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更新日:2020年1月17日

学びの県づくりフォーラムVol.4
みんなで考えてみませんか?学校や教育のみらい。
~人生100年時代を生きる子どもたちのために~

急速に変化していくこれからの時代を生きる子ども達に必要な学びとは何か、をテーマに令和元年10月6日(日曜日)、信州大学繊維学部講堂(上田市)において、「学びの県づくりフォーラムVol.4」を開催しました。基調講演では、"今子どもを入れたい中学校No.1"に挙げられ、型破りな教育改革を進める東京都千代田区立麹町中学校校長の工藤勇一さんが登壇。その後、元文部科学副大臣、前文部科学大臣補佐官の鈴木寛さん、元ヤフー社長の宮坂学さんら錚々たるメンバーが加わり、阿部知事とともに学校や教育のあり方などについて熱く語り合いました。

フォーラム動画

動画にてフォーラムの模様をお届けします。
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YouTube【前半・工藤勇一さん 基調講演・約55分】(外部サイトが開きます)

YouTube【後半・トークセッション・約1時間44分】(外部サイトが開きます)

工藤勇一さん講演「学校教育を本質から問い直すーそもそも目的って何?ー」

全国の学校が注目する取り組みとは

工藤 千代田区立麹町中学校は、国会議事堂や最高裁判所、官庁などを学区域にもつ、本当に特殊な場所にあります。現在は区内の子どもが通う、入学当初の偏差値は50くらいの全国平均の学校です。
 最近、当校の取り組みがメディアなどで取り上げられ、全国的に注目されるようになりました。話題になった取り組みには、定期テストや宿題、固定担任制、服装頭髪指導の廃止、AIによる数学指導などがあります。その他、放課後の活動には、ヤフー社員やプロアナウンサーなどの様々な方にも携わっていただいています。
 本題に入る前になぜ固定担任制を廃止したのか、ご説明したいと思います。固定担任制では、そのクラスの権限や責任が担任の教員にあります。これは、ある意味問題が起こりやすい制度だと言えます。担任は常に相対的に比較をされてしまい、良くも悪くもそのクラスの状況が、その教員に紐づけられてしまうことになります。
 当校では全員担任制を敷き、非常勤の副担任も含めて8名の教員全員で学年の全生徒をみています。クラスで問題行動が起これば、この問題にもっとも適した教員たちが対応することになりますし、独りぼっちでいるような子どもがいたら、全ての担任が1日1回はその子に意図的に声をかけるなど、常にチームで対応しています。この仕組みにすると、不思議と子どもたちが教員を比較することもなくなりました。教員それぞれには個性がありますから、その個性が生かされるようになったからなのかもしれません。
 いよいよ本題ですが、これから次の4つに沿ってお話します。
(1)学校から見える課題
(2)手段が目的と化す
(3)学校の目的を合意していない
(4)学校をリデザインする

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(1)学校から見える課題
 まずは学校から見える課題について、考えてみましょう。日本中の学校の課題を一言で言えば、こんな感じです。
 『手をかければかけるほど、生徒は自律できなくなり、自分がうまくいかないことを誰かのせいにするようになる』
 もともと子どもは主体的な生き物です。生まれたばかりの時はやりたいことしかやりません。それが幼稚園、小学校と進むと、あれをやりなさい、これをやりなさいと指示命令されるようになります。「自律」とは自分で考え、自分で判断して決定し行動することと言うことができますが、親や教員の指示命令ばかりを聞き続け、言われたとおりのことばかりやっていると、子どもは次第に「自律」ができなくなります。そして、「自律」を失った子どもたちには共通した特徴がみられるようになります。うまくいかないことが起きると必ず人のせいにするということです。手をかけてくれない人を恨みますし、手のかけ方が悪いと批判します。勉強がわからないのは先生の教え方が悪いからだというような発言をします。しかし、こうした姿は子どもたちばかりに言えることではありません。私を含め、日本全体の大人たちの姿なのではないでしょうか。
 みんな勝手に理想を描いて、勝手に不幸になっている。いつも人の批判ばかりしている、そんな社会にみえます。

(2)手段が目的と化す
 では、なぜそのような問題が生じてしまっているのでしょうか。
 これからの時代をたくましく生きる力が求められています。学校教育では、自分で考えて、自分で行動できる力を備えた子どもを養成していかなければなりません。学力を身につけさせることは生きる力を育成するための手段の一つですが、現在、この手段そのものが、あまりにも目的化してしまっているきらいがあります。
 一例を挙げます。基礎的な学力を上げるためには、子どもそれぞれが躓いた部分を繰り返させればよいのですが、一方的に繰り返させる行為は残念ながら子ども自身の「自律」を奪い取ることに繋がります。もっとも象徴的なのが宿題ともいうことができます。学力を上げるという手段にこだわり過ぎて、その上位目標である生きる力の育成を妨げている。このようなことが学校教育のさまざまな場面で行われています。麹町中学校では3年間、すべての宿題をなくしました。
 文部科学省では勉強時間の調査を行っていますが、勉強時間が長いことは決してよいことではないはずです。自分で考えず、言われたことをやり続け、勉強時間が長いことはいいことだのような考えのもとで教育を受けてきた大人が、働く時間を短くして成果を上げろという働き方改革なんてできると思いますか。今の日本社会の問題は学校教育に原因があるように私は思います。
 学校は目的を見失ったものだらけです。誰も読まない作文を書かせたり、強制的に目標を書かせたりなど、まさに手段が目的化してしまったと言わざるを得ません。上から言われたことを黙ってやるなんておかしいのでは。このことに声を上げ、そして日本中に広めていくのが僕の役割だと思ってこういった活動をやっています。

 (3)学校の目的を合意していない
 今は世の中がものすごい変化する時代です。自分で起業や転職をする、そういう意思と想像力が必要です。そして何らかの問題を一国だけで解決できない時代、グローバル化した時代になりました。学校の目的として最優先すべきは、自分で考え、自分で行動する力。「自律」です。そして違いを認め多様な考え方、他者を「尊重」する力です。これらを育てなければなりません。学校の役割は、知識や技能を身に着けることだけではなく、世の中に出て学校で学んだことを再現できる力をつけさせることです。こうした本当に今の時代に大事にしなければいけないものを私たちはどれほど合意しているでしょうか。
 当校の教育目標にも「自律」と「尊重」を掲げています。そして、この二つがあってこそ「創造」ができるという目標です。私は、人が社会の中でよりよく生きていけるようにしてあげるために学校があると思っています。そして世の中にはいろいろな人がいて、そういう人たちと持続可能な世の中を作っていくための学びが必要だと考えています。そうした上位の本質的な目標が忘れ去られ、学校現場では学習指導要領をこなすことが目的になってしまっているのではないでしょうか。

(4)学校をリデザインする
 最後に学校をリデザインするには、何が必要かということについてお話します。学校が経営に成功するには、2つの要因があります。一つは、学校に関わる人全員を経営者・当事者に変えていくことです。もう一つは、対話を通して最上位目標の合意形成を図り、手段を決定していくことです。対立が起こると人はなかなか感情のコントロールができませんが、手段が目的にならないように、繰り返して対話のできる組織にすることが大事です。
 運動会を例に考えてみましょう。運動会の目標に「団結」とか「心ひとつに」「絆」などのスローガンを立てることがよくあります。最上位目標に絆とか団結などの目標を設定してしまうと、実は民主的な対話がおこりづらくなってしまいます。団結を強要する行為は、みんなと一緒にやるのが苦手な子どもを結果として排除することに繋がりかねません。当然、目標であるはずの団結も実現できないことになります。麹町中学校では、「運動が苦手な生徒も得意な生徒も生徒全員が楽しめる体育祭をつくれ」というミッションを与えています。これにより全員が「楽しむ」ということを目指した手段について、民主的な対話がなされるようになるわけです。対話が円滑に行われるためには、最上位目標を何に設定するかがとても大事なんです。この設定を間違えると対話はできません。ここが教育の大切なところです。
 寺子屋や藩校、私塾の時代は、基本は学びあいだったと言われています。今でいうアクティブラーニングであり、教師が一方的に教えることは行っていません。対話を中心として学びあいが進んでいました。産業革命以降に一斉授業のスタイルが始まりましたが、この教え方だとずっと受け身の状態で情報を一方的に受けることになります。これではそもそもコミュニケーションが身につくわけがないんです。互いのコミュニケーションを中心とした江戸時代の「学びあい」は、世の中で生きるスタイルそのものだったということができます。これからの時代は学習者主体である必要があります。「何を学ぶか」を決めるのは子どもであり、「どう学ぶか」って学び方を決めるのも子どもです。学校現場では、多様な子ども達に個別最適化した教育を行うことにより、多様な人材が生まれるような、そういった教育が必要ではないかと思います。これを目指していくのが新しい長野県が進むべき道だと思います。そこにICT(情報通信技術)を加えたら面白いものがきっとできると思います。

トークセッション 工藤さん×鈴木さん×宮坂さん×阿部知事 

コーディネーター 長野県参与  船木成記

 本質から変えないと学校現場は変わらない

船木 ただ今、工藤先生からとても刺激的なお話をいただいたのですが、まずは皆様から自己紹介と講演のご感想をお願いします。
宮坂 工藤先生のお話は、すごく面白くて、学校の話というよりは企業に当てはまる組織改革やムーブメントづくりみたいな話だなと思いました。私自身は、学校というものにあまり縁のない人生を送ってきたので、今日は企業での経験や企業側の視点から見た教育についてお話できたらと思っています。
 実は、父が千曲市屋代の出身で、長野県とは少なからずご縁があります。また、白馬村で設立を目指す「白馬インターナショナルスクール」のアドバイザーもさせていただいています。そんな交流のなかで、長野県はローカルコミュニティが強いという印象がありますね。ローカルコミュニティが弱いと行政任せになってしまう気がします。長野県は自分の足で立ち上がれる力があると感じました。
鈴木 私は、工藤先生とは教育フォーラムなどでお馴染みの仲なんです。実は今年開かれたG20サミットでは工藤先生が招聘されて、日本の教育現場での変化や課題についてお話をいただきました。今日は、世界中に届けたい話を皆さんに直接聞いてもらえて良かったです。この教育の考えが、日本中の学校全部に届けば本当に日本は変わると思います。
 通商産業省で働いていた頃から、ライフワークである「すずかんゼミ」というものを24年間ずっと続けています。このゼミでは18歳から40歳までの若者たちに工藤先生と同じような学びを提供しています。
 教育現場の活動としては、今の教育の現状がなぜこういうことになっているかを、全国の学校や教育委員会などにその背景をお伝えしています。また、経済協力開発機構(OECD)の教育スキル局のアドバイザーを務め、「LearningCompass 2030」というプロジェクトにも参画しています。そこでは「2030年の学びとは」、「育てたい人材とは」というテーマで世界中の有識者と議論しています。また、発展途上国に教育を届けるNPOの理事も務めており、教育とはそもそも何かということを原点から見直す機会をいただいています。
阿部 工藤先生がおっしゃっていることは、学校の問題であると同時に、社会全体に共通する問題ですね。長野県は教育県と言われてきました。今の時代は社会が大きく変わって、さらに多様な子ども達がいる。そんな子ども達にとって学校が本当は何のためにあるのかということを考え直さないといけないと思います。今日は未来を生きる子ども達にとって今までの学校で本当にいいのかということを皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
工藤 僕が今のような考え方をするようになったのは、たぶん教壇に立った時からなんですね。子ども時代から感じていた学校に対する違和感がもともとあって、教員になって学校のルールを少し変えたりしたんですけど、よくよく見たらすごく無駄なことをしていたんです。つまり、教育の本質の話をしていないから、服装とか頭髪とか大人が作った問題に自分はのせられていただけでした。子どもたちへの教員の対話は、子どもに対する生き方のメッセージですから、服装や頭髪といったうわべのことではなく、本当に本質的に大事なことを話さなければいけないはずです。こういった学校教育の矛盾に対して、「目的と手段」という言葉によって、すべて説明ができるのではというはっきりとしたイメージができたのは、今から約20年前になります。これを展開していけば、日本の学校教育を本質的に問い直すことができるんじゃないかと感じています。
 校長というプレイングマネージャーになって、現場からひっくりかえせないかなんて大それたことを感じたのがそのころです。
船木 工藤先生から見た長野県の印象はいかがでしょうか。
工藤 長野県は、日本の教育を変える力があるってもうずっと前から思っていました。ほかに、福岡や名古屋。そういうところが変わったら日本の教育は一気に変わるのではないでしょうか。.

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対話から、今の教育を変える

鈴木 今まで文部科学省がやっていた個別一斉一方向授業を変えて、非連続に今の時代を変えていかなければならない、この新しい時代に一番必要なことってなんでしょうか。それは公正に個別最適化された学びなんですね。これからの時代に必要なのは、自ら考え、行動し、試行錯誤し、板挟みと想定外の状況にきちんと向き合って乗り越える力であり、それを教育の場で育んでいかなければならないのです。何年か前に、世界の著名な研究者が、AIやロボット化によってなくなってしまう仕事のリストを出しました。今の教育は、まさにその消えてしまう仕事をするための教育であり、価値観がずれているのがわかります。イギリスの産業革命以来250年ぶりに世の中が非連続に劇的に変わっていくことを認識して、工藤先生の実践を表面だけ真似するのではなく、考え方を真似して、教育現場でもう一度最適化し実践してほしいと思います。
阿部 私は、工藤先生のおっしゃることに共感しますし、会場の皆さんも共感されていると思うんですが、なかには腑に落ちていない、異論があるという人もいるはずです。腑に落ちていない人、異論のある人も含めて、対話を通じて今の教育を変えたいと思っているんですが、どう変えていくのか、どういう環境づくりをしていったらいいんでしょうか。
工藤 子ども達に教えているのは、利害関係を越えて最上位目標を据えることであり、そのためには対話が必要で、その訓練を行っています。麹町中学校では2年生になると、山梨県の西湖で2泊3日の「スキルアップ宿泊」をしていますが、そこで徹底した対話を行うんです。はじめに子どもたちには、「みんな違っていいよね」と問いかけます。ここまではいいんですよ。でもその上で、「全員がOKなものを探して」と問いかけるのです。これはすごく難しい作業なんです。互いの目の前の利害関係よりも上位のものは何かということを見つけ出す対話をしなければならないからなんです。
 この宿泊には、グランドルールが一つだけあります。それは誰かがしゃべったことに対して基本的には"いいね"で返すことです。対話は、みんながみんな尊重される環境があってこそ促進されます。そのことを自覚させていくことが大事です。例えばコミュニケーションが苦手な子どもがいるのに、みんな仲良くしなさいと教えてしまえば、その子どもは排除されかねません。仲良くするのが当たり前だというラインを引き、そこに無理に引き上げようとする教育が、まさに今の教育そのものです。「人はそもそも仲良くするのが苦手なものだよ。」というラインを子どもたちに示してあげれば、誰も排除されることはありません。
宮坂 同調圧力に抗うって、すごい力がいるわけですよ。考え方の一つとして、異質でいいんだ。違っていていいんだ。自分にとって本当に楽しくて夢中になれるものって何だろうと考えて、それを信じてやっていってもらう。そういう環境づくりが必要だし、これからの教育でそういうことをエンパワーしていくことで、いろんなことができるようになる気がします。
鈴木 生徒の対話力を身につける教育はすごく大事で、あわせていろいろなコミュニケーション特性がある子ども達が対話できるように、教員が相当考えて、丁寧に対話の熟議の環境を綿密に作ってあげることが大切です。
宮坂 お二人の話をうかがっていると、対話を誘発するノウハウとか能力が必要になってくる気がしますね。
工藤 ちょっとだけ脳科学の話をすると、最近では、脳が心理的に安全状態にあると、前頭葉が活性化するんだそうです。逆に圧力をかけられたり心理的な危険状態にあると、前頭葉が動かないんですね。前頭葉には、感情をコントロールしたり、自分の良くない行動を抑制する部位があるので、心的な安全状態を作ることは脳科学の視点からみても非常に重要です。
 小1プロブレムを例にこのことを考えてみましょう。入学したばかりの子が、授業中に椅子に座っていられない、でもそれって個別にみればごく普通のことじゃないですか。それを小1プロブレムという名前を勝手につけて問題視するから、教員は子どもを椅子に座らせようと焦るでしょ。さらに、幼稚園では小学校に送る前に座れる子どもにしなくちゃいけないから、しつけ重視になってしまう。つまりは手段の目的化です。結果として脳にとって安心安全な環境を作ってあげられないことになり、大人を嫌うようになったり、社会を嫌うようになってしまう。そうなるぐらいなら、むしろ学校に来ないほうがいいですよ。子ども達が安心できる、人は信頼できると思える環境づくりをすれば、おのずと対話は始まります。

学校に関わる人すべてを当事者にする

鈴木 現場の教員の皆さんは、今の教育は変わらなくちゃいけないってことは重々感じていると思うんです。そういう方が自由に行動できるために、どう応援していけばいいかということなんですけど。
工藤 教員が改革を進めていくためには、全員(教員、保護者、生徒)を当事者に替え、学校の課題や文句などをあげてもらい、できることから改善をしていく必要があります。私の場合、その際に、上位目標に全員のベクトルを合わせる作業を行い、目標の合意ができ目指すべき生徒像がはっきりしてきてから批判が激減しました。1年生の時には問題のある子が多いのですが、2年生3年生とだんだん減ってきます。そうなってくるのは、保護者、教員、生徒みんなが同じ目標をこれだよねって持ち始めるからなんです。同じ目標を共有することは時間がかかりますが、理解してもらうまでの長期的な見通しを立てておくことが大事です。その一方で違う面で成果を出しておくことも必要です。どこからどう攻めるかはある意味、詰将棋のようなイメージです。
宮坂 自分もビジネスの世界で何度か企業改革に携わったことがありますが、長期的な見通しの中で必ず壁にぶち当たることがあります。それを織り込んで準備しておくと、だいぶ楽になります。もう一つは組織の5%だけ変えることを考えること。マーケティングの世界では、アーリーアダプターといって、新しい商品やサービスを使う人をまず5%確保しようと考えます。5%を越えれば20%、20%を越えると50%、商品やサービスに賛同してくれる人が増えてきます。50%を越えると残るはマイノリティなので、先ほどの同調圧力の話じゃないけど、一気に多数までいけると考えられています。
船木 今日は、会場に学校現場の方がたくさん来られているようですが、ここにいる皆さんは最初の5%かもしれないですね。今は組織の中で動けないぞという状態でも、変化を起こしていくためには学校に関わる全ての人たちと上位目標を共有するための対話が必要です。その過程で時間がかかったり、衝突が起きたりするけれど、そこをどう耐えていくのかという話が今までのお話ですね。

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教育委員会だって、変えることができる

阿部 目指すべき教育の在り方について、学校はどこまで決められるものなんでしょうか。
鈴木 それについては、私が文部科学副大臣の時にも議論されてきました。現場の教員の方々は、学習指導要領や通達を鵜呑みにして、全てその通りにやる必要はないと思います。それよりも法律をよく勉強し、自分たちで解釈して運用できるということを理解していただきたいと思います。
工藤 現場を変えるというお話ですが、僕は校長になろうと決心した時に、まず教育委員会に入りました。それは、全ての仕組みを知るためでした。役人というのは根拠を重視するので、必ず根拠を求めます。そうすると、すごくシンプルだなってことがわかるんですよ。学校現場の人は、根拠をしっかり知っておくことが大事で、根拠にあたると自由度があることがわかります。ですから、変えられないと思っていた教育委員会すらも変えることができるんですよ。変える意志があるかないかだけの問題です。ただ、その意志がある人は少ないです。でも本気になってくれる人はいます。そういう人と対話して巻き込んで同じ目標を持って、この仕組みをつくろうとか変えようとか、そういう人は役人の中にもいるし、そういうことを広げていくことが大事だと思います。
船木 最後にひと言ずつ今日の感想などを交えてお願いできますか。
工藤 それでは、一つだけ教員の方の参考になること、保護者の方と戦わなくていい方法を。人は、言葉の使い方一つで全く変わります。たとえば、問題行動を起こした子どもの親御さんに学校に来ていただくとき、保護者はまず謝りますよね。僕らは「いや、謝らないでください。こんな時だからこそ大人の出番だから、親と学校は共に協力してこの子を見守ってあげましょう」と声をかけます。つまり同じ目線になる。保護者と同じ目線で子どもを育てていこうと思うと、自然とそういう言葉が出てきます。
鈴木 海外の学校関係者や教師の方を見ていて思うんですが、日本の学校現場はできていないところばかりに目が向きがちですね。ですから、自分たちの良いところ、生徒の良いところをちゃんと見ること。つまり、悪いところを減らすのではなく、良いところを増やしていく。そういう頭の切り替えが大事だと思います。どうか頑張ってください。
宮坂 今日は、教育現場で悩み、もがきながら、それでも前に進もうとされていらっしゃるんだろうなということが伝わってくるセッションでした。私も自信を持つことが大事だと思います。自己認識を高めないと、変えようというパッションが出てこない。自分とか自分の学校に自信を持ったうえで、もっといくぞという感じでやっていただければいいと思いました。
阿部 おそらく、今日お越しになった方たちは、一人残らず何らかの刺激を受けて持ち帰られるものがあるんじゃないかと思います。「学びと自治」と私申し上げていますが、学ぶだけでは世の中は変わりません。今日それぞれのお立場で変えられることってたくさんあると思いますので、ぜひ行動を変えていってもらいたいなと思います。
 ぜひ皆さんと一緒になって長野県から「学びの県づくり」をしっかり進めていきたいと思います。かつての教育県から、未来に向けて新しい学びの県を作っていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

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学びの掲示板

来場者お一人おひとりのフォーラムにおける学びを見える化し、みんなの学びへとつなげるため、「学びの掲示板」を会場に設置。皆様の感想を付箋にお書きいただき掲出しました。

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vol4_kudo工藤 勇一 さん 千代田区立麹町中学校校長
1960 年生まれ。大学卒業後、地元・山形県の公立中学校教員、東京都公立中学校教員、東京都教育委員会、目黒区教育委員会、新宿区教育委員会教育指導課長等を経て、2014年から千代田区立麹町中学校の校長に就任。学校教育を本質から見直し、宿題や固定担任制を廃止するなど、さまざまな教育改革を推進。主な著作に『学校の「当たり前」をやめた。』『麹町中学校の型破り校長 非常識な教え』。


vol4_suzuki鈴木 寛 さん 東京大学・慶應義塾大学教授 元文部科学副大臣  前文部科学大臣補佐官
1964 年生まれ。1986 年に通商産業省に入省。慶応義塾大学助教授を経て、2001年参議院議員初当選(東京都)。文部科学副大臣を2期務めるなど、教育、医療、スポーツ・文化、科学技術イノベーション、IT 政策を中心に活動。2014 年2 月より、東京大学公共政策大学院教授、慶應義塾大学政策メディア研究科兼総合政策学部教授。2015 年2月より2018 年10月まで、文部科学大臣補佐官を4期務める。 


vol4_miyasaka宮坂 学 さん 元ヤフー株式会社代表取締役社長 現東京都副知事
1967 年生まれ。山口県出身。ベンチャー企業入社後、1997 年に創立2年目のヤフー株式会社に転職。2012 年6月より代表取締役社長に就任し、パソコンへの依存が大きかった事業のスマホシフトを実現。2018年6月に会長職に就任、2019年6月に退任。7月に東京都参与を経て9月には東京都副知事に就任。


vol4_funaki船木 成記 長野県参与 高知大学客員教授

1964 年生まれ。(株)博報堂入社後、ソーシャルマーケティング手法によるビジネス開発業務に従事しながら、内閣府、環境省、尼崎市等の公的機関の要職を歴任。2017 年より現職、長野県総合5か年計画策定に関わる。


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