、また我が国として最も重要な拉致問題も、依然道筋が見えてこない状況です。日本政府がこの今の状況をしっかり踏まえて、次の対応をどうするか、これは、多くの国民が北朝鮮に対してしっかりとした対応を政府が取ることを期待していると思いますので、東アジアの平和を構築していく上で、日本政府として、正念場ではないかなと思っています。
信濃毎日新聞 千野雅樹 氏
知事選挙の関係なのですけれど、間もなく告示まで1カ月となりますが、来週から6月定例会も始まるということで、なかなか公務と政務の切り分けというのも難しい時期にも入ってくるかなと思うのですが、知事のイメージとすると6月県議会は7月6日が閉会日になりますけれど、それ以降から本格的に政務の方に、選挙活動に切り替えるイメージでいらっしゃいますか。
長野県知事 阿部守一
あまりそういうイメージを持っていないといいますか、県知事として仕事をさせていただいているので、基本的には公務優先だと思っています。ただ、どうしてもメディアの皆さま方の対応をはじめとして、だんだん選挙期間が近づいてくると、そういうご要請が増えてきますので、そこは一定程度対応していかなければいけない状況です。公務を優先しながらも、そうしたことは県民の皆さまのご要請でもあると思いますので、そうした部分は対応していきたいというのが今の考え方です。選挙期間になれば、私とすれば、県民の皆さま方と向き合う非常に重要な機会ですので、そういう意味では選挙運動に専念していきたい。もちろん非常事態等があれば、公務に復帰しますけれども、選挙期間中は選挙に全力投球していきたいと思っています。
市民タイムス 赤羽啓司 氏
私も知事選関係で、今の知事は5月7日に出馬表明されておよそ1カ月。あと、告示までも1カ月ということで、今の知事の1カ月の準備状況、公約の時期というのもまた改めてお聞かせいただいてもよろしいでしょうか。
長野県知事 阿部守一
準備状況は先ほど申し上げたように公務優先で行っているので、私自身の公約をつくるのはまだ半分いっていないぐらいかなというのが、自分自身の感覚です。そのような状況で、県議会も近づいてきていて、県議会の対応も真摯(しんし)に行わなければいけませんので、ここでも以前申し上げたと思いますけれども、公約を取りまとめて発表するのは、7月の上旬ぐらいかなと今のところ思っています。公務もしっかり対応しながら、それ以外の時間で私なりの考え方をまとめていきたいと思います。
市民タイムス 赤羽啓司 氏
松本空港の国際化の関係で、チャーター便の就航目標50便ということで、そうなると、10年間の取り組み方針で当初示していた100便の半分という数字に、策定から3年間で達することになるかと思うのですが、それについての知事の今の思い、順調にいっているという思いなのかどうか伺ってもよろしいでしょうか。
長野県知事 阿部守一
ひと頃に比べると、これは関係の職員であったり、関係者の皆さんのご協力と努力で、だいぶ国際チャーター便の可能性は広がってきているなと受け止めています。ただ、先ほど申し上げたように、いろいろな引き合いや交渉中の案件がありますけれども、まだ確定しているわけではありません。今の時点では、すでにコリアエクスプレスエアが7便、それからロシアのヤクーツク航空が4便というところまで確定で、その他に交渉中の便がさまざまな航空会社とありますので、やはりしっかり具体化に結びつけることが重要です。ひと頃に比べるとその可能性は広がってきていますけれども、ただ、まだそう楽観視せずに、しっかりと気を引き締めて取り組んでいきたいと思っています。
読売新聞 丸山修 氏
民泊に関連してお尋ねしたいのですが、観光地域づくりで、県としては最近規制改革案の募集などに取り組んでこられたかと思いますが、観光戦略を議論する上では、やはり規制をかけるというより緩和していく議論をした方が前向きで生産的ではないかというような気はしますけれども、民泊をめぐっては、県は国の法律と、あと市町村の考え方の間で板挟みになって、ルールつくりに追われる中で、なかなか観光の振興の前向きな部分について議論する余裕があまりなかったのではないかという印象を受けます。今後を考えると、県と例えば軽井沢のような有力な観光地との間で、きちっと足並みを揃えて、今後に向けた戦略を議論していくことも大事ではないかと思いますが、知事としては現状、県と町のスタンスの違いというのをどのように認識して、今後どのようにしていくべきとお考えか教えてください。
長野県知事 阿部守一
これは軽井沢町を含めて、私どもと市町村との関係は基本的に同じ方向を向いていると思っています。ただ、われわれが条例をつくるに当たっては、法治国家ですから、法律の枠内で作らざるを得ないということで、町はさらにまた独自の観点でいろいろな取り組みをされるということで、県と市町村の考え方が同じではないということは全く無いと思っています。今回私どもの規制も、市町村によっては非常に民泊を積極的に活用したいというところと、逆に抑制的にしていきたいというところがありますので、われわれは、単にそうしたいああしたいということだけではなく、法律の趣旨を踏まえて、適切な対応というのはどうあるべきかということを共有した上で、条例、規則に落とし込んでいるわけですので、そこは問題ないと思っています。
これから信州アフターデスティネーションキャンペーンも、スタートしますので、民泊の活用をという観点だけではなく、長野県の観光地域づくりは、さらに市町村をはじめとする観光関係者の皆さまと一緒にしっかり取り組んでいきたいと思っています。
読売新聞 丸山修 氏
その基本的な方向性としては、知事としては、県も市町村も同じということですが、例えば軽井沢町に絞ってみますと、町はやはり全面禁止を求めていた経緯がありまして、県としては国の指針等に従って条例ルールを作った結果、少なくとも県と軽井沢町間には乖離(かいり)があることが、条例という点からは浮き彫りになってしまったかと思いますが、その辺りはどうでしょうか。
長野県知事 阿部守一
あまり乖離はないと思っていますけれどね。乖離がないというのは、先ほど申し上げたように、われわれも民泊法をつくるときにいろいろな意見を言いましたので、その意見通りに民泊法ができているかというと、必ずしもそうではない部分もあるわけで、しかしながら、先ほどから申し上げたように、法律の枠内で、われわれは自由裁量で仕事するわけにはいきませんので、あくまでも民泊法の中で条例を作って、規則を作らなければいけません。そういう意味では、最大限、軽井沢町のお考えも反映した条例になっていると思っていますので、基本的に考え方に齟齬(そご)があるということはないと思っています。
読売新聞 丸山修 氏
ユニバーサルツーリズムについてお聞きしたいのですが、県としては取り組みを進めていくということで、先ほどの部局長会議でも、ヘルプマークの普及のお話も関連して触れられまして、こちらのユニバーサルツーリズムの推進は観光、経済だけではなく、福祉や学びなど、いろいろな部分にかかわってくる広がりのある話ではないかと思いますが、知事としては、ユニバーサルツーリズムの持つポテンシャルですとか、県として目指す姿をどう考えているのか教えてください。
長野県知事 阿部守一
先ほどSDGsの話もしましたし、誰にでも居場所と出番がある信州をつくろうと取り組んでくる中で、観光県としての長野県は、障がいがある方も、あるいは高齢の方も、全ての皆さんにお越しいただいてご満足いただけるような観光地をつくっていくことが大変重要だと思っています。幸い県内は、そうしたユニバーサルツーリズムを推進されている関係者の皆さま方も大勢いらっしゃいますので、皆さま方と一緒になって取り組んでいくと同時に、われわれ行政としてやらなければいけない、例えば環境整備やハード面の整備など、そのようなところはしっかり進めていきたいと思っています。
読売新聞 丸山修 氏
喬木村からのバス事業者の撤退が、一部の報道で報じられていましたけれども、知事としては地域の公共交通を維持確保していく上で、どのような政策が有効で、今後県としてはどのように取り組みを進めていきたいとお考えか教えてください。
長野県知事 阿部守一
喬木村の件は私も報道で見ているだけですので、的確なコメントになるかどうかということはありますけれども、一つは人材不足、運転手さんが足りなくなってきていることが交通関係ではあると思っています。今、県全体で人材確保の話は、「長野県就業促進・働き方改革戦略会議」を作って取り組んでいこうということになっていますので、長野県における人材確保をどうするかという中で、交通関係の人材確保についても、しっかり考えていく必要があると思っています。
それから、どうしても人口減少の中で、地方のバス路線を中心に不採算路線がだんだん増えてきているという状況があります。交通の場合は、事業者が料金を徴収して主体的に頑張ってくださいということからスタートして、今多くの市町村が委託したり、財源を補助したりしながら、地域交通を維持するようになってきているわけですけれども、ただ、私としては、やっぱり国全体の交通政策に対するスタンスが、まだ不明確ではないかなと思います。特に財源の部分ですね。道路整備等のインフラ部分の財源措置は、従来から非常に手厚い措置がされていますけれども、交通の部分に対する財源措置が、例えばうちの県で言えば、しなの鉄道に対する支援もそうですが、鉄道やバスに対する支援は、少しずつ改善はされてきていますけれども、基本的な考え方はまだ昔ながらの考え方だと思いますので、そのようなところの改善改革も、県としても考えると同時に、国にも手厚い対応を求めていく必要があると思っています。
テレビ信州(TSB) 佐々木渉 氏
知事選について、公約発表は先ほど7月上旬ということですが、これまで県民の声を聞くということで対話集会を重ねてきたと思いますけれども、その成果と、どのような声が聞かれてきたかとお感じでしょうか。
長野県知事 阿部守一
今まとめ中ですので、私もずっといろいろな方とお話しして、いろいろなご意見をメモして、それをもう1回私が翻訳して公約に盛り込もうと思っているので、まだ途中段階ですけれども。いくつか私が感じているのは、働き方改革のような観点も、長野県における働き方改革は東京目線の働き方改革とたぶん違ってくるのだろうなと。女性の方とお話させていただくと、やはり働きたいという意欲はあるけれども、しかしながら画一的な勤務体制だとなかなか働けないというようなニーズがあって、片方で、経済界の皆さんとお話すると、先ほど申し上げたように人手が足りないという話になっています。今、長野県は「職場いきいきアドバンスカンパニー認証制度」等を作っていますけれども、働き方についてはもう少し経済界の皆さま方にも協力してもらって、しっかり取り組んでいくことが必要だと思っています。
それから、移住に関連して、例えば地域おこし協力隊のような方や、移住されてきた方とお話すると、県としての移住の取り組みが、基本的に定住重視というかたちになっているけれども、しかしながら多様なライフスタイルを支えるという観点からは、必ずしももう未来永劫(えいごう)住むようなかたちの移住促進だけでなくていいのではないかと。例えば、子育て中だけの移住や、そのようなご提案もあったので、例えば、われわれの移住政策のあり方も、もっと柔軟な発想で考えなければいけないと思っています。
いろいろなご意見をいただいているので、今整理中ですので、またしっかりしたかたちで公約として取りまとめてお示ししていきたいと思っています。
テレビ信州(TSB) 佐々木渉 氏
考えている中で構わないのですけれども、基本的な考え方として子育て支援対策と観光振興について、今の考え方、スタンスを教えていただきたいのですけれども。
長野県知事 阿部守一
一つ、子育て支援は、例えばこれまでも、ちょうど今年の夏から子どもの医療費助成の現物給付化を長野県は市町村と一緒になって始めていくわけですし、県としても第3子以降の保育料助成も行って、子育て支援をこれまで以上にかなり手厚く対応してきています。これからは、私は子育て中のお母さんたちとお話すると、もちろん財政的な負担も重要だと思いますが、教育費の無償化で、国がかなり踏み込んでくれていますので、むしろ支援体制であったり、相談する場であったり、居場所であったり、こうしたところを市町村の皆さんと一緒に強化していくことが、子育てされているお母さんを応援していく上では重要なのではないかなと思っています。そういう意味でサポート体制の充実ということが重要なテーマかなと思っています。
それから観光振興については、長野県全体で観光戦略推進本部を作って、単なるキャンペーン観光からの脱皮ということで取り組んできていますけれども、地域の皆さんには広域DMO(ディーエムオー/観光振興を官民一体で進める地域組織)を作ってもらってそれを応援していこうということが、今の県の観光戦略の大きな目標の一つになっています。ここは地域の皆さんの思いがさまざまあるので、そう簡単に進まない部分もありますけれども、本当の意味で観光県として脱皮していく上では地域におけるDMOをしっかりと構築していただいて、そしてその取り組みを県としてサポートしていく、いわゆる観光政策であったり観光の取り組みの仕組みを変えていくことが一番重要だと思いますので、そこに注力していきたいと思っています。
朝日新聞 岡林佐和 氏
県民ホットラインについて伺いたいと思います。先ほど、今後の対応策、問題を受けての対応策をまとめられたというお話がありましたけれども、今回、そもそも対策法から2年が経って自治体がヘイトスピーチの解消に取り組む主体なのにもかかわらず、県のホームページにああいった表現が載ったということでしたけれども、そもそもこういった問題が起きた背景についてどういった分析をされたのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
背景は職員に人権意識が徹底されていないということだと思います。そういう意味で、あの文書を見たときに、これは何とかしなければいけないのではないかというような行動に移せなかったところが一番問題なのだろうと思います。
朝日新聞 岡林佐和 氏
今後は第三者機関のチェックの仕組みを入れた上で修正等も行っていくということですけれども、一方で修正や削除ということになってきますと、やはり今後は県の都合の悪いものを削除するというふうになってしまうのではないかとかですね、そこのところの懸念が出てくると思うのですけれども、そういった点はどうお考えになってこういった仕組みに落とし込んだのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
まず、都合の悪いものを修正するという発想は全く持っていません。持っていませんので、今のようなご指摘をいただいたということで、それは受け止めて考えなければいけないのかもしれませんけれども、先ほどから申し上げているように原則公表というかたちにしています。この県政ホットラインについてのあり方というのは一体何なのかということを考えたときに、われわれ県がやっていることに対してご意見をいただいて、それを改善していくことが基本的に一番重要なのだろうと思います。ですから、県民ホットラインは、ご意見を言ってこられる方の意見表明の場ではないわけですので、やはりわれわれが真摯に受け止めて対応していくことが最も重要なのだろうと思っています。
いろんな文書の改ざんとか世の中的にあるので、今みたいなご質問が出るのだろうと思いますけれども、全くそういう発想はありませんし、われわれ自身も県民の皆さま方ともできるだけ情報共有していこうという趣旨をしっかり各部局間で共有して取り組んでいきたいと思っています。今回の県民ホットラインの公表のあり方についても、広報県民課あるいは企画振興部が考えるだけではなくて、複数回にわたって政策会議の各部局長がいる中でどうあるべきかと検討した結果ですので、ゆめゆめそんなことを思っている部局はないと思います。そんなことってないですよね。自分たちに都合が悪いことをこの際変えてしまえなどという発想は言語道断だと思いますし、各部局長も入れて議論していますのでそんな発想には立たないと思います。そんなことがあれば極めて遺憾な問題だと思います。
朝日新聞 岡林佐和 氏
その発想でできたのではないかということはないのですが、当初の制度設計と後々変わってくるということがあるかもしれないと思ったので、質問させていただきました。
ヘイト対策の対策法ができてから2年が経ちますけれども、いろいろな自治体で条例をつくる動きもあります。長野県は確かにデモが頻発するというような地域ではないですけれども、例えば世田谷区では、ヘイトデモの規制だけではなくてもっと広く外国人の方の住居への入居ですとか就職の差別とかいろいろな差別的な取り扱い等を含めて差別の解消をうたった条例を作ったり、東京都の方でも今パブリックコメントが出ていて検討されています。そういった意味でいきますと、長野県でも外国人の方が非常に増えていますし、これから人口減の時代が来ている中で外国人の方への期待もすごく大きいところだと思うのですけれども、将来的にこういった人種差別の解消を目指した条例を作っていくようなことは、先ほどなかなか人権意識の高まりがというご指摘もありましたけれども、将来的にそういったお考えはいかがでしょうか。
長野県知事 阿部守一
長野県は誰にでも居場所と出番がある長野県を作ろうということで、これは外国人の皆さんにとってもやっぱり居心地が良い県でなければいけないと思っています。そういう意味で、国籍だとか人種とかを背景にした差別とか人権侵害を行われてはいけないと思っています。ただ、今の時点でそいういご要請とか非常に困っているという話、今お話もあったように都会とは違ってあまり私のところに聞こえてこない状況です。むしろ、逆にそういうことを作っていくことが分断を生んでしまうことになってもいけないと思いますので、よく考えていきたいと思います。
むしろ、先ほどの部局長会議でも日本語教育の話をもっと強化してくれという話をさせてもらいましたけれども、ルールを作って規制することももちろん必要な場合もあると思います。ただ、それよりもやはりお互い人間として分かり合える、理解しあえる、そうしたことからしっかりやっていくことがまず重要なのではなかと私は思います。
毎日新聞 鈴木健太 氏
今話題になっていた県民ホットラインで私も一つお伺いしたいのですが、知事が、職員の人権意識が徹底されてないことが背景の一つになったのではないかとお答えがありましたけれども、では今後、職員の方々に対して人権意識を徹底するためにもう少しこういうことをしていきたいというのがあれば教えてください。
長野県知事 阿部守一
われわれは、人権問題に対しての研修をやってはきているのですけれども、必ずしもヘイトスピーチ的なものに対して十分であったのかと言われると、そうではないからこういう状況になってしまったのだと思っています。
これは外国人の方たちに対する問題に限らず、いろいろな人権問題がありますので、われわれ公務員として、もう1回改めて人権に対してどう向き合うかということについて徹底していけるようにしていきたいと思っています。
先ほども申し上げたように、この問題は、本来は広報県民課マターで私と広報県民課で議論してこんな仕組みがいいのではないかとやれば済んでしまう話ですけれども、あえて他の部局長にもこの問題の議論に参加してもらいました。そしてこれからも人権研修会等もありますので、こうした問題に対する感性をしっかり身につけてもらえるように取り組んでいきたいと思っています。
毎日新聞 鈴木健太 氏
もう一度ヘリについて私もお伺いしたいのですが、債務負担行為の設定なのですけれども、あくまで選択肢としてはですが、9月議会とか11月議会という選択肢もあったかと思うのですけれども、今回あえて6月議会を選んだ理由があれば教えてください。
長野県知事 阿部守一
これは、関係者の皆さんの思いが「自前でヘリを持つべきだ」という方向性が出されて、そして今回最も重要なのは安全性への配慮ですけれども、装備すべきものも検討の結果が出されたので、これは機体の購入にはかなり時間が要するということもありますので、できるだけ早く購入作業を進めていこうということで、今回予算を債務負担行為というかたちで提案をさせていただこうというものです。
中日新聞 今井智文 氏
知事選に関して一点だけなのですけれども、県民との対話、先週で6回ほど行われて、また今は予算査定等の公務中心にきているかと思うのですけど、今のところ6回程やられて十分に話を聞けて手応えあったという状況なのか、公約策定までにもう少し話を聞きたいような状況なのか、その辺はどういう手応えでしょうか。
長野県知事 阿部守一
できればいっぱい対話するにこしたことはないと思っていますが、今回、例えば政務で行っているもの以外にも、相当程度ランチミーティングとかタウンミーティングとか、県民の皆さま方の声を直接伺ってきています。そういう中で、いろんな産業分野であったり、あるいは福祉や医療であったり、あるいは子育て・教育だったり、そうした声をたくさん聞いてきていますので、今回公約を作るに当たっては、私が直接政務で対話をさせていただいた方々だけの意見ではなくて、これまで伺ってきたものを全体として受け止めて作っていきたいと思っていますので、一定程度県民の皆さま方の感覚とか思いは共有させていただけたと思っています。
長野朝日放送(abn) 渡辺亮 氏
知事選の関連なのですけれども、これまで県民と対話を続けてこられた中で、今回は主にどのような方を中心に対話をされたのかという狙いがもしあればというところと、あと一点今後に向けたさまざまな要望が多分出てきていると思うのですが、これまでの2期をどのように評価される、どういった声が上がっているのかというのを教えてください。
長野県知事 阿部守一
まず私が政務において対応させていただいている方たちは、比較的若い世代の方であったり、女性を中心としています。これは先ほどのご質問にも関連しますけれども、どうしても知事の仕事をしていると、例えば何とか会の会長さんとかいわゆる社会的な地位のある方と接することが日常的に多いわけですので、そういう方たちの思いとかお考えはある程度日常の仕事の中で分かります。ただ、例えば若い人たちはなかなかそういうポジションについてない方が多いので、あえて若い人たちとか、あるいはその女性の目線とかですね、そういうことを意識して対話をさせてもらいました。
それから後段のご質問ですが、あまりそういうことを聞いてないのでよく分からないですけれども、しっかり頑張ってくれということは多くの方々からおっしゃっていただけますし、例えば県立大学を設置したことについては、かなり肯定的なご意見の方たちが多かったなという印象です。私が知事として適任ですかのようなストレートな聞き方は全くしてないので、これまでやってきたこと全般についての評価というのは、必ずしも伺っていません。ただ、個別の政策についてはこんなことやって良かったねとか、こういうことがありがたいとか、そういうことはおっしゃっていただけていますので、ある程度政策についてもご理解とご評価いただけてる部分もあるのかなと思います。
長野朝日放送(abn) 渡辺亮 氏
今回の知事選も前回同様なのですが、共産党を除く各党ですとか会派から推薦をもらっているというような状況になってきましたが、それに対しての受け止めをお聞かせください。
長野県知事 阿部守一
今、学びと自治ということを新しい総合計画で打ち出していますが、県政を進めていく上では、長野県がやはりチームとして協力し合うことが極めて重要だと思っています。例えば、私一人でできる仕事は限られていますし、また行政だけでできることも限られています。多くの皆さん、県民の皆さん、団体の皆さん、企業の皆さん、こうした皆さんとできるだけ思いを共有して、チームとして長野県を発展していこうという思いを持っていただけるようにすることが、知事の役割としては大事なのではないかと思います。
これまでも私としては、例えば県民参加と協働をモットーにして1000を越えるいろいろな協定をさまざまな団体と結ばせていただいていますし、それから県民の皆さま方と思いを共有し、乖離しないようにこれまで150回を超えるランチミーティングとかタウンミーティングとかをやってきています。知事の仕事の役割の一つというのは、もちろん個々の政策はみんな意見が違っていいと思いますし、そういう議論を戦わせる必要は私はあると思いますけれども、ただ、例えば長野県の発展であるとかですね、あるいは、長野県の皆さんの安心安全な社会をつくるとか、そういうことについてはみんな思いは共通しているわけですので、多くの皆さんの力を結集して、チームとして取り組んでいくことが大事だと思います。そう意味では、多くの皆さま方からご支援をいただきつつあるということは私としてはありがたいことだと思っています。
日本放送協会(NHK) 稲垣佑透 氏
今の質問とも関連しますが、県政2期8年を振り返って今知事がどのように評価をされているかというお話でしたけれども、自己評価を改めて聞かせていただきたいというのと、個別の政策を評価してもらっているという話も出ましたが、8年間の中で最も誇れる効果、成果を三つぐらい挙げてくださいと言われたらどういったことがありますか。県立大の設置ということは出ましたが。
長野県知事 阿部守一
三つというのは難しいと思いますけれど。私がどんな観点で8年間仕事をしてきたということと、それと、政策との繋がりで簡単に大きく4点申し上げたいと思います。
先ほどから申し上げている県民の皆さま方の思いと乖離しないように思いに寄り添っていくということを心がけてきました。そういう意味では、知事に就任して最初の当初予算編成を県議会で認めていただいた直後に東日本大震災があり、その翌日に栄村の地震があったわけですが、その後も県内は多くの災害に見舞われてきました。その都度、県民の皆さま方が何を困っていらっしゃるのか、何を期待するのかということをできるだけきめ細かく把握させていただいて、寄り添った対応に努めてきたところです。
また、先ほどのヘイトスピーチの話もありますけれども、やはり人と人とが分断するということは、私は、社会にとって非常に不幸なことだと思います。そういう意味で、例えば手話言語条例を制定して、私も片言しかできませんけれども、聴覚障がいの皆さま方が社会の中で一緒になって活躍できる、暮らせる、そうした社会を目指した取り組みも行ってきました。
それから、あとは未来への投資です。現状維持していくということだけでは私は後退だと思っています。先ほどの県立大学の話であったり、あるいは、日本の航空機システムの拠点を作ろうという南信州の航空機産業の戦略特区であったり、あるいは、長野県は食品産業が盛んな地域ですので、食品製造業振興ビジョンであったり、こうした未来に向けての方向付け、投資にも積極的に努力してきました。
それから、先ほども申し上げたように、チームとしてまとまっていろいろなことやっていく。「チーム信州」というと言い過ぎかもしれませんけれども、多くの皆さん、例えば市町村との関係では、県と市町村の協議の場でこれは他の県ではないぐらい丁寧な対話を市町村の代表の皆さんと私とでずっと行い、そして対話するだけではなくて、子育て支援策を初めとして、具体的な政策にも結びつけてきました。
それから先ほど申し上げたように、多くの皆さんと包括連携協定であったり、個別事項の協定であったり、今回も日本財団のパラリンピックサポートセンターと協定を結びますけれども、県だけでは実行できないようなことも多くの皆さんのお力をいただきながら、取り組んできました。
そして、最後4点目としては、なかなか手をつけられてこなかった、あるいは難しい課題、そうしたものにも向き合ってきたと考えています。例えば、子どもを性被害から守るための条例。日本で唯一、いわゆる青少年健全育成条例を持たない長野県であります。私は、条例の議論を始める前は、長野県の皆さんは条例を持たずにきているので、条例をつくることに対して非常に抵抗感がある方が多いのではないかという懸念もありましたが、実は、青少年を応援している人たちほど、そうした条例の必要性を認識していたと。だけど今までそういうことを言う機会がなかったということが分かったわけでして、これはこれまでの長野県としての方向性を大きく変えてきた事例だと思っています。
いろいろ申し上げると時間がなくなってお客さんをお待たせしているのでこれぐらいにさせてもらいますけれども、常に県民の皆さま方に誠実に、そして難しい課題にも正面から向き合ってきました。これからも、そうした姿勢で県政を進めていきたいと思っています。
日本放送協会(NHK) 稲垣佑透 氏
大北森林組合のことなのですけれども、今年、今週の全ての関係先に請求が終わって、一応一段落ついたというような見方もありますが、世論調査で、県民の多くがまだ現地職員のみ賠償請求をして当時の幹部職員は責任をとっていないことについて問題だと考えている人が多いということは分かっていますが、選挙でも対立候補の方はこちらを問題視していて争点となる可能性は高いと思うのですが、これについて改めてどう有権者に説明をされるおつもりかということを聞かせていただけますか。
長野県知事 阿部守一
私としても大北森林組合の問題に、先ほど言ったようにまさに正面から向き合ってきました。
こうした事案が起こってしまったということについては、私も謙虚に受け止めなければいけないと思いますが、私が知事になる前からそういう事象が起きていたわけですよね。問題があるということで、私のところに報告に来た日に直ちに、林務部だけではなくて総務部であったり会計局も含めて、しっかりチームを作って対応しろと指示させていただいたわけですし、今のご質問の中にもやや事実関係と異なるところが入っていますけれども、地方事務所の職員だけではなくて、本庁の職員に対しても懲戒処分を行ってきているわけです。事案が長期にわたって、そしてわれわれの対応も補助金の返還請求から始まって、懲戒処分であったり刑事告発であったり、そして今、損害賠償請求であったり、こうしたことを順次行ってきていますので、その全体像についてしっかりとご説明をさせていただく中で県民の皆さま方にご理解いただきたいと思いますし、まだこれは現在進行形の案件ですので、引き続き責任を持って、林業の改革、森林林業の体制のあり方の改革ということと同時に、長野県が本当に林業県として発展していくことができるような体制を作っていくことが重要だと思っています。
大北森林組合に対しても、片方でわれわれとしては厳正に厳しく引き続き対応しなければいけない部分がありますが、その反面、地域の森林林業の担い手でもありますので、そういう側面では、しっかりと応援をしていくことが重要だと思っています。
長野県知事 阿部守一
どうもありがとうございました。
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