水産試験場

しあわせ信州

ここから本文です。

更新日:2014年6月20日

諏訪湖のコイ

信州の魚たち

○コイ
写真:諏訪湖のコイ

 石器時代の遺跡から骨が発見されたり、日本書紀に「池のコイを観賞した」ことが記されているなど、古くから親しまれています。室町時代初期の「諏訪大明神画詞(すわだいみょうじんえことば)」には諏訪湖の「鯉馳(こいはせ)」のようすが記されています。
コイにもいろいろありますが
 マゴイ(黒ゴイ)、ヒゴイ、ウロコの少ないカガミゴイ(ドイツゴイ)、観賞用のニシキゴイなどいろいろなコイがいます。体型やウロコの様子、模様などが違っていますが、分類学上はすべて同じ一つの種類です。
コイのルーツ
 原産は中央アジアといわれ、中国では2,400年前に既に養魚法についての本が記されています。ヨーロッパにはギリシャ・ローマの時代に移殖されドイツやイスラエルなどで盛んに飼育され食べられています。
コイの寿命は?
  20年くらいは生きると言われます。淡水魚の中でも長生きすることで知られ、長いものでは80年以上という例もあるようです。(魚の年齢は、ウロコや頭骨の中にある耳石(じせき)で調べます。)諏訪湖でも昭和53年(1978年)に30kgのコイが捕まっていますが、何歳くらいだったのでしょうか。
コイやフナは日本の原風景の構成種
 日本の湖や川にはフナタナゴウグイモロコドジョウといった雑食性で胃袋を持っていないことなどの特徴のある、分類学上コイに近い種類が数多くすんでいます。コイ科の魚は、昔ながらの用水路や池など水草の豊富な風景によく似合います。
コイは水を汚す?
写真:コイの顔

 オーストラリアでは、ヨーロッパから持ち込まれたコイが水を汚す外来種として駆除されています。コイは泥をかきまわして餌を探すことから泥の中の窒素やリンの溶出を助長するという理由です。でも、日本の風景(生態系)の中ではコイやフナなどが付着藻類や泥の中の虫を食べることで食物連鎖の一端を担っています。日本の風景には、水草が必須アイテムです。水草には、水の濁りを抑える働きと溶出した栄養分を吸収する働きがあり、補いあって日本の生態系を形作っています。水草が多く生えるような環境があってこそコイやフナなどがその生態系の中での役割を果たせるのです。

 長野県を始め、海のない地域ではコイが重要なたんぱく源として利用されてきました。
コイの養殖
 流水式、ため池などを用いる止水式、そして諏訪湖で行われてきた網いけす式があります。長野県は5,000トンもの量を生産し長い間全国一の地位を占めてきましたが、霞ヶ浦などに抜かれ全国第6位、450トンに減っています。
諏訪湖の網いけす
 最盛期には、年間1,300トンを生産していました。消費の減退や老齢化による廃業などで現在では200トン程度に減っています。春先に10cm前後の稚魚を導入し、魚粉や小麦粉などで作られた配合飼料で秋までに30cm位にします。最近では消化吸収が良いように改良された餌が使われており、排泄される窒素やリンの量は少なくなっています。諏訪湖の網いけすは、初期の浄化対策である「諏訪湖の水がめ化」に伴う水草帯の埋立てなどによって失われる漁業の代替として始まったという見方もできます。
諏訪湖浄化と漁業
 漁業生産を増やすことは湖からの窒素やリンの持ち出し(=浄化)にあたります。「水がめ化」では諏訪湖の漁業生産は放流によって維持するとされていましたが、「効果が上がらない→放流量を減らす→漁獲が減る→効果が上がらない」の悪循環に陥ってきました。最近ようやく自然の産卵生息場所の確保が結果的に湖の生産力を増大させること、つまり自然の豊かな生態系が重要であることが理解されてきています。
丈夫なコイの育て方
 イワナがすめるような冷たい水で飼っている方もおられますが、コイは基本的に温水魚(暖かい水を好む魚)です。氷が張っていても死ぬことはありませんが、水温が低いと成長が遅く病気にかかりやすくなります。コイにとっては水温30℃前後、少なくとも25℃以上が続く環境が必要で、佐久ゴイのように川の水を用いる飼い方でも15℃以上の期間が4か月以上ないと健康には育ちません。

写真:大四つ手網(大きなコイがとれます。)
大四つ手網(大きなコイがとれます。)

 平成15年(2003年)の秋から全国各地で、コイヘルペスウイルス病(KHV病)によるコイの死亡が報じられています。諏訪湖でも、死んだコイから病原体(ウイルス)が確認されるなど、県内各地に広がりをみせています。
コイヘルペスウイルス病とは
 マゴイとニシキゴイだけに感染する病気で、金魚やフナなど他の魚にはもちろん、人にも感染しません。この病気にかかったコイの死亡率は高く、治療法もありません。養殖場で発生するとコイ養殖に壊滅的な打撃をもたらすことから、この病気がひろがるのを防ぐための対応がとられているのです。
ウイルスに感染すると?
 18℃から25℃くらいの水温の時に最も発病しやすく、潜伏期間は2~3週間です。外観的に目立つ症状は少ないのですが、動きがにぶくなって餌を食べなくなり、死んでしまいます。
どんな時に感染する?
 この病気にかかったコイからはウイルスが水中に排出されています。そこに他のコイが来ると感染します。上流に感染魚がいる場合には感染の可能性が高くなります。しかし、感染にはある程度以上の病原体の数が必要とされており、ウイルスの量が少なければ魚自身が持っている防御能力が働きます。天然の川や湖にいる魚や病原体の密度は、池の中に比べれば非常に小さいものです。河川での感染は、越冬や産卵のために群れをつくる時期におきていると考えられます。死んでしまったコイを早く片付けることは、水中に出されるウイルスの量を減らすうえで大きな意味があります。
今後のために
 仮に感染したコイを食べても健康を害することはありません。コイは古来からの健康食材です。諏訪湖周辺で育んできたコイの食文化を守るためにも、皆さんの冷静な対応とご協力をお願いします。
 飼育しているコイの死亡が増えたり、川や池でコイが大量に死んでいた時には、市役所町村役場の農政担当課を通じて連絡してください。

※鯉馳(こいはせ):跳ね上がるコイを弓で射てとらえる。神事または娯楽としての側面もあったと考えられる。

お問い合わせ

水産試験場 

電話番号:0263-62-2281

ファックス:0263-81-2020

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?