最終更新日:2012年02月17日

 

平成24年2月県議会定例会における知事議案説明要旨
(平成24年2月17日)
 


平成24年度当初予算案の概要
提出条例案の概要


 ただいま提出いたしました平成24年度当初予算案をはじめとする議案の説明に先立ち、新年度の県政運営に向けての所信などについて申し述べさせていただきます。

 まず、長野県北部を中心とした大雪について申し上げます。
 このたびの大雪は、除雪作業中の事故による死傷者の発生など大きな被害をもたらしております。お亡くなりになられた方々と御遺族に対し、深く哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。県といたしましては、2月1日、豪雪警戒本部を設置するとともに、5市町村に対し災害救助法を適用し、住民の安全と生活の安定確保に取り組んでまいりましたが、被害の拡大防止に向け、引き続き万全の対策を講じてまいります。

【県政に取り組む基本姿勢】
 一昨年9月、私が県民の皆様の負託を受けて県政に取り組み始めてから、本年は早くも折り返し点を迎えます。この間、県民の皆様に身近で開かれた県政を目指し、「県民参加と協働」、そして、「対話に基づく県政」を常に心掛けてまいりました。
 「県民参加と協働」では、審議会等の委員について、2割を公募により選任するという具体的な数値目標を設定し、幅広い県民意見の県政への反映に努めたほか、県民参加の下に「信州型事業仕分け」を実施し、事業の必要性などについて県民の視点から点検を行いました。また、「県民協働を進める信州円卓会議」において、長野県にふさわしい県民協働のあり方を検討するとともに、NPO等の自立的活動を後押しする「新しい公共支援・推進事業」に着手致しました。さらに、「東日本大震災支援県民本部」や「自然エネルギー信州ネット」を各種団体や企業、NPOの皆様と共同で設立し、まさに県民と一体で施策推進に努めてまいりました。
 「対話に基づく県政」の推進に向けては、34回に及ぶ県政タウンミーティング、県政ランチミーティングの開催、学校での児童生徒や学生との対話、市町村長との意見交換会などをきめ細かく実施し、県民の皆様が主役であることを強く意識して県政運営を行ってまいりました。また、東日本大震災への支援にあたっても、「栄村の復興を考える会」や「避難者の『思い』懇談会」など、被災された皆様との直接の対話を通じ、常に現場起点で、被災者の思いに寄り添った対応に努めてまいりました。
 困難な時代にこそ、県民の持てる力を幅広く結集して難局を乗り越えていかなければなりません。こうした県民参加と協働、そして、県民の皆様との対話をさらに推進し、私のみならず、長野県組織全体の風土として根付かせてまいります。 県民の皆様とともに考え行動する県民主権の長野県、県民総参加の「ていねいな民主主義」を信州から創造します。

【新たな総合5か年計画】
 平成16年に後ろ髪を引かれる思いで長野県を辞した後、私は、総務省過疎対策室長として人口減少に悩む日本全国の市町村に対する支援を行う中で、我が国の地域社会がこれから目指すべき方向性について考えておりました。そのキーワードは、「東京スタンダードではない多様な地域」、「人間生活優先の地域」、そして、「持続可能な地域」です。物質的な豊かさの追求が個人の幸福に直結する時代が過ぎ去った今、様々な価値観を持つ国民が真にゆとりと豊かさを実感できるようにするためには、東京を基準とした画一化、効率化を進めるのではなく、それぞれの都道府県や市町村が地域の多様な個性や強みを伸ばし、活力に満ちた地域社会を実現していくことが必要です。また、これからの社会では、居住環境が充実し魅力的な暮らしを営むことができる地域こそが人を引き付け、それが地域の競争力の源泉となります。現代社会は、化石燃料に過度に依存し、巨大で複雑な技術的・制度的インフラに支えられた中央集権的なシステムの上に成り立っていますが、こうしたシステムは、新たな課題への柔軟性や対応力を欠き、混乱に対しても脆弱(ぜいじゃく)で、持続可能性が高いとは言えません。
 私のこうした考えは、昨年3月11日の東日本大震災以降、一層強固なものとなりました。今回の大地震と、引き続いて発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故が引き起こした甚大な被害と混乱は、私たちの社会にさまざまな教訓をもたらしました。これまでの社会のあり方を今一度しっかりと振り返りながら、人間生活優先の持続可能な地域を創造していくことが、今、強く求められています。
 幸い、私たち長野県は、こうした地域への最短距離に位置しています。長野県には、美しく豊かな景観や環境、先人たちが連綿と引き継いできた伝統や文化、自然エネルギー活用への大いなる可能性、教育県・健康長寿県を築いてきたこれまでの取組の蓄積、人と人との絆(きずな)やコミュニティの強さといった地域の総合力など、数多くの優れた財産があります。我が国の総人口が減少期に入り、本格的な成熟社会を迎える中で、こうした長野県の強みを最大限活かしながら、活力にあふれ、確かな暮らしが営まれる新しい地域社会を長野県から創造していかなければなりません。
 今年は、新たな総合5か年計画の策定を本格化する年です。こうした基本的な視点を持ちながら、今日の充足だけではなく、明日への投資、未来への継承といった中長期での時間軸も意識して、県民の皆様と共有できる夢と希望に満ちた長野県の将来像を描き、その実現に全力を傾けてまいります。

【行政・財政改革方針】
 県民の皆様とともに新しい長野県を創造していくためには、そのエンジンとなる県行政のあり方と財政構造を再構築することが必要です。このたび取りまとめた「長野県行政・財政改革方針(案)」では、これまで当たり前のこととして扱ってきた「行政経営理念」を明確に掲げ、組織の使命である「ミッション」、目指す姿としての「ビジョン」、これらを実現するための行動指針としての「バリュー」を意識して県政を進めてまいります。
 今回の改革は、具体的な取り組みを5つの大きな柱に沿って進めることとし、県民サービスの充実や職員・組織の持つ力を最大限発揮できるような仕組みづくりなど、「県行政の質的向上」に特に力点を置きました。
 まず、「県民参加と協働の推進」では、県民参加と協働により県民サービスの向上を図ります。NPOの資金確保や人材育成を支援し、県民の公的な活動の基盤強化を図るとともに、NPOを支援する中間支援組織との連携を強化します。また、県民目線での情報発信の強化や、千人規模の「県政モニター」の設置、政策づくりへの県民参画の推進などにより、県民が主役の行政運営を一層進めてまいります。
 「人材マネジメント改革」では、職員の「共感力」、「政策力」、「発信力」を高め、具体的な成果を上げることができる高い資質と意欲を有する人材の育成・確保に努めます。また、職員の能力を最大限に引き出すことができる新たな人事・給与制度について、外部の有識者にも御参加をいただく中で検討を進めます。このほか、女性の潜在的な能力を一層活用していくため、係長以上の女性職員数を今後5年間で1.5倍の330人に増加させることを目標に、女性職員の採用・登用の拡大に取り組みます。
 「行政経営システム改革」では、時代の要請やニーズに柔軟に対応することができる行政経営の仕組みを構築します。風通しの良い職場づくりや、「一人一改善・一提案事業(仮称)」の実施による職員・現場の意見の活用など、組織風土の変革に挑戦するとともに、業務の生産性の向上を図る「しごと改革」に取り組みます。職員数については、ピーク時の平成5年から今日まで、教育・警察部門を含めた全職員数の約13パーセント、4,083人を削減してまいりましたが、厳しい財政状況にあって、さらに平成28年度までの5年間で5パーセント、1,300人以上の職員数の削減に取り組んでまいります。
 「財政構造改革」では、持続可能な財政構造の構築を目指します。このまま何も対策を講じなければ平成26年度には基金の枯渇が想定されます。質の高い県民サービスを継続して提供するため、改革方針に盛り込んだ歳入確保、歳出削減の取り組みを徹底することに加え、毎年度50億円以上の追加的な収支改善に取り組んでまいります。また、将来の財政負担を考慮し、今後の当初予算における通常の建設事業債の発行額を、原則として平成24年度当初予算額である592億円以内に抑えるとともに、行政改革推進債、退職手当債についても極力発行を抑制するなど、財政の健全化に努めます。なお、臨時財政対策債については、その廃止を含めた抜本的な改革を国に強く求めてまいります。
 「地方分権改革」では、個性豊かで活力ある地域社会を実現するため、国から地方への権限や税財源の移譲を強く求めるとともに、本県の特徴を踏まえた長野県独自の自治のあり方を検討します。橋下徹大阪市長が掲げる「大阪都構想」を受け、大都市制度や基礎自治体の担うべき役割など、地方制度のあり方についての検討が政府や政党において加速化することが見込まれる中で、こうした動きに積極的かつ主体的に関わっていくことが長野県の将来にとって重要です。住民の立場に立った地方自治を確立すべく、市町村と一緒になって取り組んでまいります。
 この「長野県行政・財政改革方針(案)」につきましては、広く県民の皆様から御意見をいただいた上で確定させ、「本気の改革」に取り組んでまいります。

【東日本大震災からの復興支援】
 平成24年度も、東日本大震災による被災地の復旧・復興と、被災者の生活再建支援に全力を傾注してまいります。
 栄村の復興に向けては、私も、昨年来、何度となく現地に足を運び村民の皆様の切実な声をお伺いしてまいりました。栄村の皆様が「ふるさと栄村」に安心して住み続けることができるよう、被災した道路や河川、農地の復旧などに全庁挙げて取り組んでまいります。過疎化、高齢化が進み、有数の豪雪地帯でもある栄村の復興が中山間地域振興の新しいモデルとなるよう、また、復興特区制度や復興交付金、栄村復興基金などを効果的に活用して栄村の復興が迅速に進むよう、県としても復興計画の策定をはじめとする栄村の復興に積極的に参画してまいります。
 東日本大震災を受け、県内には、福島県の皆様を中心に今なお千人を超える方々が避難をされてきております。避難生活が長期化する中で、昨年11月に開催した「避難者の『思い』懇談会」では、仕事や住まいの確保、健康面への不安、避難者同士の交流の場の設置などを求める切実な声が数多く寄せられました。こうした御意見を踏まえ、借り上げ住宅制度の受付期間を3月末まで延長したほか、市町村と協力して、避難者同士の情報交換や励まし合いの場となる交流会の設置を進めております。避難をされてきた方々が故郷(ふるさと)を思いながらも長野県で安心して暮らすことができるよう、引き続き支援を行ってまいります。
 現在、復興計画づくりを支援するため栄村に1人、災害復旧等の支援を行うため岩手県、福島県に9人の県職員を派遣しておりますが、4月からは14人に拡大する予定であり、今後とも被災自治体に対する応援を継続してまいります。

【経済・雇用情勢、国の予算編成、県財政の見通し】
 昨年の我が国経済を顧みますと、東日本大震災を受けて、企業の生産活動や個人消費が大幅に落ち込み、加えて、夏以降の急激な円高の進行や欧州の政府債務危機の顕在化による世界経済の減速により、極めて厳しい状況に置かれました。震災からの復興の動きと相まって、我が国経済は徐々に持ち直すことが期待されるものの、先行きについては、円高の定着やそれに伴う国内産業の空洞化など、景気の下振れにつながる多くのリスクを抱えています。また、雇用情勢については、回復傾向にあるものの、依然として厳しい状況が続いています。
 このような厳しい経済・雇用情勢の下、国の平成24年度予算案は、震災からの復興を着実に進めるとともに、新産業の創出や人材の育成、持続可能で活力ある地域社会の構築などにより日本の経済・社会を再生することに重点を置いた予算として編成されました。
 国の地方財政への対応につきましては、地方交付税の増額確保などにより地方の一般財源総額は前年度と同水準が確保されたものの、その内訳を見ますと、法人関係税について対前年度比で7.1パーセントの大幅な増加を見込んでおり、現下の厳しい経済情勢にあって、地域の実態を反映したものとは言えません。また、臨時財政対策債について、前年度と比べわずかながら縮減が図られているものの、地方財政の健全性の観点からは決して十分な対応ではありません。
 「社会保障と税の一体改革」につきましては、社会保障の機能強化・機能維持のために安定した財源を確保し、同時に財政健全化を進めるため、消費税率を、2014年4月、2015年10月と二段階で10パーセントに引き上げることが政府・与党で決定され、今国会に法案を提出するべく準備が進められています。消費税率の引上げ分の国と地方の配分については一定の方向性が示されましたが、国民が将来に向けて安心できる具体的な社会・経済のビジョンを示し、より踏み込んだ行政改革を国が率先して行うことなしに国民の理解は得られません。今後、「現場の視点でとらえた社会保障懇話会」において、社会保障制度の実態を踏まえた検討を行い、国への具体的な提言や県としての施策に反映させてまいります。
 平成24年度の県財政につきましては、現下の厳しい経済・雇用情勢や国の地方財政計画等を反映して、県税、地方交付税等の主要一般財源は前年度当初予算額を33億円下回ることが見込まれます。他方で、医療や介護などの社会保障関係費が61億円増加するなど義務的な経費が増加し、県財政の硬直化が進む厳しい状況です。
 以上のような経済・財政状況を踏まえ、平成24年度の当初予算案は、限られた財源を重点的・効果的に活用することを基本に編成いたしました。

【平成24年度当初予算編成】
 今定例会に提出いたしました平成24年度の当初予算案及びその他の案件について御説明申し上げます。
 平成24年度の当初予算総額は、一般会計8,411億8,696万円、特別会計2,434億2,508万円、企業特別会計124億2,376万7千円であります。特別会計は、公債費特別会計など12会計、企業特別会計は、電気事業及び水道事業の2会計であります。
 今回の予算案では、「信州らしさ」を一層強化して、産業や地域を元気にすることを強く意識し、自然エネルギーの普及拡大や、人や企業に選ばれる信州の創造と発信、美しい信州の環境・景観の保全と創造、スポーツ・文化の振興、さらには、雇用の確保や県内産業の下支え、防災・減災対策の強化など、10の視点から施策を構築いたしました。
予算編成に当たっては、県内各地域が持つ特性や課題を県の施策に反映させるため、新たに地方事務所長からの施策提案を実施し、提案された24項目中22項目でその具体化を図りました。また、複雑・多様化する県民ニーズに迅速・的確にこたえるため、部局連携による総合的な施策の構築にも重点を置いて取り組みました。
「可能な限り子どもたちの世代に付けを回さない」という観点から、臨時財政対策債を含めた県債発行額を、公共投資臨時基金を加味した前年度当初予算額の範囲内に抑制する一方で、現在の経済情勢等に鑑み、財政調整のための基金を93億円取り崩して活用することといたしました。
 以下、主な施策につきまして、「経済・雇用対策の実施」、「教育・子育て先進県の実現」、「産業力、地域力の強化」、「暮らしの安心確保」、「県民主役の自立した県政の実現」の5つの柱に沿って、順次御説明申し上げます。

【経済・雇用対策の実施】
 第一に、「経済・雇用対策の実施」について申し上げます。
 昨年9月、国の経済対策に先駆けて県独自の経済対策として策定した「長野県緊急経済活性化対策〜くらしの安全・安心 経済成長プロジェクト〜」に基づき、9月補正予算、11月補正予算を合わせて約157億円の事業規模で、風評被害の払拭や急激な円高への対応など、県内経済の下支えと雇用確保のための取組の機動的な実施に努めてきたところですが、引き続き、現下の厳しい経済・雇用情勢を踏まえた対策を講じてまいります。
 県内企業のビジネスチャンスを拡大するため、アジア最大級の食品・飲料専門展示会「FOODEX JAPAN2013」をはじめとして、国内外で開催される展示会・商談会への出展を最大限に支援することとし、関連する予算額を前年度比30パーセント増となる約1億7千万円に増額致しました。これにより、優れた技術力や地域資源を活かした工業製品や加工食品、農畜産物等の販路拡大を図ります。中小企業融資制度資金につきましては、融資目標額を前年度当初予算額と同額の1,000億円とし、中小企業の資金繰りを支援して経営の下支えを図ります。また、県単独の公共事業については、既存の社会資本の有効活用とライフサイクルコストの縮減を図るとともに、地域企業の受注機会を確保するため、維持修繕工事に重点化を図りつつ、前年度当初予算額と同規模の168億円の事業費を確保致しました。さらに、「信州型エコ住宅・環の住まい」の助成件数を150件から200件に拡大するほか、新たに創設した「信州型住宅リフォーム」制度により220件の助成を行い、県産材を活用した個人住宅の新築・改修を促進します。このほか、社会福祉施設や病院、高等学校など、住民生活に身近な社会資本の整備を着実に進めてまいります。
 厳しい雇用情勢に対応するため、ジョブカフェ信州によるキャリア・コンサルティングや情報提供などを通じて未就業者の就労を支援するほか、高等学校に就職指導サポーター28人を配置して、厳しい状況に置かれている高校生の就職活動を支援してまいります。また、県内4カ所目となるパーソナル・サポート・センターを本年4月から飯田市に開設し、就労希望者個々のニーズに合わせた制度横断的なサービス提供を充実します。さらに、NPOと連携して、障害の認定には至らないものの援助を必要とする若年者の就労を支援します。なお、就労支援を受ける方の利便性を高めるため、パーソナル・サポート・センター等で行う相談・支援業務とハローワークの職業紹介業務等を一体的に行うことができるよう、現在、国に提案しているところであり、早期の実現を図ってまいります。このほか、緊急雇用創出基金を活用して、2,600人を超える雇用の確保を図ります。

【教育・子育て先進県の実現】
 第二に、「教育・子育て先進県の実現」について申し上げます。
 「信州教育の再生」は、私の政策の重要な柱の一つです。確かな学力と豊かな人間性・社会性を育む学校教育を充実させるとともに、社会全体で子ども・子育てを支え、明日の長野県を担う子どもたちが健やかにたくましく育つよう、知事として責任を持って取り組みます。

(信州教育の再生)
 30人規模学級編制につきましては、本年度中学校1年生に導入した成果を踏まえ、学力向上や不登校、発達障害の問題などにきめ細かく対応することができるよう、来年度以降、中学校2年生、3年生へと順次拡大してまいります。同時に、教育の質の向上も重要な課題です。教育委員の皆様との定期的な意見交換などを通じて問題意識を共有し、具体的な取り組みを促してまいりたいと考えております。
 高等学校につきましては、前年度当初予算額を5億円以上上回る27億円余の事業費を確保し、再編に向けた施設整備や老朽化した校舎、体育施設の改築など、学習環境の充実を図ります。また、公立としては県内で初めての併設型中高一貫校として本年4月に開校する屋代高等学校附属中学校の運営に万全を期すとともに、諏訪清陵高等学校の附属中学校について、平成26年4月開校に向けた整備を着実に進めます。特別支援学校につきましては、児童生徒数の増加への対応や法定数との乖離解消を図るため、教員を36人増員するほか、長野ろう学校、長野養護学校三輪校舎の再編整備を進めます。

 新たな県立4年制大学について申し上げます。
 昨年7月、「長野県短期大学の将来構想に関する検討委員会」から、「長野県の高等教育をより一層充実するためには、長野県短期大学を改組し、新たな公立4年制大学に転換することが必要である」との報告をいただきました。現在、これを受けて、大学の運営体制や長野県看護大学との関係など、整理すべき課題について庁内で検討を進めるとともに、グローバル人材を育成する大学のトップの方々などに顧問を依頼し、目指すべき大学像について御議論をいただいているところです。18歳人口が減少し大学間競争が激化する中ではありますが、長野県の将来のためには人づくりが極めて重要であるとの思いから、新たな県立4年制大学を開設することを決断いたしました。4月には、総務部に「県立大学設立準備室」を設置するとともに、有識者による設立準備委員会を立ち上げ、教育理念や運営体制、学部・学科の構成、特色ある教育内容など、大学の基本構想を固めてまいります。

(子育て先進県の実現)
 安心して子どもを生み育てることができる環境づくりを進めるため、子育てをしながら働く方々のニーズに対応した延長保育、病児・病後児保育など多様な保育サービスの提供体制を充実するほか、病気やけがなど小児救急の電話相談に応じる相談員体制を拡充します。また、労政事務所に「働く女性応援アドバイザー」4人を配置して、企業訪問や啓発活動により男性の育児休暇の取得を促進するなど、子育て中の女性が仕事と家庭を両立させながら働くことができる職場環境づくりを進めます。このほか、社会全体で子ども・若者の育ちを支える長野県を実現するため、「子ども・若者支援地域協議会」を設置して、就学、就業など社会生活に困難を有する子ども・若者の社会的自立を支援します。

【産業力、地域力の強化】
 第三に、「産業力、地域力の強化」について申し上げます。
 経済のグローバル化や地域間競争の激化などにより、県内の産業はいずれも厳しい状況に置かれていますが、優れた地域資源など長野県の強みを活かし、競争力ある力強い産業へと発展させるとともに、個性豊かな地域の振興に努めてまいります。

(信州自然エネルギー元年)
 東日本大震災を契機として、地域分散型・市民参加型のエネルギー供給体制への転換が強く求められています。本年を「信州自然エネルギー元年」と位置付け、太陽光や小水力、木質バイオマスなど、本県の強みである豊かな自然エネルギー源を活用した地域産業の活性化や地域づくりを推進します。「1村1自然エネルギープロジェクト」を開始し、市町村による自然エネルギー自給コミュニティづくりや民間事業者による革新的なビジネスモデルの構築を支援するとともに、企業、NPO等との協働による「自然エネルギー信州ネット」の活動を一層発展させてまいります。また、農業水利施設における小水力、太陽光発電設備の設置や、県有施設・未利用県有地を活用した自然エネルギー導入モデルの構築を進めるとともに、市町村が行う急速充電器の整備に対する助成により、電気自動車による自然にやさしい観光地づくりを推進します。このほか、木質バイオマスの普及を図るため、公共施設や家庭・事業所へのペレットストーブ・ボイラーの導入を支援します。

(ものづくり産業の振興)
 長野県の経済をけん引してきた製造業も、時代の変化に対応した変革が必要であり、国際市場での競争力を発揮できる次世代産業の創出が急務です。「長野県ものづくり産業振興戦略プラン(仮称)」に沿って、長野県産業の高度な技術力や特徴ある地域資源を活かすべく、「健康・医療」、「環境・エネルギー」、「次世代交通」の3分野を本県ものづくり産業の成長分野として位置付け、研究開発、販路開拓、人材育成などあらゆる角度からの支援を行ってまいります。また、「長野県国際戦略(仮称)」に基づき、海外市場の販路拡大や国際的産学官連携による技術開発などに重点的に取り組み、世界の活力を取り込んで更なる成長を図ってまいります。このほか、商工労働部に「次世代産業集積室」を設置し、成長産業分野に重点を置いた企業誘致活動を戦略的に展開して、県内経済の活性化と雇用の創出を図ってまいります。
 ものづくり分野の技術開発を支える人材の育成・確保に向けては、工科短期大学校の南信地域への配置も含め、将来を見据えた職業能力開発のあり方を検討します。また、本年10月に開催される技能五輪全国大会及びアビリンピックを成功させ、若年技能者の育成や技能継承、障害者の雇用促進につなげるため、関係諸団体と一体となって取組を進めます。

(日本一創業しやすい県づくり)
 平成18年から21年の3カ年における本県の開業率は2.3パーセントと、統計がある昭和44年以降最低の水準にあり、全国でも37位と低位に位置しています。地域経済の活性化のためには、明日の長野県経済を担う新たな企業の育成が必要であることから、「日本一創業しやすい県」を目指した取り組みを進めてまいります。長野県中小企業振興センターに、創業に関する相談・助言をワンストップで実施する相談窓口を新たに設置するほか、中小企業融資制度資金の創業支援資金について、貸付利率の引下げ、自己資金要件の緩和、融資目標額の拡大等を行い、より創業にチャレンジしやすい環境を整備します。また、本年度で期限を迎える、中小企業の創業を応援するための政策減税を延長し、税制面からも創業を後押しします。

(観光の振興と移住・交流の推進)
 ブランド総合研究所が昨年行った都道府県の魅力度ランキングによると、本県は全国8位、また、日経リサーチが行った平成22年度の都道府県のブランドランキングでは全国17位であり、残念ながら、私たち長野県は、優れた資源を持ちながらもそれに見合った評価を得られていません。「人や企業に選ばれる信州」を創造するためには、まず第一に、信州ブランドの再構築が必要です。このため、観光部に「信州ブランド推進室」を設置し、新たなブランド戦略を打ち立てるとともに、長野県の持つブランドイメージに磨きをかけ、県内外へ力強く発信してまいります。
 長野県産業の柱である観光業の活性化は、交流人口を増やし、地域全体を元気にすることにもつながります。依然として厳しい状況に置かれている県内の観光需要を回復・拡大させるため、市町村、経済団体等と連携して、過去最大規模となる1億円の事業費を投入して、信州の四季の特徴を活かした観光キャンペーンを展開します。また、こうした取り組みが単なる一過性のもので終わることがないよう、観光ルートづくりや観光案内表示の統一化など、将来の観光地づくりを見据えた取り組みを並行して推進してまいります。さらに、著名な文化人、経済人を観光大使として委嘱し、発信力を活かして長野県のPRを行うとともに、各地のフィルムコミッションと連携して映画やテレビのロケーション撮影の誘致などに積極的に取り組みます。外国人旅行者の早期回復に向けては、経済成長著しい中国や台湾、シンガポールを最重点市場と位置付け、現地での商談会の開催や旅行関係者の招聘(しょうへい)などを通じ、スノーリゾートや教育旅行など長野県の強みを活かした戦略的な誘致を推進します。
 移住・交流の推進に関しては、「長野県移住・交流推進戦略」に沿って、来年度本格的な取組を展開します。東京観光情報センターに新たに移住専門相談員を配置して、Iターン相談員と一体となって、移住希望者に対する相談・支援をワンストップで実施します。観光部には「移住・交流課」を設置して、総合的・横断的な施策の実施により大都市圏などから長野県への移住・交流を拡大し、本県人口の社会増を目指して取り組んでまいります。また、「国際青少年交流農村宣言」を具体化し、国内外からの学習旅行の誘致や、農村と観光が融合した体験型ニュー・ツーリズムの創出などにより、美しい長野県の農村を舞台とした若者の交流拡大を図ってまいります。

(農業・林業の振興)
 TPP協定交渉をはじめとする国際的な経済連携の動きに対しては、その影響が広範囲にわたることから、全庁的な対策会議において情報の収集・共有に努めるとともに、県内産業や地域社会への影響を的確に把握し、国への提言や具体的な対策を行ってまいります。国に対しては、引き続き、十分な情報提供と国民的な議論を行うことを強く求めてまいります。
 農業については、TPPの推進のいかんにかかわらず、競争力の高い農業の確立が重要です。農業・農村を元気にするためには、次代を担う意欲ある農業者を確保・育成することが不可欠です。「日本一就農しやすい長野県」をキャッチフレーズに、就農希望者に対する農業体験会の開催や、一人あたり年間150万円、最大7年間で1,050万円の新規就農者に対する給付金の交付などにより新たな担い手の確保を図るとともに、所得1千万円以上を目指す意欲ある農業者に対して、企業的経営能力を高めるための実践的研修を実施します。また、信州産農畜産物の消費拡大と食の魅力による観光誘客を図るため、「おいしい信州ふーど(風土)宣言」を強力に展開し、商談会・トップセールスの実施、地産地消県民運動の展開、おいしい信州ふーど(風土)大使の委嘱などにより、豊かな信州の風土から生まれた農畜産物の「プレミアム」、「オリジナル」、「ヘリテイジ」の3つの付加価値を県内外に積極的に発信します。
 持続可能な林業・木材産業の振興に向けては、県産材を安定して供給できる体制を整備するため、森林整備加速化・林業再生基金17億円余を活用して、搬出間伐を重点的に実施するほか、高性能林業機械の導入、木材加工流通施設の整備等を進めます。また、県土の保全、水源の涵養(かんよう)、地球温暖化の防止など、森林の持つ大切な役割を十分発揮できるよう、県民の皆様に御負担をいただいている森林づくり県民税を活用して、手入れの遅れている里山での間伐を重点的に実施します。現行の森林づくり県民税は平成24年度に最終年度を迎えることから、これまでの事業効果を検証するとともに、県議会をはじめ、県民、市町村の皆様などの御意見も伺いながら、平成25年度以降のあり方について検討します。依然として深刻な状況にある野生鳥獣被害に対しましては、予算額を前年度の9億円から11億円に大幅に増額致しました。ニホンジカ3万5千頭の捕獲を目標とするほか、狩猟者の確保・育成、市町村の枠を越えた広域捕獲の実施、集落ぐるみで行うわな捕獲への支援などを総合的に推進し、野生鳥獣に負けない農山村づくりに市町村や地域の皆様と協力して取り組みます。

(元気な地域づくり)
 「地域発 元気づくり支援金」については、新たに「自然エネルギーの普及・拡大」、「障害者や若者の雇用促進、就業支援」、「美しい景観の形成」を県全域で推進する重点テーマとして設定し、地域の創意工夫を活かしながら、元気な長野県づくりを進めます。
 長野県には世界に誇れる豊かで美しい農村景観があり、そこで暮らす住民はもとより、県内外から訪れる方にとっても心癒される原風景となっています。こうした優れた農村景観の保全・育成を図るため、研究会を設置して、目指すべき農村景観のあり方を検討し、農村景観の育成に向けたアクションプログラムを策定します。
 長野県を盛り上げ、地域に活力を与えるためには、スポーツや文化の振興が重要です。スポーツを核として地域を元気にするべく、観光や教育、健康などの施策と連携した総合的な取り組みを進めます。高地・冷涼といった長野県の強みを活かし、県内へのスポーツ合宿の誘致を強力に推進します。また、スポーツイベントなどを通じて地域の活性化を図るため、スポーツコミッションの設立・活用の可能性について検討します。さらに、幼児期からの「運動あそび」により、楽しみながら体力・運動能力を向上させる「長野県版運動プログラム」を県内全域で展開し、子どもたちに体を動かすことの楽しさやスポーツの魅力を伝えるとともに、スポーツの習慣化により生涯にわたる健康づくりを推進します。このほか、3年後に国民体育大会冬季大会で1位となることなどを目標に掲げ、冬季オリンピックや国民体育大会の出場につながる全国レベルの選手の育成・強化に向けた支援を拡充します。
 文化芸術には、人々に楽しさや感動、精神的な安らぎをもたらすとともに、人と人を結び、地域の魅力や価値を高める力があります。このため、サイトウ・キネン・フェスティバル松本、スズキ・メソード世界大会への支援や、障害者の美術作品の魅力を発信する「アール・ブリュット展」の開催などに取り組むとともに、信濃美術館のこれからのあり方を検討するなど、長野県の特色としての文化芸術の振興に努めてまいります。

(総合的な交通施策の展開)
 長野県の将来の発展にとって、鉄道や空港、高速道路といった高速交通体系の整備と、地域における日常生活の足の確保は大変重要な課題です。北陸新幹線長野・金沢間の平成26年度開業や、リニア中央新幹線の具体化などを見据え、平成25年度から概ね15年後を目標年次とする新たな総合交通ビジョンを策定します。
 リニア中央新幹線に関しては、企画部に「リニア推進振興室」を設置し、JR東海や国、市町村との調整を行うとともに、交通アクセスや地域振興策の検討など、リニア中央新幹線の効果が長野県全体の発展につながるよう取り組んでまいります。北陸新幹線につきましては、長野・金沢間の建設を促進するとともに、延伸を契機とした地域経済の活性化や観光の振興、加えて、長野以北並行在来線の安定経営に向けた取り組みを、関係自治体と連携しながら進めてまいります。道路ネットワークの整備につきましては、中部横断自動車道や三遠南信自動車道など高規格幹線道路の整備促進のほか、松本糸魚川連絡道路の早期の事業化に向けた調査を実施します。このほか、市町村、経済団体等と連携して、信州まつもと空港の一層の認知度向上と利用促進に取り組んでまいります。
 住民に身近な交通手段である地域の鉄道・バスなどの公共交通ネットワークの維持・確保は喫緊の課題です。鉄道事業者が行う安全輸送を維持するための設備整備や、乗合いバスの運行経費に対する助成により、県民の皆様の移動の利便性を確保してまいります。

【暮らしの安心確保】
 第四に、「暮らしの安心確保」について申し上げます。
 県民誰もが住み慣れた地域で安心して暮らせる社会を構築するため、一人ひとりのニーズに応じたきめ細かな医療・福祉施策を展開するとともに、自然と人が共生する豊かな環境づくり、防災・減災対策の強化などによる安全・安心な県づくりを進めます。

(きめ細かな医療・福祉施策の実施)
 健康長寿の長野県を維持・発展させるため、「長野県地域医療再生計画」に基づき、救急医療やがん対策における高度・専門医療機関の整備・充実、地域の医療機関の連携強化など、地域の医療課題の解決に向けた取り組みを支援します。また、深刻化する医師不足に対しては、昨年設置した「信州医師確保総合支援センター」におけるドクターバンク事業や、医学生に対する修学資金の貸与、働きやすい環境整備などを総合的に推進し、医師の確保・定着と偏在の解消に努めます。年金の減額や介護保険料の引上げ等により大きな打撃を受ける高齢者の負担増を抑制するため、後期高齢者医療財政安定化基金に対する拠出率を引き上げ、次期後期高齢者保険料の上昇を、当初見込まれた8パーセントから5パーセントに抑制します。
 入居待機者の増加が課題となっている特別養護老人ホームについては、新たに520床の施設整備を進めるとともに、障害者の工賃アップを図るため、県内4地域に配置する事業化推進員により、事業所の製品開発や販路開拓を支援します。また、障害のある子どもを対象とした職場体験活動である「ぷれジョブ」を広く普及させることにより、子どもの社会性を育むとともに、障害者を地域で支える体制づくりを進めます。このほか、障害者に対する虐待事件が跡を絶たない状況にあって、障害者支援課に「長野県障害者虐待防止センター」を設置して、虐待に関する相談・支援や啓発活動を強化します。
 「発達障害者支援のあり方検討会」からの報告書を踏まえ、すべての年代にわたって切れ目のない発達障害者支援のための体制づくりを推進します。県立こども病院の医師を派遣して発達障害の診療を行う医師等を対象とした研修や事例検討等を実施し、地域の診療体制を強化します。また、発達障害者やその家族を身近で支えるサポーターを全市町村で養成します。さらに、障害者総合支援センター等に発達障害支援専門員15人を配置して教育現場での相談・指導をサポートするほか、民間の優れた取り組みを支援に活かすべく、発達障害のある子どもに対して専門的な教育を行う学校の創設・誘致を検討します。
 「長野県福祉のまちづくり条例」については、駐車スペースの適正利用を推進する「パーキング・パーミット制度」の導入も含め、より実効性のある条例となるよう改正に向けた検討を進めます。また、誰もが排除されない社会を構築するため、生活困窮者に対する相談や居場所づくりなどを行う民間団体の活動を支援するとともに、当座の生活資金がない方々のために、公的資金の給付等が行われるまでの間に必要な資金の貸付けを行います。
全国最多となる約3万3千人の満蒙開拓団員を送り出した私たち長野県は、多くの犠牲者を出した満蒙開拓に係る史実を通じて、戦争の悲惨さ、平和の尊さを次の世代に語り継ぐ責任があります。このため、飯田・下伊那地域の元開拓団員や御遺族の皆様などが建設に向け主体的な取組をされてこられた「満蒙開拓平和記念館」に対し、南信州広域連合とともに建設費を助成します。

(自然と人が共生する豊かな環境づくり)
 かけがえのない地球環境と未来の世代の暮らしを守るためには、国際社会の一員として地球温暖化対策を強力に推進しなければなりません。このため、平成24年度で計画期間が終了する「長野県地球温暖化防止県民計画」に替えて、中長期のビジョンと目標、さらに、実効性ある施策を盛り込んだ、地球温暖化対策の新たな戦略計画を策定します。また、「長野県地球温暖化対策条例」については、持続可能な社会の実現に向けてより実効性を高めるため、全面的な見直しを行います。来年度は、企業や家庭における取り組みを一層進めるため、中小企業融資制度資金に節電・省エネルギー対策に特化した新たな資金を創設するほか、「さわやか信州省エネ大作戦」を再度実施し、県民総ぐるみによる節電・省エネルギー対策を推進してまいります。
 豊かな水資源や自然環境は、本県の貴重な財産です。将来にしっかりと引き継ぐため、県版レッドリストの改訂など生物多様性確保のための取り組みを進めるとともに、地下水をはじめとする水資源の保全については、環境審議会に専門委員会を設置し、水源地周辺での土地取引の事前届出制の導入も含めた検討を行うなど、市町村と協力して実効性ある取り組みを進めます。
 東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴う放射能の問題は、未だに継続している災害です。空間放射線量の測定や、農畜産物、水道水等の放射能濃度の検査を今後も継続して実施します。また、小・中学校等の給食で使われる食材につきましては、県内4か所の教育事務所に放射能測定機器を整備し、検査体制を充実します。処理方法が未だに定まっていない県内の放射性物質を含む汚泥等の廃棄物や土壌につきましては、市町村も対応に苦慮しているところであり、県としての対応方針を定めて市町村と連携し適切な処理を進めるとともに、災害廃棄物の広域処理の問題も含め、国が、低い濃度の放射性物質についても、より丁寧で責任ある対応を行うよう強く求めてまいります。

(防災・減災対策の強化など安全・安心な県づくり)
 東日本大震災の教訓を踏まえて、防災体制の充実・強化も急務です。来年度からは、危機管理事象に関する総合調整等を行う危機管理監の職を新たに設置します。また、自衛隊との連絡調整等のため退職自衛官を危機管理部に配置する考えです。原子力発電所が所在していない本県では、これまで、原子力災害に対する備えがほとんどありませんでした。先般、中部電力、東京電力と、原子力発電所の異常時の通報等に関する覚書を結びましたが、他の電力会社とも、順次、同様の体制を整備してまいります。さらに、原子力発電所の事故等に伴う放射性物質の拡散に対する情報収集・連絡体制や、退避・避難体制の整備などを盛り込んだ地域防災計画の「原子力災害対策編」を、今般新たに策定致しました。計画の実効性が上がるよう、市町村とも連携して訓練やマニュアルの策定を行ってまいります。
 県有施設の耐震対策につきましては、「県有施設耐震化整備プログラム」を見直し、災害発生時の指揮・情報伝達の拠点となる合同庁舎や避難所となる高等学校などの耐震化を可能な限り前倒しして、平成27年度までの完了を目指します。また、災害時の医療を支えるため、DMAT指定病院等への衛星携帯電話、アンテナ等の整備による災害時の情報通信の確保や、社会福祉施設・医療施設の耐震化の促進を図ります。大規模災害発生時に道路が果たす役割は極めて重要であることから、緊急輸送路となる道路整備を重点的に実施するとともに、緊急輸送路に隣接する「道の駅」に発動発電機や備蓄倉庫、情報基地局等を整備し、防災機能の強化を図ります。
 犯罪のない安全で安心な社会づくりは、県政の重要な役割です。増加するサイバー犯罪の捜査体制を強化するため、警察官を7人増員するほか、上田警察署の移転改築、松本警察署の耐震化・大規模改修、老朽化した交番・駐在所の改築など、安全・安心の拠点となる警察施設の整備を進めます。また、広い県土を有する長野県にあって、警察の初動体制を強化するとともに、増加する山岳遭難救助に当たるため、2機目となる警察用ヘリコプターを導入します。

【県民主役の自立した県政の実現】
 第五に、「県民主役の自立した県政の実現」について申し上げます。
 県民主役の自立した県政の実現に向けては、先程申し上げました「長野県行政・財政改革方針」に沿って、県民参加と協働を一層推進するとともに、行政経営システム改革などに全力で取り組みます。
 県民の皆様との情報の共有化を図るため、「広報ながのけん」の全戸配布を行うとともに、新聞、インターネットなど様々な媒体を通じて県政に関する情報を県民の皆様の視点でわかりやすく発信します。また、県政タウンミーティングや県政ランチミーティング、新たな総合5か年計画策定に向けた意見交換などを引き続ききめ細かく実施し、県民参加による対話型の県政運営を推進します。さらに、県と市町村に共通する政策課題について対等な立場で話し合う「県と市町村との協議の場」や、「市町村長との意見交換会」などを通じて市町村と問題意識を共有し、相互に協力して施策を推進してまいります。NPOの財務基盤の強化に向けては、幅広い県民や企業からの金銭的な支援が受けやすくなるよう、インターネットを活用して応援したいNPOに寄付することができる新たな仕組みを構築します。
 「長野県地方税制研究会」において、地方分権時代にふさわしい長野県独自の政策税制について検討するとともに、国に対し必要な提言を行ってまいります。また、昨年12月に策定した「長野県ファシリティマネジメント基本方針」に沿って、県有財産の有効活用と総量縮小、県有施設の長寿命化に取り組みます。このほか、地方事務所が地域における県行政の総合調整機関としてその機能を最大限発揮できるよう、地方事務所長の判断により機動的かつ迅速に執行できる調整費を創設し、地域の自主性・主体性を活かした県づくりを推進します。
 本年度実施した信州型事業仕分けにつきましては、55事業の仕分け結果を踏まえ、県民や市町村の皆様からの御意見も伺った上で今後の対応を決定しました。4事業を廃止・一部廃止とし、34事業について役割分担や事業内容の見直しを行った一方、6事業については事業内容の拡充を図ることとしております。
 本来、政策評価や事務事業の点検は、政策の方向性や事務事業の目標設定と不可分のものであることから、今後、新たな総合5か年計画の策定に併せて政策評価・事業点検のあり方を一体的に検討してまいります。県民参加と公開性の確保というこれまでの取組を活かした新たな仕組みを構築し、平成24年度中の試行を経て、平成25年度からは本格的に実施したいと考えております。先般、県議会の皆様とともに新たな仕組みについて検討を進めてまいりたい旨、和田副知事から村石議長あてに申入れをさせていただきました。県民の期待にこたえることができる制度を構築することができますよう、県議会の皆様の御理解と御協力をお願いする次第です。
 
 以上、施策の概要について申し上げました。

【条例案ほか】
 条例案は、新設条例案2件、一部改正条例案37件、廃止条例案3件の、合わせて42件であります。
 新設する条例案のうち、「信州登山案内人条例案」は、登山者等の案内を業とする信州登山案内人の登録制度を創設するものであります。信州登山案内人による質の高いサービスの提供により登山者等の本県への来訪を促進し、本県の山岳観光の振興を図ってまいります。
 一部改正条例案のうち、「特別職の職員等の給与に関する条例の一部を改正する条例案」は、教育委員会の委員など行政委員の報酬について、有識者による行政委員報酬検討会での検討結果を踏まえ、現行の月額制を、勤務実態に応じて支給する日額・月額併用制に改めるものであります。
 このほか、本年度実施した条例の一斉点検の結果を踏まえ、役割を終えた条例を廃止するとともに、現状に合わない条例について規定の整理を行いました。

 事件案は、「包括外部監査契約の締結について」など19件であります。

 専決処分の報告は、「交通事故に係る損害賠償の専決処分報告」など8件であります。

 以上、今回提出いたしました議案につきまして、その概要を申し上げました。何とぞよろしく御審議の程お願い申し上げます。


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