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更新日:2014年9月25日

知事会見(平成26年(2014年)9月25日(木曜日)14時10分~14時55分 会場:県庁)

項目

知事からの説明

  1. 県議会9月定例会が開会、ALS(筋萎縮性側索硬化症)支援動画の撮影、子どもを性被害から守るための県の取組み(案)について

取材者からの質問

  1. 子どもを性被害から守るための県の取組み(案)について(1)
  2. 子どもを性被害から守るための県の取組み(案)について(2)
  3. 子どもを性被害から守るための県の取組み(案)について(3)
  4. 子どもを性被害から守るための県の取組み(案)について(4)
  5. 子どもを性被害から守るための県の取組み(案)について(5)

本文

知事からの説明

 1 県議会9月定例会が開会、ALS(筋萎縮性側索硬化症)支援動画の撮影、子どもを性被害から守るための県の取組み(案)について

長野県知事 阿部守一
 
それでは9月25日の会見を始めさせていただきたいと思います。なお私から3点、冒頭にお話を申し上げたいと思います。
 まず1点目でありますが、県議会9月定例会、本日から10月15日までの会期で開会致しました。先ほど提案説明申し上げさせていただきましたが、2期目の最初の県議会ということでもあり、私の2期目に当たっての所信についても併せて述べさせていただいたところでございます。引き続き「しあわせ信州創造プラン」の実現に向けて全力投球していきたいと思いますし、併せて行政財政改革を通じて県民の皆さま方の期待に応えることができる県行政にしていきたいと考えています。「共感」と「対話」ということをキーワードとして県民の皆さま方との双方向の対話に努めていきたいと思っておりますし、1期目の県政におきまして、さまざま県政の方向を決めてまいりましたので、これからは成果を上げていく4年間にしていかなければいけないと考えています。そういう観点で、スピード感を持って、そして県民の皆さま方を広く結集して力を合わせる中で長野県の未来を切り開いていきたいと考えております。また政府においては、時あたかも「地方創生」ということが大きなテーマになっています。さまざまな強みを有している長野県が、この「地方創生」のフロントランナーになっていかなければいけないと考えています。県庁組織を挙げてしっかりと取り組んで、本当に県民の皆さま方が暮らして良かったと、住んで暮らしの安心があり、そして未来の希望を持てる、そうした長野県を作っていきたいと考えております。詳細については提案説明をお配りしていると思いますのでご覧をいただければと思います。
 それから2点目でございますが、ALS(筋萎縮性側索硬化症)の支援動画の撮影についてであります。ALS、「アイス・バケツ・チャレンジ」ということで最近話題になっていたわけでありますけれども、このALSの支援につきまして鳥取県の平井知事からALSに関する理解と支援の輪を広げることを訴える運動を引き継いでほしいということで指名を受けておりました。この「アイス・バケツ・チャレンジ」の指名を鳥取県の平井知事が受け、彼の考えとしては氷水をかぶるということとは異なる方法でALSの理解・支援を呼びかけたい、運動の輪を広げたいということで、鳥取県でも同じような動画の撮影をして、次に私が指名を受けたというものであります。「アイス・バケツ・チャレンジ」の趣旨には賛同するものでありますが、その方法につきましては趣旨が誤って伝えられないかというような懸念もございます。今回、ALSの患者さんでもあり、日本ALS協会の長野県支部長でもある和田光雄さんとご相談をさせていただいて、ALSの支援動画を作成して県のホームページに掲載をすることと致しました。内容的には患者さんである和田さんご本人、そして奥さま、支援者の皆さま方に同席をいただいて、県民の皆さま方へのALSの患者の立場からのメッセージ、そして私の県知事としての県民の皆さま方へのメッセージという内容になっております。ALSという病気のことを正しくご理解をいただいて支援の輪を広げていきたいという思いでございます。誰にでも居場所と出番がある長野県を、ぜひ大勢の皆さま方のご支援、ご協力の中で作っていきたいと思っていますし、ALSのみならず難病に苦しまれていらっしゃる皆さまが大勢県内にもいらっしゃいます。そうした皆さま方、あるいはそうした方々を支えている家族の皆さま方の思いというものも、ぜひ大勢の皆さま方に共有していただきたいと思っています。私も難病というカテゴリーに一応入る、ギラン・バレー症候群という病気にかつてなったことがあります。ぜひ大勢の皆さま方に難病に対する正確な理解をして、応援をしていただければと思っています。私ども長野県としても、患者のご家族の負担軽減のためのレスパイト入院の受け入れ態勢の充実でありますとか、あるいは難病相談支援センターの充実、そうしたことを通じて難病患者の皆さま方の支援に努めていきたいと思っているところであります。昨日、和田さん、そして奥さま、さらには支援者の方々と私とが一緒になって、今回の動画を撮影させていただいたところでございます。現在編集確認作業を行っているところでございますので、作業が終了次第ホームページに掲載をしていきたいと考えております。
 それから、最後3点目でございますが、「子どもを性被害等から守るための県の取組み(案)」についてでございます。今年の3月28日に、子どもを性被害等から守る専門委員会から、子どもを性被害から守るための実効性のある対策の早急な検討と時代の変化に対応した青少年健全育成運動の見直しについて、提言をいただいたところであります。この提言を受けて県民運動につきましては、県青少年育成県民会議が検討を進めて、8月29日に見直し検討報告書を取りまとめていただいたところであります。また県としては、4月に庁内検討チームを立ち上げて、いわゆる予防、被害者支援、法的対応、大きく3つの観点で検討を進めてきたところでございます。県民会議の見直しの検討、そして庁内検討チームの検討結果を踏まえて、子どもの性被害の現状・課題について県民の皆さまと共有するとともに、この性被害から子どもを守るために何が必要なのか、何をすべきなのか、共に考え議論していくため、本日県の取り組み案ということで提示をさせていただいたところでございます。大きな中身については、この後県民文化部の方から詳細な説明があるかと思いますけれども、提案説明でも申し上げてきたとおり、長野県の青少年健全育成の取り組みはこれまで県民運動、他の県のような包括的網羅的ないわゆる青少年保護育成条例を作ることなく取り組んできたわけであります。そして自販機の撤去等大きな成果を上げてきたところでもございます。私としては今後とも長野県における青少年健全育成、県民運動を基盤として取り組んでいくことが必要だと考えております。したがってこの場でも何度も繰り返し申し上げておりますとおり、包括的網羅的な青少年保護育成条例を制定する考えはありません。しかしながら、今回のさまざまな検討の中でもやはり性被害によって子どもたちが悩み、苦しみ、精神的に大きな傷を負っているという現実があります。私たちはこうした現実を重く受け止めて具体的な行動に移していく必要があると考えています。そうした観点で性被害を未然に防止するための教育、そして被害に遭ってしまった子どもを救済するための被害者支援、さらには県民運動の再活性化については早急に取り組んでいきたいと考えております。他方でこの条例、包括的網羅的条例は作りませんが、子どもを性被害から守る観点での限定的な条例の制定についてでございます。専門委員会、あるいは県民会議からは、現状の対策の延長では子どもを性被害から守りきれない、あるいは新たな県民運動と条例との両輪が必要であるという条例の必要性についてご提言をいただいているところでございます。しかしながら、条例で、いわゆる淫行禁止規定を設けるということについては、構成要件をどこまで明確化できるのか、あるいは自由な恋愛まで規制する恐れはないか、こうした論点があります。条例化という一歩踏み込んだ取り組みを行っていく上では、県民の皆さまの幅広い合意形成が必要だと考えております。そうした観点で考えた時に、必ずしも県民的な議論が現時点で十分尽くされたとは言えないと考えております。そうした観点で、県民的な議論を深めていきたいと思っています。子どもたちの性被害の実態や性の現状をさらに把握して、法的な観点からも専門家による十分かつ慎重な検討を行った上で、具体的な判断材料を県民の皆さま方に提供していく必要があると考えております。その上で、県民の皆さまのご意見を伺って、最終的に判断をしていきたいと考えているところでございます。早急に取り組むべき事項を皆さんにお配りをしている資料の11ページから、「予防の取り組み」、「被害者支援の取り組み」、12ページにかけて、「県民運動の再活性化への支援の取り組み」ということを記載しておりますので、こうした点については、早急に取り組んでいきたいと考えております。子どもの性被害を防止するための条例制定については、今申し上げたような観点で、さらに議論を深めていきたいと考えております。私からは以上でございます。よろしくお願い申し上げます。

取材者からの質問

 1 子どもを性被害から守るための県の取組み(案)について(1)

信濃毎日新聞 島田誠 氏
 
先ほど事前にお話がありましたように、こちらの「子どもを性被害から守るための県の取組み(案)」については、この後次世代サポート課さんから説明もあるんだと思いますが、当然県として案としてまとめられたものだと思うので、知事にも伺いたいと思いますけれども、大前提として1点、この「子どもの性被害防止のための条例制定について」というのは、条例化すればこのような形になるというような規定を県民に示した上で、県民的な議論を進めることが望ましいというふうなまとめになっています。これについては、大前提として、条例化すればこういう形になるというものを考えられるということは、条例が必要であるという方向で検討されるということなのか、それとも現時点では全く作る、作らないについては白紙であるという認識の下で、判断材料として、こうした仮の条例の形みたいなものを示すということなのか、というのが1つと、それから今後のスケジュール感について今のところどんなふうにお考えか、その2点についてまず伺わせてください。

長野県知事 阿部守一
 
スケジュール感については担当課の方からお話をしたいと思います。12ページのところに記載をさせていただいておりますように、私の考えでもそこに書いてあることと同じでありますけれども、なかなか議論がかみ合っていないところが正直あるなと。十分な議論が尽くされているとは言えないなというのが私の感覚であります。そこにも書いてございますが、賛成・反対の立場から議論がすれ違い、県民的な議論が十分尽くされているとは言い難い状況にあると記載をさせていただいておりますけれども、いわゆる淫行禁止規定なり、淫行処罰規定という文言が独り歩きをしている中で、例えば構成要件が明確化できるのかみたいなものも、やっぱり具体的なもので議論をしていかないと、非常に観念論的なやり取りでなかなか議論がかみ合っていないというのが私の率直な思いであります。そういう意味で、条例を作るという前提に立つのではなくて、やはり議論する上で仮に作るということにすればこういう条例が考えられると、そういう前提で具体的な条例の形を作って、その中でより具体的な議論をしていく必要があるだろうと思っています。

県民文化部次世代サポート課長 青木隆
 
スケジュールにつきましては、今日、県の取り組み案をお示し致しました。これから幅広く県民の方々の、この案についてのご意見をいただきたいと思います。一応、来週29日月曜日からパブリックコメントを実施したいと思います。予定では10月17日金曜日までご意見をいただきたいと考えております。その他に来月19日日曜日、松本合庁の方で知事出席のタウンミーティングも予定しておりますし、その他、できるだけ、今ちょっとまだ検討段階ではございますけれども、若い人のご意見を聞く機会をぜひ得たいと思っております。そのような意見聴取の中で、この取り組み案がいいかどうかということを判断していきたいと思っております。

信濃毎日新聞 島田誠 氏
 
今おっしゃった、当面の予定というのは今のお話で分かったんですけれども、12ページに書かれてらっしゃるように、条例化すればこのような形になるというものを県民の方たちに示す時期としてはどのくらいの時期を今のところお考えなんでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 
まず今、青木課長からお話したように、まだこの紙自体、(案)という形にしています。今日から県議会始まったわけでありますので、まず県議会の皆さんのご意見というものも出されてくると思いますので、そうした議論をしっかり行った上で、こうした取り組みの進め方自体、(案)を取るような形でまずスタートしていかなければいけないと思っています。そういう意味で、段階を踏んでしっかりと着実に考えていきたいと思っています。

信濃毎日新聞 島田誠 氏
 
そうしましたら補足して伺いますと、今おっしゃった(案)を取る時期としては、先ほどのパブコメ終わってタウンミーティングも終わって、そのくらいを予定されてらっしゃるのかというのと、もう1つについては、こちらの13ページもありますけれども、法律の専門家の方たちによる検討というのも行うとありますが、そこの現時点でお考えの形、例えば委員会みたいなものを作ることをお考えでらっしゃるのか、何かアドバイザー的に職員の方たちと意見交換するような形を考えていらっしゃるのか、そのあたりの考え方というのはいかがでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 
まだそこはこれからしっかり詰めていかなければいけませんけれども、前段のこの(案)を取る時期については、お話いただいたとおりで、議会でのご議論をいただいた上で、タウンミーティング等を経て、パブリックコメントもいただいた上で、その後できるだけ早く成案にしていきたいと思っています。

信濃毎日新聞 島田誠 氏
 
それから今後の進め方、もう1つ法律の専門家による検討を、というふうに先ほど申し上げましたけれども、こちらの方たちというのはおそらく既決予算で対応することが可能なのか、それとも何か今後予算的なことも、例えば9月の追加であるとか、まだそうすると案が固まってらっしゃらないから難しいとすれば11月とか、どんなふうに考えていらっしゃるのかというのが1点と、それから今回の問題というのは法律的な観点以外にも青少年の性をどう考えるかといった観点で言えば、より幅広く、例えば現場を知ってらっしゃる養護教諭の方の視点であるとか、それから性というものについては、やっぱり今の現代社会における性みたいなものの位置付けというのはもっと幅広い法律を超えた範囲の話なのかと思いますけれども、こちらでは今のところ法律の専門家と書いていらっしゃいますが、現時点ではどんな人選をお考えでいらっしゃるのか。それから最初の専門委員会の時には、その時に中心的に議論されていたのは淫行処罰規定なのでそれについて申し上げると、淫行処罰規定については、明確に法律的な観点から反対する方がいらっしゃらない中で検討された経緯があります。そういう面では、法律の専門家の中で賛否両論の人選をお考えでいらっしゃるのか、現時点ではどうお考えでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 
全体的に先に行きすぎちゃっている質問なので、なんとも答えようがないんですけれども、先ほど申し上げたように、これが今日私どもが取りまとめた現時点での県としての考え方であります。これはわれわれとしての考え方ですが、県議会の皆さんの議論等も踏まえて県民の皆さんの意見も踏まえて、これを、まず(案)をとって確定させていきます。そこから、ここに書かれていることを具現化していこうと考えておりますので、そういう意味では、着実にステップを踏んで検討していこうと考えておりますので、今いただいたようなご質問は、今後の課題と考えております。ただ1点申し上げれば、12ページのところの「子どもたちの性被害の実態や性の現状をさらに把握するとともに、条例が必要かどうかの具体的な判断材料として、『条例化すればこのような形になる』という規定を県民の皆さまにお示しした上で」と書いてあるのですが、今のご質問は、実態が分かる人と法律家を一緒の土俵で、という形のご質問に聞こえたのですが、法律的な議論、例えば構成要件をどうするかという議論と現場レベル、実態レベルの議論とはかなり性格が違うところがありますので、そこのところは分けてわれわれは把握する、あるいは検討していくという形になろうかなと思っています。

信濃毎日新聞 島田誠 氏
 
まだこれから考えることであるということが分かれば、それで結構です。もう1つ伺っておきたいのは、先ほど県民の議論とそれから今回の(案)が取れるかどうかについては、県会の議論を受けるというようなお話がありましたけれども、これから県会は任期4年の、あと最終半年に入っていきます。そういう意味では、非常に慌ただしい時期でもあったりして、これから県会、あと3つありますけれども、そういう意味では、この時期に、任期末までに判断を委ねていく、議論をしていくのか、それとももう少しそれにはとらわれずに、いわば改選後もにらんでの議論になっていくのか、その辺りの現時点での県民合意という意味でのスケジュール感について教えていただきたいです。それから、先ほどの答えについては、先ほどのお話で分かりましたので、ただ私が申し上げたのは、実態が分かる人の話も当然必要だと思いますし、それとは分けた法律的な議論の中でも、法律家の中でもこの話については賛否が分かれる話ですから、そういう中で、賛成だけのというか、反対的な視点がそれほど主張されない方だけで議論されるのか否かという話でしたので、それは後の課題なので結構です。

長野県知事 阿部守一
 
ここに書かれている以上でも以下でもありません。やはり、ちゃんと県民的に議論を十分尽くしていかなければいけないという前提でありますから、県議会の日程感がどうかということよりは、やはり県民の中での共通の目標がまずできて、そしてしっかりと合意できる方向性というのが何なのかということを考えていきたいと思っています。

信濃毎日新聞 島田誠 氏
 
それから、最後に1点伺いますけれども、前段の方の提案説明でもおっしゃってらっしゃった、早急に取り組む方の3つの観点からいうと予防とそれから被害者支援と県民運動の活性化というところがあるわけですけれども、そのうち1点目に挙げてらっしゃる教育などの観点についてはざっとしか私も拝見してないんで何ともあれですけれども、これまで専門委員会であるとか、それから県民会議の検討チームの方では性教育の重要性っていうのをかなりおっしゃってらっしゃったところあるんだと思うんです。これを拝見すると、若干その部分がはっきり出てこないというか、性の現代課題に適切に対応する教育というくくりをされてらっしゃるんですけれども、いわゆる学校教育で言われている性教育という表現を使ってらっしゃらないように見えるんです。これはどういう趣旨でらっしゃるのか、ちょっとそれはむしろ教育委員会に聞かなきゃいけないのかもしれませんが、知事はどういうふうにこれを了承されて、どういう趣旨で、これで十分だというふうにお考えなんでしょうかね。

長野県知事 阿部守一
 
後で県民文化部、次世代サポート課の方で説明してもらった方が正確かもしれませんが、例えば、インターネットの話があったり、性教育の話があるんですけれども、あくまでここで私どもがテーマとして取り上げてるのは、子どもの性被害を防止するための教育、子どもの性被害を防止するための対応であります。そういう意味で概念的には、いわゆる一般的な性教育、妊娠出産こうですよ、っていうものとは必ずしも全くイコールではないだろうなと思っていますし、インターネットも例えば性的な情報あるいは性被害に巻き込まれるようなものもあれば、例えば残虐な映像であるとかですね、いろんなものがある中で、今回の議論はあくまでも性被害のところにフォーカスしてますので、そういう意味で一般的なインターネットをどうするかとか、あるいは一般的な性教育をどうするかということよりは少し焦点が絞られているということで、そういう前提で表現されているとご理解いただくのがいいのではないかと思ってます。

信濃毎日新聞 島田誠 氏
 
分かりました。後ほどまた詳しく伺ってみたいと思いますが、私の今までの取材したりしている中での理解では、やはり性教育の人権的、教育的な側面と言いますか、いわば生きる力を育む教育の側面というのが、やはりこの性被害というものを被害者も加害者もつくらないという意味では非常に重要な認識を持っていまして、そういう面では、若干、今のお話というのはかなり、部分的すぎはしないかなという印象を持ったんですけれども、今のところちょっと私の理解がおかしかったら聞いておきたいんですけれども。

長野県知事 阿部守一
 
さっきの観念的な議論になっちゃうんであれですけれども、要するに、性被害を防ぐためにどこまでの教育が必要なのかっていうのは、それはそれでちゃんと考えなければいけない話だと思いますので、決して今ご質問いただいたことと私が申し上げていることが矛盾しているとは思いません。

信濃毎日新聞 島田誠 氏
 
確認ですけれども、それも含めて、ですからこれは案なので、またこれから具体化を図る中で今申し上げたような観点、それから知事がお持ちの問題意識というのも議論されていくんだろうということなんですか。

長野県知事 阿部守一
 
そうですね。これをベースに意見を受けてどうしていくか、あるいは、われわれとしても具体化していくわけですから、そういう中で当然、いろんな議論はまだしていかなければいけないだろうと思います。

 2 子どもを性被害から守るための県の取組み(案)について(2)

日本放送協会(NHK) 保科賢一 氏
 
改めて知事の考え方を整理させていただきたいんですが、この条例制定について、知事が反対、今のところ必要ないというお考えなのか、また、今回この条例案の案を出すことによってこの案の中で、どういった条例が必要なのか、あるいは条例そのものが必要なのかということを県民に聞いていくものなんでしょうか。教えてください。

長野県知事 阿部守一
 
ごめんなさい、もう1回。まず、私がどう思うか。

日本放送協会(NHK) 保科賢一 氏
 
はい、そうですね。

長野県知事 阿部守一
 
私は、ですから、この慎重な議論・検討を経た上で、最終的に責任ある判断をしていきたいと思っていますから、私が今の時点でこちらだという立場ではありません。それから、もう1点はなんですかね。

日本放送協会(NHK) 保科賢一 氏
 
すみません。県が示される取り組み案について、これ自体は条例ありきのものなのか、あるいは条例が必要かどうかも含めたものなのかっていうことをお聞きしたいんですが。

長野県知事 阿部守一
 
これ、読んでいただければ分かりますように、ありきではない形になっています。条例については十分な県民的な議論をしっかり行っていくということを、これまでよりは視点は明確にはしておりますけれども、大きな方向性としては、さらに議論をしていきましょうと、そういう形になっています。

日本放送協会(NHK) 保科賢一 氏
 
あと、今後の進め方、まだ今後長いという話ですけれども、ある程度考えたときに今年度あるいは来年度といった見通しというのはあるんでしょうか。この制定、あるいは県の考え方をまとめるという部分では。

長野県知事 阿部守一
 
まず、先ほども申し上げましたように、どうしてもこの条例うんぬんのところに議論が集中してしまうんですけれども、私どもとすれば、この予防の取り組みであるとか、あるいは被害者支援の取り組みであるとか、県民運動の再活性化の取り組み、こうした取り組みも非常に重要だと思っています。そういう意味で、こうしたことを早急に行っていきます。それと並行してこの条例のあり方については十分な議論をしていくということでありますので、先ほど申し上げたようにしっかり段階を踏んでいかないと、他県と同じ淫行処罰規定、例えば淫行の規定自体も淫行してはいけないという条例の書き方をしている県もあれば、そうではない県などさまざまある中で、いろんな人たちが自分の頭の中で、いわゆる淫行処罰規定とはこういうものというものと前提で議論になってしまっているので、こういうところから含めて丁寧に県民の共通の理解の土俵をつくっていかなければならないと思っています。そういう意味でいたずらに時間をかけるというものではありませんが、他方でしっかりと県民の皆さまが少なくとも同じ土俵、同じ認識のもとで議論をしていけるようにしていかなければならないと思っています。そういう意味で、ぜひメディアの皆さまには、今回の県の考え方の主旨を十分理解していただいた上で報道していただければ大変ありがたいと思っています。 

 3 子どもを性被害から守るための県の取組み(案)について(3)

長野放送(NBS) 中村明子 氏
 
今の関連でお答えが重なってしまう部分があるかもしれないですけど、これまでに県の専門委員会で議論をしたり、県民会議の条例が必要という報告を受けたりしてきたわけですけれども、そういうことを経てきても、なお、知事がまだ十分な議論が尽くされていないとお考えになった理由とか経緯とかがあれば教えていただきたいというのと、夏には選挙活動があって、77市町村を回っていろいろなお考えを聞く機会があったと思うのですが、そういった選挙活動でこの問題に関して知事がさらにお考えを深めるようなことがあったりとか、結論ではないですけども、さらに検討が必要とお考えになったようなきっかけが選挙活動の中にあったりすれば教えていただきたいのですが。

長野県知事 阿部守一
 
まず、選挙活動の中で私の考えに何か影響があったということはありません。十分な議論が必要だという部分でありますけども、例えば、淫行処罰規定の議論の中でも自由な恋愛を規制することになるのではないかとか、あるいは構成要件が不明確ではないかとかいう議論があります。それは実際に何を捉えてどうするかということが無ければ、われわれは何もお示ししてないわけでありますが、何もない中で賛成、反対ということが、意見が出されてしまっているというのは、おそらく私が推測するに、他の県と同じようなことをまず前提に置いて、多くの人たちが考えていらっしゃると思います。今回われわれが考えているのは先ほど申し上げたように、決して淫行禁止のところだけにフォーカスしているとか、あるいはさまざまな、例えば有害図書の禁止を含めたいろんな禁止規定を盛り込んだ包括的な青少年健全のための条例を作ろうとしているわけではなくて、あくまでも性被害を防止するためには何が必要なのかと、そのうえで本当に条例で書くべきことは一体なんなのかと、そういうところにフォーカスしていくものだと、それはここに明確に書かせていただいております。そういう意味で、どうもこの議論は淫行処罰規定だけの問題になったり、あるいは逆にそのいわゆる他の県と同じような青少年健全育成条例を作ろうとしているのではないかという誤解が相当私は広がっているんじゃないかと感じていますので、そういう状況だとやっぱり建設的な議論にならないと思っています。そういう意味で、この今回の県の考え方を今まだ案の段階でありますけれども、しっかり取りまとめることによって、次の議論にしっかりつなげていきたいと思っています。

 4 子どもを性被害から守るための県の取組み(案)について(4)

信越放送(SBC) 湯本和寛 氏
 
条例、その案もこれから出して検討されるにあたって、例えば、こういう処罰規定を含んだ条例がありますよって言って案を1つ出すのか、それともいくつか、他の県の条例とかも参考にされると思うんですけれども、いくつかある中で、そういった意見を求めていくのか、その辺の見通しというのを教えてください。

長野県知事 阿部守一
 
それは、これからですね。

信越放送(SBC) 湯本和寛 氏
 
これから。全くその辺の・・・。

長野県知事 阿部守一
 
具体的なものを示さないことには議論にならないだろうなとは思っていますが、それが1つの案でいいのか、複数お示しした方がいいのか、そうしたことについては、今後考えていかなければいけない話だと思います。

信越放送(SBC) 湯本和寛 氏
 
それは例えば、その法律の専門家の方に案を複数出してもらうという方向になったりするのか、その数についても専門家にいったん任せるようになるのか、それとも県として、ある程度方針出してからっていうことになるんですか。

長野県知事 阿部守一
 
最終的には、県が責任を持って県民の意見聞かないといけないだろうなとは思いますが、先ほど申し上げましたように、どういう形でここに書かれていることを具体化するかっていうのは、これからでありますので、今ご指摘いただいたような点も、今後十分考えていかなければいけないと思います。

 5 子どもを性被害から守るための県の取組み(案)について(5)

信濃毎日新聞 島田誠 氏
 
もう1点、条例のイメージが違っているのではないかという話で議論がかみ合っていないという話がありましたけど、その前提のところで、例えば今日も提案説明および12ページでもお書きですけど、子ども達の性被害の実態、性への現状をさらに把握するという、ですから条例を考える必要があるのかどうかというところの前提のところというのはまず、先ほどの知事のお言葉を借りるのであれば、かみ合っていないのかなという印象を持つのですけど、その点についてはどんなふうに今までの議論を・・・。

長野県知事 阿部守一
 
性被害の実態とか性の現状の把握というのは、ここに書いてあるように、さらにしていかなければいけないと思っています。

信濃毎日新聞 島田誠 氏
 
確認で伺うと、先ほど冒頭でおっしゃっていた、性被害というのが現実にあって、悩み、苦しみ、大きな傷を負っているという現実があるというふうにおっしゃってらっしゃる、性被害の現実というふうに冒頭でおっしゃった話というのは、いわゆる現行の法律で、例えば刑法であるとか、規制されているものも含めた性被害全般のことをおっしゃっていらっしゃるのか、それともそうした現行法で規制できない、いわば何らかの表向きなのかどうかはいったん置きますが、表向きであるというのを含めた合意みたいなものがあるケースも含めて、そのことに絞っておっしゃってらっしゃるのか、いわば条例を作らないと罰することができないという部分での実態があるんだというふうにおっしゃってらっしゃるのかどっちでいらっしゃいますか。

長野県知事 阿部守一
 
もう一度・・・。

信濃毎日新聞 島田誠 氏
 
先ほど冒頭でおっしゃったのは、しかしながら悩みや苦しみ、大きな傷を負っている現実があるんだということをおっしゃいました。それは強姦(ごうかん)であるとか、現行の刑法はじめ現行法で規制されているものも含めた性被害全般の現実が今もあるんだということを一般論としておっしゃっているのか、それともそうではなくて、現行法で規制されない部分の中でも、そうした、さっきおっしゃったような、悩み苦しみ大きな傷を負っていらっしゃる現実があるというふうに絞っておっしゃってらっしゃるのか、どちらなんですか、冒頭の発言は。

長野県知事 阿部守一
 
そこは、現状をさらに把握していかなければいけないと思いますが、当然現行法で規制されている部分のところだけ論じているのであればそれは現行法でいいでしょうという話になり得ると思いますから、それ以外のところにおいて本当に実態がどうなっているのかということをしっかり把握していかなければいけないだろうと思います。長野県の場合は他の県に比べていわゆる青少年健全育成条例がないわけでありますから、そういう意味で規制のかかっている度合いは他の県に比べれば、現状では緩い、狭いというのがこれは間違いないと思います。そこの部分をどう考えるのか、というところは今後の法的な議論の中心になってくるだろうと思います。

信濃毎日新聞 島田誠 氏
 
確認ですけれど、そうしましたら、冒頭でおっしゃった悩み苦しみ大きな傷をおってらっしゃる現実があるというのは、その現行法で規制されている部分も含めて、性被害全般の話をされていらっしゃる・・・。

長野県知事 阿部守一
 
ここで言っているのは性被害全般ですが、当然現行法で対応しきれない部分というのも、ありうると思っています。

信濃毎日新聞 島田誠 氏
 
それからもう1つ伺いたいのは、先ほど繰り返しおっしゃってらっしゃる十分な県民合意、それから県民や県会の同じ土俵に立った議論、というものの必要性というものを指摘されていらっしゃいましたけれども、そういう意味では先ほど申し上げたようなその県会の方は、あと半年で改選になってしまう状況がある中で、場合によっては年度内に決着することもあり得るということなのか、それともあまりそうした時期には先ほど申し上げたようにこだわらないで、十分な議論というのを前提であって、それがその改選以降のことも視野に入れての話なのか・・・。

長野県知事 阿部守一
 
それは率直に言って、そうしたことは全く考えていないです。十分な議論は十分な議論で、多くの県民がなるほどこれだね、っていうことが固まればそれは早いかもしれませんし、やっぱりしっかりとコンセンサスを図るための議論をまずはしっかりと行っていくということが重要だろうと思っています。今回こういう形でまとめたのも、ある意味で県民の中で議論を起こしてもらうという側面もあろうかと思っています。

信濃毎日新聞 島田誠 氏
 
最後に伺います。条例についてはここで専門委員会がおっしゃっていた、いわゆる淫行処罰の部分と、深夜外出の規制とインターネット関連の法整備、というか条例整備、という定義を出していらっしゃったわけですけれども、今回の県の庁内検討の結果、今回についてはインターネット関連については外していらっしゃいますけれども、これはどうしてですか、というのは知事に伺うのがいいのか、今後の次世代サポート課さんに伺うのがいいんでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 
インターネットの話は、9ページ、10ページにかけて書かせていただいているとおりであります。条例を作っている県が著しく対応ができているわけでも必ずしもないだろうと思いますし、今後教育だとか、県民運動でもしっかり対応していく部分でありますので、そういう観点で条例の規制に頼らずに、まずは教育や県民運動で対応していこうというのが今回の私どもの考え方であります。

長野県知事 阿部守一
 
ありがとうございました。

 

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電話番号:026-235-7054

ファックス:026-235-7026

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