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更新日:2016年4月28日

知事会見(平成28年(2016年)4月28日(木曜日)11時01分~11時51分 会場:県庁)

項目

知事からの説明

取材者からの質問

  1. 熊本地震への支援について
  2. 現地機関の見直しについて
  3. 子どもを性被害から守るための取り組みについて
  4. 日本遺産の認定について(1)
  5. 憲法について
  6. 環境影響評価技術委員会について
  7. 日本遺産の認定について(2)
  8. 日本酒・ワインの振興について
  9. 地震対策について

本文

知事からの説明

 熊本地震に対する県の対応等について

長野県知事 阿部守一
 皆さま、こんにちは。よろしくお願い致します。(※手話で表現)
 私の方から、今日は1点お話申し上げたいと思います。熊本地震に対する長野県としての対応についてでございます。皆さまのところに資料をお配りしています。「平成28年熊本地震の概要」というものが最初に付いているかと思いますけれども、この場でも申し上げましたけれども、熊本地震、大変大きな被害が発生をしている中で、長野県としては市町村、関係団体とも力を合わせて、全力で被災地支援に当たっていきたいと考えております。そういう中で、これまでも物資の搬送、義援金の募集に取り組んできましたが、ここ数日の動き等、あるいは今後の対応についてお話ししたいと思います。まず、これまでの対応の中で、義援金について県庁、それから地方事務所、そして銀座NAGANOで受け付けさせていただいてきております。これは昨日の時点での集計で約78万7,000円の義援金が集まっています。引き続き受け付けをしておりますので、ぜひ多くの皆さま方にご協力いただければありがたいと思っております。それから人的な支援でございます。お配りしている資料の2枚目の「平成28年熊本地震に関する長野県の対応について」のところの大きな3番目、「人的支援」のところに、これまでの対応等を含めて記載をさせていただいております。ちょっと複雑で恐縮でございますけれども、これまでのところ、まず私の方から時系列的に申し上げれば、県としては応急危険度判定に携わる被災建築物応急危険度判定士班を4月21日から派遣を始めました。これはお配りしている資料の3枚目の(2)のところでございます。まず、第1陣4名派遣しましたが、現在第2陣16名を派遣しているところでありまして、現在、熊本市で応急危険度判定の業務に携わっているところでございます。現時点では、29日以降については九州、中四国、近畿ブロックの判定士での対応ということのようでありまして、本県には派遣要請はきていない状況でございます。それから、ページ戻っていただいて恐縮でございますが、健康福祉関係の、まず医療救護班でございます。医療救護班につきましては、4月22日から1チームを派遣しております。1チーム7名ということで対応させていただいておりますが、現在、第2班が活動中であり、第3班を派遣中という現状でございます。阿蘇医療センターにおきまして業務に従事しているところでございます。それから保健師班については、4月23日から派遣しております。1チーム派遣しておりますが、1チーム4名体制で派遣しておりまして、現在、第2班が活動中でございます。南阿蘇村におきまして健康管理、家庭訪問による健康相談等を実施しているところでございます。それからケースワーカー班でございますが、4月24日から1チームを派遣しております。1チーム2名ということで対応致しておりますが、これにつきましては、現在第1班が活動中ということで、上益城福祉事務所等におきまして生活保護業務の支援を行っております。また、全国知事会からの要請を踏まえまして、避難所応援班と致しまして、県職員5名1班として、本日から当面の間派遣を行ってまいります。これについては3枚目の(3)のところでございます。本日からの派遣でございますが、全体の予定としては8班40名を今後派遣していく考えでございます。また、DPAT、災害派遣精神医療チームでございますが、3ページの上の④のところでございますけれども、厚生労働省を通じて熊本県から要請が参っております。精神医療の提供、心のケア支援という観点でDPAT派遣を致します。あづみ病院、あるいはこころの医療センター駒ヶ根等の医師、看護師等をメンバーとして派遣致しますが、4月29日から当面1チームを派遣してまいります。第1班については4月29日から5月3日ということで予定をして派遣してまいりますが、このDPATについては今後全体で3班を派遣していく考えでございます。また、資料の3ページの大きな5でございますけれども、被災者の受け入れに関連致しまして、熊本県から4月23日付けで熊本県外に避難される被災者への支援として一時避難先としての公営住宅、あるいは公務員宿舎の供与の要請がまいっております。県として受け入れ可能な施設の選定を行った結果、市町村分も含めまして484戸の住宅が提供可能ということで、昨日、熊本県に情報提供を行わせていただいたところでございます。なお、明日から連休に入るわけですけれども、本日、担当者によります情報連絡会議を開催して、全国知事会等から要請が出てきた場合には迅速に対応できるように情報連絡体制を再確認致しました。今後とも被災地支援に万全を期していきたいと考えております。私から以上でございます。

取材者からの質問

 1 熊本地震への支援について

信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
 大きく5点お願いします。最初に、知事が今ご説明された熊本地震の関係なんですが、一つは人的な支援のところで今さまざまな分野の方が現地に行かれていると思うんですが、これ以外に派遣要請ですとか、分野というか違った分野というのは今検討されているところというのはございますか。

長野県知事 阿部守一
 先ほど申し上げた中には、現在まだ派遣せずこれから派遣をしていくDPATも含めて、また今後の派遣の見込みもお話ししましたので、現時点で私どもが検討しているのは、今申し上げたような状況でございます。

信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
 最後にお話しされた公営住宅の関係なんですが、先日の会見でも東日本のときは子どもたちを夏休みに受け入れたりですとか、ちょっと中長期的に見た場合に、これから受け入れ、被災者の方の受け入れということが出てくると思うのですが、今回、実際に提供の戸数を示されたりしていらっしゃいますが、ちょっと長いスパンで見たときにどのように考えていらっしゃいますか。

長野県知事 阿部守一
 まず、東日本大震災の際には原発事故もあった状況の中で、自主的に避難される方という方々も多くいらっしゃる中で最大限受け入れていこうということで対応致しました。今回、われわれは被災者、被災地支援という観点では全く同じスタンスで全面的に支援をしていきたいと考えておりますけれども、ただ距離的にも東北に比べると遠いということもあり、また原発事故のような目に見えない、そういった自主的に避難をされるという方が、直接被災をしていないけれども避難するという方は今回の場合は想定されないと思いますので、そういう意味では東日本大震災のときと全く同じような対応には必ずしもならない、またそういう必要もないだろう思っています。ただ今後、被災地の復旧・復興、今回の被害状況を見ているとかなり時間がかかってくるのではないかと思いますので、被災された方々、あるいは被災地の自治体の考え、そうしたものを十分に把握をしながら、できる限りの対応をしていきたいと思っています。

 2 現地機関の見直しについて

信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
 別の質問で、現地機関の見直しの関係で教えていただきたいのですが、昨日の行政機構審議会の方に仮称の地域振興局、選挙の公約でもあるかと思うのですが、たたき台というか青写真を示していらっしゃるのですが、これの狙いというかこの新しい姿というのはどのようなところがポイントになりますでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 これはまだ検討中でありますので、方向を決定した段階でしっかり私からもお話ししなければいけないと思いますけれども、今回の現地機関の見直しのそもそもの起点となる発想というのは、やはり地域における課題解決力を強化していこうということであります。長野県は非常に県土面積が広くて、しかもそれぞれの地域の特性、特色が非常に強い県でありますので、そうしたものはしっかりと地域の皆さんと一緒になって問題を共有して、取り組んでいけるような体制にしていくということは大変重要だと思っております。それと同時に、本庁もそうですけれども、極力縦割りではなくて横断的な対応を、県民の皆さんあるいは地域の課題というのは、それぞれの部局だとかそれぞれの課に必ずしも因数分解できるような課題ばかりでないわけでありますので、そういう意味では地方事務所のみならず保健福祉事務所、建設事務所、こうした現地機関が総合力を発揮できるような体制にしていくということが基本的に重要だと思っております。

信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
 一方、行革という観点からいった場合に今回の案ですと、地方事務所、それ以外に建設事務所ですとか保健福祉事務所が存続する形になっていて、行政のスリム化という部分ではあまり現状と変わらないような気がするのですが、その点はどのようにお考えになりますか。

長野県知事 阿部守一
 今回、取り組みを始めた視点というのは、先ほど申し上げた通りであります。一方で、簡素で効率的な行政を追求するということは、組織の見直しのときだけではなくて、全ての段階において、われわれが念頭に置いておくべき問題だと思っています。そういう意味では、今年はコンプライアンス元年ということで、仕事の改革に取り組んでまいりますけれども、そういう中で、本庁、現地機関の関係性の在り方も含めて、より効率的な仕事の仕方、例えば、ICTを活用して会議、例えば本庁に集まるような会議も、これまで通りの回数が本当に必要なのかどうか、そういうことも含めてしっかり考えていかなければいけないと思っております。

 3 子どもを性被害から守るための取り組みについて

信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
 別の質問で、性被害条例の関係で、25日にパブコメをして県民の意見募集を締め切っているかと思うんですが、件数ですとか内容、概要でこんなのが集まってきているというのが、ちょっと今の段階でまとまっていましたら教えていただけますか。

長野県知事 阿部守一
 子どもを性被害から守るための条例骨子案について、パブリックコメントについては25日まで受け付けさせていただいて、今のところ延べ191名の方々から意見を頂いているところでございます。まだ私も全て目を通してないわけでありますけれども、いろいろなご意見が出ておりますが、われわれの今後の検討に、出されている意見についてはしっかり私も全て目を通した上で対応を考えていきたいと思っています。

信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
 そうしますと、条例を提出の時期ですとかそういったタイミングというのはいつぐらいを想定していらっしゃいますか。

長野県知事 阿部守一
 まず、担当課でも整理、精査させて、具体的なご意見にはわれわれがどう考えるか、あるいは条例骨子案を変える、変えないも含めて、どういうことが必要かということは真摯(しんし)に考えないといけないと思っておりますが、私もぜひ全体目を通させていただいて、今後の対応はできる限り早目に方針は決めていかなければいけないだろうと思います。

信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
 ざっとお読みになった限りでどちらに意見が多いですか。こういった意見という、まだそこまでは読み込んでらっしゃらないですか。

長野県知事 阿部守一
 私がまだ全部目を通してないわけですけれども、報告を受けている限りでは条例制定に前向きなご意見が多かったと報告受けています。

 4 日本遺産の認定について(1)

信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
 あと別の質問で、木曽路の日本遺産の認定の関係なんですが、認定に当たっては県の方もかなり地元をサポートしたとお聞きをしているんですが、ここの展開というか、県の方でバックアップ等を含めて、どんな施策というか考えてらっしゃいますか。

長野県知事 阿部守一
 これまでも県としてもサポートさせていただく中で、今回、「木曽路はすべて山の中」という形で日本遺産に認定されたことは大変私もうれしく受け止めています。木曽の6町村、それから塩尻市も含めて、今回、日本遺産に取り組んだ関係の皆さま方に敬意と感謝を表したいと思います。特に木曽地域、御嶽山の噴火災害からの復興途上ということもありますので、ぜひ日本遺産の認定を弾みにして、多くの観光客、木曽地域は海外からのお客さまも昨今増えている状況でございますので、大勢の皆さま方がお越しいただいて、満足いただける環境整備、これは県も一緒になって取り組んでいきたいと。この日本遺産の認定を木曽地域の振興のためにしっかりと役立てていきたいと思っています。

 5 憲法について

信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
 もう一つ別の質問で、5月3日の憲法記念日がちょっと近いもので、先日の記者会見でも憲法についての知事のお考えをおっしゃっていたのですが、改めて、改憲の動きがある中で憲法記念日に合わせて憲法についての思いというか、現状、そういったことも出てる中、どのように考えていらっしゃるかというのを教えていただけますか。

長野県知事 阿部守一
 この場でも何度もお話しさせてもらっていますけれども、私自身、公務員としてずっと仕事をさせてきていただく中で、憲法の考え方というものを常に踏まえながらいろいろな仕事に取り組んできています。やはり基本的人権の尊重、国民主権、平和主義、こうした現行憲法の基本理念、こうしたものについては、これからもしっかりと堅持されていくということが重要だと思っていますし、われわれが公務員として仕事をしていく上で、今、コンプライアンス推進ということを言っていますけれども、どうしてこういう法律になっているのか、そういう考え方までしっかりさかのぼって、われわれは仕事をしていかなければいけない中で、この憲法をというものについてもやはり意識をしながら進めていかなければいけない分野もわれわれの仕事の中にはありますので、そうしたこともこれからコンプライアンス推進の中で、県の職員と一緒に考えていければいいなと思っています。

信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
 改憲の動きについてはどのようにお考えになりますか。一定数の方が改憲ですとかいろいろ現在の憲法を変えたほうがいいんではないかとお考えの方も一定数いらっしゃるかと思うんですが。

長野県知事 阿部守一
 現行憲法は改正規定が当然のことながらあるわけでありますし、最終的には国民の意思、国会だけで決められない話であります。そういう意味では、先ほど国民主権が重要だということを申し上げましたけれども、やはり主権者である、私も一人の主権者でありますけども、主権者である国民の皆さん、一人ひとりが憲法というものについてしっかりと向き合っていくということが重要なんだろうと思っております。

 6 環境影響評価技術委員会について

「たぁくらたぁ」 野池元基 氏
 質問は、今月の4月22日に県の環境影響評価技術委員会が開催されて、その中で諏訪市四賀の大規模メガソーラーの方法書についての検討が行われました。それを傍聴していましてちょっとそれに関わっての質問をしたいと思います。大きくは3点ありますが、順番にお答えをしていただきながらいきたいと思います。まず、もうご存じかとは思いますけれども、この発電所は日本で最大規模の計画と言われていまして、敷地面積が諏訪湖の7分の1、ソーラーパネルは31万枚ということで、パネル1枚の大きさは165センチメートルと、1メートル四方ということですから、31万枚ということは165センチの幅で1列に並べば310キロメートル続く、それだけの量のパネルがそこに設置されるということになると思うんですね。つまりそれは大きな自然改変を起こすということで、当然それに対してさまざまな影響が予想されるので、この技術検討委員会でも検討なさっているということだろうと思いますが、また、特にそれだけの大規模なものであれば、計画地の下方に住む皆さんにとっては非常に災害等の心配をすることがあるというふうに考えております。そういう中で技術委員会の先日の技術委員会の最後で委員長は、これだけの面積規模のものはあまり例がないので評価はなかなか難しいというふうにおっしゃっていましてその通りだと思いました。ところで、その後に委員長は、今、方法書の後に今度は準備書が提出されるということを踏まえて、業者に対しての発言をなさって、そこでおっしゃったことは、準備書を今度議論するときに準備書がひっくり返るような委員会にはしたくないと、だから、この方法書の件で不安があれば事務局に相談し、非公式に委員に打診できるので、そうしてもらえれば準備書の審査のときに大きくもめることを軽減できるというふうにおっしゃったわけですね。これで質問なわけですが、つまり代表で評価が難しいというものをこういう形で委員会がもめないようというような形で進めていっていいのだろうかということです。もっとそれだったらば、非公式にまだ検討する材料があるならば、公式の場でもっと時間をかけて評価をする議論をしていく必要があるがあるのではないかと、もしそういうふうに急いで評価を下してしまった場合、それが果たして信頼に値できるものなのかということを知事としてどういうふうにお考えになるかというのが一つ目の質問です。

長野県知事 阿部守一
 ちょっとまず委員会の状況を私は把握していない。ちょっとまた担当課の方で委員会の話はしますが、今のお話を伺っているだけではちょっと委員長のおっしゃっている発言の真意の取り方ということなんだと思うんです。今のご質問の趣旨だと、とりあえず穏便な会にしたいからという趣旨で委員長が発言をされたのではないかという受け取りかと思いますけれども、そんな感じなのかどうか、私はよく分からないです。

環境政策課長 林雅孝
 今、ご質問のあった件でございますが、これまで今、方法書の審議を行っておりまして、これまで4回技術委員会を開催をして、4回目の審議ということで住民の意見が出されてから90日以内に知事意見を出すという、条例上そういった規定がございまして、その期限が5月末になっておりますので、これから方法書に対する知事意見を取りまとめる段階に入ってきております。今、ご質問のあった委員長の発言なんですけれども、その趣旨はいったんその方法書の手続きが終われば次は準備書の手続きが始まるまで公式な条例で制定された手続きはないということで、まだ流動的な要素がたくさんありまして、今回、その方法書で事業者が出してきた計画が仮にその準備書が提出される間に変更があった場合には、公式的な手続きではないけれども、それについては随時事務局に相談し、手続きが後戻りになることのないようにというのはそういう趣旨でありまして、今、ご質問のあった趣旨とは違うと私は理解しております。

「たぁくらたぁ」 野池元基 氏
 もちろん、もう作って、委員会でそのままにしとくよりも問題があれば、それをきちんといろいろ相談したり、打診することはむしろ重要なことだとは思います。ただ、問題はもう準備書の出たところでもめないようにという形が、先におっしゃっていることは、つまり、もう予定調和でいってしまうような形になるのではないかと、委員長の発言は、今ご説明のあった通りに、それはもっと丁寧にことをきちんと進めていくという意味で、スケジュールにも合わせてということは、そうだというふうに僕も思います。ただ、だけれども、一方で、つまりこれだけの大きな開発で、予想が難しいという中で、急いで進めていく、あるいは、という形がもう結論のように準備書がもめずに出てくというような形でおっしゃっていることを問題にしたということなんですけれども。それでは、それにか関わりまして、続いての質問をしたいと思います。今の関連するんですけれども、今のその委員会のときに配布された資料の中に方法書に対するパブリックコメントに対する意見書への見解書というのが業者の方から出されたわけですけれども、その中に、いくつかの質問の中に想定外の被害を被った場合にどうするんだというところに対して、想定外の被害を被った場合は損害賠償請求に応じる考えがあるというふうなことが記されていました。ということは、この損害を、災害というのは農地や居住地に対してのことなんでしょうけれども、当然、前例のないほどの、今言った大きな計画なので、当然想定外も起こりうるというふうに認めるということになると思うんですね、空き地にパネルを作るとかそういうことではないわけですから。でも、もしその災害の場合に、仮に今は農地とか、居住地としても人命が失われるようなケースが出た場合に、県民の命を守るという知事のお立場からどういうふうにお考えになりますか。

長野県知事 阿部守一
 まず、基本的なスタンスを申し上げておきますけれども、長野県は今、片方で自然エネルギーの普及拡大を進めています。ただ、例えば太陽光の、大型太陽光の設置等が進んでいる中で、環境、あるいは今お話あった防災面での問題との兼ね合いをしっかり考えなければいけないということで、今、アセスの関係も、大規模太陽光に対するアセスが可能となるように条例改正をするなどとして環境面での対応を強めています。例えば、他の林地開発許可等においても、われわれは法律を、先ほど憲法の話がちょうどありましたけども、法令で与えられている権限の範囲内というか権限を生かして、環境保全等にしっかり取り組んでいこうということで、この大型太陽光の設置には向き合っているわけであります。そういう中で、私は私人としての立場であればいくらでもいろいろなことが言えますけども、まさに憲法の問題で、私的財産権、憲法上の補償の対象にもなっているわけでありますから、そういう意味では、観念的な問題意識だけで動くことはできません。そういう意味で、この問題も、今お話あったように、専門家の皆さん方の中でしっかり議論していただいた上で、現行制度の中で最大限の対応を取ってもらえるようにしていくということが重要だと思っています。これは人命に関わるようなことと、今回、太陽光の話でありますけれども、さまざまな場面において、そういう懸念、長野県においては自然災害、特に地震災害だったり土砂災害だったり、そういうことにこれまでも見舞われてきたわけでありますから、そうした観点からも、われわれは考えなければいけないということはご指摘のとおりだろうと思います。ただ危なそうだからということだけで制限を課すというようなことはできないわけでありますので、そういう意味で、今、専門家の皆さま方で検討していただいているわけでありまして、そうした中で、委員長も含めて私は長野県の環境を基本的にしっかり守るというスタンスでのご議論をしていただけていると思っていますので、そうした中で出てきた方向性を私としてはできるだけ尊重して対応していきたいと思っています。

「たぁくらたぁ」 野池元基 氏
 ただこの場合、損害賠償というお話がありましたけれども、自分で医療を受けて医療ミスを受けて損害賠償を受けるとか、飛行機に乗って落ちたから損害賠償を受けるとか、そういう損害賠償ではなくて、あくまでも利害の害の方だけを一方的に受ける住民にそういう一方性がある中で、この損害賠償という考え方がやはり大きなメガソーラーの問題の一つになっているのではないかと思います。とにかく規模がとてつもなく大きいということがあると思います。それから、その災害が仮に起きないとして、起きたら困りますから起きない方がいいに決まっているんですけれども、でも先ほど言ったようにアセスは予定もあるし、その中で準備書も進めてできましたと、それに従って評価書もできました、できるかどうか分からないですね、これから先、まだどうなるか分かりませんけれども、そういう結果で進んでいったときに、やはり住民には不安が残る、つまり大雨が降るたびに何かが起きるのではないかという不安の中で暮らさなければならないという、日常の中です。つまり災害が起きなくてもそういう不安の中に暮らす、福島で放射能を受けて自分の健康は大丈夫かと、そう思うのと似たようなものかとも思います。あるいはそういう危険な地域であると、危険性がありそうだというところであれば、土地の値段が下がるとか地質的な、そこに新たに住もうという人はいないでしょうから、実質的な、そういうような影響もあるのではないかと思うわけです。小さなメガソーラーならともかく、これだけ大規模ならばそういうことも起こり得ると思うんですけれども、それについてはいかがでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 先ほど申し上げましたように、県としての権限、例えば、今回は大規模メガソーラーアセスの対象範囲となるものを拡大して、われわれはよりこれまで以上に環境面での配慮を事業者に求めることができるような条例改正をさせていただいてきているところでありますし、先ほど申し上げたように、他の例えば、林地開発の許可制度等をはじめ、こうしたものもわれわれ最大限、われわれが持っている権限、行政に与えられた権限を最大限生かして、今お話があったようなご懸念が無くなる方向で取り組んでいくというのが基本だと思っています。

「たぁくらたぁ」 野池元基 氏
 本当にこういう条例を作って取り組んでいるということは大変評価したいというふうに思っております。せっかくのある条例を、どんどん想定外の大きなメガソーラーができてくるものですから、そういう部分でちょっと生かしていただけたらいいのではないかと思った趣旨です。それともう一つ最後になりますけれども、再生可能エネルギーは、先ほども県の方として推進しているというようなことなんですが、確かにこのメガソーラーの問題はこの諏訪だけではなくて他のところでもいろいろその住民とのあつれきみたいのが生じてきているということで、佐久市の望月、佐久市の長者原というところでもメガソーラーが計画されておりまして、そこで住民、集落の中にできるソーラーを作る地権者の方とその地元住民の話し合いが行われまして、地権者の方としては原発に反対ですし、地球温暖化を防ぐためには、化石燃料を燃やすのも良くないと、できるだけ自然に優しい電気を作るべきで、子々孫々ために太陽光発電をつくらせてほしいという意見をおっしゃっていました。一方で、地元の人たちは大規模に森を伐採してパネルを設置すればさまざまな影響が出ると、その土地の自然と暮らしを壊してもらっては困るので子々孫々ために絶対作らないでほしいという意見が出まして対立したんですね。これの場合ですけれども、多分地域にとっては自然が壊れたり、あるいはその災害を受けるというのはその場としては避けられないことですけれども、その再生可能エネルギーの方は、地球温暖化対策だとすれば他にもいろいろな方策があると思うんですね。長野県もかつて地球温暖化対策の長野県県民計画を作るときにいろいろなその方策、自販機を減らすとか、そういうようなことをやっていろいろありましたし、知事も横浜の副市長の場合、温暖化対策を担当なさっていて非常にその幅広く温暖化対策はあると思うんですけれども、それがあまりにもその再生可能エネルギーに偏って、それはいいものだという形で一方で推進するので、なかなか他の代替案をもっと探しながらやっていかなければ次々にこういうその衝突が起こると思うんですけも、その辺での再生エネルギーの進め方に関して、どんなふうにお考えでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 お話のように再生可能エネルギーもいろんなものがありますし、地球温暖化であったり、気候変動を防止するための取り組みというのも、再生可能エネルギーの普及拡大という1点のみではないというのは全く私もご指摘のとおりだと思います。そういう意味で、今までも長野県として、再生可能エネルギーも太陽光を偏重ということではなくて、木質バイオマスの活用であったり、あるいは小水力発電の普及であったり、そうした多様なエネルギーへの転換ということの取り組みを進めてきているわけでありますし、また片方で原発の事故以来長野県は、ほとんど唯一だと思いますけれども、夏も冬も省エネ省電力目標を掲げて、県庁組織も県の皆さんと一緒に取り組んできています。また地球温暖化関係では、地球温暖化対策の条例も改正をして、事業者に対しての指導も行っていますし、また住宅の断熱性能を高めると、あるいは住宅を建築するときに再生可能エネルギーの検討制度を設けるということで、全国の中でも進んだ取り組みを長野県では始めているところであります。もとより化石燃料に依存している社会構造の大転換ということを目指す中では、まだ微々たる転換ではありますけれども、しかしながら、着実にそういう方向性を目指して取り組んでいるところであります。今回の予算の中でも「地消地産の推進」ということを入れていますけれども、私は「地産地消」ではなくて、あえて「地消地産」と申し上げますけれども、地域で消費しているものをなるべく地域で作れるようにできないか。これは輸送コストだけではなくて、輸送してくるときのエネルギーの消費ということも抑える形になりますし、こうしたさまざまな形で地球温暖化の問題、あるいは気候変動の問題、長野県としては幅広い対応で進めていきたいと思っておりますので、単純に太陽光パネルをどんどん増やしましょうという政策を進めているわけではないということは、ぜひご理解いただきたいと思います。

 7 日本遺産の認定について(2)

読売新聞 大木隆士 氏
 先ほどの質問にありました、日本遺産のことで大きく2点お聞きしたいんですけれども、まず日本遺産、文化庁の考えとしては外国人客を呼び込むという目標もあると思うんですが、今回、県内初の認定ということですが、今後、認定を増やしていけるようにしたいというお考えがあるんでしょうかということが1点です。もう一つは、今回、木曽路についても2年連続の申請で認められてきたという経緯があって、かなりストーリーを作るというのは難しいように思うのですが、今回の申請に関しても残念ながら落選したところもありますので、そういったストーリーを作るというか、文化、観光資源をつくっていくということで、県の方が支援するということもあるんでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 今回の木曽も、県も協力をさせていただいてきていますし、これからも日本遺産の認定が増えるように県としても取り組んでいかなければいけないと思っています。特に長野県は、私は観光大県づくりということで言っているわけでありまして、やはり世界から大勢の皆さま方にお越しいただいて、ご満足いただける地域にしていくということが重要だと思っています。そういう意味で、日本遺産への認定というのは非常に大きな意味があると思いますので、引き続き他の地域においても日本遺産の認定を目指しているところがありますので、そうした地域が認定を受けることができるように県としては取り組んでいきたいと思っています。

読売新聞 大木隆士 氏
 ストーリーを作るって、ストーリーを認定するというのが、単純に観光地、景観とかということだけの認定ではないので、結構その点ハードルが高いような気がしたのですが。

長野県知事 阿部守一
 これは地元というよりは長野県の観光行政の課題でもあると思っていますけども、長野県は非常に観光資源に恵まれたところだと思っています。ただ、それが単発であったり、エリアごとにそれぞれ頑張っていただいている中で、相互の資源をつなぐ、地域間の資源をつないだり、あるいは同じ地域内の資源でも自然的な資源と文化的な資源と歴史的なものをつなげるというような意識がこれまでやや県としては弱かったのではないかと思っていますので、こうした日本遺産の認定ということを通じて、しっかり県としての観光施策、これは文化庁ですから基本的な所管は教育委員会サイドにはなりますけれども、知事部局の側としても観光部を中心に観光行政を大転換していこうと思っていますので、そういう中で、やっぱりここに提示されているようなストーリー作り、ここはこういう地域、この物産はこういうストーリーがある、こういう歴史がある、文化がある、こうしたものをしっかり発信できるような観光政策に転換をしていきたいと思っています。

 8 日本酒・ワインの振興について

時事通信 金澤俊子 氏
 信州の日本酒とワインの振興のことでお伺いしたいんですけれども、日本酒・ワイン振興室ができて1カ月ほど経ちまして、先日、大阪で酒メッセも開かれまして大変盛況だったと伺っております。改めて信州の地酒振興に対するお考えをお聞かせ願いますか。

長野県知事 阿部守一
 新しく日本酒・ワイン振興室をつくって、取り組みをスタートしたわけでありますけれども、私とすれば、まず日本酒・ワインというのは長野県の中でもいわゆる6次産業の代表的な分野だと思っています。農業にも関係しますし、もちろん製造業でもありますし、さらには観光とも結びつく重要な資源であります。酒蔵の数も日本で2番目に多いし、ワイナリーの数も年々増加しているということで、まさに日本酒・ワインを通じて、産業の振興、地域の振興をしていきたいというのが日本酒・ワイン振興室を設置した私の思いであります。そういう意味で、単純に産業労働部にあるから産業労働部の視点だけということでなくて、農政部あるいは観光部、こうしたものとしっかり連携をしながら、取り組みを進めていきたいと思いますし、また日本酒・ワイン振興をすることが、長野県のある意味で、観光のイメージの一つにもなっていってもらえるように取り組んでいきたいと思っています。

 9 地震対策について

信越放送 湯本和寛 氏
 地震の関係で2点伺います。長野県内も東海地震、それから中央構造線も走っているようなことがありまして、今後の地震で心配されるところもあると思うんですが、県だけの取り組みでは限界があると思うんですけども、県民の方にこんなこと準備をしてほしいとか、そういうメッセージがあれば、まず1点伺いたいのと、もう1点、長野県内ですと地震が起こったときに道路網が寸断されるとかなり孤立する場所が多いのではないかという懸念があるんですけれども、その辺県としてはどのような対策を考えておられるか伺えればと思います。

長野県知事 阿部守一
 まず基本的に、先日も申し上げたと思いますけれども、今回の熊本地震でわれわれも応援、支援していくことはもちろんですけれども、やはりわれわれ自身の態勢の在り方もしっかり見直すべきところは見直さなければいけないと思っています。そういう中で、もちろん県民の皆さま方にはやはりまず自分の安全、ご家族の安全、当然われわれ行政も支援をしていきますけれども、基本的に守っていただくということを考えてもらうということは重要だと思っています。それは物資の備蓄であったり、あるいは建築物の耐震化、住宅の耐震化の耐震診断の助成等もさせていただいているわけでありますので、まずはご自身の安全をご自身で守るということを基本に、まず身の回りのことを見直していただきたいと思っています。そういう中で孤立、長野県の場合はご指摘のように、山間部に集落点在しているというような地域もあるわけでありますので、また先般もこれは地震とは違って雨氷で孤立する地域が出るというようなこともありましたので、こうした地域への対応ということもしっかり考える必要があると思います。一つは、今でもかなりいろいろな地域の道路整備の要請があるわけでありますので、そうしたハード面で対応をすべきところは対応しなければいけないと思いますし、しかしながら、それは時間とお金がかかる話でありますので、やはりいざというときには、例えばヘリで物資輸送するような態勢、大規模災害時には自衛隊の皆さんに災害派遣を要請をさせていただいておりますけれども、常日ごろから警察、消防、自衛隊の皆さま方とも十分連携を取りながら対応していくということが重要だと思っています。

信越放送 湯本和寛 氏
 ちょっと先の話になるかもしれないんですけども、なんかドローンの活用なんていうのも将来的にはあるんじゃないかと。

長野県知事 阿部守一
 建設部でもドローンを今、所有をするようになっていますけど、警察も持っていますので、有効な活用の仕方ができると思いますので、新しい機器の利用ということも含めて、今後、われわれ今回の熊本地震を受けてどういう対応ができるかということはしっかり点検をしていきたいと思っています。

長野県知事 阿部守一
 ありがとうございました。

お問い合わせ

企画振興部広報・共創推進課

電話番号:026-235-7054

ファックス:026-235-7026

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