長野県立総合リハビリテーションセンター

しあわせ信州

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更新日:2016年8月30日

褥瘡の看護

当リハビリテーションセンターでは、入院された方全員に対して、褥瘡に関する危険因子を評価し、さらに専任の医師および看護師が褥瘡対策に関する診療計画を作成しております。

皆様の状態に応じて、体圧分散式マットレス等を適切に選択する体制を整えております。

基本的な考え方

1.洗浄は瘡処置の基本

洗浄は瘡処置の基本である。

人肌に温めた生理食塩水で洗浄することを基本とするが、必ずしも生食でなくともよく、シャワー浴も可。

洗浄の目的は細菌や壊死組織、浸出液、外用剤の遺残などを除去・減少させること、さらに褥瘡周囲の皮膚を清潔に保つためにある。

2.細菌が居ても・・・

細菌の検出と感染とは必ずしも同義ではない(両者を区別して考えること)。

細菌が検出されても局所の炎症所見(発赤・腫脹・熱感・疼痛)が認められなければ感染とは考えない。創を無菌にすることは不可能であり、その必要もない。

3.治療者こそ

治療者の手を介して細菌を感染させてはならない(特にMRSAや緑膿菌など)。

処置を行う者は、必ずゴム手袋を着用し、処置終了後にその手袋を廃棄することを基本とする。一処置一手洗いの原則。

4.消毒液・・・要注意

イソジンなど消毒薬は組織障害性があり、良性肉芽の形成や上皮化を阻害する。

感染性肉芽(黒色期や黄色期)は消毒する必要あり、赤色期や白色期では消毒しない。

5.乾燥神話のウソ

創においては、適度な湿潤環境が肉芽や上皮の再生のために必要。

創は乾燥させてはならない(日光浴をすると良いというのは間違いである)。さらに、創周囲の皮膚は、浸軟(白くふやけること)させてはならない。創周囲の皮膚は健康を保つためクリームなどのスキンケアが必要。清潔、適度な乾燥と湿潤状態を保つこと。

6.グローバル(全体)で考えよう

除圧・ずれの防止を行わなければ、いくら局所の処置を工夫しても褥瘡は治らない。

ギャジアップの際、体のずり落ちによる仙尾部のズレに注意が必要。

仙骨部褥瘡では、仰臥位30°以上のギャッジアップはしないこと。

★エアマットの下に手を入れて指を軽く曲げて除圧目的部に触れる程度が適正な空気圧である。

7.褥瘡は変化する!

複数の病期(例えば黄色期と赤色期)が重なる場合は、重い方の病期を基準に治療を行う。

創の処置法は、病期・感染の有無・創の深さ・浸出液の量などを考慮して選択する。

8.円座は要注意!

仙骨部や踵部など除圧目的で円座は使用禁!!

(円座との接触部に圧迫・ズレの力が働き、円座内のうっ血を来すため)

踵の除圧:ウレタンフォームなどをふくらはぎの下に引き、踵を浮かせる。

仙骨部の除圧:30°半側臥位の原則。

1.褥瘡の深さSheaの分類

  • 第1度:軟部組織全般に及ぶ急性炎症.表皮の発赤、びらんがみられる
  • 第2度:真皮全層に及ぶ潰瘍で,軟部組織全体の炎症を伴う
  • 第3度:皮下組織から筋膜に及ぶ深い潰瘍
  • 第4度:病変は筋肉・軟部組織の全層に波及し,骨,関節に及び,骨が露出

2.経過と局所処置の基本

3から4度の深い褥瘡は経過に応じて表面の性状が変化していく.

褥瘡の色による分類は,慢性の深い褥瘡の病変の経過をよく表している。黒色期,黄色期,赤色期,白色期の順に変化する。

黒色期

黒色期に褥瘡の表面は黒褐色のミイラ状組織で被われ,周囲に発赤・腫脹を伴う。壊死組織の直下には膿性の浸出液が貯留し,波動を触れる。かさぶたと間違った認識をしてはいけない。

<処置>
まずミイラ化した軟部組織は外科的にデブリードマンし、深さを確認するとともに細菌培養検査を行う。ミイラ化した皮膚の下層に膿瘍を形成している場合は排膿の後、十分洗浄する必要がある。蜂窩織炎を併発しCRP、血沈等の炎症データの上昇を認めた場合は、抗生剤を投与する。

黄色期

黄色期は,壊死組織を伴う不良肉芽で黄色を呈するが,細菌感染により黄褐色,黄緑色を呈することもある。

<処置>
なるべく早く黒色期,黄色期を脱出して,赤色の良好な肉芽に以降させることが最も重要である。不良肉芽をデブリードマンし、イソジン液による消毒、生理食塩水による洗浄を行う。
外用薬は,黒色期,黄色期では抗菌作用のあるユーパスタ,ゲーベンクリームなどを使用する。浸出液が多い場合はユーパスタを使用する。

赤色期

赤色期は,毛細血管の豊富な良好な肉芽組織に被われる。創面は徐々に浅くなり,辺縁から上皮化が始まる。

<処置>
一部感染が残っている場合には黄色期と同様に治療する。良好な肉芽がみられ感染の徴候がない場合には,オルセノン軟膏,アクトシン軟膏、プロスタンディン軟膏などの肉芽形成を促進する外用薬に変更する。
フィブラストスプレーもこの赤色期の治療に使用する。

白色期

白色期は、肉芽組織が収縮し、周囲から上皮化があり、瘢痕治癒に向かう時期である。

<処置>
ハイドロコロイド(コムフィールアルカス、デュオアクティブ)などの貼布薬は第2度までの浅い褥瘡で浸出液が少ない場合に使用する。上皮化をできるだけ早く進めるためには、周辺の皮膚の健康を保つことが重要。かぶれ、浸軟や乾燥、白癬菌感染を防止するためのスキンケアを行う。

3.褥瘡患者のスキンケア

褥瘡の炎症症状が激しく、熱発等あるときには入浴は見合わせるが、それ以外のときには、全身状態が許す限り、積極的に入浴させる。入浴できないときには清拭とともに陰部洗浄を行い、患部の周囲を清潔に保つ。尿失禁などのために患部周囲が湿潤しやすいときには、患部周囲に白色ワセリンや保湿外用薬を用いて保護する.

4.褥瘡患者の全身管理

寝たきり高齢者では、寝たきりの原因となった基礎疾患の改善は望めない場合も多いので、現在残されている日常生活動作(ADL)の維持向上に努めることが重要である。まだ寝たきりでない患者については、寝かせきりにせず廃用症候群を防ぐ必要がある。

栄養の問題では、食事や栄養補助食品を工夫して十分に栄養を摂取できるようにする。アルブミン3.5g_dl、ヘモグロビン11g_dl以上が目標である。摂食が不十分なときには、エンシュア・リキッド液などを処方して栄養を補うとよい。

5.患者や家族の教育、在宅における医療介護スタッフとの連携

褥瘡の在宅治療においては、介護スタッフを含めた医療関係者との密接な連携と協力が必要である。在宅の褥瘡ケアには、主治医、皮膚科医、患者家族、訪問看護師、ホームヘルパー、訪問入浴担当者、介護福祉士、ケアマネジャーなどの多数のスタッフが関わっている。

褥瘡の再発防止には患者や家族に対する教育が最も重要である。再発を繰り返す場合は、定期的に外来でチェック、指導することが必要となる。

 

褥瘡治療の原則は、除圧・局所処置・栄養の改善などによる保存的治療が基本です。しかし、骨にまで達した褥瘡(StageIV)や難治性の褥瘡は、手術によって早期に閉創することが可能です。褥瘡の部位や大きさによって様々な再建術式が考えられます。

褥瘡の手術による治療のページにリンク

 

予防が最も大切

褥瘡はいったん発生したら、治すのに多大の労力を要するし、なかなか治らない。
「褥瘡は予防に始まり予防に終わる」

 

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