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更新日:2016年4月14日
長野県知事 阿部守一
皆さん、こんにちは。今から会見を始めます。(※手話で表現)
それでは、4月14日の知事会見を始めさせていただきます。
まず、私の方から二つ、お話しさせていただきます。1点目が、農業生産と両立できる太陽光発電装置の開発に向けた取り組みについてでございます。お手元にプレスリリース資料をお配りしているかと思いますので、そちらをご覧いただければと思います。長野県におきましては産業イノベーション推進本部のタスクフォースの一つとして、「信州農業を革新する技術開発推進事業」を進めているところであります。平成28年度から新たに、農業生産とマッチングできる有機薄膜型の太陽電池、「フィルム型太陽光発電装置」でございますが、これを開発、実用化するためのコンソーシアムを設立して、研究に着手をしていくことと致しました。これは諏訪東京理科大学の渡邊准教授が開発された「フィルム型太陽光発電装置」を使うものでありますが、「フィルム型太陽光発電装置」は植物の成長に必要な光を透過させながら、発電に必要な光のみを吸収して発電するというものでございます。これを農業の生産現場においても活用して、作物生産と同時に発電を行おうという試みでございます。こうした取り組みは国内で初めてと聞いております。果樹試験場におきまして、ぶどうの雨よけ栽培により実用性を検証し、さらに改良を重ねて、「フィルム型太陽光発電装置」を利用した農業生産現場での実用化に向けた開発を行っていきたいと考えております。コンソーシアムの参画機関は、茅野市の諏訪東京理科大学、そして仙台市の株式会社イデアルスター、須坂市の県果樹試験場であります。開発技術についての詳細は、4月21日の午後2時から、この会見場におきまして、コンソーシアムによる会見を予定しておりますので、ぜひ取材をいただければと思います。
それから2点目でございますが、お手元にプレスリリースを資料お配りさせていただいているところですが、「信州パーキング・パーミット制度」が4月20日からスタート致します。これは昨年12月に一部改正を行いました「福祉のまちづくり条例」に基づく取り組みでございます。この制度は、障がい者等移動に不自由を来される方々のために駐車区画を定めて、その利用のための利用証を交付していくというものでございます。「福祉のまちづくり条例」では、これまでも不特定多数の方が利用される施設については、25台以上の駐車場を整備する場合は車いす使用者用区画を設けるということにしてきたわけでありますが、今回、この適正利用を推進するために「信州パーキング・パーミット制度」を導入し、併せて、車いすの利用者だけではなくてより広い皆さま方、ご高齢の方、あるいは病人、あるいは妊産婦、こうした方々を含む歩行困難な方のための取り組みとしてスタート致します。車いす用の幅のものだけではなくて、通常幅の区画も確保していただくということで、プラスワン方式という形で推進してまいります。また小規模な施設についても、できる限り1区画でもご協力をいただくようにお願いをしているところでございます。今回の制度導入によりまして、外見、見ただけでは分からない内部障がいのある方あるいは妊娠をされている方などにも利用しやすい形の仕組みになります。また管理をされる施設の皆さま方にとっても、利用証の有無によりまして優先利用の対象者かどうかということが判断できるということになりますので、管理をされる側の皆さんとってもより利便性の高い制度だと考えております。また本県の発行する利用証で同様の制度を持つ他県でもご利用いただける協定を結んでおります。隣接県では新潟県、群馬県、山梨県、静岡県でご利用いただく形になります。双方向で利用することが可能になっております。現時点で、4月12日時点でありますけれども、協力いただける施設は386、区画数で1,177、利用証を申請いただいた皆さまが1,152名という状況であります。さらに協力施設の拡大をしていきたいと思いますし、多くの皆さま方に利用いただきたいと考えております。私どもも引き続き、こうした周知を行って広げていきたいと思いますので、皆さま方でも報道いただければ大変ありがたいと思っております。私の方からは以上でございます。よろしくお願い致します。
信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
大きく3点お願いしたいのですが、最初に性被害の条例の関係ですが、週末9日、10日と長野と伊那でタウンミーティングがあったのですが、かなり初日の方は時間1時間くらい延長しましたし、内容的にも多様な意見が出て、2日目の方はかなり条例については賛成の方が多かったという状況があると思うのですが、ほぼこういったことを続けてきて県民の方の意見が出尽くしたというふうにお考えになるか、それともまだこういったことを続けていくべきというふうに、どちらの方にお考えになりますか。
長野県知事 阿部守一
長野市と伊那市においてタウンミーティングを開かせていただきましたけれども、私の率直な感覚からするといろいろな論点はもうすでに出尽くしているのではないかと、全く新しい視点が出てくるというような状況ではなくなっているのではないかと考えています。
信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
内容については、例えば初日の9日、長野会場では男女の問題に捜査が入ることについてかなり議論が出たんですが、そういった部分でまだ依然として疑問を持っている方がいらっしゃると思うんですけど、その方について、例えば県側として疑問を解消するような説明というのはどのように考えていらっしゃいますか。
長野県知事 阿部守一
まさにそういうことのためにタウンミーティングも開催致しましたし、今パブリックコメントを募集中ではありますけれども、私どもが県民の皆さま方からこれまでも、あるいはメディアの皆さんから頂いている疑問点についてもQ&Aの形でお示しして、通常の条例に比して相当程度丁寧な説明をさせていただいているところでございます。パブリックコメントはまだ25日まで受け付けておりますので、ぜひ多くのご意見を頂ければありがたいと思っております。
信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
これは考え方なのかもしれませんが、知事ご自身のお考えとしては3年近く、2013年の5月に子どもを性被害等から守る専門委員会の設置をしてから議論されてきたとおっしゃっていますが、逆に県民の側から見れば条例モデルが示されたのが昨年9月、それを踏まえて知事の方で制定方針を示されたのが同じく9月県会ですし、この半年くらいで具体的にどういた内容かというのが見えてきた部分があって、例えばQ&Aについても3月下旬のパブコメに併せて公表している部分があるかと思うのですが、今の段階だとまだどういった内容かというのが見え始めたと捉えることも可能かという気がするのですが。
長野県知事 阿部守一
信濃毎日新聞が私どもの言っていることを伝えていただくようにしていただければ、より正確な内容が伝わるのではないかと思っております。
信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
威迫ですとか、具体的にどういった内容が処罰対象になるかというのは、実際県民の皆さまが分かってきたのが去年の9月からで、やっぱり私も何度かタウンミーティングを見てきているとかなり議論が盛り上がってきているようにも感じるんですが、今後も継続されるのか、その辺の判断というのはどのように考えられますか。
長野県知事 阿部守一
信濃毎日新聞の話ばかりして申し訳ないですけど、論点が、例えば罰則規定、冤罪(えんざい)の恐れの話についても、これはまさに信濃毎日新聞からもご質問を頂いてきているわけでありますが、そうしたことに対しても、私どもとしての現在把握している状況であったり、私どもの考え方をお示しをしているところでございます。ぜひそうしたものも紙面の許す範囲で構いませんので、ぜひしっかり報道いただければありがたいと思います。
信濃毎日新聞 村澤圭一氏
報道内容についてはいろいろご意見あるかと思いますが、条例の骨子案について私どもも内容については一字一句詳細に載せておりますので、それについて県民の方がどのように判断するかということだと思うんですけど、先日の世論調査について、これも先日知事にお聞きをしましたが、いくつか項目があって、その中で二つ選んでほしいという、設問についてはいろいろとご意見があるかと思うんですけど、2年前と同じ質問をしていて、県民の方から見れば規制についてのパーセンテージが必ずしも上がっていないと、他と比較した場合に条例そのもの、条例というか規制そのものの必要性が上がっていないという傾向が見えるかと思うんですが、その点についてはどのようにお考えになりますか。
長野県知事 阿部守一
村澤記者のご質問には、私はこれまでもお答えをさせていただいているところでありますけれども、世論調査自体はいかなる調査をやることも、それは自由だと私は思います。しかしながら、そこに出された意見、考え方、そうしたものをどう読み取るかということはメディアの皆さんも、私ども行政もしっかり行わなければいけないのではないかと思っています。以前行われた調査と基本的に同じ問い掛けになっているのではないかと思いますけども、ご承知の通り現在県としてお示ししている条例は、まず規制だけを盛り込んでいるわけではなくて、性教育であったり、人権教育であったり、県民運動の活性化であったり、さらには被害者支援であったり、まさに今回の設問の中で県民の皆さま方が必要だと述べている性教育、あるいはインターネットの対応、あるいは県民運動の充実、こうしたものが私どもの今の骨子案には盛り込まれているわけであります。反面、この設問を見ると「県の新たな条例による規制」とのみ書かれているわけでありますけれども、ご承知の通り私どももこれは相当慎重にやらなければいけない問題だと、慎重に考えなければいけない問題だということで、他県のいわゆる青少年健全育成条例のような包括的、網羅的な条例ではありませんし、規制の項目を相当程度絞り込んでおります。この設問では全くそういうものには触れられていないわけでありますので、そうしたことを十分私どもとしては勘案した上で受け止めていくことが必要だろうと思っております。
信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
そうすると県として、逆に規制が必要だということについてはどのような形で県民の理解を得ていくと考えられますか。
長野県知事 阿部守一
そういう意味ではタウンミーティングでも、まずこれまで青少年の支援に携わっていただいている皆さん、県民会議の皆さん、あるいは県民会議の皆さん以外の子どもたちと日ごろから接していらっしゃるような皆さま方と相当丁寧な意見交換をこれまでも行ってまいりました。また、タウンミーティングについても、昨年からまずは条例モデルをベースとして意見交換をさせていただき、今回は私どものお示ししている条例骨子案を基に意見交換をさせていただいているところでございます。手続きをしっかり踏んでいかなければいけないという思いで誠心誠意これまで取り組んできているところでありますが、当然の話でありますけども、被害を受ける子どもたちをどう守るかという話でありますので、いたずらに結論を先延ばしするということはできないと思っています。信濃毎日新聞社で具体的にご懸念があるのであれば、その点を明示してぜひご質問をいただきたいと思います。
信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
もう1点だけお聞きしますが、今後のスケジュールは25日のパブコメの締め切りがあると思うんですが、それ以降のご予定というのは今どのように考えていらっしゃいますか。
長野県知事 阿部守一
まずは今、県民の皆さま方から広くご意見を頂いているところでございますので、その結果を踏まえて、今後どうするかということはしっかり定めていきたいと思っております。
信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
別の質問で、大北森林組合の関係についても世論調査を踏まえてお聞きをしたいんですが、県の聞き取りが不十分だという方が7割程度いらっしゃるという結果について、まずどのように受け止めていらっしゃるか教えていただけますか。
長野県知事 阿部守一
先ほど申し上げたように、世論調査の結果をどう受け止めるかということは、私どもとしても設問の仕方、内容、こうしたものを踏まえて判断していかなければいけないと思っています。メディアの皆さんはすでにお読みになられていると思いますけれども、この設問の立て方、「県警は、組合が架空の事業で国の補助金を申請したと知りながら、補助金交付の手続きをしたとして、県職員1人を補助金適正化法違反の疑いで書類送検をしました(起訴猶予)。県側は、職員からの聞き取りを基に『職員が組合の全くの架空申請を容認したとは考えていない』と説明しています。県側の聞き取り調査は十分だと思いますか。」という設問になっているわけでありまして、ここの会見の場では皆さま方には何度も、この「全くの」を付ける場合と付けない場合の違いでありますとか、あるいは私どもが職員から聞き取っている内容と、職員が捜査当局にどういう発言をしているかというのは基本的に同じだと認識しているとご説明をさせてきていただいていると思いますが、こうしたことを抜きにこの設問を聞けば、率直に言って、私も不十分だろうと思います。要するにA氏とB氏、県警と県の言っていることが違うのであれば、より調査をするべきだという回答をするのが素直な感覚だと私は思います。そういうことも踏まえて、この世論調査結果の内容については、県としてどう受け止めるかということはしっかり判断していかなければいけない事項だと思います。
信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
県とすれば調査については十分というお考えだと思うんですけど、でしたら、その聞き取りの内容について詳細を教えていただくことができないかと。これはもう従前私どもも何度も担当課の方にも含めてお話をしているんですが、捜査中を理由ということで詳細な内容についてはなかなか教えていただけない状況があるんですが、起訴猶予で事実上捜査が終わっている状況ですので、どういった聞き取りを昨年の12月までにされたのか、あと3月の末までに改めて聞いた内容について、それについてこういう聞き取りをしたんだと、徹底的に調査したという内容があるんでしたら、それを示すことが、調査が十分だという立証になると思うんですが、それについては、していただくことは可能ですか。
長野県知事 阿部守一
それは徹底的に調べていますので。メディアによっては再度の聞き取りをしたことが事前の聞き取りが不十分だったのではないかという報道もなされているので、私としてはメディアの皆さんのご期待に応えていくことによってますます違う方向にいってしまうことを非常に懸念されるところであります。信濃毎日新聞からも子どもの性被害については丁寧な対応が必要だということを従前から言われているので、今回もタウンミーティングをさせていただいております。また大北森林組合の問題についても、この場で「全くの架空申請」と「架空申請」のレベル感が相当程度違うということを申し上げ、私どもとしても県の職員が検査野帳に虚偽の記載をしている事実であるとか、あるいは補助事業が完了していないにもかかわらず完了したというような処理をしているということ、こういうことについてはこれまでもご説明させてきていただいていると思っています。その上で、あえてそういうご質問をされるのであれば、どこが違っているのか、どの点が具体的に県の取り組みがおかしいのかということをご指摘いただければ、そのご意見を踏まえてどういう対応が必要なのかということを検討していきたいと思いますが、これまでもご説明をしたものに対して、単に手続きのところで県の説明が不十分だとか、そういうことだけをずっと言われ続けるということでは、これは前に向いて話が進んでいかないだろうと思います。ぜひ具体的にここが違っているのではないかということがあればお示しをいただければと思います。
信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
それについてはちょっと私も路線名を失念してしまいましたが、具体的な路線名を挙げて、それについての評価というのをこれまでの会見の場でお聞きをしていると思うんですが、それについて私どもの担当の記者が担当課の方に個別の路線についてどのようなことを県の職員の方が県の聞き取りに説明しているのかということを聞いているんですが、その部分は結局教えていただいてないんです。ですから、結論として調査は十分でした、十分な調査をしましたと結論だけ言われても、プロセスが分からないとこちらとしても十分かどうかの判断ができないので、こちらはそれを調べようとしているんですが教えていただけない状況です。その理由としては捜査中です、とか。
長野県知事 阿部守一
何をすれば十分だということなんですか。
信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
聞き取りをされた職員の方の詳細な聞き取りの内容の文書があると思うんですけど、それを開示していただくことはできないんでしょうか。この段階において。
長野県知事 阿部守一
それは捜査中と、訴訟に継続中ということもありますけれども。
人事課コンプライアンス推進室長 宮下克彦
関係公判ということで、大北森林組合と元専務理事についての公判が継続中ということがありまして、個別の具体的な内容につきましては公判に影響が出るということもありまして、現在の段階では控えさせております。ですので、公判の進み具合を注視していきまして、その状況も見て、また丁寧な対応をしていきたいということでございます。
信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
公判における県の立場というのは、ちょっとどのなような位置付けになるのか分からないですけど、それは捜査当局から開示しないでほしいという要請があるということですか。
人事課コンプライアンス推進室長 宮下克彦
当局から直接の要請ということはございませんけれども、一般的に司法当局それから警察関係、捜査関係事項については、公判中は開示を控えさせていただいているということでございます。
長野県知事 阿部 守一
私は県職員が警察に対してどういう証言をしているのかということを聞き取った上で、新たな、新たなというのは私どもが職員に対して処分を行っております。その事実関係をどう判断しているのかというのは皆さま方にはお知らせをしてきているわけでありまして、そうしたものと違う発言がなされていると認識していないと申し上げているわけでありますけども、私がここで会見で述べたことに対して疑問があるということであれば、この会見自体が無駄になってしまうのではないかと思いますが、どういうところを確認されたいのですか。
信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
全くの架空請求ということでしたら県職員の方はおそらく将来的にどこどこの段階で工事が行われるだろうという見通しがあったという旨の発言をされていると思うんです。それは具体的にどの路線のどれについてそのようなご発言をされているのかと、それについて客観的な事実が立証できるんでしたら。
長野県知事 阿部守一
それは全部そうでしょう。どの路線というのは全て、私ども職員が処分するに当たってそういう認識があったとすれば、これは非常に大きな問題です。今の状況でさえ、今われわれが把握している認識の中でも極めて問題だと思っておりますが、これがさらに今お話があったような状況であればもう大変な問題だと思っています。例えば大北森林組合側と意思を通じているというような意味で共犯ということで言われているところもありますけれども、相手方と意思を通じて行っているというようなことがあれば、大変な問題だと思っておりますけれども、、そういう事実関係は私どもは把握しておりませんし、そうした形の証言を県の職員はしていないと認識しています。
信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
その立証ができる文書というのはどこかの段階で開示していただくことは可能なんでしょうか。それは先ほどの話、捜査当局から要請がないとすれば、県が主体的に。
長野県知事 阿部守一
会見で私は相当丁寧にご説明させていただいていると思いますけれども、あくまでも文書でしか確認しないと、私の申し上げていることが信用できないということを言われているように受け止めざるを得ないですけれども、それであれば会見をする意味は一体どこにあるのかと思うんですけれども、文書で確認するのは、何を確認したいのかということ、つまり、われわれとしてなるほどそれは重要だと、それであれば県民の皆さまに対してお示ししなければいけないと、文書自体をお示ししないにしても私の口を通じて県としてどういう認識かということは誠心誠意お伝えをしなければいけないだろうと思っていますが、そうした具体的な「どこ」と「何」と言うことなしに単に文書を見せないからおかしいということを言われても、それは何とも対応のしようが難しいと思うのですけれどもいかがでしょうか。
信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
1点だけお聞きします。公文書は基本的に県民のものだと思うので、公文書をそもそも開示しないというのは、私は個人的にそれは情報公開のそもそもの在り方だと思うのですが。
長野県知事 阿部守一
信濃毎日新聞社から情報公開請求もいただいたりしていますので、私は端的に言って、可能なものは全て全部つまびらかにすればいいと思っています。もし必要があれば、弁護士とも相談してどこまで出せるのかということは対応したいと思います。ただ、むやみに全ての文書を開示しろというようなことは、私はもちろん知る権利はあると思います。県民のための文書だということはもちろんだと思います。しかしながらメディアの皆さん、特に信濃毎日新聞には常にこういう形で質問をいただいて、誠実にお答えする機会を作っているわけでありますので、できる限りそういうところでも具体的な問題提起をしていただいて、何が課題なのか、何が問題なのか、そういうことをぜひ明確におっしゃっていただければありがたいなと思います。
信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
別の質問でもう1点だけお願いします。朝鮮学校について、松本の長野朝鮮初中級学校も含めての話なんですが、文科省の方からミサイル発射問題等含めて、支給についてどのように考えるかという通知が来ているかと思うのですが、これについての県の対応というのはいまどのように考えていらっしゃいますか。
長野県知事 阿部守一
文部科学省から通知が来ているようでありますので、その趣旨を踏まえて、改めて実態を確認した上で対応を考えていきたいと思っています。
信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
実態とすれば今、学校の方にお聞きすると朝鮮籍だけではなくて韓国籍の子どもさんも結構いらっしゃって、4世ぐらいが中心で、もうかなりそろそろ5世の子どもが入ってくるような状況という、歴史上の経緯を考えれば地域にかなり溶け込んでいる子どもも多いですし、卒業生の中には国籍条項がない県内の自治体で公務員になっている方もいらっしゃいますし、中には卒業生で県内で弁護士になっている方もいらっしゃいます。そういった状況を踏まえた上で、もう少し具体的にどのように考えていらっしゃるか教えていただけますか。
長野県知事 阿部守一
まず、われわれは文部科学省の通知自体が強い強制力を必ずしも持ったものではないだろうと思っています。そういう中で注意喚起されたわけでありますが、県として文科省の考え方も踏まえつつ、他方で今お話があったように、実際にそこで学んでいる子どもたちがいるわけでありますので、そうした子どもたちのことも十分考えながら、対応していくべき問題だと思っています。
信越放送(SBC) 湯本和寛 氏
先日、総務省の方からふるさと納税について、返戻品が過熱しているという通達がありまして、自粛をというようなことがあったんですけれども、まず改めて知事のふるさと納税に対する見解を伺えればと思います。
長野県知事 阿部守一
私はふるさと納税の制度というのは、地域を活性化させる、あるいは自分のふるさとであったり、好きな地域を応援するという観点では意義がある制度だと思っておりますし、長野県も私が知事に就任してから相当熱心にふるさと納税の呼び掛けをさせてきていただいているところであります。ただ他方で、確かにこういう物が手に入るからというようなことを中心に、寄付の意思を持たれるという方もいらっしゃるのは事実だと思いますので、そういう意味で、本来の好きな地域、応援したい地域、そういうものをしっかり応援していこうという観点で、われわれ都道府県とか市町村がどう取り組むかというのはそれぞれやはり考えていかなければいけない部分もあるのではないかなと思います。ただ地域の産品を、例えば工業製品は一律に駄目で、例えば農産品は一律にOKとか、そういう多分単純な話でもないだろうと思いますので、やはりこういう部分についてはまさにそれぞれの市町村が自主的な、主体的な判断をしっかりしていかなければいけないだろうと思います。
信越放送(SBC) 湯本和寛 氏
今年度の県の返礼品とかその使い道について、これを受けて何か変えるとか何か考えはありますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
現時点で長野県の返戻品が極めて問題があると認識していませんので、特段、長野県の分について大きな変更をしていこうとは考えていません。
信越放送(SBC) 湯本和寛 氏
もう1点。18歳選挙権がこれから施行されますけれども、その制度について知事の評価、見解を伺いたいのと、それから高校生について届け出、長野県は各校の判断ということになるようですけども、その辺、届け出制度が必要と言っている都道府県もありますけども、その辺の見解を伺えればと思います。
長野県知事 阿部守一
長野県も子ども・若者施策に相当力を入れて取り組んでいます。国全体の子どもの貧困問題を含めてそうした子ども・若者施策に力を入れていこうとする中で、選挙権年齢が引き下がって若い世代の意見が政治に反映されやすくなるということは、私は前向きに受け止めたいと思っています。学校との関係、教育現場との関係ですけれども、まず一義的にはうちの県の場合、教育委員会がどう判断されるかということなので、あまり私がどうこう言うのは適切ではないと思いますけれども、私は子どもを性被害から守る条例の検討でも日本国憲法の人権の問題であったり、あるいは罪刑法定主義の問題であったり、そうしたものをしっかり厳格に踏まえながら考えていくべきものと思っていますれけども、政治に参画するというのは一つの大きな権利行使になるわけでありますので、私はでき得る限りそうしたものが尊重されていかなければいけないと思っています。その中で具体的な教育活動であったり、教育現場の中でどう調整をするのか、どういう課題があるのか、そうしたことを丁寧に対応を考えてもらった上で、方針を決めてもらうことが重要だと思っています。
信越放送(SBC) 湯本和寛 氏
そうすると各校の判断に任せるということについては知事としては肯定的というか。
長野県知事 阿部守一
教育委員会の考えを私は直接伺っていませんので、うちの県の教育委員会がどういう考え方かというのはまたよく確認をさせていただきたいと思いますけれども、私とすればできる限り自由とか権利とか、そういうものは確保されるということが重要だと思っています。ただ憲法でも公の秩序に反しない限りとか限定が掛かっているので、自由、権利、こうしたものと、秩序であったり、義務であったり、こうしたものをどう折り合いを付けるのか、調整するのかというのは、やはり個別の問題について相当丁寧に考えていくということが必要なんだろうと思っています。
読売新聞 大木隆士 氏
蒸し返すようで恐縮なんですが、性被害条例の話でお聞きしたいんですけれども、知事の先ほどの回答の中にありました、条例の目的が被害を受ける子どもたちをどう防ぐかということが一番の目的だとするならば、丁寧な議論も大切だと思うんですが、そうしている間にも被害を受けている子どもたちが出ているということで、条例による抑止力が考えられるということであるならば、ある程度どこかで判断してスピード感を持って対応していくことが必要ではないかという意見もあると思うんですけれども、そのことについてどうお考えになられますか。
長野県知事 阿部守一
それはタウンミーティングでもそういうご指摘をいただいていますし、私自身もこれは県が何か新しいことを創設するための条例というよりは、ご指摘があったように、今現実に起きてしまっている子どもの性被害をどう防ぐのか、あるいは不幸にして性被害の犠牲者、被害者になってしまった子どもたちをどう守るのか、こういうことが目的でありますから、しっかりと問題を認識した上で進めていかなければいけない課題だと思います。県としては条例制定が必要だということを部局長会議でも決定をして、今、県民からパブリックコメントを承っているところでありますので、パブリックコメントの内容を踏まえて、次の対応をしっかり考えていきたいと思っています。
読売新聞 大木隆士 氏
そうしますと、先ほど大体意見は出尽くしたというご発言がありましたが。
長野県知事 阿部守一 氏
意見は出尽くしたというか、今はまだパブリックコメントを聞いています。私もタウンミーティングとかいろいろな団体との意見交換で、ここはどうなんだ、あそこはどうなんだというそういう論点はもう出尽くしているだろうと思います。
読売新聞 大木隆士 氏
全然別件でお聞きしたいんですけれども、少し前の話になりますけれども、先月末に長野県の一般ごみの廃棄量が全国最低ということになったということが発表になりましたけれども、さらに減らして800グラム以下を目指すということですが、これから減らすというのはかなり大変な努力が必要とされると聞いています。これから減らしていくために知事として県民に呼び掛けるとしたらどのような呼び掛けをされますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
まず多くの皆さんの努力で、長野県が1人当たりのごみの量が最も少なくなったということ自体は大変ありがたいことで素晴らしいことだと思っています。おっしゃるように、これからわれわれはチャレンジ800でさらにごみの減量化を目指して取り組もうということでやっているわけでありますけれども、まず県民の皆さんにしっかり働き掛けていくと同時に、市町村も含めてわれわれ行政もそれに向けて一緒に力を合わせて取り組んでいくということが重要だと思っています。身近なところで、例えばレジ袋の削減の取り組みも、多くの団体の皆さんのご協力の中で進めてきていますが、あるいは食べ残しをなくそう運動ということも、私も最近宴会のたびに、地酒で乾杯と併せて食べ残しの問題もお話しさせてもらっていますので、県であれば単に環境部だけではなくて、他の部局も含めてこの運動が広がるように取り組んでいきたいと思っています。県民向けにもお話にあったように、しっかりどこかの時点で具体的なメッセージをお出しするということも考えていくことも必要ではないかと思っています。
読売新聞 大木隆士 氏
もう1点だけ、前回の会見で別の記者が質問したんですけれども、民泊ということについて、知事のご回答ですと、長野県としては民泊については消極的なのかなという気がしましたけれども、そのような理解でいいんでしょうか。
長野県知事 阿部守一
前回申し上げたように、ちょっと遅くて申し訳ないが観光部で検討しています。国が今、民泊についてのルール作りを検討していますので、必要があればそういうところにも県として意見を言っていかなければいけない場合もあり得るかと思っています。私の問題意識とすれば、確かに都市部では宿泊施設が非常に逼迫(ひっぱく)して不足しているという課題はあります。反面、長野県においては宿泊施設の稼働率が低い状況があるわけであります。こういう中で、民泊についてどういうルールで、どこまで認めるかということは長野県の観光産業にとって極めて重要な課題だと思いますので、そういう観点を踏まえてしっかり考えて方向付けというか、県が独自で決める話ではないですけれども、国の動きに対して県としてどういう対応をするか、あるいは場合によってはどういう意見を言っていくかといことを考えていきたいと思っています。
読売新聞 大木隆士 氏
消極的と言ったのは、民泊というよりも宿泊施設を使ってほしいというのが知事としては本音というか、気持ちにあるということなんでしょうか。
長野県知事 阿部守一
まだ国の議論がどうなるか分からないですけれども、例えば、旅館、ホテル、そうしたところはいろいろな意味での規制が掛かっているわけです。宿泊施設としての規制であったり、あるいは食事を提供すればそういう部分での規制があったり、あるいは防災、消防法等の関係だったり、いろいろなルールの中で各事業者が取り組んできていただいているわけでありますので、一般の住宅を仮に宿泊施設として活用していきましょうということになったときに、どういうルールを適用していくのかということは、やはり既存事業者にとってはもちろん大きな関心事であると思いますし、また反面、私ども県としては多くの観光客をお迎えしていきたいと思っていますが、お越しいただいた皆さんにやはり満足いただけるような環境、あるいは災害時の対応を含めてリスクの少ない対応ということを考えなければいけないと思いますので、そうしたことも含めてこの問題はしっかり検討されるべきものと思っています。
日本経済新聞 白岩ひおな 氏
9月のサミット交通大臣会合開催地としての情報発信についてお伺いします。今、全国の閣僚会合開催地、約10カ所ございますけれども、こちらで開催要件ですとか自治体の魅力のPRに活用するというような動きが出てきておりますけれども、県としても海外プレスの招聘(しょうへい)のツアー等企画されているとも伺っておりますが、当日の開催だけではなくてこうした事前の情報発信において、県としてどのような多面的な魅力を発信していかれる狙いがあるかということを伺いたいと思います。お願いします。
長野県知事 阿部守一
今、産業労働部の方で国とも調整しながら、具体的な取り組みを検討していますけれども、まずわれわれは事前のPRをこれまでもさせてきていただいています。交通大臣会合は9月ですけど、その前に本県としては山の日の全国大会もあります。山の日も私ども今、中でいろいろ検討していますけれども、やはり信州の山の素晴らしさ、環境の素晴らしさというものを、もちろん日本国内はもとより海外、世界にも発信する機会にもできないかということで考えています。そうした一連の行事とも兼ね合わせて交通大臣会合については、交通がテーマではありますけれども、長野県の例えば軽井沢を会場として選定した一つの理由も、やはり軽井沢自体が古くから世界からお客さまを迎えてきた世界的なリゾート地であるということでもありますので、長野県の山岳高原リゾート地としての素晴らしさ、あるいは健康長寿県としての暮らしや食文化の素晴らしさ、こうしたものを発信する機会にしていきたいと思っています。
テレビ信州(TSB) 武井誓子 氏
少し前の話になるんですけれども、4月1日の年度始めの式に私も出席したのですが、その際に憲法や法令を順守することは当たり前だということを県の職員の方に話し掛けています。今までもコンプライアンスのことで法令順守という言葉を使ってきたのですが、そこであえて頭に憲法を付けて、憲法を強調した理由。今、改憲、護憲の話もあるのでちょっとお聞かせ願いたいです。
長野県知事 阿部守一
特に強く意識して申し上げたということではないですが、先ほども子どもの性被害の条例に関しては、私は憲法ということをお話しさせていただきましたけれども、われわれ公務員は憲法順守の義務、尊重擁護義務が課されているわけでありますので、まずは、当然そういうことは当たり前の話でありますけれども、念頭に置いて平素の仕事をしていかなければいけないということでお話し致しました。この場でもお話をさせていただいたかと思いますけれども、私は公務員として仕事をする中で、憲法というのは普通なかなか一般の暮らしの中では意識する機会というのはそんなに多くはないのではないかと思いますけれども、私の感覚では、実はかなりいろいろなところに憲法の考え方というのは生きていると思っています。私がよく例示で使っているのは、私が昔自治省で法律を作っていたときに、公益法人へ地方公務員を派遣するときの手続きを定めた、いわゆる公益法人派遣法といっていますけれども、新しく立法する際に内閣法制局と相当議論を重ねたのが、公務員の「全体の奉仕者」という憲法上の記載をどう理解して、その趣旨をどう反映させた法律にしていくのかということを、相当時間をかけて議論致しました。これは他の法律も同じような、同じようなというのは憲法の考え方を踏まえたときにどうあるべきかということは、これまで相当積み重ねられてきた部分があるわけであります。そうしたことをやはりわれわれは、ある意味で公務員は法律を運用、執行をする立場でもありますので、しっかりと認識しなければいけないと思っていますし、今回私どもが骨子案としてお示ししている、子どもを性被害から守るための条例、これも直接憲法の要請でどうこうということではありませんけれども、罪刑法定主義の立場、構成要件の明確性という観点で、かつて青少年保護育成条例は最高裁まで争われて、しかも少数意見、反対意見も淫行するというものの解釈上、最高裁の裁判官の意見も分かれたものであります。そういうことも踏まえて、相当程度この条例については慎重な検討をしてきたわけでありまして、常にやはり憲法であったり、法律の適正な運用ということを念頭に置いて取り組む必要があると改めて今回の条例の議論も通じて私は認識していますので、県職員にもそういうことを伝えさせていただいたところであります。
テレビ信州(TSB) 武井誓子 氏
特に、例えば今言っている安保とか改憲とかそういうところの意思はなかったんでしょうか。
長野県知事 阿部守一
外交・安全保障の基本的な方向性は、これは国が責任を持ってしっかり方向付けしてもらう必要があるわけでありますので、そういう意味で、そうしたことを念頭に私が憲法と言ったわけではなくて、今申し上げましたように、県が行政を進める上でも、実は直接憲法の執行だということを意識はしていない場面が多いと思いますけれども、さまざまな法律の背景には憲法の考え方、憲法の解釈というものがしっかりと生きているわけでありますので、そうしたことを考えれば、われわれ地方公務員も、やはり憲法というものは念頭に置いて日々の仕事に取り組む必要があると思っています。
市民タイムス 赤羽啓司 氏
信州パーキング・パーミッド制度について2点お願いします。まず一つが、4月12日現在の協力施設386、駐車区画数1,177というこの数字、制度スタート1週間前の数字として、この数字多いのか少ないのか知事としてどう捉えていらっしゃるのかというのがまず1点と、あと先ほどのお話の中に小規模施設にも協力をというお話がありました。協力施設数を増やしていくことが利用者の利便性を高めるとともに、利用者を増やしてくという意味でとても大切になってくると思うんですが、そこら辺どういうふうに県として取り組んでいくのか、この2点お願いします。
長野県知事 阿部守一
部局の受け止めと、もしかしたら違うことを言ってしまうかもしれませんけれども、私としては率直に言ってもう少し増やしていく必要があるなと、まだ少ないなと受け止めています。特に、例えば今回公共施設等も対象ですから、まずわれわれとしては市町村にもしっかりと協力要請していかなければいけないと思っていますし、また県内で、例えば数多くの店舗を持っている事業者の皆さま方には特に重点的に協力をお願いをしていく必要があるだろうと思っています。そういう意味で、今回のパーキング・パーミッド制度は20日からスタートということでありますけれども、スタートしてやれやれということではなくて、ここをスタートとしてより協力施設も増やしていきたいと思いますし、また利用される方々、もっと登録される方が増えるように取り組んでいきたいと思っています。
長野県知事 阿部守一
ありがとうございました。
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