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更新日:2023年1月26日

最近の不当労働行為救済申立事件命令一覧

当労働委員会が発出した命令の概要を掲載しています。(過去2年分)

令和元年(不)第1号事件(令和5年1月26日交付)

1.当事者

申立人  コンビニ関連ユニオン(以下「組合」) (千曲市屋代)
     コンビニ本部の社員、店舗オーナー、店舗従業員等で構成
被申立人 株式会社セブン-イレブン・ジャパン(以下「会社」)(東京都千代田区)

2.事案の概要

 組合は、会社の行った以下の行為などが労働組合法第7条の不当労働行為であるとして、令和元年7月29日に当委員会に救済を申し立てた((3)は令和2年5月8日に追加で救済申立)。

(1)平成31年4月前後の暴力的行為を理由として、令和元年6月12日に組合の執行委員長(以下「Ⅹ1」)を降格処分としたこと。

(2)同年7月5日に予定されていた団体交渉について、会社が「24時間営業義務に関する問題は義務的団体交渉事項ではない」として、団体交渉当日に組合に対して団体交渉延期を通知したこと。

(3)平成30年10月の脅迫的な発言や平成31年4月の暴力的行為、令和元年5月以降に会社に対する批判的記事を雑誌に寄稿し、会社の名誉を毀損したことなどを理由に、令和2年4月8日にⅩ1を2度目の降格処分としたこと。

3.主文の要旨

(1)令和元年7月5日の団体交渉を、会社が団体交渉予定日当日に延期を通知したことが労働組合法第7条第2号の不当労働行為であることを確認する。

(2)会社はⅩ1に対する令和2年4月8日付け降格処分を取り消し、同人が降格されていなければ得られたであろう給与相当額を支払わなければならない。

(3)組合のその余の申立てをいずれも棄却する。

4.命令交付の経過

委員調査8回、審問(証人尋問)6回

5.主な争点及び判断の要旨

(1)組合は労組法上の労働組合といえるか

 会社は、組合には店舗オーナーとその店舗の労働者の双方が加入しているため、労組法上の労働組合とはいえないと主張するが、組合はその結成経過や組合員構成から見て会社から独立しており、会社に批判的な活動を行うなど、使用者から独立した自主性を有する組合であり、労組法上の労働組合といえる。なお、店舗オーナーは会社との関係において使用者の利益代表者とはいえない。

(2) 以下のアからウまでの会社の行為は団体交渉拒否に該当するか

ア 団体交渉当日に延期と通知したこと

(ア) 会社は、組合が義務的団体交渉事項であるⅩ1の処分に関しても団体交渉を行うつもりだったことを認識していた。また、会社は、24時間営業は経営事項であるとするが、疎明が不十分である。

(イ) 会社が組合に対し「貴組合ご自身の行動等により、会社が確認できるまで」団体交渉を延期するとした通知は、組合が24時間営業義務に関することを議題から撤回することを強制していることになる。

(ウ) 会社がⅩ1の処分が団体交渉の議題となっていることを認識しながら、24時間営業は義務的団体交渉事項ではないという自らの主張にこだわり、団体交渉当日に一方的に団体交渉を延期したことは正当な理由のない団体交渉拒否に該当する。

イ 社外の会議室を団体交渉会場として選定したこと

 会社が会場として選定した社外会議室は会社からも近く、組合員が全国から集まりやすい場所であり、会社の会議室選定には合理性があり団体交渉拒否に該当しない。

ウ 店舗オーナーである副執行委員長Ⅹ2の団体交渉への出席を控えるよう要請したこと

文面からすれば要請であり、断定的にⅩ2の出席を認めないなどとした事実もなく、団体交渉拒否には該当しない。

 

(3)ストライキに、臨時休業し参加を予定していたX2に、営業時間短縮は契約違反だとの警告文書を会社が発出したことは支配介入に該当するか

 加盟店基本契約上、会社が契約履行を求めて文書を発出したことには正当な理由があり、不当労働行為意思に基づくものとは評価できず支配介入には該当しない。

(4) Ⅹ1に対する令和元年6月及び令和2年4月の懲戒処分は不利益取扱に該当するか

ア 令和元年6月の処分で、処分対象となった発言や社員に対する体当たり等を理由に降格処分としたことには、合理性があり、過去の事例と比較しても組合活動等を理由に不当に重い処分とした事情もなく、手続的にも適当で、不当労働行為意思は認められず不利益取扱いとは認められない。

イ 令和2年4月の処分で処分対象となった行為のうち、平成30年10月26日の発言及び平成31年4月1日の社員に対する体当たりは令和元年6月の前回処分以前の行為である。社員に対する体当たりは前回処分の対象となった行為と一連の行為として処分可能であったのに、これと切り離して処分を行った事情について会社の説明は合理性を欠いている上、処分の根拠となった事実そのものに不明確なところがある。メディアでの会社批判及びその他の処分理由については、降格処分とするのは重すぎることから、会社はⅩ1を降格処分とするため、あえて以前の事件を相当期間経過後に処分対象としたのではないかと疑われる。この不自然な経過等から不当労働行為意思が推認でき、Ⅹ1の組合活動故に不利益に取り扱ったものと認められる。

(5) 以下のアからエまでの会社の行為は支配介入に該当するか

ア Ⅹ1のメディアへのコメントや寄稿記事が真実であることの証拠の提出を指示したこと

 記事等が真実であるか真実と信じるに相当な理由があれば、それを理由に処分すれば相当性を欠くことになるので、記事等の真実性の根拠を示すように会社がⅩ1に求めることは不当な処分を避ける上でも必要であったから、不当労働行為意思は認められず、支配介入には該当しない。

イ 旧知の社員を「殺してやりたい」と発言した社員を明らかにするよう指示したこと

 会社が安全配慮義務の観点から発言者を特定しようとしたことは企業としての必要な配慮と思われ、不当労働行為意思は認められず、支配介入には該当しない。

ウ レターケースによるビラ配布の禁止及び処分の検討の通告を業務指示書により行ったこと

 Ⅹ1の行為は形式的には就業規則に違反しており、会社と組合にはレターケース使用に関する特段の合意や、就業時間中の組合活動についての許諾もなかった。会社が業務外の活動や会社施設の私用に関して一定の制限を加えることは合理的であり、業務指示には合理性があり、不当労働行為意思に基づくものとまではいえず、支配介入には該当しない。

エ 元旦ストに近接する時期に懲戒処分に係る「弁明の機会」の付与と称してX1を会社に呼び出し、ストを妨害したこと

 会社はⅩ1に弁明の機会を与える必要があり、日程変更は、Ⅹ1の要請に応えた結果で組合活動の萎縮を意図しておらず、懲戒処分に係る適正な手続きのためであり、支配介入には該当しない。

 

お問い合わせ

労働委員会労働委員会事務局

電話番号:026-235-7468

ファックス:026-235-7367

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