ここから本文です。
更新日:2022年8月16日
骨髄は、腰や胸の骨の内部にあるスポンジ状の組織です。血液はここでつくられます。そこは、骨髄液で満たされていて、その液体の中には、血液成分のもとになる造血幹細胞(骨髄幹細胞)が含まれています。骨髄液がつくる主な血液成分には、体内に酸素を運ぶ「赤血球」、病原体から身を守る「白血球」、出血を止める「血小板」などがあります。
骨髄移植はドナーに全身麻酔をして注射器で骨髄から骨髄液を吸引し、採取した骨髄液を患者さんの静脈へ点滴で注入する治療法です。太い神経である脊髄に針を刺すことはありません。
末梢血(全身を流れる血液)には通常は造血幹細胞はほとんど存在しませんが、白血球を増やす薬を注射すると、末梢血中に流れ出します。採取前の3~4日間、連日注射し造血幹細胞が増えたところで、血液成分を分離する機器を使い造血幹細胞を採取し、骨髄移植と同様の方法で患者さんに注入します。
|
骨髄移植(末梢血幹細胞移植)が対象となる病気は? |
骨髄移植(末梢血幹細胞移植)が対象となる主な病気には以下のものがあります。
白血病 ・・・・・ 血液をつくる細胞の異常で、ガン化した血液細胞だけが増え、正常な血液が作れなくなる病気です。
再生不良性貧血 ・・・・・ 血液をつくる造血幹細胞(骨髄幹細胞)の機能が低下し、血液成分が極端に少なくなるため、 出血や感染、貧血などが問題となる病気です。
骨髄異形成症候群 ・・・・・ 白血病と再生不良性貧血の中間の病気で、血液成分が減少するとともに、血球の形に異常がおこる病気です。
先天性免疫不全症候群 ・・・・・ 身体を守る免疫機能が、生まれつき低下しているため、感染症にかかりやすくなる病気です。
実際の骨髄移植は、主に以下のように進められます。
(1) 前処置
患者さんは、骨髄移植の約2週間前から移植の準備に入り、大量の薬の投与や放射線の照射を受けます。その結果、患者さんの造血幹細胞(骨髄幹細胞)はすべて壊され、血液がつくられなくなります。激しい吐き気や全身の脱毛などの副作用に耐えながら患者さんは命がけの治療に取り組むことになります。
(2) 骨髄移植
移植当日、健康なドナーの方から採取された骨髄液は、通常の輸血と同じように、点滴で数時間かけて、患者さんの静脈に注入されます。
(3) 造血回復から社会復帰へ
患者さんは、無菌室(無菌消毒された部屋)で拒絶反応や感染症などに注意しながら、安静に過ごします。やがて移植された骨髄液が働きはじめ、正常な血液をつくるようになると、一般の病棟に移されます。そこで良好な経過をたどれば、退院し、社会復帰ができます。
骨髄移植を成功させるためには「HLA型」というものを一致させなければいけません。血液型というとA型・B型が有名ですが、これは、血液成分のうちの赤血球の型を示しています。これと同じように、白血球にも型があり、これを「HLA型」といいます。
このHLA型が一致する確率は、兄弟姉妹間で4分の1、非血縁者(他人)では数百~数万分の1しかありません。ですから、HLA型が適合する骨髄提供者(ドナー)を見つけるのは、困難な作業となります。
HLA型が適合する確率は、兄弟姉妹間でない限り、数百~数万分の1となってしまいます。従って、骨髄移植を望む患者さんがいても、ご自身でHLA型の一致する骨髄提供希望者(ドナー)さんを兄弟姉妹以外の中から探すのは非常に困難です。
骨髄バンクは、多くの方々から提供希望者を募り、ドナー登録・管理を行い、また、骨髄移植希望者と骨髄提供希望者とのコーディネートを行うことなどを目的として、国(厚生労働省)の主導のもとで、(財)骨髄移植推進財団(現:(公財)日本骨髄バンク)が主体となって、平成3年12月に発足しました。(登録数等の詳細はこちらのページをどうぞ)。
お問い合わせ
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください