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更新日:2016年4月22日

知事会見(平成28年(2016年)4月22日(金曜日)11時05分~12時26分 会場:県庁)

項目

知事からの説明

取材者からの質問

  1. 地震への対応について
  2. 佐久穂町地籍調査補助金問題について
  3. オスプレイの飛行訓練について
  4. 介護人材の確保について
  5. 熊本地震への支援について
  6. 衆参同日選挙について
  7. 大北森林組合補助金不適正受給について
  8. 芸術監督団について

本文

知事からの説明

 熊本地震で被災された皆さまへの支援、部局長会議を開催、ものづくり産業について(ヘルスケア産業への進出事例紹介、信州の伝統工芸品(信州紬)の紹介)

長野県知事 阿部守一
 皆さん、こんにちは。よろしくお願い致します。(※手話で表現)
 22日の会見を始めさせていただきます。私の方からは、大きく3点お話しします。
 最初に、熊本地震への支援等の対応についてであります。今回の熊本地震、大変甚大な被害が熊本県、あるいは大分県を中心に発生をしている状況にあります。大勢の皆さま方がお亡くなりになられているわけでありまして、犠牲になられた方々に改めて哀悼の意を表したいと思いますし、また多くの方々が避難をされるなど多くの被害を受けられているわけでありまして、被災された皆さま方に改めてお見舞いを申し上げたいと思います。長野県は、これまでも栄村の地震、あるいは神城断層地震、さらには御嶽山噴火災害で全国から温かなご支援をいただいてまいりました。長野県としては市町村、あるいは関係団体、県民の皆さま方と力を合わせて、今回の熊本地震の被災者、被災地の支援に全力で取り組んでまいります。すでに義援金の募集を本庁あるいは合同庁舎、そして銀座NAGANOで開始させていただいております。多くの皆さま方にご支援いただきたいと思っています。また救援物資につきましても市町村と連携を取り、全国的にも珍しい形だと思いますけれども「チームながの」ということで、県と市町村の協議の場で、大規模な災害が起きたときには県と市町村が協力して一体で取り組んでいこうということを確認をしておりますので、その確認事項に基づいて市長会、町村会の皆さま方と相談をさせていただき、県、それから市町村の備蓄物資等を搬送させていただきました。食料、水、あるいは衛生用品こうしたものの搬送をすでに行わせていただいているところでございます。昨日、応急危険度判定を担う県職員4名を派遣致しましたが、引き続いて応急危険度判定についても、第二陣として長野市、松本市、上田市の職員にもご参加いただく中で、こちらも「チームながの」で対応していきたいと思っております。また、その他にも人的支援の要請がさまざま参っております。しっかり対応していきたいと思っておりますが、まず全国知事会から医療救護班についての派遣要請が来ております。これについては信州大学医学部附属病院の医師、看護師を中心とする医療救護班を本日派遣致す予定にしております。また、健康管理を担う保健師について県職員の保健師2名、そして事務員2名を23日から派遣致します。また生活困窮者の相談に対応するためのケースワーカー2名を24日から派遣致したいと考えております。また、熊本県内の県、市町村自体が職員の皆さま方自体も被災者の立場でもあるわけでありますので、県職員5名を避難所応援等のために28日から派遣する方向で調整をしているところであります。まだまだ被災地支援長期化してくるのではないかと思われますので、引き続き被災地側のニーズを十分把握しながら関係団体、市町村とも連携をしながら、しっかりと応援をしていきたいと思っております。県民の皆さま方にも、引き続きのご協力とご支援をお願いしたいと思います。
 それから2点目でありますが、本日部局長会議を開催致しました。その中から何点かお伝えしていきたいと思いますけれど、まず長野県行政経営方針の策定についてでございます。行政財政改革方針というものに基づいて行政財政改革に取り組んできたわけでありますけれども、今後、長野県の行政経営をどうしていくかということで、特定の年次を区切っての方針であったり、計画ということではなく、随時見直していく基本的な方針として行政経営方針を策定していきたいと考えております。これについては現在、コンプライアンスの推進ということが県政の最重要課題であります。県民の期待に応える、社会の要請に応える、これが私ども長野県が目指すコンプライアンスの姿でありますので、行政経営方針についてもこうした考えを基本に据えて取り組んでいきたいと思っています。何よりも職員一人ひとりに当事者意識を持ってこの方針の策定に関わってもらいたい、その上で方針については全庁しっかりと問題意識を共有して同じ方向を向いて取り組んでいくことにしていきたいと思っています。
 それから2点目でありますけれども、報告事項として「イクボス・温かボス(あったかボス)宣言」の実施がございました。これは今年3月に女性職員活躍推進計画を定めたわけでありますけども、これに基づいて、私知事、副知事あるいは部局長はじめとする管理職が、職員の仕事と育児・介護の両立を応援するための取り組みを宣言をしていきたいと思っております。もとより宣言するだけでなくて、働きやすい職場づくり、職場環境づくり、こうしたものに県全体を挙げて取り組んでいきたいと考えています。「イクボス宣言」についてはよくあるわけでありますけれども、今回の特徴としては介護も視野に入れた形で、「イクボス・温かボス」という形にしていると、これはあまり他に例はないと思っておりますし、また今回、単に宣言するだけではなくてこうしたことに留意しようということを宣言する、それぞれの職員が十分読み込んで認識した上で取り組みをスタートさせていこうということで、部局長会議の場で申し上げましたけれども、単に形だけやるだけでは意味がないわけでありますので、先ほど申し上げた行政経営方針の策定、あるいはコンプライアンスの推進等まさに職場風土の改革ということが県政の重要課題になっているわけでありますので、こうした取り組みと連携をさせて実効性のある宣言にしていかなければいけない、あるいは宣言したからには、その宣言をしっかりと私をはじめとする各管理職が実行をしていかなければいけないと考えております。この「イクボス・温かボス宣言」については、長野県の連合婦人会が「イクボス・温かボス創出プロジェクト」を進めております。今後、県内企業あるいは団体等にも働き掛けた上で、7月を目途に1,000人規模で共同宣言を行っていきたいと伺っております。長野県も率先して取り組みますし、この「イクボス・温かボス」の取り組みが県内のさまざまな企業や団体に広まっていくように県としても取り組んでいきたいと考えています。
 それから部局長会議の3点目でありますが、長野県の災害廃棄物処理計画の策定についてでございます。今回の熊本地震におきましても災害廃棄物が大量に発生している状況だと考えています。災害廃棄物処理計画は、東日本大震災を踏まえて災害廃棄物の処理等に関して必要事項を定めた環境省の「災害廃棄物対策指針」に基づいて策定したものでございます。災害廃棄物の処理を適正、迅速に行うために県や市町村の役割、廃棄物の処理方法等を示して早期の復旧・復興につなげていきたいと考えています。災害廃棄物の処理は、基本的には市町村が実施主体でございますので、市町村においてあらかじめ具体的な災害廃棄物処理計画を策定していただくことが大切だと考えております。このため県としては、今後、未策定の市町村における災害廃棄物処理計画の策定の促進を図っていきたいと思いますし、また策定済みの市町村災害廃棄物処理計画とも整合を図りながら、随時、県の計画についても見直しを行っていきたいと考えています。
 それから部局長会議の4点目でありますが、「国際フラワーフォーラム2016」の開催についてでございます。今年は長野県、イベントイヤーでございますが、7月7日から9日まで松本市、そして県野菜花き試験場等を中心に国際フラワーフォーラムを開催致します。このフォーラムは、全国および国内外の花き産業に関わる産学官が連携して、世界的な評価を受けております高品質な国産花き、日本産の花の魅力、あるいは教育・医療・福祉などさまざまな分野における花きの活用について国内外へと発信をするとともに、花きの生産振興、あるいは新しい需要の創出を行うために開催していきたいと考えております。長野県は花きの主産県でございます。花を取り入れた新たなライフスタイルを長野県からぜひ発信していきたいと思っております。このフォーラムを契機に、ぜひ長野県の暮らしの中に、日常生活の中に花があるようにしていきたいと思っております。また、私も今、胸に県産のコサージュを付けさせていただいておりますけども、これから長野県、さまざまなイベントがございます。できるだけこうしたイベントの際には、県産花きを使用した生花コサージュを来賓の皆さま方等にお付けいただくような工夫もしていきたいと思っています。ぜひ長野県、花の産地でございますので、こうした花の文化、暮らしの中に花がある生活、この国際フラワーフォーラムを契機に広まるように努力をしていきたいと思っています。
 それから部局長会議の最後でございますけれども、企業局のペットボトル水のモンドセレクションの最高金賞受賞についてでございます。このたび、県の企業局が作りましたペットボトル水の「川中島の水」が、国際的な品質評価機関でありますモンドセレクションの最高金賞を受賞致しました。長野県、優れた環境を有する県として、そして美しい水を豊富に有する県として、こうした価値が認められたことは大変うれしく思っています。企業局小林管理者はじめ関係者の努力のたまものだと思いますし、ぜひこの受賞を契機に、長野県の環境の素晴らしさ、あるいは水資源の豊富さ、素晴らしさ、豊かさ、こうしたものを長野県の魅力として発信していきたいと思いますし、こうした発信にもモンドセレクションの受賞を生かしていきたいと思っています。
 熊本地震、部局長会議、それから大きな3点目と致しまして、ものづくり産業について関連で2点、私の方からお話を申し上げます。一つが、プレスリリース資料をご覧いただければと思いますが、「THE WALKING(ザ ウォーキング)」を用いた歩行ケアサービスの新ビジネス展開についてでございます。佐久市のマイクロストーン株式会社と佐久総合病院が、「THE WALKING」という計測器を用いた歩行ケアサービス、県も支援をさせていただく中でビジネス化をされることとなりました。これまで長野県と致しましては、佐久地方事務所が佐久市内の企業の従業員を対象としたモニタリング調査において実証検証の企画運営を行ってまいりましたし、また工業技術総合センターとしては歩行計測の実用化に向けた改良等技術的アドバイスを行わせていただいてきております。こうした中で、今回、歩行ケアサービスの事業化が行われることになりました。ヘルスケアサービス部門の新しい会社が設立され、4月26日には軽井沢の店舗で全国初となる「歩行ケアサービス」を開始されると伺っております。新しい会社名はSAKUNOコーポレイション株式会社ということであります。私ども長野県としては、産業のイノベーションを起こしていくという観点で、こうした取り組みは、大変素晴らしいことだと思っておりますし、また健康長寿県長野を発信する上でも、大変素晴らしい取り組みだと思っています。私も佐久にお邪魔をさせていただいたときに佐久大学で装置を試着させていただいて、短い間だったわけですけれども歩行のアドバイスも頂いたわけでありまして、それ以来、歩くときにはなるべくお腹を引っ込めよう、あるいは手の向きも、手のひらを、私の場合はどうも後ろ向きに振っていたようでありますので、もう少し前向きにということとかアドバイスされたことを意識しながら最近歩いているわけでありますけども、健康長寿の長野県としては大変素晴らしいサービスの提供になるのではないかと大きく期待しています。また、長野県は「信州ACE(エース)プロジェクト」ということで、県民運動としての長寿県、健康づくりを進めているわけでありますけれども、こうした中でもウォーキングの話はもとより、足育推進協議会の皆さんとお話をさせていただいたわけですけれども、やはり自分の足に合った靴の選び方、歩き方、こうしたことも健康をつくる上では大変重要だと思っておりますので、ぜひACEプロジェクトの中にも、こうした歩行であったり、あるいは靴の選び方、足の問題、こうしたものも今後取り入れていきたいと思っています。今日はマイクロストーンの白鳥社長にお越しをいただいておりますので、私ばかり長く説明してはいけないので、白鳥社長から少しお話しいただきたいと思いますが、白鳥社長、信州ACEプロジェクトの名前も命名していただいた方でもありますので、ぜひ健康長寿県づくりのためにこれからもお力を頂きたいと思います。どうぞこちらでご説明お願い致します。

マイクロストーン 代表取締役社長 白鳥典彦 氏
 ただいまご紹介いただきました、佐久市から参りました、マイクロストーン株式会社の白鳥典彦と申します。どうぞよろしくお願いします。今日は知事さんからお話頂きまして、大変貴重な機会を頂きまして大変ありがとうございます。私どもマイクロストーンは佐久市でセンサーの会社をやっておりまして、装置の振動計測、人間の計測、医療機器等をなりわいにしている会社でございますが、その中で実際に今日お話致しますような、素晴らしい出会いがございましてご紹介できることになりましたので、よろしくお願い致します。今回の新会社、SAKUNOコーポレイション株式会社と申しますが、この設立に当たりましては「歩行ケアサービス」のビジネス化に向けまして、県の補助事業、企業グループの立ち上げから技術的な助言、PRなど佐久地方事務所様、それから工業技術総合センター様の全面的なご支援をいただいたことに本当に感謝申し上げます。さまざまな観点でご指摘を頂いたり、暖かい言葉を頂いたりしてまいりました。今回この「THE WALKING」と申しますが体幹2点歩行動揺計、体幹、体の幹ですね、この動揺を測れる装置を開発したわけですが、この開発に当たりましては長野県理学療法士会の会長であられます、佐久総合病院の市川彰先生のご指導を頂きまして、佐久総合病院と弊社が共同で開発致しました。瞬時に歩行の特徴が計測できること、無線で瞬時にというのが特徴になっています。実はこのビジネスを始めるきっかけと致しましては、海外の展示会におきまして、欧米人と日本人の歩行の質が大きく違うことが分かりました。欧米人はかかとから接地をするのですが、その力は日本人の3割減ぐらい少ない状態でびっくり致しまして、それがきっかけでございます。日本人は予想以上にかかとに振動が強くて、衝撃が強く、かかとから膝、腰に大きく衝撃が来ること分かりまして、それで市川先生にご相談致しまして、今回のきっかけになっております。弊社は16年前に創業致しまして、私の自宅6畳間から起こしまして、製造業をしているわけですけれども、今回、弊社の先進技術によりまして何か社会に貢献したいという強い思いから、新会社を立ち上げさせていただきました。この4月26日、来週の火曜日でございますけれども、県を代表する観光地であります軽井沢の軽井沢会テニスコートの、天皇陛下と皇后陛下が出会われたですね、そこの横に、歩行計測サービスを本格的にできる店舗がお借りできまして始めます。また10月からは、佐久市臼田に、佐久総合病院の前に建設中の佐久市の健康サポートセンターチャレンジショップへの入店も内定いただきまして、佐久地域に密着した活動の拠点が決まっております。さらに、銀座NAGANOにおきましては、健康セミナーとしまして「健康長寿は美しい歩行から正しい歩き方」ということにつきまして、本年6月と来年3月の計2回開催致しまして、首都圏に向けても発信する予定であります。この「歩行ケアサービス」につきましては、長野県が日本一の健康長寿県となれるように少しでも貢献してまいりたいと思います。そして、私どもとしましては2020年東京オリンピックございますけれども、海外から来たいろいろなお客様がよく言われるのは、日本人は歩く姿勢が良くないねと言われるんですが、とても残念に思っておりまして、東京オリンピックまでに何かひとつお役に立てれば素晴らしいなと思います。なお、本日13時30分からこの会場におきまして、新会社の発表とサービス内容をぜひ、今日はデモ機も持ってまいりましたので、ぜひご体験いただきまして、多くの方にご参加をいただければ大変ありがたく存じます。これで私の報告を終わらさせていただきます。今日はありがとうございました。

長野県知事 阿部守一
 白鳥さん、どうもありがとうございました。ぜひ歩き方、私も結構自分の歩き方はおかしいなと思っていることもありますし、かなり腰が痛いときが多いので、靴だとか歩き方とかにより配慮していきたいと思いますので、ぜひいい形で事業が発展して成功していくことを期待しております。
 最後、もう1点でありますけれども、伝統的工芸品の知事室への展示、四半期ごとに知事室に長野県内の伝統的工芸品を展示してアピールをさせていただいているわけであります。着替えをしに出て行って恐縮でありますけれども、今回、中途半端な着方で大変申し訳ないですけれども、「信州紬」を展示させていただくことになりました。「信州紬」の「上田紬赤備えタペストリー」、それから「伊那紬着尺」を知事室に展示していきたいと思っております。信州紬は昭和50年に経済産業大臣に指定を頂いた伝統的工芸品であります。蚕糸農家で生糸にしにくい繭等を真綿にして、それを紡いで織ったものが始まりでございます。「上田紬」、「松本紬」、「飯田紬」、「伊那紬」など、県内各地で発達した紬を併せて「信州紬」と呼んでいるところでございます。11月には上田市のアリオ上田で「信州紬」のファッションショーを開催する予定になっております。私も参加をさせていただきたいなと思っていますので、今日はワイシャツの上に着ているので、また下もズボンをはいているので格好が悪い状況で申し訳ないですけれども、11月のときにはもう少ししっかり着させていただいて、この「信州紬」を関係の皆さんと一緒に盛り上げていきたいと思っています。それでは今日は「信州紬」の製作者代表として、小岩井紬工房の代表者、小岩井良馬さんにお越しいただいてますので、作品についてお話しいただきたいと思います。よろしくお願い致します。

小岩井紬工房 代表 小岩井良馬 氏
 ただいまご紹介いただきました、上田市から参りました「上田紬」織元の小岩井紬工房の小岩井良馬と申します。今日はよろしくお願いします。今日は着物で参加させていただいたんですけれども、知事にも無理を言って着物をお召しいただきました。伝統工芸というのは、すごい歴史があるものなんですけれども、なかなか敷居が高いイメージがどうしてもありますので、もっと身近に感じて使っていただくことがやっぱり伝統工芸品にとって一番いいことだと思いますので、今日は本当に知事には寸前までちょっといろいろと交渉して、無理言って着ていただきました。本当にありがとうございました。それでは作品の方の説明させていただきます。まずこちらの手前のタペストリーですね。こちらは私の工房で作らせていただいたんですけれども、今年は、皆さんご存じだと思うんですけども、上田市はもう全国から一番注目されている真田丸イヤーということで、もう連日のように観光の方が上田市にたくさん押し寄せて来てくださっています。「上田紬」といいますのは、真田家が上田城築城した際に真田幸村の父親の昌幸ですね、昌幸が地場産業の一つとして奨励しました「真田織」といえば分かるんですけども、「真田織」が発祥の織物というふうに言われております。ですから400年近い歴史があるわけですね。今回、今年は真田丸が盛り上がっているということで、せっかく真田家由来の織物ということですので、それを記念しまして「上田紬」の赤備え、真田の赤備えをモチーフに織り込んだ上田紬の生地に真田家の六文銭ですね、六文銭を刺しゅうしていただきましてタペストリーに致しました。これがまず一つ目ですね。二つ目はその奥の方なんですけれども、そちらは着尺ですね。着物になる前の反物なんですけれども、こちらは「伊那紬」の久保田織染さんという織元さんが製作したものです。これは、信州ならではの草木を使って、りんご、どんぐり、山桜ですか、そういった信州でしか採れないような特産品を染料として使いまして、その染めて織り込んだものですね。糸使いはですね、これまた信州ならではの天蚕といいまして、いわゆる山繭といいますか、野生の繭ですね。普通、お蚕さんの繭とは養蚕なんですけども、新市の穂高有明地方に天蚕がすごい盛んな地区がありまして、その天蚕糸を使った糸をちょっと織り込んでいます。ですから、こちらも信州ならではの、信州産の、信州らしい着物というか、着尺ですね、作品になっております。以上、この2点なんですけども、他にも先ほど知事からご説明ありましたけれども、「信州紬」といいますのは、「上田紬」、「伊那紬」、あと「松本紬」、「飯田紬」と4産地今あります。それでその総称で「信州紬」という形でやっております。各産地がそれぞれ、「信州紬」とひとくくり言いますけども、各産地、それぞれの特産が、特色もそれぞれオリジナリティがありますので、そのオリジナリティーを生かしながら、製作の方をしておりますので、それぞれの産地ごとの特色というか、カラーをまた見比べていただきながら、また伝統工芸を知っていただけたらと思っております。以上です。今日はどうもありがとうございました。

長野県知事 阿部守一
 小岩井さんどうもありがとうございました。また私もお伺いをいたしますのでどうぞよろしくお願い致します。以上で私の方からのご説明は以上でございます。ご質問よろしくお願い致します。

取材者からの質問

 1 地震への対応について

信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
 大きく3点お願いします。最初に熊本地震に関連して、県としてこれから内陸地震にどのように対応されるかという観点でちょっと教えていただきたいんですが、昨年の3月に県の防災会議の方で10種類の地震の想定を出されていて、いわゆる南海トラフ、プレート境界型の地震ではなくて、糸魚川静岡構造線断層帯の地震の場合の想定ですとか、内陸型を想定した地震というのはこれまでも出してらっしゃると思うんですが、改めて今回の地震で注目が集まっていると思いますので、今後そういった観点から何か計画というか、防災的な視点というか、これから考えていかれることはございますか。

長野県知事 阿部守一
 これは今日の部局長会議でも申し上げましたけれども、われわれ、全力で応援していくと同時に、今回の熊本地震をわれわれ自身の教訓にもしていかなければいけないと思っています。今年の取り組みとした公共施設、主要な施設の耐震化ということを重要な目標に掲げて、長野県の強靭(きょうじん)化計画を策定したわけでありますけれども、今回の地震を見ていると、栄村の地震も神城断層地震も、一度大きな地震があって、その数日、今日で1週間ですか、非常に長期にわたって、しかも余震というよりは大規模な地震が継続して起きているという、これまでになかったような形態の地震だと感じています。こうした状況の中で、建物の安全性、躯体(くたい)としての安全性だけではなくて、今回も市役所等が倒壊しそうで、災害対策本部を別の施設でというような自治体も出てきているわけでありますけれども、そうしたことも含めて、もう1回長野県の全体の状況をしっかり点検確認をしなければいけないだろうと思っています。その上で、直下型、内陸型地震に対する備えのさらに強化するべき点はどこにあるのかということを、それぞれの部局の観点も含めて考えていきたいと思っています。

信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
 検討しなければいけない非常に観点、ポイントは非常に多くて、耐震化ですとか、知事がおっしゃるように公共施設もあるでしょうし、住宅もあるでしょうし、例えば観光大県ということでしたら観光施設ですとか、いろんなテーマがあると思うんですが、感震ブレーカーの普及とか挙げだしたら切りがないと思うのですが、例えば今回の地震を受けて、いつまでにある程度方向性を出したいとか、そういったことに向けて何か庁内で組織を作るですとか、そういった今後計画とかはございますか。

長野県知事 阿部守一
 まず今、私どもとしては最優先で被災地支援を行いたいと考えています。その上で今、先ほど申し上げたように、各部局にもそれぞれの視点で長野県に置き換えたときにどういうことが必要なのか考えてほしいということを今日の部局長会議で申し上げました。その後の対応については、強靭化計画であったり地域防災計画をすでに策定していますので、こうしたものの充実であったり、改定であったり、こうしたことが必要になってくるのかどうかはしっかり検証して考えていきたいと思っています。これからの取り組みにおいて、今年は県の強靭化計画を作って、耐震化についても新たな視点でスタートさせたところでありますので、こうしたものをもう1回、今回の地震に照らし合わせて、強化すべきところは何かということを考えていきたいと思っています。

信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
 もう1点だけ。県職員の方の中でも、例えば東日本に今、派遣されている方もいらっしゃいますし、今回、応急危険度判定士で行かれる方もいらっしゃいますし、あとは神城断層ですとか栄村ですとか、非常に地震に対応するノウハウというのが蓄積されていると思うのですが、それを今後に向けて何か生かす方策というのは考えていらっしゃいますか。

長野県知事 阿部守一
 今回の地震に当たっても、長野県はこれまで応援をいただいてきた県であると同時に、今お話がありましたように、震災時の対応についても、ある意味経験がある県でありますので、そういう意味で知事会等を通じて、積極的に協力していきますということをこれまでも発信してきています。また、各部局からこれまでの災害でどんな教訓があるかということも取りまとめていまして、私どもの方でこれまでの地震災害等を経験する中で、こうした点が留意が必要ではないかということについては、知事会を通じて被災地にも伝わるように、われわれの得た教訓はお伝えさせていただいているところでありますので、これからもそうした観点で熊本地震の被災地には応援をしていきたいと思っていますし、また私ども長野県の中でも、何年か経つとやはりそのときの担当者いなくなってしまったり、異動で代わったり、あるいは退職したりということで、携わったメンバーも代わるわけでありますので、そうした教訓とか知見がしっかりと引き継がれるように、これは毎年の防災訓練等を通じて防災力が低下していかないように努力していきたいと思っています。

 2 佐久穂町地籍調査補助金問題について

信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
 別の質問で、昨日今日、報道されております佐久穂町の地籍調査の補助金の問題なんですが、現状として県ではこれからどのような形で調査をされていくのかという観点でまずお聞きをしたいのですが、あと再発防止策等を含めて、今考えていらっしゃることはありますか。

長野県知事 阿部守一
 町の方から27年度の地籍調査事業が未完了だという報告が4月12日に地方事務所に対してあって、その後、補助金の交付決定の取り消しをしています。その後、27年度事業について交付決定を取り消したわけでありますけれども、それ以前の地籍調査事業について問題がないかということを、23年度分から27年度分までの執行状況について書類を確認したところでございますが、平成26年度の地籍調査事業の一部が未完了だということが判明しております。また23年から25年度までについては適正に実施されていたということであります。そういう意味で、26年度分の対応については町からも十分状況を聞きながら適切に対応していかなければいけないと思っています。私が報告を受けたときにも言いましたけれども、農政部には言ったわけですけれども、いやいや通常の事務処理は、県の場合は、行政の場合は多くはルール通り執行されているということを前提にいろいろな検収とかを行っているわけでありますけれども、こういうイレギュラーな形、例えば年度末ぎりぎりになって事業が未完了だというような報告があったときにどう対応するのかというようなことも含めて、コンプライアンス推進の中で県の組織としては自ら考えて徹底していかなければいけないと思っています。

信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
 可能性とすれば見抜くことが可能というか、審査する以上、出てきた書類をどのように見るかというとこだと思うんですが、そこは言い方、適切かどうか、疑いではないですけれども、もう少し丁寧に見ていく必要があるという認識でしょうか。行政から出てくる文書であっても、そこはもう少し丁寧に見ていくというか。

長野県知事 阿部守一
 それは確かに丁寧に見るということは大事かもしれませんけれども、やはりまずは補助事業が責任を持って執行していただくと、例えば年度内に事業完了ができない見通しであれば、当然早めに相談していただくということが、これは基本だと思います。全ておかしなことが行われるという前提で1から10まで現場を調査し、書類もひっくり返して、徹底的に見て、相手方の申請が本当かどうか疑って掛かるというようなことをやるといくら県職員がいても足りなくなるわけであります。むしろ、そういう事前のチェックも、もちろん大事でありますけれども、事後的な対応を、これはメディアの皆さま方も最大の関心だと思いますけれども、やっぱり私は隠さないと、すぐに問題があったら出すと、それは今回の補助事業の実施、補助金の支出先は市町村でありますので、当然同じ行政主体として同じようなスタンスで取り組んでもらいたいと思っています。

信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
 佐久穂町以外、他の自治体に対する調査というのはこれからどのように進められますか。他の自治体に対して、同事案がないかということについてチェックというか。

長野県知事 阿部守一
 今回の事業の未完了というものがどういう要因で起きているのかということが、一番、私は確認すべき話だと思っています。農政部の方では、各地方事務所で過去5年間の地籍調査事業の実施状況の確認を始めたと報告を受けてますけれども、こういうことやれば村澤さんのご質問にはよくやっているねという話になるのかもしれませんけれども、私はこういうことも大事かもしれませんけれども、むしろ本当にまず何が原因なのかということを徹底的に解明して、それに対して対応していくということが併せて重要だろうと思っています。

 3 オスプレイの飛行訓練について

信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
 あと別の質問で、ちょっとオスプレイの関係でお聞きをしたいのですが、昨日、市長会があって、訓練空域になっている自治体からは、2月の防衛省の回答についてはかなり具体性がなかったので再度聞いた方がいいんではないかというような声が出ているのですが、今後、県としての方針、改めて防衛省サイドに聞くというのはどのように考えていらっしゃいますか。

長野県知事 阿部守一
 まず、昨日の市長会の意見交換というか、どういうことで市長会が意思統一されたかということについてはまだ伺ってないので、市長会の取り組みについて、県としてどう対応するかというのは今の段階ではお答えできません。ただ、オスプレイの問題については、それぞれの市町村にいろいろなお考えがあるということをわれわれもお伺いをしてきておりますし、こうした意見をどう集約していくかということについて、今、県庁の内部で検討しているところであります。

信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
 関連して、熊本地震の被災地には米軍がオスプレイを飛ばしていて、それに対しては賛否両論があって、一方、政治利用ではないかという主張もあるんですが、その点について見解というかどのように考えられますか。

長野県知事 阿部守一
 政府が現状を判断した上で運用されたわけでありますので、それが政治利用なのかどういうものなのかということについて、私がお答えする立場ではないだろうと思っています。

 4 介護人材の確保について

日本経済新聞 白岩ひおな 氏
 介護人材の確保についてお伺いします。昨日、自民党の方が提言を出しまして、介護ですとかあるいは保育等に関わる人材の賃金の引き上げという方針を固めまして、正式決定は5月になりますけれども、県内でも医療福祉関連の人材というと求人倍率の高止まりが続いているかと思うんですが、県としての今回の方針の受け止めと、どのように県としてはこうした人材の確保ということを支援されるか考えていらっしゃるかお聞かせください。

長野県知事 阿部守一
 まず決定された方針の具体的な内容を私は直接読み込んでいないので、直ちに評価しづらいところがありますけれども、基本的な方向としては介護に携わる皆さんの処遇が改善されていく方向性は望ましい方向性だと思っています。ただ、医療とか介護の公的な保険で賄われている部分の本質的な問題だと思いますけれども、どうしても国の財政、あるいは地方の財政、そうしたものの制約条件であったり、あるいはサービスの内容等も決められた範囲内でしか行えないというような形になっているわけでありますので、持続可能な社会保障制度をどうつくるかっていうのは極めて重要な課題だと思いますけれども、私はより分権的な仕組み、同じ介護をするにしても都会都心部での介護と、長野県のような地方部、あるいは農山村部での介護のやり方というのは必ずしも一律ではないわけでありますので、そういう地域の状況にあった仕組みをつくっていくということも、併せて必要だろうと思います。また処遇の問題だけではなくて、長野県としては介護職員のキャリアアップすることができるような仕組みを考えなければいけないということで、介護事業者の皆さま方と考えてきているわけでありますけれども、賃金が上がるということだけではなくて、やはり介護に携わる方々が自分の仕事に誇りを持っていただける、あるいは将来の自分たちのキャリアプランも実感できるようなものにしていくということも併せて必要だろうと思っています。

日本経済新聞 白岩ひおな 氏
 追加で1点だけ、今おっしゃったキャリアアップの仕組みづくりですとか、地域の状況により即した仕組みの形成というところで申しますと、各市町村レベルでも対策を取られているところもありますけれども、県として何らかの具体的な方策を取るお考えはありますでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 今申し上げたように、例えば医療保険だとか介護保険というのは国が制度設計をして、特に福祉分野はほとんどが市町村に主たる権限がいっている中で、県としてはあまり本質的なところの議論をせずにきてしまったのではないかと私自身は感じています。まだ新年度になったばかりで来年の話をするのは早いのかもしれませんけれども、私は来年度の予算編成に向けては社会保障の基本的な分野、国がルールを決めているような分野においても県としてしっかり検討して、必要な見直し事項については国に対して言っていくし、県として取り組める部分は県として取り組んでいくということが大事だと思っておりますので、介護であったり、あるいは今度、国民健康保険の保険者としての仕事は市町村から県に移ってくる方向にもなっていますし、社会保障制度の基本的な部分についても県としてより踏み込んだ検討と対応を今後していかなければいけないと思っています。

 5 熊本地震への支援について

読売新聞 大木隆士 氏
 先ほどの熊本地震への支援ということについて追加でお聞きしたいんですけれども、県からもケースワーカーですとか保健師の方を派遣する予定があるという発表がありました。先ほどの知事のお言葉にもありましたけれども、長野県はいろいろな被災、地震などの被害を経験しているわけで、もちろんこういう人的貢献ということでは熊本県からの要請ということは優先されるとは思うんですけれども、県としてでも経験を踏まえて人員を派遣というのを逆に熊本県側に提案するというようなことはされているのでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 まず都道府県レベルでは知事会が全体の調整をするという形になっています。まずは今回熊本、あるいは大分県等でも被害が発生しましたけれども、九州ブロックで一義的には対応をするという形になっています。私は先ほど申し上げたように、県民の皆さま方の思いも、どんどん応援をしなければいけないと、私自身もそういう思いでありますが、しかしながら、あっちの地域もこっちの地域もどんどん人を出していくということであると、逆に混乱しかねないところもありますので、そういう意味では被災地側と十分連絡を取りながら対応していくということが重要だと思っています。そういう意味で、ただ待ちの姿勢だけではいけないと思っていますので、まずは人的な部分については知事会に対しては、先ほど申し上げたように、長野県は知見がありますので県職員派遣しますということは、かなり早い段階からこちらの方から積極的に働き掛けをさせていただいています。また救援物資の話については、これは知事会からの要請ということではないわけでありまして、今回私ども熊本市に対して、救援物資を派遣をさせていただいていますけども、それはまず佐久市の市長と私、話をさせていただく中で、佐久市長は熊本市長といろいろ情報交換されている中で、熊本市においてやはり物資が不足しているというお話がございましたので、そういうことも踏まえて、「チームながの」と一緒になって応援していこうということで取り組みを始めたわけであります。従って、基本的には国であったり、知事会であったりを通じての被災地側からの要請ということが基本ではありますが、こういう緊急事態の際に、単に決められたルート、ルールだけを守るということだけでは十分な対応は私はでき得ないと思っておりますので、今申し上げたような形で、こちら側からも積極的に働き掛けをさせていただいてきているところであります。

読売新聞 大木 隆士 氏
 今後、また支援も長期化してくると思うのですけれども、長期化してきたときに、これまでのいろいろな被災を受けた経験ということを生かした支援ということはできるんでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 例えば、東日本大震災のときには私ども長野県として、もちろん行政としての支援も行いましたけども、先ほど申し上げたように、県民の皆さんが何とか応援したいという思いが非常に強くありました。そういう中で関係団体の皆さんとお話をして、東日本大震災支援県民本部というものを立ち上げて、これは行政だけではなくて経済団体、あるいはNPOはじめ広く県民の皆様さま方と一緒になって被災地支援を行うという仕組みをつくりました。これは他の県にはない仕組みだったと思いますが、そういう中で、例えば被災地の子どもたちのサマーキャンプを受け入れるとか、今申し上げた物資の支援だとか、人の派遣だとかというようなものとは違う形での支援も行わせていただいた経験がございますので、今後、今まだ余震が続いている状況下でありますし、これからの予断を許さない状況でありますけれども、被災地の状況に合わせて、いろいろな形の支援を考えていく必要があると思っています。

 6 衆参同日選挙について

朝日新聞 小松隆次郎 氏
 2点ほどお伺いしたいんですが、まず熊本地震で、その影響でささやかれていた衆参同日ダブル選ですね、これの見送り論なり慎重論というのが出ているという報道もあるんですが、自治体の長として、政局観だとか政治状況とは別に、こうした状況の中で参院選は憲法上必ず行われなければならないんですが、衆参同日ダブル選という、行うべきかどうかというご意見ですね、前回白馬の神代断層地震のときも確か衆議院の総選挙の直前で非常に小谷村だとか、白馬村だとか、村の選管の方も苦労したなというのを、僕取材して感じたんですが、そこら辺についてご意見ありますでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 正直、全く私はそういうことは考えていません。これは総理がご自身の責任でどうされるか判断されることだろうと思いますし、これは私どもとすれば被災地の支援をしっかり行っていくということをまずは考えていくということだと思っています。

 7 大北森林組合補助金不適正受給について

朝日新聞 小松隆次郎 氏
 もう1点この時期あれなんですが、大北森林組合の関係で、前回の記者会見私出席できなかったんですが、知事ずっとおっしゃるように県の職員が全くの架空申請を認識していた事実はないというような趣旨のことずっとおっしゃられているんですが。

長野県知事 阿部守一
 期ずれとか虚偽の文書を作ったとか、完成してないのに完成したという前提で補助金交付したということは、これはわれわれも認識してますし、それ自体大変遺憾な大きな問題だと思っているということは何度も申し上げている通りであります。

朝日新聞 小松隆次郎 氏
 完成してないのを完成したということにして申請が出てきてそれを認めてたというのは、認識したところなんですが、これは知事は全くの架空申請を認識していなかったというのは全くっていう言葉は取ることは可能なんですか、知事として。架空申請を職員が認識していなかったというふうに。

長野県知事 阿部守一
 架空申請は職員は認識していたわけですよね。

朝日新聞 小松隆次郎 氏
 それはもうはっきりそう言えるわけですか。

長野県知事 阿部守一
 ですから、全くということをいちいち付けさせていただいているわけでありまして、それは完成してないのに完成したかのような形で事務を行っていたということは、これはわれわれもそういう認定をした上で、職員処分しているわけでありますから。

朝日新聞 小松隆次郎 氏
 そうすると、全くのというのは、要は何も事業計画もなかったり、その後もやるつもりがないようなものまで、こう。

阿部知事 阿部守一
 例えば組合の専務と、今裁判中ですからあまり私が断定的なことを申し上げてはいけないかもしれませんけれども、例えばもう事業をやらないけれども、補助金を不正に別の私的なものに使うということを知りながら補助金を交付したというようなことはないというのが私どもの認識であります。

朝日新聞 小松隆次郎 氏
 別な私的なことにまでは知りながら、そこまでも確かにあれなんですが、全くその後やるつもりがなかったというだけですね。その後も実施されないということを認識はやっぱりしてなかったということ。

阿部知事 阿部守一
 私どもの認識は、前にもここで同じことをお話しさせていただいたと思いますけども、例えば期ずれの容認で、一定期間後にはやるというものと未来永劫やらないというものは、これは一定期間後にやること自体も問題なんですよ、問題ですけども、未来永劫やらないということはお金が他のところに回っていいということを是認する話ですから、そういう意味では、かなり質的には違うもの。例えば、刑法上の評価がどうかというのは、私が関知する話ではないですけども、少なくともお金が全然事業に使われなくてもいいと、どっかいってしまってもいいと考えるかどうかというのは相当大きな開きがあるのではないかと思っています。

朝日新聞 小松隆次郎 氏
 世論協会の設問だとか、かなりご不満を漏らしてらっしゃったそうなんですが、この聞き取り結果というのが十分か不十分かというとこで、こちらは情報公開請求しても聞き取り結果というのが黒塗りで実際出てきて、中身というのがはっきり分からないんですが、未来永劫実施されないかどうかというところが、恐らくそういう認識はなかったという結論だと思うんですが、例えば根拠として、その後今回の問題ずっと見てると、県職員の方は、いつかは、一定期間後にはやってくれんだろうと、それはまずいんだけどもやってくれるんだろうという期待があったということだと思うんですが、その後あまり調査に、実際一定期間後にやられたという調査というのは、されないまま実際この問題が起きるまで、未来永劫というのかこの問題が発覚するまで実際行われなかった事業はかなりあるわけですね。その点について、やると県職員の方もやると思っていまして、一定期間をやると思っていましたとは言っていると思うんですが、その後に確認全然してないでしょうと、それはその後まったく担保取れてない状態で是認にしていたわけですね。そこら辺について聞き取り。

長野県知事 阿部守一
 そのこと自体はとんでもないことだと、私は何度も繰り返し申し上げているとおりで、そもそも先ほどから申し上げているように、全く執行されているか、されていないかというところに論点がいってしまっているので、私は全くだとかそういう話をさせていただいていますけども、基本的には期ずれの容認であったり、検査野帳の記載自体を違う形で記載しているということ自体大変な問題であることは間違いないわけで、そういう部分については、われわれも把握した上で処分させていただいているわけでありまして、違うところに論点がいってしまうので、私が何かそれ以前のことはいいものと思っているかのような話になりますけども、それに至らない段階のものであっても、これは公務員としてあってはならない行為だということは間違いないと思っています。

朝日新聞 小松隆次郎 氏
 例えば専務と結託してだとか、専務が不正な私的な流用をしていたとこまでは認識はしていなかったというところの根拠というのは基本的には聞き取りだけというか、そういうのを認識していたという示すものがなかったってそういうことなんですか。

長野県知事 阿部守一
 今申し上げた通り、そこの以前の問題でも極めて大きな重大な問題ですから、ですから全庁挙げてコンプライアンスの推進だと言っているわけでありますけど、そこのところが、なぜそこにこだわられるのかというのはどういう観点からのご質問なのか。要はそこにわれわれ県行政がこだわらないと、こういうことでおかしいというところは一体どこなのかというのがよく分からないんですけれども。そもそも期ずれの容認であったり、検査野帳の虚偽記載があったり、許されないことだということは何度も繰り返し申し上げている通りでありまして、さらにそこから先のところの次元のところをどうしてそれまでこだわる。先ほど申し上げたように、例えば刑法犯として、例えば相手方の中村専務と示し合わせた上で自分の懐に入れようと意思を持って、これは行ったということがあったとすれば、それはまた別の次元の話になりますけれども、別の次元のところにならないところの線引きのところをあんまり議論しても実益がないような気がしているんですけれども。

朝日新聞 小松隆次郎 氏
 というのは、要は結局補助金適正化法で県の職員が最終的に起訴猶予にはなっているのですが、やっぱり刑事告発するかどうかというところで、確か架空申請の部分について切り取って案件を県警の方に刑事告発したと思うんですね。そのときの説明でも、要は架空申請のものはこれは補助金適正化に当たると、だから期ずれだとかそういうのは当たらないというのは、ある程度仕分けして刑事告発したと思うときに、県の職員はなぜ刑事告発しないのかという部分で、確か私的な利益がなかったというような部分、それはあっちの虚偽公文書ですかね、そういう部分があったんですが、今おっしゃられたように、架空申請認識していたと、全くのというのは除いて架空申請認識していたというようなことであれば、刑事告発するという対応もあったんじゃないかなと。

長野県知事 阿部守一
 それも、そのとき会見で申し上げてるんだと思う。弁護人等とも相談をした上で、われわれ対応してますし、例えばわれわれが組合あるいは組合役員に対して行った告発も、全ての案件について告発しているということではなくて、その中で極めて法令違反が明白だと、そういうものに限って告発している。これはわれわれ、私は県知事の立場でありますけれども、行政が第三者を告発するというのは非常に慎重にやらなければ、組合に対する告発であっても私はそうだと思っています。単に、相手の対応おかしいではないかかというようなことで、行政庁である県が、告発をしだしたらえらい話になってしまいますので、そういう意味では、これはもう間違いないという案件だけに限定をして告発をさせていただいているところでありますので、そういう意味で、私は私人が告発される場合とわれわれ行政が組織として告発する場合とういのは、やはり慎重さの度合いというのは、おのずと違いがなければいけないと私自身は考えています。何かあったときに私が知事として、県として告発しろと、どんどんいろいろな人を告発して争いになって、場合によったら無罪になったりとか、不起訴になったり、そういうふうなることが連発するということなれば、逆に県としての行為に対する県民の信頼が大きく損なわれると思いますので、そういう意味で、私ども告発を行う際には相当慎重な議論を重ねた上で行ったところであります。

朝日新聞 小松隆次郎 氏
 結局、慎重に刑事告発するとは全くおっしゃる通りで、そうだと思うんですが、1点申し上げさせていただくなら、県職員の方は全くの第三者ではない、県にとって第三者ではないですし、その後、やはり県の方も家宅捜索入られて、これ強制捜査ですね。受けて、そのまま書類送検されて起訴猶予ですから、これは一応事実として認定されると、そういう対応全体の流れ見るとちょっと甘いなっていうふうに思ってちょっとこういう質問させていただいた次第なんで。

長野県知事 阿部守一
 全くの第三者ではないという部分は、県としては処分を行うんですよ。どうもその刑事事件の話と行政としての処分の話がいつも混同されているような気がしてならないんですけれども、その第三者ではないからこそ処分を行っているわけでありまして、第三者、いくら組合の役員がけしからんといっても県が直接処分することはできないわけでありますから、県職員に対してはわれわれは厳正な処分を行うということが基本であります。どうも刑事事件としての扱いと県職員に対する処分の話が混同されているから、ちょっとレベル感が違うのではないのかという話になるのではないかと感じますので、ぜひそこのところはしっかり行政の処分と、それから刑事事件のプロセスと、刑事事件のプロセスについては私は何度も申し上げているように、これは私が関与できないというか、私が関与するのは適切ではないわけでありますので、それは警察、検察当局がご判断される話でありますので、私はもちろん警察、検察の捜査に対して、こうしてくれ、ああしてくれなんて一切口出しをしてないわけでありますので、そこはやはりちゃんと分けていただく必要があるのではないかと思います。

朝日新聞 小松隆次郎 氏
 分けても、さすがに第三者とはさすがに言えないかなと思います。

長野県知事 阿部守一
 第三者ではないから県として処分してるわけです。第三者というのは、県職員は第三者ではなくて。

朝日新聞 小松隆次郎 氏
 それは要は懲戒処分の話。

長野県知事 阿部守一
 そうですね。

朝日新聞 小松隆次郎 氏
 要は刑事手続に則ったって、まあ別にその第三者というものではないかなと。

長野県知事 阿部守一
 第三者というのは何が誰に対して第三者なの。

朝日新聞 小松隆次郎 氏
 県職員に対するですね。

長野県知事 阿部守一
 どういう意味。

朝日新聞 小松隆次郎 氏
 やっぱり県として最終的に執行していて、それのうちの要は県職員というのは本当の実行者ですよね。そういう方の行為が罪に問われるかどうかというときに、懲戒処分のときはもちろん県の職員として処分するわけですけど、刑事告発するかどうかは刑事手続の中でも、県と県職員の関係というのもこれは必ずしも第三者という、県にとって県職員が第三者とはならないかなとは思うんですね。

長野県知事 阿部守一
 ですから、刑事告発について第三者か第三者ではないかっていうことを言っているわけではなくて、先ほど刑事告発するについて、県職員であろうが普通の県民の皆さんであろうが、私は慎重にやらなければいけないと、そこはやはり重要な話なのではないかと。要するに、疑いがあると、だから何でも告発するということを県がやりだすというのは、私はいささか問題があるのではないかと思います。やはり本当に県として告発するには、やはりほぼ有罪になるものという確証が持てるようなものに限らなければ、それはやはり県としての対応が、そのもの自体が、逆に今度は批判をされ、県民の皆さんの信頼を失うことになりかねないのではないと思っています。

朝日新聞 小松隆次郎 氏
 要は県職員だからといってあえて厳しく刑事告発、それはやってはいないと思います。

長野県知事 阿部守一
 刑事の部分については、これは私がコメントする話ではありませんが、少なくとも私の立場では、私が組織の長であると同時に県民の代表でもありますから、県職員に対しては厳しく接しなければいけないと、県民の代表として。ただ、組織の長として適切に振舞うということも大変大事だと思っていますので、私は今回の処分については、例えば管理監督者についても処分の対象にさせていただいているわけであります。一般的に公務員の懲戒処分については世の中からは甘いのではないかと見られる傾向があると思っています。それは公平性、今までとの量定とのバランスともそういうものをわれわれとしては考えていかざるを得ないということがあるわけでありますので、私は今回の処分については決して甘くするなどという意図は私自身は全く持ったことはありません。そのことはぜひ申し上げておきたいと思います。

 8 芸術監督団について

信濃毎日新聞 鈴木宏尚 氏
 芸術監督団会議というのがおとといあったんですけれども、取材をして、夢があるとは思うんですけども、なかなか議論の中身はかなり抽象的だなという印象を受けました。知事は芸術監督の皆さんにどんなアウトプットを期待されていますでしょうか。

長野県知事 阿部 守一
 芸術監督団の皆さんと、会見をされた後少しお話をさせてもらったんですけども、いつまでに何をやるかとか、いつまでにどんな計画するのだというようなこととは、いささか今回の監督団の皆さんへの期待は違うということをまず申し上げないといけないだろうと思っています。すぐアウトプットとか、計画とかそういう話になりがちでありますけれども、私は今回、まず、これだけの素晴らしい方々に、芸術監督をお引き受けいただけたということは県として大変ありがたいことだと思っておりますし、近藤誠一文化振興事業団理事長のご尽力のたまものでもあると本当に感謝をしております。まさに、こういう皆さま方の感覚、識見、こうしたものを生かして長野県の文化政策、あるいは長野県の文化をどうやっていい方向に発展をさせていくのかということを、これからご提言いただいて、あるいは私どもからも問題提起をしながら、一緒になって考えていきたいと思っています。もちろん具体的な取り組みもしっかり行えるようにしていきたいと思いますが、芸術監督団をお願いして、私がすぐここでこれとこれやりますなんていうことが言えるような単純な話では、芸術監督団の皆さま方の価値を著しく損なうような話だと思いますので、今日も部局長会議では、芸術監督団の皆さんからは文化という側面だけではなくて、教育であったり、福祉であったり、あるいは経済であったり、こうしたものとの関連性も重要だというご指摘もいただいていますので、各部局でぜひこの文化というものをしっかり考えてほしいということを申し上げましたし、これから芸術監督団の皆さま方からのいろいろなアイデアやご提案を受けて、県としてもしっかり考えていきますし、逆に私ども各部からも芸術監督団の皆さま方に問題提起をして一緒になって取り組んでいきたいと思っています。

長野県知事 阿部守一
 ありがとうございました。

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企画振興部広報・共創推進課

電話番号:026-235-7054

ファックス:026-235-7026

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