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平成23年2月県議会定例会における林務部長議案説明要旨 |
今回提出いたしました議案のうち、林務部関係につきまして、その概要を御説明申し上げます。
林務部関係の平成23年度予算案の総額は、一般会計179億9,623万6千円、県営林経営費特別会計3億4,779万6千円、林業改善資金特別会計1億4,615万7千円であります。
県土の約8割を占める森林は、土砂災害や洪水を防止し、水や空気を育み、二酸化炭素の吸収源として地球温暖化の防止に貢献するとともに、再生産可能な資源である木材を供給して循環型社会の形成に寄与するなど、本県の豊かな環境を形成し、県民の暮らしを守る様々な役割を担う「社会共通の財産」であります。
本県の民有林の約半分を占める33万ヘクタールの人工林は、その多くが戦後植林された50年生前後の森林であります。
これまで、外材輸入や代替資材の増加などに伴い、国産材の需要が減少し価格が低迷するなど、林業の経営が困難な状況が続いてきておりましたが、近年は、中国等をはじめとする新興国の経済発展が著しく、国際的に木材需要がひっ迫してきている状況にあります。このような、木材を巡る世界情勢の変化により、これまで我が国に大量に輸入されてきた外材の供給が減少傾向にある中で、充実しつつある我が国の森林資源の状況を背景に、国産材への期待が急速に高まってきております。
しかしながら、長期にわたる林業の低迷により、手入れがなされていないままの森林は依然として多く残っており、土砂災害の防止機能や林産物の供給など、森林の持つ多面的な機能を維持発揮するためには、緊急に間伐をしなければならない、先送りできない時期を迎えております。
また、地球温暖化防止や再生産可能な資源の供給源としての森林の役割に対する期待が高まる中で、国では、京都議定書において定められた温室効果ガス削減目標の6%のうち3.8%を森林整備による二酸化炭素の森林吸収量で達成することとなっており、地球温暖化防止の面からも、森林づくりを推進することが極めて重要になっております。
こうした中、昨年11月に、今後10年間の森林づくりに関する基本的な展開方向を定める、「長野県森林づくり指針」を策定いたしました。
この指針では、基本目標に「森林を活かし 森林に生かされる 私たちの豊かな暮らし」を掲げ、森林の様々な恵みを暮らしに活かすことにより、豊かな森林が維持されるとともに、その森林によって、清らかな水や空気が育まれ災害などから人々の暮らしが守られるという好循環の姿を目指すこととしております。
この基本目標の実現に向け、「森林」、「林業・木材産業」及び森林を支える「地域」の将来の姿を明確にした上で、行政や森林・林業関係者だけでなく、森林の恵みを享受している県民全体で森林づくりを支えていくという考え方から「みんなで支える ふるさとの森林づくり」を推進してまいります。
平成20年度から導入いたしました「長野県森林づくり県民税」につきましては、県民の皆様の御支援のもと、これまで手が入らなかった集落周辺の里山を中心に、地域と林業関係者が一丸となって間伐を積極的に進める取組を行い、着実に成果をあげてまいりました。
今後もこの取組を更に推進し、整備が必要な森林の間伐を計画的に実行してまいります。
また、国においては、10年後の木材自給率50%を目指す姿とした「森林・林業再生プラン」が策定され、「森林の有する多面的機能の持続的発揮」、「林業・木材産業の地域資源活用型産業への再生」、「木材利用・エネルギー利用拡大による森林・林業の低炭素社会への貢献」の3つを柱として、森林・林業を再生し、地域の活性化と雇用の確保、低炭素社会の実現に取り組んでいくこととしております。
国の平成23年度予算案は、森林・林業再生プランの具体化に向け、制度や事業内容を大きく改革したものとなっております。特に、これまでの造林事業を抜本的に見直して、新たに森林管理・環境保全直接支払制度を創設し、施業地の集約化、路網整備及び搬出間伐を推進することで、将来的には搬出コストの低減と間伐収入により補助なしでも間伐が可能となることを目指しております。
県といたしましては、国の動向を注視しながら、地域の関係者が連携して、県産材をより効率的かつ低コストに生産・利用していく仕組みづくりを進め、林業・木材産業が森林づくりを担い地域を支える産業として、力強く再生していく取組を進めてまいります。
以上のような基本認識のもと、新たに制定いたしました長野県森林づくり指針に沿って、森林の整備と林業・木材産業の振興及び豊かな地域づくりの推進を図るための施策を着実に進めてまいります。
以下、指針の3つの柱について、順次説明を申し上げます。
第一に、「みんなの暮らしを守る森林づくり」について申し上げます。
森林の持つ多面的な機能の向上を図り、森林を健全な姿で次世代に引き継いでいくため、手入れの遅れた森林の間伐を計画的に推進してまいります。
また、森林の保全に向け、森林整備と治山施設整備を一体的に実施する「災害に強い森林づくり」や、被害区域が拡大している松くい虫等の森林病虫害被害の対策を強化し、森林の機能に応じた適正な森林づくりを進めてまいります。
まず、「多様な森林整備の推進」といたしまして、森林の適切な管理や利用を進める地域森林計画において、森林地理情報システム等を活用して民有林の調査を実施し、今後10年間の木曽谷の森林づくりの計画を策定してまいります。また、国の森林計画制度の改革に伴い、地域森林計画及び市町村森林整備計画の一斉変更を実施し、地域の実態に即した森林計画としてまいります。
喫緊の課題である間伐につきましては、アクションプランに基づき計画的に推進しているところでありますが、平成23年度は前年度から600ヘクタール増となる24,000ヘクタールを計画し、この実現に向け、新しい国の造林補助制度や、森林づくり県民税等を活用し実施してまいります。
また、「長野県地球温暖化防止県民計画」の目標達成に向け、森林整備の推進により二酸化炭素の吸収量を確保するため、企業等が社会貢献活動として行う森林整備を一層推進できるよう、森林(もり)の里親契約企業を対象とした「長野県森林CO2吸収・評価・認証制度」を活用し、支援してまいります。
さらに、県有林の森林整備により達成される二酸化炭素の吸収量について、新たに環境省のオフセット・クレジット制度であるJ−VER(ジェイ・バー)制度による認証を受け、企業等へ販売可能なクレジットを取得する取組を実施してまいります。
この他、森林づくり県民税を活用いたしました、森林づくり推進支援金によりまして、地域固有の課題に対応した森林づくりの推進を図ってまいります。
次に、「森林の保全に向けた取組の強化」といたしまして、県民が安全で安心して暮らせるよう、「災害に強い県土づくり」を目指して、減災につながる「災害に強い森林づくり」と「山地防災体制の構築」に取り組んでまいります。
平成18年7月、諏訪地域を中心に甚大な被害をもたらした豪雨災害や、昨年県内で頻発した局地的な山地災害の発生など、森林の手入れ不足等が災害の発生を防止できない要因の一つとして指摘されています。このため、地域ぐるみの災害に強い森林づくりと治山施設の効果的な整備等の取組を推進する必要があります。
災害に強い森林づくりを原点とし、流域的に森林整備と治山施設整備を一体的に実施するほか、砂防事業等との連携などにより、流域の一体的整備の推進を図ってまいります。
治山施設の有効活用・適正な維持管理につきましては、既存の治山施設の機能強化や、恒常的な維持管理による治山施設のリフレッシュを進め、再度の山地災害の発生に備えます。
山地防災体制の構築については、山地災害危険地区や地すべり防止区域に関する情報を整備し、住民への周知を進めるとともに、山地防災ヘルパーとの連携を強化し、山地災害情報の収集を進めてまいります。
県内民有林の14%を占めるアカマツ林につきましては、森林の保全をはじめ景観の維持・形成やまつたけ生産など重要な役割を担っていることから、松くい虫被害を防止するための伐倒駆除など、市町村との協働により適期の駆除を重点的に実施するとともに、より環境への影響等にも配慮した予防対策の実施方法を検討し、松林の健全化を図ってまいります。
この他、県の北部地域を中心に拡大を続けるカシノナガキクイムシのナラ枯れ被害対策の研究や、現地での駆除方法の検討などを進めてまいります。
以上、「みんなの暮らしを守る森林づくり」の推進に要する経費といたしまして、113億9,443万円を計上いたしました。
第二に、「木を活かした力強い産業づくり」について申し上げます。
林業や木材産業が、健全な森林づくりに貢献しつつ、循環型社会を支える産業として発展するために課題となっております、間伐推進の条件整備、間伐材生産の低コスト化、県産材製品の安定供給、建築やエネルギーへの県産材の利用促進等に集中的に取り組み、山村地域を支える産業としての林業・木材産業づくりを目指してまいります。
まず、「林業再生の実現」といたしまして、近年の不在村森林所有者の増加により、正確な森林所有者情報の把握が困難になってきており、効率的な森林づくりを行うために不可欠な集約化作業を進める上で大きな課題となっております。そこで、県内の個人有林等の情報を収集し、森林簿における森林の地番・所有者情報の整備を図り、集約化作業の軽減化・円滑化を図ってまいります。
次に、低コスト林業構築のためには、木材を効率的に搬出するための高密度な林内路網の整備が不可欠であります。本県の地形・地質・気象条件等の地域特性に加え、より効率的な搬出の作業システムも考慮した林内路網整備指針を新たに作成し、森林の保全と木材生産の効率化を図ってまいります。
また、間伐材等の森林資源が将来にわたって円滑に生産・流通・利用できる仕組みを構築するための事業に集中投資を行い、地域産業としての林業・木材産業等の再生を図ってまいります。
この他、林道事業等による林内路網の整備や、高性能林業機械の導入支援、担い手の育成等を進め、林業再生に取り組んでまいります。
次に、「信州の木の利用促進」といたしまして、充実する県内の森林資源を県内で活用するためには、競争力のある品質の確かな製品を安定的に生産し供給できる、効率的な加工・流通体制を整備する必要があります。
そこで、県といたしましても執行体制を強化するため、信州の木振興課に県産材利用推進室を新たに設置することといたしました。新設する室を中心にいたしまして、県内の林業・木材産業関係者等と協議しながら必要な加工体制について構想を策定し、地域の木材産業の連携強化を図ってまいります。
また、昨年10月に施行された「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」により、公共施設等への木材利用の促進が図られ、木材全体の需要拡大が期待されております。このため、消費者が求める品質の確かな県産材製品である信州木材認証製品のブランド力のアップや、認証製品のわかりやすい情報提供の取組に対し支援してまいります。
木材は循環型社会に寄与する再生産可能な資源であり、木材として使用されている間は炭素を安定的に固定するなど、地球温暖化防止に大きく貢献する資材でもあります。このため、住宅等に使用した県産材の炭素固定量を適切に評価する「炭素固定認証検討委員会」を新たに設置し、木材利用の環境貢献度を数値化することにより県産材の利用促進を図ってまいります。
さらに、県産材を使った良質な木造住宅の整備を促進するため、信州型エコ住宅「ふるさと信州・環の住まい」に併せて、新たに県産材を使用した建築物に対し県産材使用量に応じて助成する取組を加え、県産材住宅の見学会や講習会の開催などをパッケージした「信州の木と住まいの総合対策事業」を林務部と建設部が一体となって展開し、県産材を使った良質な木造住宅等の普及を積極的に図ってまいります。
この他、地域の木材の生産と利用に係る関係者が協定を締結し、協働して地域材を利用する仕組みづくりに支援するモデル事業を拡充し、地域の間伐材等が地域において着実に利用される、地産地消のシステムの構築を進めてまいります。
県産材の供給体制整備につきましては、引き続き必要な製材施設や乾燥施設等の整備に対して支援してまいります。
木質バイオマスエネルギーの利用促進につきましては、ペレットストーブや木質ボイラーの導入に対し支援してまいります。
以上、「木を活かした力強い産業づくり」の推進に要する経費といたしまして、36億7,885万7千円を計上いたしました。
第三に、「森林を支える豊かな地域づくり」について申し上げます。
森林の適正な管理の推進を図るとともに、森林づくりへの企業等の参加や森林の癒し機能を活かす森林内の歩道整備を促進し、森林の多面的な利用を促進してまいります。
また、深刻化している野生鳥獣被害の総合的な対策を進めるとともに、最も大きな被害が発生しているニホンジカの捕獲対策を強化してまいります。
まず、「森林の適正な管理の推進」といたしまして、森林所有者や地域住民等の合意形成を図りつつ、最も適切な今後の森林管理のあり方を検討し、それぞれの森林について、管理主体の明確化を図る必要があります。
国の森林・林業再生プランに伴う改革では、国、都道府県、市町村、森林所有者等の各主体がそれぞれの役割の下、自発的な取組を維持するため、市町村森林整備計画のマスタープラン化や、意欲と能力を有する事業体が森林経営の受託を通じて森林所有者の森林をとりまとめて管理する森林経営計画の創設など、持続的な林業経営を確保するための枠組みが示されております。
そこで、森林資源情報を管理する森林地理情報システムを有効に活用し、地域の実態に即した市町村森林整備計画や地域森林計画を樹立し、適正な森林管理の推進につなげてまいります。
次に、「森林の多面的な利用の促進」といたしまして、本県の自然環境を支え、地域を守る人々のくらしの場である山村地域の活力を高めていくため、森林、自然環境、景観などの地域資源を活用した、山村ならではの特徴ある産業を育成していくことが必要となっております。
このため、山村の資源を活かした長野県らしい新たな森林産業の創造等を支援して、活力ある山村づくりを進めてまいります。
森林の癒し機能を活用した「森林セラピー」など、本県の自然や風土などの特徴を生かした森林の総合的な利活用により、山村地域の活性化の取組を進めます。
また、森林を利活用する基盤となる森林内の歩道整備に対し支援してまいります。
特用林産物につきましては、しいたけ、なめこ、まつたけ、山菜など、身近な里山が生み出す「山の幸」の生産振興に向けて、特用林産物の生産技術の改善・定着を図るとともに、生産施設の整備や商品化、販路拡大を促進して、地域資源を生かしてまいります。
さらに、森林を活かした上下流の住民交流や山村と都市との交流、企業等の行う森林整備活動への支援を進めてまいります。
次に、「野生鳥獣対策の推進」についてでありますが、野生鳥獣の生息区域の拡大に伴い、被害が広域化・深刻化しており、農山村地域を維持する上で、重大な支障となっております。
このため、「野生鳥獣に負けない集落づくり」と「長野県の自然・農林業を守るためのニホンジカの捕獲促進」を目標として、集落ぐるみの防除対策、捕獲対策、生息環境対策及びジビエ振興対策を総合的に実施しながら、引き続き各被害集落の実態に即した適切な対策をきめ細やかに行う取組を、関係機関との連携により進めてまいります。
特に、有害鳥獣の適正な個体数管理を担う狩猟者を確保し、捕獲対策を推進するため、メスジカの捕獲報奨金に対する支援や、集落で行う捕獲対策への支援を拡充するとともに、市町村等と連携いたしまして広域で行う有害鳥獣捕獲従事者に対する保険料の経費支援についても拡充してまいります。
また、ニホンジカ被害が拡大している区域で、捕獲技術を普及・伝承していく取組を引き続き実施するとともに、隣接県と連携してニホンジカの広域捕獲体制づくりも進めてまいります。
「森林を支える豊かな地域づくり」の推進に要する経費といたしまして、6億6,691万1千円を計上いたしました。
以上、平成23年度当初予算案に位置付けられた主な施策について申し上げました。
次に、債務負担行為としましては、長野県林業公社の造林資金に対する損失補償として、9,698万3千円を、また、森林整備合理化計画推進事業として利子助成に係る、1,114万5千円を設定いたしました。
事件案につきましては、県営林道事業施行に伴う市町村の負担についてであります。
専決処分報告につきましては、交通事故に係る損害賠償の専決処分報告についてであります。
以上、林務部関係の議案につきまして、その概要を御説明申し上げました。
よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
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