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更新日:2016年6月10日

知事会見(平成28年(2016年)6月10日(金曜日)11時10分~12時28分 会場:県庁)

≪阿部知事からの説明≫

1 第67回全国植樹祭開催、平成28年6月県議会定例会に提出する予算案・条例案について

≪取材者からの質疑≫

2 第67回全国植樹祭の開催について

3 6月補正予算案について

4 信州まつもと空港の活性化について(1)

5 信州まつもと空港の活性化について(2)

6 信州まつもと空港の活性化について(3)

≪阿部知事からの説明≫

7 大北森林組合等の補助金不適正受給事案に係る国庫補助金返還等への対応について

≪取材者からの質疑≫

8 大北森林組合補助金不適正受給について(1)

9 大北森林組合補助金不適正受給について(2)

10 大北森林組合補助金不適正受給について(3)

≪阿部知事からの説明≫

11 子どもを性被害から守るための条例案について

≪取材者からの質疑≫

12 子どもを性被害から守るための条例案について(1)

13 子どもを性被害から守るための条例案について(2)

14 子どもを性被害から守るための条例案について(3)

15 子どもを性被害から守るための条例案について(4)

 1 第67回全国植樹祭開催、平成28年6月県議会定例会に提出する予算案・条例案について

長野県知事 阿部守一
 皆さま、こんにちは。よろしくお願い致します。(※手話で表現)
 それでは6月10日の会見を始めさせていただきたいと思います。
 まず、大きなテーマがありますので三つに分けて会見をしたいと思います。まず初めに、6月県議会定例会に提出する予算案、条例案についてご説明したいと思います。
 まず、その前に植樹祭についてお話し申し上げたいと思います。このたび第67回全国植樹祭に関しまして、多くの県民の皆さま方、そしてメディアの皆さま方も含めて関係者の皆さま方の大変なご協力とご支援の中、無事盛大に開催することができましたこと、改めて御礼申し上げたいと思います。また、式典への御出席、そして地方事情御視察のため御来県を賜りました天皇、皇后両陛下に対しまして、県民の皆さまこぞって盛大に歓迎していただきましたことも重ねて感謝申し上げたいと思います。長野県、今年度はイベントイヤーということで、これからも国際フラワーフォーラム2016、あるいは第1回「山の日」記念全国大会、G7交通大臣会合、ながの銀嶺国体など大きな行事、イベントがあるわけでありますが、それぞれ万全の態勢で開催できるように準備していきたいと思っております。引き続き関係の皆さま方のご協力とご支援、何よりも県民の皆さま方のご理解をお願いしたいと思います。
 それでは予算、条例についてお話し申し上げたいと思います。先ほどの部局長会議におきまして、6月県議会定例会に提出致します補正予算案、そして条例案について決定致しました。今回の6月補正におきましては、信州創生の取り組みをさらに推進していくという観点から、地方創生推進交付金を活用した事業を追加してまいります。また、子どもを守り育てる取り組みの充実をはじめ、武道振興の拠点整備など、県政の諸課題にもしっかりと対応してまいります。補正予算案の規模は21億円余ということでございます。あわせて県立武道館の設計に係る債務負担行為1億円余を設定させていただきます。主な内容について順次お話し申し上げたいと思います。まず、「信州創生に向けた施策の展開」でございます。平成28年度当初予算におきまして「信州創生の新展開」を打ち出しましたが、今回の6月補正で施策のさらなる展開を図るために、地方創生推進交付金を活用して「人生を楽しむ『働き方改革』」と、それから「信州創生を担う人材の確保・育成」に取り組んでまいります。働き方改革、長野県としては三つの視点で取り組んでいきたいと思っております。全ての人の能力が生かせる、女性も男性も、あるいは障がいがある方もない方も、高齢者も若者も、全ての人たちが能力を生かすことができるような働き方にしていきたいと思っておりますし、また、それぞれの県民の皆さま方が働き方を選択できるということで、多様な働き方を推進していきたいと思っております。今日、部局長会議で報告がありましたテレワークの推進ということも、働き方改革の大きな一つだと考えております。そして人口減少下で信州に人材をひきつける、こういう観点での働き方改革も進めていきたいと思っております。また人材の確保が極めて重要になる中で、雇用の問題は産業労働部、子どもの教育は教育委員会といった縦割りではなく、学校での学びと、それから地域での実践的な働きが相互に連携する人材育成システムを長野県から形作って発信していきたいと思っております。それから二つ目でありますが、「子どもを守り育てる取組の充実」ということでございます。後ほど性被害の条例について、そして性被害関連の施策については別途お話し申し上げたいと思いますが、それに加えまして官民協働による子どもの居場所づくり、これは県として地域の皆さんと連携してしっかりと進めていきたいと思っております。青少年育成県民会議の皆さま方にも、子どもの貧困の問題が極めて重要なテーマだということで、昨日の役員会でも私から協力を求めさせていただいたわけでありますけれども、今回の予算では地域の皆さん、NPOの皆さんと一緒になって居場所づくりに向けた取り組みを進めていきたいと考えております。それから三つ目でありますが、「武道振興の中核的拠点の整備」ということで、先般決定致しました「県立武道館基本構想」を実現していくために、建設に向けた地盤調査、そして設計等に係る経費を今回計上させていただいたところでございます。武道以外の多様なスポーツや文化活動にも幅広く活用できるような仕様とさせていただきたいと思っておりますし、また隣接する佐久市の施設とも連携をすることにより、利便性の高い施設となるように取り組んでまいります。それから4点目は「信州まつもと空港の活性化」、国際化に向けた取り組みであります。本日の部局長会議で決定致しました「信州まつもと空港の発展・国際化に向けた取組方針」に基づきまして、空港の活性化に向けた取り組みを進めてまいります。今回の予算では、空港の国際化に向けて必要な県内企業の海外ビジネス需要でありますとか、あるいは外国人旅行者の乗り継ぎ需要について調査、分析を行ってまいりたいと考えております。それから今回の予算の中で、「大北森林組合等補助金不適正受給事案への対応」ということで約11億5,000万円予算計上させていただいておりますが、このことについても、また別途改めてご説明させていただきたいと思っております。今回の予算案の決定と関連致しまして、先ほどの部局長会議におきまして「行政・財政改革方針に基づく取組」について報告がありました。その中でも言われておりますように、県財政の健全化については着実に進めてくることができたと思っております。県債発行については、通常債残高については私が知事に就任して以来毎年縮減をしておりますし、臨時財政対策債を含めた県債残高の総体につきましても、国に対して臨時財政対策債の廃止を求めておりますが、国も一定の縮小の考え方をお持ちにはなっている中で、臨時財政対策債を含めた県債残高についても2年連続で減少させることができました。引き続きこうした基調を維持できるように努力をしていきたいと思っております。また、財政調整のための基金残高については平成27年度末で568億円ということで、毎年着実に増加をさせていただいております。平成21年に270億円でありましたが、その後、毎年基金を積み増しさせてきていただいておりまして、568億円ということで、私が知事に就任する前の年に比べると約300億円、いわゆる県の貯金を増やすということもできました。また、財政指標であります実質公債費比率あるいは将来負担比率、こうした健全化判断比率についても着実な改善を見せているところでございます。引き続き歳入確保、歳出削減に向けてしっかりと全庁挙げて取り組んでまいります。それから条例案でございます。条例につきましては資料2の1にお示ししております通り、一部改正条例案8件、そして新設条例案1件を提出する予定でございます。一部改正条例案のうち、長野県県税条例の一部を改正する条例案につきましては、地方税法等の一部改正等に伴いまして、いわゆる企業版ふるさと納税についての規定を定めるものでございます。この制度を長野県としてもしっかりと活用していきたいと思っております。また2ページ目の7番でございますが、民生委員の定数を定める条例の一部を改正する条例案、これは3年に1度の民生委員の一斉改選に当たりまして、地域の実情を踏まえて、市町村ごとの委員定数を改定しようとするものでございます。子どもを性被害から守るための条例案につきましては、後ほど別途ご説明申し上げたいと思います。補正予算に計上した事業あるいは条例案の具体的な内容については、後ほど、またそれぞれの担当部局に取材いただければと思います。まずは私の方から以上とさせていただきます。よろしくお願い致します。

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 2 第67回全国植樹祭の開催について

信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
 手短に3点お願いします。冒頭、植樹祭についてお話がありましたが、植樹祭の知事のごあいさつで何度も強調していらっしゃった、森林県から林業県に発展させる、そういったことを考えた場合に今回の植樹祭の位置付けについて改めてご説明いただけますか。

長野県知事 阿部守一
 今回の植樹祭は森林林業関係の皆さま方、そして平素は直接森林に関わっていらっしゃらない企業だとか子どもたちだとか、大勢の皆さま方のご参加と協力の中で、盛大に開催することができたということで、まずは県民の皆さんの森林あるいは林業に対する関心、協力、こうしたものを高めていくというでは大きな成果があったと思っております。また、これからの取り組みとしては、ご指摘いただいているように森林県から林業県へということで、森林自給圏の構築ということで、林業本体でもしっかり取り組んでいきたいと思っておりますし、今回の植樹祭の中でも、いわゆる森のようちえん、信州やまほいくの子どもたちにも参加いただきましたし、また森林セラピー等、あるいは木曽漆器をはじめとする伝統文化、あるいは御柱祭などお祭りと森林との関係ということも発信させていただきました。こうした木と森の文化について、改めて県民の皆さま方と価値を今回の植樹祭で共有をさせていただいたわけでありますので、今後、この取り組みを次につなげるべく、林業の振興はもとより、文化的な側面あるいは教育的な側面、さらには観光の側面、こうした分野での森林、森、木、こうしたものを活用する取り組みを一層推進していきたいと思っています。

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 3 6月補正予算案について

信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
 もう1点、補正予算案についてお伺いしたいんですが、地方創生の関係で今回、昨年策定され全体の計画の中で非常に多様な計画があるかと思うんです。その中でも特に今回、働き方改革というか、ここの部分にスポット当てている理由というのを教えていただけますか。

長野県知事 阿部守一
 今年の予算の「信州創生の新展開」の柱の第1番目には「郷学郷就(きょうがくきょうしゅう)県づくり」ということで、信州で学ぼう、信州で働こうということを明確に位置付けているわけであります。今回、交付金をどういう分野に活用しようかと考えたときに、やはり長野県で働くということ、これはしっかり打ち出していきたいという思いが一つございます。それから先ほど申し上げましたように、ともすると学ぶということと働くということが、ややもすると縦割りで対応されがちでありますけれども、今回学ぶということと働くということもしっかりリンクさせて長野県から発信していきたいということで、二つのプロジェクトというか政策について、交付金事業として提案させていただくことに致しました。

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 4 信州まつもと空港の活性化について(1)

信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
 あともう1点は、まつもと空港の活性化について、これも非常に総括的な計画を立てていらっしゃるんですが、ちょっと1点だけ、財政的な負担は、一つビルのお話もありますし、あとこれは航空会社子との調整になるのですかね、ILSに変わる新しい進入方式ですとか、その辺の財政的な負担というのはどのように見通していらっしゃいますか。ビルの改修等も含めて。

長野県知事 阿部守一
 先ほど申し上げたように県財政全般は基本的には改善基調と考えています。そういう中で、例えばターミナルビルやエプロン施設について、どういうものにしていくかということはこれからの検討課題ではありますが、しかしながら、時期的な想定も含めて、段階を追って取り組んでいくという方向を明示させていただいております。長野県としてまつもと空港の国際化ということを今回掲げているわけでありますので、それを推進する上では必要な財政的な対応ということは、財政的な体力としては十分対応可能だと思っておりますし、もとより必要な投資を行わないがゆえに、まつもと空港の路線拡充であったり国際化が進まないというようなことがあってはならないと考えておりますので、そういうことで、県としての方向性を明確に今回示させていただいたところでございます。

信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
 試算として大体どのぐらい、ここまで計画を立てられると思うので、バックグラウンドとしてはある程度データの裏付けがあると思うんですが、どのくらいを見込んでいらっしゃるのですか。

長野県知事 阿部守一
 少なくとも私が認識している範囲では、県財政全体に大きな影響を与えるような水準にはならないと思っています。どういう規模でどういうふうにするかということによると思いますが、他県のこととか例示すれば、また担当課の方でご説明できると思いますけれども、先ほどからお話ししているような全体的な県債残高の縮減であったり、あるいは貯金としての積立金の増加という中で十分対応できると思っています。

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 5 信州まつもと空港の活性化について(2)

信濃毎日新聞 鈴木宏尚 氏
 引き続いてまつもと空港の件なんですが、高い目標を掲げられたなと一見して思ったんですけれども、今までも国際定期便の就航、国内路線の拡充というのは県も取り組んでこられたと思うわけなんですけれども、見通しを持って今回打ち出されたとすればですね、コンサルの調査もあると聞いていますけれども、どういった思いでこの時期に打ち出されたのか、もう一度改めてお聞かせください。

長野県知事 阿部守一
 今もお話しいただきましたけど、路線拡充と機能強化についてはコンサルに委託をしながら、われわれも調査研究を深めてまいりました。そういう中で、今回、信州まつもと空港については、やはり長野県として海外との関係を含めて大きな交流圏を作っていこうことで、本州中部広域交流圏構想、交通ビジョンに位置付けているわけでありますけれども、それを実現していく上では極めて重要な県の財産だと思っております。例えばインバウンドのお客さまも急激に増加しておりますし、さまざまな産業分野でも海外との関係が、例えばまつもと空港ができた頃に比べると全く格段の違いができている中で、やはり国際化の可能性ということをしっかり追求していこうということで、今回この取り組み方針を掲げさせていただいたところであります。もとより路線の就航等については、県だけではなくて航空会社あるいは関係者の理解と協力が不可欠でありますので、関係方面との協議、調整ということは、これから積極的に行っていかなければいけないわけでありますけれども、しかしながら、他方でわれわれ県としての方針を示さないことには話が進んでいかないという部分もありますので、そういう観点で今回こういう形で県としての取り組み方針を明確にお示しをさせていただいたところでございます。

信濃毎日新聞 鈴木宏尚 氏
 関連しまして、これは全て県だけが行うということではないというふうに理解してますけれども、つまり自治体等とですね、あるいは経済団体とかいろんなことになるんでしょうか、お金の話ってなるといけないんですが、いろいろな面で負担協力しながら進めていくというお考えでよろしいでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 まず、県営空港でありますから、もちろんここに掲げているのは県が主体的に進めていきます。ただお話しありましたように、関係自治体、松本市のような自治体であったり、地元の皆さんのご協力ということも不可欠であります。また、具体化していく上では、例えば「RNP-AR進入方式」の導入ということも考えれば、航空会社のご理解と協力が不可欠でありますので、そうしたことは当然関係方面に働き掛けながら一緒になって取り組んでいきたいと思っています。

信濃毎日新聞 鈴木宏尚 氏
 集中取り組み期間ということで本年度と来年度というふうにありますけれども、これだけのことを、需要の掘り起こし、航空会社や旅行会社との話し合いとかですね、県内外あるいは海外との話し合いが必要かと思うんですけれども、体制づくりを急がなくちゃいけないだろうなと思いますが、現在の交通政策課の飛行機のご担当は3人という体制なんですけれども、この辺はどういうふうにお考えでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 現在、交通政策課はしっかり頑張ってきてもらっていますけれども、お話のように本格的に国際化に向けた取り組みを進めていく上では、県としての組織体制の充実、強化ということも重要な話だと思っております。組織を新たに設置するということも含めて検討を進めていきたいと思っておりますし、それと同時に先ほどお話があったように、地元の松本市をはじめとする関係自治体の皆さんとも一緒にプロジェクトチームをつくって、県と地元とが一体となって進んでいくことができる体制を早期に構築していきたいと思っています。

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 6 信州まつもと空港の活性化について(3)

日本経済新聞 白岩ひおな 氏
 関連でまつもと空港に関してなんですけれども、16、17年度のところでですね、プロジェクトチームの設置がありますけれども、今仰った、長野県及び地元自治体のみで構成するものなのか、この内容を拝見しますと、例えば二次交通の充実であるとか観光商品の開発であるとか、おそらく地域の交通会社であるとか旅行会社等との連携が非常に重要になってくる案件が多いかと思うんですが、このチームの中にそういった民間等も、民間ですとか大学等も含めるようなお考えがあるかどうかをお聞かせください。

長野県知事 阿部守一
 もちろん行政だけでは対応できないところがありますので、別に民間の皆さま方を排除するつもりはありませんので、今後このプロジェクトで何を具体的に推進していくということを明確にする中で、どういうメンバー構成でいくかということをはっきりさせていきたいと思っております。もちろん民間の皆さんにも協力していただけるような体制にしていきたいと思ってます。

日本経済新聞 白岩ひおな 氏
 ちょっと追加で1点。そのチームなんですけれども、早期にということなんですが、今回の方針を決定されてすぐにでも取り掛かる第1のフェーズにあるものだと思うんですが、だいたい時期としてはいつごろを検討されているのか。

交通政策課長 丸山賢治
 プロジェクトチームですけれども、いろいろな取り組みがありますので、取り組みごとに変わってくるかと思いますけれども、地元の松本市さんとか塩尻市さんとかは事務的にお話をしながら一緒に進めていこうということで意思統一ができているかと思います。今後、内容を踏まえながら進めてまいりたいと思いますし、もうこの方針できましたので、早急にチームは立ち上げたいと考えているところでございます。

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 7 大北森林組合等の補助金不適正受給事案に係る国庫補助金返還等への対応について

長野県知事 阿部守一
 そうしましたら、予算と条例については以上とさせていただきまして、次に大北森林組合等の補助金不適正受給事案に係る国庫補助金返還等への対応についてご説明申し上げたいと思います。
 皆さま方のところにお配りしている3枚紙の資料をご覧いただければと思います。まず、今回先ほどご説明を飛ばさせていただきましたが、今回の補正予算案の中に大北森林組合等の補助金不適正受給事案に係る国庫補助金返還額等、約11億5,300万円計上させていただいているところでございます。これまで十数回にわたりまして個別事案ごとの県の調査結果につきまして、国に対して説明を行ってくる中で、事業費約7億9,900万円の返還と約3億5,400万円の加算金を県として見込んでいるところでございます。加算金によります国庫返還金額の増加を極力抑制していくという観点で、今回の補正予算案に所要額を計上し、国からの補助金返還命令があり次第速やかに返還等を行ってまいりたいと考えております。今回の事案につきましては、大北森林組合が元専務理事の指導の下、極めて多数の、そして多額の不適正申請を行ったものでございますが、県の補助事業者に対する指導監督の不備があり、加算金を納付せざるを得ない状況に至ったことは、私として誠に遺憾だと考えております。重く受け止めなければいけないと思っております。県組織を代表致しまして県民の皆さま方に深くお詫びを申し上げたいと思います。考え方につきましては、皆さま方にお配りした資料で順次ご説明してまいりたいと思います。まず基本的な考え方でございますが、これについては先ほど申し上げましたように、大北森林組合補助金不適正受給については、私ども検証委員会を設置して検証結果を踏まえた対応をこれまでも行ってきたところでございます。そういう中で、まずはお金の問題については法的に最大限可能な補助金返還請求を大北森林組合に対しては、すでに行わせていただいているところでございます。また、単に不適正ということにとどまらず刑事的な問題も含んでいるわけでありますので、県として大北森林組合、そして元専務に対して刑事告発を行わせていただいたところでありまして、現在裁判が行われているところでございます。そして、関係した県職員に対しては停職、減給といった懲戒処分を行うと同時に、すでに退職した職員に対しましても退職金の返納命令を行いました。また私自らも報酬減額を行うなど、この問題については県として厳正な対応を行ってきたところでございます。今回、先ほどご説明したように、財政負担最小化を図るということで6月定例県議会に補正予算案として国庫への返還金等を予算計上させていただいたわけであります。返還等に当たりましては大北森林組合等に対して損害賠償請求を行う一方で、県として先ほど部局長会議の場において、私から林務部のみならず各部局長に対して、県民生活の向上に全庁挙げて取り組むということ、それから県組織全体で徹底したしごと改革を行い経費を削減するということを強く求めたところでございます。また大北森林組合に対しましては、抜本的な経営改善と早期の補助金返還を強く求めてまいりたいと考えております。1のところから補助金の返還、財政的対処、具体的に書かせていただいておりますけれども、まず1の考え方でございますけれども、今回、先ほど申し上げましたように、7億9,900万円の返還命令と、そして加算金としての3億5,400万円を県として見込んでいるところでございます。合わせて11億5,300万円ということでございます。県は、先ほど申し上げたように、県費分も含めて法的に最大限可能な約9億7,400万円の補助金返還請求をすでに行っているもの、一部は今後行う見込みも含まれておりますけれども、まずこれについてはしっかり返還を県に対してしていただくということが重要だと思っています。そういう中で具体的な対応と致しましては、まず国への国庫補助金返還が必要でありますが、補助事業者に対して補助金返還請求を行っていないものというのがございます。その下に書いてございますが約1億7,100万円でございます。これにつきましては次の2ページでございますが、いくつか内容分かれておりますが、大きく分けますとまず国と県との時効の対象範囲が違っているものがございます。これは制度的にどうしても違わざるを得ないわけでありまして、国からは返還を求められるけれども、県としては時効で返還請求できないという部分がございます。これにつきましては、そこに記載しておりますように大北森林組合と、そして大北森林組合元専務の不法行為により県に生じた損害について、民法上可能な限り損害賠償請求を行ってまいります。それから不用萌芽除去、指導監督費、これは合わせまして 約4,500万円ございます。不用萌芽除去それから指導監督費、いずれもそこに書いておりますように、弁護士とも相談の上で損害賠償請求を行うことはできないと判断致しております。しかしながら、今回の事案について県職員の誤った指導等があったわけでありますので、県として財源確保をしっかり行っていく必要があると考えております。この部分につきましては、すでに懲戒処分を行っておりますが、そうした職員の給与減額を財源に加えまして、旅費その他の事務的経費を削減することによりまして、来年度までの2年間で金額を捻出をしてまいりたいと考えております。それから次に加算金でございます。約3億5,400万円でございます。今回の国庫補助金返還額等には県の補助事業者に対する指導監督の不備によりまして、補助金適正化法に基づき加算金として約3億5,400円、現時点で見込んでいるところでございます。こうしたことは二度と起こさないという強い決意を込めて、加算金相当額以上の金額を人件費で平成30年度までに削減をしていきたいと考えております。それから併せまして、大北森林組合の再生等に県として取り組んでまいります。まず、大北森林組合に対しましては、本来かなり多くの部分は組合から本県に返済をしていただいた上で、国に対して返還をするものが含まれておりますので、そうしたことは十分組合側には認識をしてもらった上で、県としては抜本的な経営改善と早期の返還、これを強く求めてまいります。また、これ森林組合全体の経営改革にも県としてしっかり取り組んでまいりたいと考えております。そして、3ページ目でございますけれども、今後の取り組み方針ということで、先ほど申し上げましたように1の(2)で、県として経費の削減に取り組んでまいります。しかしながら、今回の国庫補助金返還額極めて多額であります。そして今申し上げましたように、直ちに大北森林組合からの返還金を充てられない現状もあるわけであります。こうしたことをわれわれ県組織全体がしっかりと重く受け止めて、それぞれの職員がまずは自らの問題として捉えていかなければいけないと考えております。その上でしごと改革を断行して行政コストの削減、そして県職員の努力による歳入の確保に努めてまいります。その結果については、県民の皆さま方に公表していきたいと考えているところでございます。今回の事案を契機に、長野県としてコンプライアンス推進ということを掲げたわけでありますけれども、本当に県民の皆さま方の信頼を得られる組織となるように、そして県民の皆さま方の期待にしっかりと応えられるよう組織となるように、私も含めて、全職員が問題意識を共有して全庁を挙げて取り組んでいきたいとい思っています。私からは以上でございます。

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 8 大北森林組合補助金不適正受給について(1)

信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
 大北森林組合に対する対応と県内部の対応、大きく2点、その二つの視点から分けて教えていただきたいんですけど、最初、大北森林組合に対してなんですが、損害賠償請求を行うと、これは昨年12月にも同じ方針を示していらっしゃるんですが、なかなか進んでいない現状がなぜそうなっているかというのと、今後のいつぐらいに行うのかと。これは具体的な手法とすれば、民事の訴訟を長野地裁かどこかに提起するというかそういった手法なんでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 まず、今回の損害賠償請求をするということは、この考え方は先ほど申し上げたように、時効の起算点のずれに起因するものでございます。従いまして、本来時効のずれがなければ組合側が負担するべきものでありますけれども、今回時効のずれということで、長野県に対して国から返還請求が行われて、われわれが実際に返還し、納付した時点で県としての損害が具現化するわけでありますので、決して遅れている、進まないということではないということはまず明確にご理解いただきたいと思います。ですから、その中で損害が具現化した段階で損害賠償を行っていきますが、具体的なプロセスは林務部の方からご説明させてもらいたいと思います。

森林政策課企画幹 長谷川健一
 損害賠償の関係につきましては、現在弁護士さんの方と法的な観点からずっと検討してきております。具体的な手法につきましては、まだ決定しておりませんけれども、まず訴訟をというよりは通常は訴訟の前の請求を行っていくというような形になるというようなことが考えられるかと思っております。その上で、さらに法的な措置が必要だという状況に至れば訴訟という可能性もあるかと考えますけども、いきなり訴訟とは今のところ考えておりません。

信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
 時期的にはそうしますと林野庁の方から正式に返還請求が来た場合に県として損害が発生するので、その後そういった手続きに入るということでしょう。

長野県知事 阿部守一
 そうです。今の段階ではまだ県としての損害が具現化していない現状でありますから、その次の段階として対応していきたいと思います。

信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
 あとこの大北森林組合側に対する対応なんですが、延滞金の問題があって先日50年の返済計画短縮するという話もあるようですが、向こうは年10.95%は免除してほしいという話があるんですが、その要望については県としてどのように対応されますか。

長野県知事 阿部守一
 これは先ほども申し上げましたように、大北森林組合においては、まず責任をしっかりと自覚していただかなければいけないと思っています。そういう中で、われわれとしては森林組合に対しては経営改善と、それから早期の返還ということを求めて、すでにそうした考え方は伝えてきているわけでありますけれども、明確に求めていきたいと思っています。例えば私どもの方からは、例えば役員報酬についての検討であったり、事業管理費のさらなる削減と、こうしたことも求めてきているところでありますので、そうしたことを踏まえた対応を大北森林組合側にはしっかりと取っていただきたいと思っています。

信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
 そうしますと、延滞金の減免には県とすれば一切応じる考えはないということでよろしいですか。

長野県知事 阿部守一
 そうした話のまだ以前の問題だということであります。例えば補助金等の返還計画、これは大北森林組合側が作ったわけでありますけれども、その内容自体まだ私が了としているわけではありませんから、そういう意味ではまだそうした話の以前の段階だと考えています。

信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
 組合側の弁護をするつもりはないんですが、現実かなりの金利の割合が負担になるとキャッシュが回らなくなって、事業を継続できるのかという問題があると思うんですね。そういった観点からの県と組合側の精査をして、どうしてもこれキャッシュが回らないということを考えた上で、事業の継続ということを考えた場合に、今後そういった減免というのは検討する可能性はあり得るんですか。それともお考えとしても一切、こういった受け入れられない。

長野県知事 阿部守一
 またいつもの通り先走りの質問になっているのではないかと思いますけれども、まさにどういうスタンスで取り組んでいくのかということをわれわれは組合に対して求めているところでありますから、そうしたものを見た上で判断していかなければいけないと思っております。

信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
 あと県の内部でどういった形で原資というかを確保していくという観点からお聞きをしたいんですが、今までの対応ですと例えば職員の方の減給ですとか、退職金の返還、あと知事給与についても減額で、こういった部分でこれまでに捻出できた額を試算していらっしゃるようでしたらそちらを教えていただけますか。

長野県知事 阿部守一 
 先ほど申し上げたように、不用萌芽状況、それから指導監督費の部分については、これは給与減額等の措置とわれわれの事務費の節減で対応していきたいと思っています。これは今お話ありました職員の給与と返納も含めて、約2,000万円程度。28年、29年度の2年間で対応していこうということで取り組んでおりますけども、この2年間で、おおむね2,000万円弱という形で見込んでおります。

信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
 それは昨年の12月に発表された減給の対象になった方の分と、あと知事の給与も含んだ額ということですか。

長野県知事 阿部守一
 そうです。

信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
 それ以外にこちらに盛っている人件費とですね、という概念は、例えばですけど、これは人事委員会の方で決めている給与全般を、例えば今年度のをいじるとかそういう考え方を想定してらっしゃるんですか。

長野県知事 阿部守一
 加算金のところで人件費の削減ということで申し上げておりますけれども、これはもちろん後日、具体的にこういうところでこういうふうに削減したという形で結果をお示ししていかなければいけないと思っておりますけども、今考えておりますのは、まず職員採用を抑制していきたいと思っています。それから超過勤務手当についても縮減をしていきたいと思っておりまして、もちろん県の予算さまざまなものがある中で、県民の皆さま方のサービスということを低下させずに、むしろ向上させていく、県民の期待に応えるというか、向上させていかなければいけない中で、職員自体の手当であったり、職員数を削減するということで対応していきたいと思っております。

信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
 確認ですが、そうしますと給与については昨年まで2年連続民間水準に合わせるためにボーナス含めて上げていると思うんですが、そういったいわゆる本給に手を付けるというよりは、今仰ったような対応で、人件費の削減を考えていらっしゃるということですか。

長野県知事 阿部守一
 長野県、先ほどの行政財政改革の資料にもありましたけれども、これまでもかなり行政財政改革に取り組んできました。そういう中で貯金もさせてきていただいております。しかしながら、今回の事案というものは、私は極めて重く受け取らなければならない。特に加算金の部分、加算金の部分については、やはりわれわれしっかり対応していくということが県民の皆さま方の理解と信頼を得ていくには不可欠だと考えておりますので、そういう観点で、人件費、今でもさまざまな改革取り組んできておりますけども、人件費の削減で対応していきたいと思っております。

信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
 もう1点、職員の方の対応ですと昨年の12月の段階では職員の方に対する損害賠償請求というような表現もあったんですが、ちょっと今日の記載にはないんですけど、それは検討の結果行わないと決められたということですか。

長野県知事 阿部守一
 今回お示ししているのは国との関係での国庫補助金返還等への対応ということであります。この部分につきましては先ほどご説明を申し上げた通りでございます。ただ、全体の中で一部、われわれがさらに検討しなければいけないと考えておりますのが、いわゆる県単事業のうち予算流用が行われた事業でございます。これにつきましては、すでに時効が成立して返還請求ができない案件が22件あるわけでございますけども、この部分につきましては、法的な検討を十分行った上で損害賠償請求の検討を行っていく必要があると思っております。

信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
 現時点で分かればですが、該当すると思われる職員の方は何人ぐらいになる見通しですか。

長野県知事 阿部守一
 この部分については、非常に中身が多様なものでありますので、一概にこうだああだと今の時点で申し上げるのは適切ではないと思っております。

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 9 大北森林組合補助金不適正受給について(2)

信濃毎日新聞 渡辺秀樹 氏
 大北の損害賠償とは別にですね、補助金返還請求というのはしているわけですよね。これは2 週間の期限でしたっけ。2週間でしたね確か。2週間の期限を付けて返せといって、返ってきたのはほんのわずかな金額にすぎない。となれば、次のステップはやっぱり訴訟を起こしてですね、補助金の返還を、請求した補助金の返還を求めるという段取りになるのが普通だと思うんですけれども、それをしないのはやっぱりあれですか、組合の存続を図るとか、そういう意図が働いているということでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 まず先ほど申し上げましたように、組合に対しては早期の返還を求めていくということであります。先ほど損害賠償請求の話も申し上げましたけれども、損害賠償請求をわれわれ県として新たに行っていく部分については、今の時点では損害がまだ確定していない、具現化してないわけでありますから、その後の対応ということであります。

信濃毎日新聞 渡辺秀樹 氏
 損害ということではなくて、補助金を返せというふうに請求したわけでしょ。それが返ってこないんですよ。だったら、請求した分を提訴して、補助金を返すように求めるというのが筋なんではないでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 まず補助金の返還については組合が返還するということで明言されています。もう返還しないと、争いがあると、県の言っていることと矛盾があるということであれば、渡辺さん仰る通りだと思いますが、組合側は何年かかっても返済すると言っています。ただ、われわれはもう徹底的な経営改善をした上で対応してくれということを言っているわけでありまして、相手方と私どもの見解が違ったり、あるいは相手側が返還請求に応じないというような状況ではないと認識しておりますが、いかがでしょうか。

信濃毎日新聞 渡辺秀樹 氏
 それは何年かかってもっていうことを信用して50年待ってると、こういうことなんでしょうかね。

長野県知事 阿部守一
 ですから、先ほど申し上げているように、われわれ徹底的な経営改善を求める中で、早期の返還を求めていくという姿勢であります。ですから、これは渡辺さんの仰っていることと私が申し上げていることは、決して方向性として矛盾するものではないと思っています。

信濃毎日新聞 渡辺秀樹 氏
 もう一つだけ、不用萌芽の問題とは別にですね、県が不適切な助言をしたり、あるいは現地調査をしてないのにしたと偽ったりした県の不法行為的な部分があるものについての組合への請求っていうのはどういう考え方になるんでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 先ほど全て申し上げた通りであります。先ほどのわれわれの資料で、今お話しいただいたような点も含めて全部対応は書かせていただいております。

信濃毎日新聞 渡辺秀樹 氏
 これは組合への請求という点では、不用萌芽の問題については要するに組合に請求できないと言っているわけですね。不用萌芽じゃなくて、県が不適切な助言をしたり、つまり県が加担した部分について、これを組合に請求できるのかどうかということです。

長野県知事 阿部守一
 先ほどのご説明を十分ご理解いただけてないようでございますので、もう1回改めてご説明をしたいと思いますけれども、具体的な対応の中で①のところで、これは補助事業者に対してわれわれ請求しているものが既にあるわけです。これは県が不適切な指導をした部分ももちろんありますけれども、しかしながら現実には大北森林組合が受給しているわけでありますから、この部分については、われわれは組合に対して返還を求めているわけであります。ただ、国庫への返還とずれている部分というのが不用萌芽除去と指導監督費の部分でありまして、ここについては、もう県として関係ないということであれば渡辺さんから大いにご批判いただくものだと思いますけれども、ここについてもやっぱりわれわれは重く受け止めて対応していこうということで、しっかり財源を捻出する努力を県として行っていこうというものであります。

信濃毎日新聞 渡辺秀樹 氏
 つまり今まで請求した分の中に、県が不適切な助言をしたり、それから偽造したりした部分も入っていると、既に。そういう意味でいいんですか。

長野県知事 阿部守一
 今回の事案はご存じの通り、一義的には大北森林組合側の意図的な部分もあったわけです。そこはお認めいただけると思うんですけども。ですから、われわれは組合に対してはしっかり求めるべきものは求めていくと、そういう姿勢でありますし、先ほど訴訟の話もありましたが、われわれは組合であったり役員を刑事上の告訴をしているわけであります。告発しているわけであります。ですから、そのことがわれわれが組合側に対して弱い対応をしているかのような質問をされるのは、非常に私は理解しかねるところであります。

信濃毎日新聞 渡辺秀樹 氏
 弱い対応をしているなんて言ってませんよ、一言も。今まで請求した分の中に、県の不適切な助言があった部分も全部ひっくるめて請求しているということでいいですね。

長野県知事 阿部守一
 組合が補助金を受けて、不適正な支給としてわれわれが判断しているものについては請求しているわけです。時効分は除きますけど。ですから、ここについては組合が誠実に対応していただくということが必要だと思っています。職員については、先ほど申し上げましたように処分をしています。退職した職員については退職金の返還請求まで行っているわけであります。ぜひ全体像をご理解いただければと思います。

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 10 大北森林組合補助金不適正受給について(3)

読売新聞 大木隆士 氏
 県側の対応のところでですね、加算金への対応、先ほどの話で職員採用の縮減で対応するということでしたけれども、事実上3年間で3億5000万円の削減っていうのがですね、職員採用を縮減した場合ですね、かなりいろんなところに無理がくるように思うんですけれども、それは無理のない対応なんでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 これは先ほど申し上げたように、われわれとしてはやはりしっかり姿勢を示す必要があるということで、人件費で削減していこうということで決めたわけであります。もとより、これまでも定員管理に努めてきたわけでありますし、先ほど皆さま方にお示しをしている資料の中でも、行政財政改革方針の取り組みの中の2ページのところに定員の適正化ということで職員数、毎年定数削減してきているということでお示ししているわけでありますけれども、われわれとすれば、しごと改革、仕事のやり方を見直すということも含めて、しっかりと取り組むためにも人件費、採用人員の抑制という部分で対応していきたいと思います。ご指摘の通り、今でも職員は、職員数が少なすぎると言っているところもありますので、私とすれば大変苦渋の選択ではありますけれども、とはいえ、こうした大北森林組合の、特に加算金の部分については県側の指導の不備ということもありますので、しっかりと対応をしていきたいと思いますし、そのことについては県職員全体の理解が得られるように、先ほども部局長会議でお話しさせていただいたところであります。

読売新聞 大木隆士 氏
 3年間というのは随分短いような気もするんですけれども、そんなにこう長く引っ張っておくわけにはいかないという決意なんでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 県としてしっかり責任を持って対応していく上では、このぐらいの期間で対応していくということが必要だろうと思っています。

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 11 子どもを性被害から守るための条例案について

長野県知事 阿部守一
 それでは、3分割した最後の3点目でございます。子どもを性被害から守るための条例案についてご説明を申し上げたいと思います。先ほど部局長会議におきまして、6月定例会に提出いたします、「長野県子どもを性被害から守るための条例案」につきまして決定させていただきました。かなり長い期間をかけて検討してきたわけでありますけれども、この段階までくることができたのは、大勢の皆さま方からさまざまご意見等を頂いて、そうしたことを踏まえつつ、われわれの考え方をお示しして県民の皆さま方とキャッチボールを行わせてきていただいた結果としてまとめさせていただけたものと思っています。今回の提出に至った経緯については先週の会見の段階でご説明をさせていただいておりますので、本日は3月25日に公表致しました条例骨子案からパブリックコメントあるいは県政タウンミーティングでのご意見を反映して修正した点を中心にお話ししてまいりたいと思います。条例骨子案をご覧いただければと思います。まず、骨子の5(1)県の責務についてであります。パブリックコメントにおきましては、子ども性被害を防止するための計画の立案実行を求めるといったようなご意見もございました。こうしたことを踏まえまして、まず、「県は、子どもを性被害から守るための取組について総合的かつ計画的な施策を策定し、及び実施するものとする。」ということで、総合的かつ計画的に進めていくということを明確に条例にうたわせていただくことと致しました。また、県民運動を積極的に推進するという点について、こうした責務や役割を規定すべきではないか。また、条例が制定されたからといって、今までの県民運動の重要性はなくならない中で、条例と県民運動を両輪として、さらなる子どもたちの安心安全につなげていく必要があるといったようなご意見を踏まえまして、ウとして、「県は、県民運動を尊重し、それを積極的に推進するものとする。」という形で新たに規定を加えまして、県民運動の推進を県の責務として位置付けさせていただきました。また、8のその他でございますが、施行期日につきましては、基本的には公布の日でございますが、しかしながら規制項目につきましては、これは一定の周知期間が必要だと考えております。ただ、他方で現在も性被害で悩み苦しむ子どもがいるという状況を看過できないわけでありまして、一刻も早い対応が必要というこの両者の兼ね合いから、平成28年11月施行ということにさせていただいております。また、そのあと最後8の(2)検討でございます。これにつきましては、パブリックコメント等で条例制定後の検討の重要性というご意見も出されておりますので、こうした規定を加えることと致しましたが、特にインターネットの普及等急速に社会情勢も変化してきております。また、国においても性犯罪の厳罰化等の検討が行われております。さらには、これから県もまさにこの問題、この条例のみならず相談体制の充実を行っていくわけでありますけども、そうした中で子どもの性被害の現状についてもさらに把握が進んでいくということが見込まれますので、こうしたことを踏まえて、今後、この条例についても対応は必要になるということも十分想定されますことから見直し規定を置くということに致しました。また、今のが主な修正点でございますけれども、条例案におきましては、人権教育、性教育の充実、インターネットの適正な利用の推進、相談体制の充実あるいは県民運動の推進、さらには性被害を受けた子どもへの支援、こうしたことについてしっかりと位置付けさせていただいておりますので、条例の規制部分のみならず、こうした取り組みを県としてしっかりと進める中で、総合的に全体として子どもたちを性被害から守る取り組みを充実させていきたいと思っております。そういう観点で、条例案の提出だけではなくて、今回の補正予算案でもこの子どもを性被害から守るための取り組みを充実させていこうということで、いくつかの取り組みを計上させていただいております。まずは、性被害の予防のための教育の充実と致しまして、住民、保護者等が主体的に行いますCAP等の研修会に支援を行ってまいりたいと思っております。またインターネットの適正利用の観点で、青少年インターネット適正利用推進協議会が行いますシンポジウムにフィルタリングの研修を加えるといった協議会事業を充実させますし、また中高生や保護者向けにネットトラブル解決集を作成して頒布していきたいと思っております。また、県民運動はさまざまな活動の基盤でもございますので、性被害から子どもを守るための取り組みについての県民の理解を深めていただくためのリーフレット、ポスターの作成、そして子どもを守り育てていただく青少年サポーターの拡大、こうした取り組みを今回の予算案で進めていきたいと考えております。これからも大勢の県民の皆さま方の理解と協力を得ながら、子どもを性被害から守る取り組みを進めてまいりたいと考えております。私からは以上でございます。

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 12 子どもを性被害から守るための条例案について(1)

信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
 2点お願いします。先ほどの部局長会で県警の警務部長からもご発言があったんですが、私どもが指摘している冤罪ですとか恋愛に公権力が介入する部分、そういった部分の慎重さが求められるという点について、今回、この完成した条例案はどのような対策を取っているかというのは改めてご説明いただけますか。

長野県知事 阿部守一
 条例案をご覧いただいて、何度もお話しさせていただいておりますけれども、まずは国民の権利を不当に侵害しないように留意するということを条例上も明記させていただいているところでございます。また、そもそものこの条例を作るか作らないかという判断の私の最も大きな要素は法的に論じられている課題をクリアできるかということであります。それは、いわゆる淫行するということに伴う構成要件の不明確さ、淫行するという表現で多くの人たちが何が良くて何か悪いか判断し得るのかということでありましたけども、これについては条例モデルの検討結果を踏まえて、構成要件の明確化を図らせていただいているところでございます。また、先ほどからもお話出ておりますけれども、県警としてもそうした議論を十分念頭に置いて対応していただくということでありますので、相対としていろいろなご懸念がこれまでも示されておりますけれども、そうしたご懸念に対しては、私どもしっかりと対応させていただいていると思っております。

信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
 もう1点。見直し規定を設けられた理由についてお伺いしたいんですが、先ほど何点か挙げられたと思うんですが、一つは国の動きについて言うと、基本的方針のところでは国に対して法規制の在り方や被害、加害者の再犯防止等について検討を要請すると一文があって、それとの兼ね合いで教えていただきたいんですけど、先日の知事の会見のご説明ですと、見直しというのはどちらかというと厳罰化の方向を考えていらっしゃるようにも聞こえるんですが、国の一方、法制審が審議をしている中で、国があって、県と。県の方の見直しというのはどのようなことを想定していらっしゃるんでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 先ほど申し上げた通りでありまして、われわれは検討見直しの方向性に現段階で予断を持っているわけではありません。現時点で今回お示ししている条例案が、私としてはベストな、最善のものだと思っております。ただ、先ほど申し上げましたように、子どもたちを取り巻く環境はここ数年でも急速に変わってきているわけですし、これからも大きく変化をしていく可能性がある中でこうした検討規定を置かせていただいているところであります。

信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
 国の動向次第によってはですが、例えば罰則規定というか条例そのもの、罰則規定の部分の必要性がなくなってくる可能性もあると思うんですが、その点についてはどのようにお考えですか。

長野県知事 阿部守一
 かなり先に進んだ議論過ぎるのではないかと思いますけれども、これも仮定の話として、国が例えば47 都道府県で類似した条例があるのであれば法律にした方がいいのではないかということで、仮に法律になるということがあれば、当然その時点での見直しということが必要になってくると思いますけども、現時点でそういう動きはあるとは私は承知しておりませんので、現段階では私どもとして今回お示ししている条例案が最善のものだと思っております。

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 13 子どもを性被害から守るための条例案について(2)

毎日新聞 巽賢司 氏
 施行期日の件なんですが、罰則規定については11月1日から施行すると。知事は部局長会議で罰則を設ける以上は周知期間が必要と仰っていたんですが、大体周知期間は4カ月、もし成立した場合4カ月程度になるかと予測されるんですけど、4カ月というその期間を設けた意図、具体的にもう少し伺いたいんですがいかがでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 先ほど申し上げた通りでありまして、われわれがやはり罰則を課するというものですから、例えば交付の日に施行みたいなことは基本的に取り得ないと思っています。なぜならば、県民の皆さま方にお伝えをして、こういうものは罰則です、取り締まりますということをお伝えしていかなければいけないわけであります。その反面、子どもたちが現実にそうした性被害の対象者になってしまう恐れがあるという現状は一刻も早く改善していかなければいけないという中で、過去の、例えば罰則付きの法令等の施行状況等を勘案した上で、一定の周知期間を置きながらもできる限り早くしていこうということで11月1日という日を設定させていただいたところであります。

毎日新聞 巽賢司 氏
 例えばそのパブリックコメントやタウンミーティングで、一部の方から罰則を設けることに対して不安の声があったことを考慮されてのっていう考え方は。

長野県知事 阿部守一
 それは全く関係ないです。そういうもので施行期日を決めているわけではありません。

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 14 子どもを性被害から守るための条例案について(3)

読売新聞 大木隆士 氏
 今回追加ということで、県民運動を尊重し積極的に推進するということを追加で加えられたというご説明でしたけれども、以前の骨子案の時点から基本的政策としては県民運動の推進というのはあったとは思うんですけれども、それをあえて責務として挙げたことについて説明をもう少しいただければと思うのですが。

長野県知事 阿部守一
 まず何よりも今回のパブリックコメントもそうですし、議論の過程で多くの方たちから県民運動の重要性ということが言われてきました。また私自身も条例を仮に制定したとしても、県民運動の必要性が低下するどころか、ますます重要になってくるということをお話ししてきております。そういう中で、県の責務のところには、実は連携、いろいろな主体との連携協力ということを書いてありますけれども、県民運動と県との関わり合い方ということについての規定がなかったわけでありますので、やはり県としても役割、責務としてしっかり県民運動の推進をしていくことが必要だということを明示しようということで今回入れさせていただいております。

読売新聞 大木隆士 氏
 パブリックコメントなどを受けてっていうことは、その意見の中に県民運動重視という声が強かったからということ。

長野県知事 阿部守一
 意見の中でも、そういうご意見を頂いています。

次世代サポート課長 青木隆
 パブリックコメントの中でも県民運動を積極的に推進するという、県として、姿勢としてそういう規定をおいてほしいというご意見もございましたので、条例案の中にそのような規定を設けさせていただいたところでございます。

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 15 子どもを性被害から守るための条例案について(4)

信濃毎日新聞 渡辺秀樹 氏
 かねてから懸念されている真摯(しんし)な恋愛問題ですけれども、これは真摯な恋愛を除き性行為を許されないっていう、あくまでも訓示規定だというふうに言ってますけれども、真面目か真面目でないか、そういう心の問題を行政がですね、条例に書き込むということには非常な危険性があると思うんですが、それについての見解はいかがですか。

長野県知事 阿部守一
 渡辺さんのご指摘いただいた通り、この条例上、真摯な恋愛であるかどうかということは、罰則を作るか作らないかの判断基準とは全く違う次元の規定にさせていただいております。ただ、そうした心の部分というか、そうしたものに条例規程を置くべきではないではないかというところまで広がると、そこはいささかちょっと広くなり過ぎではないかなと思います。例えば今回の条例案でも、例えば目的のところでは、子どもの尊厳を害するといったような、この尊厳は一体何が尊厳かというような議論も中にはあり得るかもしれませんし、また子どもの自尊感情とか自己肯定感であったり、あるいは基本理念のところには他者を大切に想う心を育みといったようなことも書かせていただいております。もとより子どもたちの心がこうあるべきだ、そうじゃないべきだっていうところが書くべきではないという議論ももちろんあり得るとは思います。それは考え方として全く否定するものでありませんけれども、しかしながら私とすればやはりこうした考え方、基本的な理念、思い、そうしたことはやはり県としてもしっかりお示ししていくことが必要だと思いますし、ぜひこうした考え方については県民の皆さま方と共有をする必要があるのではないかと思っているところでございます。

信濃毎日新聞 渡辺秀樹 氏
 それからもう一つ、1番問題になっていた処罰規定の中にある「困惑」ですけれども、これは今までも恋愛の中にも「困惑」っていうのはあり得るんじゃないかという問いも発せられてきましたし、困惑っていうのは非常にあいまいな概念であるという疑問も呈されてきました。これに対しての県の説明は売防法、それから暴力団関係法にもすでに規定されている概念であるという説明をされてますけれども、売防法や暴力団関係法っていうのは、これは対象が暴力団あるいは売春婦に限定されてるわけです。ところが、この条例は、「困惑」させることの処罰の対象にするのは大人全般ということになってきますんで、これ同列には論じられないと思うんですが、いかがでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 また意見がすれ違ってしまうかもしれませんけれども、売防法類似だとか暴対法類似で置いているということでなくて、その「困惑」という用語の意味、法令用語として定着しているものどうかという観点でわれわれ採用しております。一般的な解釈としては精神的に自由な判断ができない状況ということであります。私はやはり子どもに対する性行為というのはやはり子ども側の自由なというか、束縛されてない強制されていない、そうした判断ということが必要だと思っております。その上で構成要件明確化ということでは、法令用語として定着していないような用語を長野県が独自に採用するというのはなかなか難しい部分があり得ると思いますので、そういう観点で今回は、「威迫」、「欺き」、「困惑」ということで、いずれも法令用語としては一般的に使われているものということで採用させていただいております。

信濃毎日新聞 渡辺秀樹 氏
 つまり法令用語として定着されてるとおっしゃるんですけれども、さっきも申し上げたようにこれは、売春婦やそれから暴力団を対象にした法令の用語ですから、広く定着しているというふうには言えません、と思いますがいかがですか。

長野県知事 阿部守一
 暴対法であったり売春防止法、渡辺さんともしかしたら見解が違うのかもしれませんけれども、暴力団であろうが性を売ることをなりわいにするような方であろうが、私は基本的人権という観点では全く同じだと思っております。

長野県知事 阿部守一
 ありがとうございました。

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