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最初に、一言申し上げます。
全国で感染が報告されております高病原性鳥インフルエンザについてですが、長野県においても、2月14日に愛知県で発生した2例目の農場との間に疫学上関連がある3つの農場が、昨日確認されました。
県では、本日、当該農場に対し、家畜伝染病予防法に基づく移動制限措置を行うとともに、精密検査を実施しているところです。
引き続き、監視体制を強化し、万全の対策を講じてまいります。
ただいま提出いたしました平成23年度当初予算案をはじめとする議案の説明に先立ち、新年度の県政運営に向けての所信などについて申し述べさせていただきます。
【県政に取り組む基本姿勢】
1990年代の失われた10年を経て、21世紀という新しい世紀に入って早くも10年。しかし未だに我が国は、人口増加、高度成長が終焉(えん)した後の新しい針路を定めることができていません。リーマンショックや円高などの荒波が次々と襲いかかる中、社会は停滞し、多くの人々は閉塞(そく)感にとらわれています。長野県でも、今後20年間で総人口が約30万人減少すると見込まれる中、年少・生産年齢人口が人数、割合ともに減少する一方で、65歳以上の高齢者人口の割合が増加していくという、高度成長期を上回る人口構成の急激な変化が間近に迫っており、どのような社会を築いていくのかが大きな命題となっています。
私は、新しい時代を切り拓いていくためには、これまでの延長線上にある取組を徒(いたずら)に繰り返すのではなく、私たちの価値観や社会・経済の仕組みを大きく変革していかなければならないと考えています。激動する世界の中で、内向きの思考で過去の成功体験にしがみつくのではなく、未来志向で現状を打破していかなければなりません。
本格的な人口減少・高齢社会にあって、21世紀型の暮らしともいうべき新しい価値観が求められています。いわゆる「モノ」という概念ではない領域で豊かさを感じることができる社会。すべての人に居場所と出番があり、当事者として参加することができる社会。健康で長生きができ、環境と調和し持続可能な社会。私たちの長野県は、先人たちの努力や恵まれた自然環境のお陰で、こうした新しい社会への最短距離に位置しているといっても過言ではないでしょう。しかし、その実現のためには県民の皆様と共有できる明確なビジョンと戦略が必要です。社会・経済環境が急速に変化する中、新しい県政の針路を定めるのに一刻の猶予も許されません。
このため、本年は、県民の皆様とともに長野県の将来ビジョンと戦略を議論し、新たな総合5か年計画の策定に取り組んでまいります。先達に学びつつ、長野県の未来を切り拓き、長野県全体を元気に、そして、安心して暮らせる地域にするため、新しい課題、難しい課題に、細心の注意を払いつつも、失敗を恐れず積極果敢に取り組んでまいります。新しい県政を進めていく上で、車の両輪としての議員各位の一層の御理解と御協力を賜りますよう、お願い申し上げます。
【地方分権改革の取組】
県民主権の県政を実現するためには、本当の意味での地方分権改革、すなわち、国から地方へ権限と財源を大幅に移転し、地域のことは地域で解決することができる仕組みの実現が欠かせません。
政府は、昨年6月に策定された地域主権戦略大綱を踏まえ、基礎自治体への権限移譲と義務付け・枠付けの見直しに係る一括法案を今通常国会に提出する予定としております。しかしながら、地方が強く主張する「国と地方の協議の場」の設置などが盛り込まれた地域主権関連3法案は、昨年の通常国会に提出されて以来、未だ継続審査中で法制化には至っておらず、地域主権改革の歩みは、私たち地方自治の充実を願う立場からすると極めて緩やかなものと言わざるを得ません。この状況を傍観しているのではなく、国と地方の関係に正面から向き合い、地方としても主体的に地方分権の実現に取り組むことが重要です。
このような動きに迅速かつ的確に対応するため、本年4月に「地方分権推進室」を新設いたします。さらに、市町村の皆様の御理解をいただきながら、県と市町村に共通する政策課題などについて対等の立場で話し合う「県と市町村との協議の場」を制度化いたしたいと考えております。県内77市町村と連携を図りながら、地方分権の推進と、県及び市町村の施策の効率的、効果的な推進に積極的に取り組んでまいります。
【経済・雇用情勢、国の予算編成、県財政の見通し】
さて、我が国の経済は、リーマンショック後の経済危機を克服するために累次にわたって実施された政府の経済対策の効果や海外経済の改善などを背景に持ち直しつつあるものの、その動きには一服感も見られ、雇用は依然厳しい状況となっています。
こうした厳しい経済・雇用情勢の下、政府は、昨年、「新成長戦略実現に向けた3段構えの経済対策」を策定し、スピード感を重視して、その第1弾として予備費の活用を、第2弾として補正予算を編成し、景気・雇用の両面から経済の下支えを図ってきたところであります。長野県も、国の動きに呼応し、昨年の9月、11月、そして、本年1月と連続して経済・雇用対策に係る補正予算を編成し、議決を賜りました。
平成23年度の国の予算案は、その第3弾として、経済対策の着実な推進を図るとともに、成長と雇用に重点を置いた予算となっており、税制改正も含め、経済成長の実現を確かなものにしていくこととしております。
国の地方財政への対応につきましては、地域主権改革に沿った財源の充実を図るため、地方交付税総額が増額され、また、地方の一般財源総額は前年度と同水準が確保されています。長野県として、その縮減を強く求めていた臨時財政対策債が約2割縮減とされたことは、地方財政の健全化に関して一定の配慮がなされたものと評価しています。
しかしながら、今後、国、地方ともに財源が限られる中で、増加し続ける社会保障関係費にどのように対応していくのか、税制の抜本改革、地方財政制度のあり方、更には国と地方の役割分担などについて、将来を見据えた議論が必要です。政府においては、改革に向けて本腰を入れて取り組まれることを期待しています。また、長野県をはじめ地方自治体が新年度予算を円滑に執行することができるよう、国会での速やかな予算審議と年度内の予算成立を強く望むものであります。
平成23年度の県財政につきましては、昨年前半までの景気回復の動きを反映し、県税収入は法人二税を中心に平成22年度を上回る見込みですが、足踏み状態にある最近の景気の先行きなどを踏まえますと、大幅な増加を見込むことはできません。一方、医療や介護などの社会保障関係費は増加の一途をたどっており、公債費も高い水準にあることから、財政状況は不透明感を抱えながら引き続き厳しいものと見込まれます。
以上のような経済・財政状況を踏まえ、平成23年度の当初予算案を編成いたしました。
【平成23年度当初予算編成】
今定例会に提出いたしました平成23年度の当初予算案及びその他の案件について御説明申し上げます。
平成23年度の当初予算総額は、一般会計8,464億2,006万3千円、特別会計2,166億5,916万3千円、企業特別会計132億5,417万8千円であります。特別会計は、公債費特別会計など12会計、企業特別会計は、電気事業及び水道事業の2会計であります。
当初予算案では、「ともに支える確かな暮らし」を実現するため、今年度の1月補正予算と一体的に編成した経済・雇用対策に積極的に取り組むとともに、中期総合計画との整合を踏まえながら、昨年、私が県民の皆様にお示しした公約を誠実に実行することを強く意識して、「教育・子育て先進県の実現」、「産業力、地域力の強化」、「暮らしの安心確保」、「県民主役の自立した県政の実現」の4つの政策の柱を重点的に推進することといたしております。
当初予算の編成に当たっては、厳しい財政状況の下、選択と集中によりメリハリのある予算とするとともに、県債については、現下の経済情勢等を踏まえ、県民生活の安全・安心と地域の活性化に必要な社会資本整備の事業量を確保しつつ、可能な限り子どもたちの世代に多額の付け回しをしないという観点から、臨時財政対策債を含めた県債発行額を一般会計で前年度当初予算額から167億円縮減し、財政の健全化にも配慮いたしました。
【経済・雇用対策】
県民の皆様の確かな暮らしを守るためには、まずは現下の厳しい経済・雇用情勢に対する積極的な対応が必要です。経済・雇用対策につきましては、これまでの国の補正予算等で措置された基金を最大限活用し、雇用をはじめ、消費者、子育て、介護、医療、環境、森林整備など広範にわたって積極的に取り組むこととし、前年度に比べ事業費を大幅に増額いたしました。また、特別養護老人ホームや医療施設、高等学校や特別支援学校、警察署等の整備費を増額するとともに、県単独公共事業については、維持修繕工事の割合を高くし、地域のニーズにきめ細かく対応できるよう配慮しつつ増額するなど、住民生活に身近な社会資本整備については全体として前年度並の事業費を確保し、県内経済の下支えを図ってまいります。
厳しい雇用情勢に対応するため、ジョブカフェ信州や緊急求職者サポートセンターにおける就労等の支援や技術専門校などを活用した職業訓練を行うとともに、未就職の高校卒業者への就職支援など、ハローワークや市町村など関係機関と連携し、基金の活用も図りながら雇用の創出に取り組んでまいります。なお、パーソナル・サポート・モデル事業につきましては、本年3月から長野県労働者福祉協議会により運営されますが、この取組を全国的な制度として定着させることができるよう、ぜひ成功させていきたいと考えております。
以下、主な施策について、中期総合計画に掲げる施策も踏まえつつ、順次御説明申し上げます。
【教育・子育て先進県の実現】
第一に、「教育・子育て先進県の実現」について申し上げます。
子どもは社会の宝です。明日を担い未来を拓く子どもたちが、健やかにたくましく育っていくことができるような社会にしていくことは、我々大人に課せられた責務です。教育力を高め、長野県教育の再生を目指すとともに、社会全体で子ども・子育て支援をするべく、知事として責任を持って取り組みます。ニートやひきこもり、不登校や発達障害などの課題に対し部局横断的に取り組んでいくため、「次世代サポート課」を設置し、教育委員会をはじめ関係部局やNPO等と連携・調整を図りつつ、子どもや若者に関する施策を総合的に推進します。
教育の充実につきましては、特に学習環境が大きく変わる中学校入学時に生じる、いわゆる中1ギャップ問題の解決を図るため、新たに中学校1年に 30人規模学級を導入し、これまでの小学校での取組を踏まえながら、生徒一人ひとりに応じたきめ細かな教育を行います。また、各学校が全国学力・学習状況調査のデータを分析し、浮き彫りになった課題に対して学力向上の明確な目標を立て、その達成に向けて指導方法の改善や教員の指導力・力量の向上に取り組むなど、客観的なデータに基づく「目標達成型」の学力向上に取り組んでまいります。深刻化する不登校問題について、地域の実情に応じた市町村の取組を促進するとともに、スクールカウンセラーの配置充実や教育事務所への支援チームの配置などにより相談・支援体制を強化します。高等学校につきましては、魅力ある高校づくりを目指し、地域の御理解をいただき既に整備を進めております飯山及び飯田地区に加え、新たに須坂、佐久、大町の各地区の高等学校の再編整備にも着手します。中高一貫校として県立の附属中学校を平成24年4月には屋代高等学校に、26年4月には諏訪清陵高等学校に設置するべく準備を進めます。特別支援学校につきましては、長野地区の再編整備を進めるとともに、分教室の設置や教員の配置、就労支援などを充実します。このほか、私立高等学校生徒の教育機会の確保を図るため、保護者負担の軽減について制度を拡充いたしました。また、教育課題を、学校のみならず家庭や地域が連携して、その解決に向けて取り組むため、学校をサポートする体制づくりを進めます。
さらに、豊かな心と健やかな体を育むため、子どもたちに農業体験を通じて食を学ぶ機会を提供するほか、子どもたちの体力向上に向けた取組などを推進します。また、本年8月、県内各地で開催される北信越国体に万全を期するとともに、競技力の向上など、スポーツの振興を図ってまいります。
子育て支援体制の充実につきましては、小児救急や周産期の母子への医療体制の充実を図るとともに、延長保育や病児・病後児保育など多様な保育サービスの提供や放課後児童クラブの運営支援などにより安心して子どもを生み育てられる環境づくりを進めてまいります。また、安心こども基金を活用し、民間保育所の整備や児童養護施設の環境改善、市町村が地域の実情に応じて取り組む子育て事業への支援を進めます。「ながの子ども・子育て応援県民会議」と連携し、男性の子育て参加の促進や企業・店舗等による子育て家庭への割引サービス等の提供など、幅広い分野のネットワークによる連携・協力の下、県民総ぐるみで子どもを育む県づくりを進めてまいります。
全国的に重大な事件が相次いでいる児童虐待につきましては、相談機能の充実を図るため、児童相談所職員の増員や児童の入所・相談状況を一元管理するシステムの導入、市町村や学校、警察、医療機関などとの連携強化に取り組むとともに、平成24年2月を目途に中央児童相談所の移転改築を進めます。また、国の制度では対象とならない軽度・中等度の難聴の子どもへの補聴器購入に対し新たに県単独で助成するなど、これまで制度の狭間となっていた部分にも光をあて、きめ細かな対応をしていきます。このほか、子どもたちの権利を守り、未来を担う子どもたちが将来に希望を持ち、伸び伸びと健全に育つ環境を提供するため、「子どもの権利条例(仮称)」の制定に向けた検討に取り掛かります。
【産業力、地域力の強化】
第二に、「産業力、地域力の強化」について申し上げます。
県民の皆様の確かな暮らしを守るためには、長野県産業を元気にしていく必要があります。このため、長野県の事業所の大多数を占める中小企業の振興を目指し、「中小企業振興条例(仮称)」の制定に向けた検討を行います。また、大都市圏における県産品の認知度向上を図るため、展示商談会を開催するとともに、コンビニエンスストアを活用した長野県のアンテナショップを東京に次いで名古屋にも開設するなど、食品や農林水産物、工業製品や伝統工芸品、さらには観光など全体で長野県ブランドの創出促進と発信力の向上を図ってまいります。
地域を支える力強い産業づくりに向け、昨年設置した信州経済戦略会議での御提案をできるものから具体化していきます。その一つとして、ものづくり産業、観光業、農林業など分野を横断したプロジェクトチームにおいて具体的な国際戦略を検討し、長野オリンピックで培われたNAGANOブランドを活用しながら、今後ますます重要性が高まる海外市場の獲得や海外との交流・連携に積極的に取り組みます。産学官の連携により、長野県が優位性を持つ超精密・微細加工技術などの更なる集積を目指すとともに、農林水産物など特色ある地域資源を活用した新たな産業の創出を総合的に支援します。工業技術総合センターによる分析・測定などの技術開発支援の強化、アジア市場をターゲットとした販路開拓への支援の充実、さらに事業資金の円滑な供給など、総合的なサポート体制により、世界へ飛躍するものづくり産業の構築を図ってまいります。また、企業立地を促進するため、リース方式を導入するなど県営産業団地の分譲方法を見直すとともに、助成金の要件緩和や不動産取得税の課税免除期間の延長を行います。このほか、来年、長野県で開催される技能五輪全国大会とアビリンピックの準備に万全を期するとともに、選手の育成や高校生等のキャリア教育の推進など産業人材の育成と能力向上を図ってまいります。
昨年秋の信州デスティネーションキャンペーンでは、期間中、前年を上回る観光客にお越しいただき、県内観光地は賑わいを見せました。この効果を継続させるため、これまでの地域の取組を更に発展させ、「未知を歩こう。信州」をテーマにした県内全域を対象とする観光キャンペーンを行うとともに、来年1月の長野県のスキー発祥100周年にあわせて、スキー場関係者と一体となったプロモーションを展開してまいります。また、「国際観光推進室」を設置し、成長著しい中国など海外からの旅行者の誘致活動を強化します。このほか、信州まつもと空港を拠点とした周遊観光の推進や北陸新幹線延伸に向けた観光振興策にも力を注ぎ、「観光立県 長野」の再興に努めてまいります。
地域が輝く元気な農業・農村の構築につきましては、競争力のある付加価値の高い農業の産地づくりを進めるため、コーディネーターを配置し、産地の魅力や顧客の志向に沿った取引を推進するとともに、果樹農業の再構築を図るため、県オリジナル品種の長期出荷への体制整備やりんごの新わい化栽培の普及、果樹園の円滑な継承等を支援します。また、「シナノゴールド」の知的財産を活用し、ヨーロッパでの商業栽培許諾を進めます。将来の農業担い手確保・育成については、首都圏でのセミナーの実施など、県外の就農希望者を長野県に呼び込むための相談や農業体験・研修などの受入活動を充実し、農業に定着できる環境を整備するほか、本年11月に松本市で全国農業担い手サミットを開催します。このほか、農産物の安定生産に不可欠な用水路等の生産基盤について、補修等を計画的に進めます。
持続可能な林業・木材産業の振興につきましては、県内の間伐材等の森林資源が将来にわたって円滑に生産、流通、利用できる仕組みを構築するため、森林施業の集約化、作業路網の整備など間伐材搬出の低コスト化、住宅や公共的建築物への県産材の活用促進などに取り組みます。また、急増する野生鳥獣被害に対応するため、庁内関係部局や県境を越えた連携により、調査・研究、指導体制整備、侵入防止柵による防除や捕獲対策、ジビエ活用など総合的に取り組んでまいります。
交流が広がり活力あふれる地域づくりにつきましては、「地域発 元気づくり支援金」を前年度と同額を確保し、地域の元気を生み出すモデル的で発展性のある事業を支援するほか、「地域戦略会議」を広域圏ごとに設置し、市町村と連携しながら広域的な課題の解決に向けて積極的に取り組んでまいります。
さらに、都市圏をはじめとした県外から長野県への移住や交流を促進するため、「移住・交流推進本部」を設置し、具体的な戦略を策定します。
住み慣れた地域で暮らしていくためには、交通ネットワークの確保が欠かせません。バスや鉄道の路線など地域の公共交通を、市町村、事業者、住民が一体となって支えていくことを基本に、地域における路線の維持や地域の実情に即した交通システムの再構築に向けた先駆的、主体的な利用促進の取組を支援します。道路ネットワークの整備につきましては、老朽化の進む橋梁(りょう)の長寿命化を図るため、これまで計画的に実施してきた修繕に加え、トンネルや吹付け法面などの道路構造物について、それぞれの性質に応じた適切な維持管理を行う計画を策定し、社会資本ストックとしての道路の維持管理費の平準化とライフサイクルコストの縮減を図ってまいります。また、高速交通ネットワークの整備につきましては、中部横断自動車道や三遠南信自動車道など高規格幹線道路の整備促進、北陸新幹線の長野・金沢間の平成26年度末までの開業に向けた建設を促進するとともに、長野以北の並行在来線の存続に関係自治体と連携しながら精力的に取り組みます。リニア中央新幹線につきましては、整備による経済効果や利便性ができるだけ県内の広範囲に及ぶよう、関係者と力を合わせて取り組みます。信州まつもと空港につきましては、市町村、経済団体等と連携しながら、福岡地域におけるFDA(フジドリームエアラインズ)の認知度向上や利用促進などに一層取り組みます。
ライフスタイルの変化やモータリゼーションの進展などに伴い中心市街地の空洞化が進み、移動手段を持たず日常的に買い物に支障を来たしている高齢者等に対応するため、商店街や市町村が連携し買物環境の改善に向けて行う意欲ある取組を支援します。また、空き店舗を活用して商業の担い手育成を行う「街なか創業塾」の開設など、商店街の賑わいの再生に向けた総合的な対策により、活力ある商業・サービス業の振興を図ってまいります。
このほか、開催20回目となる節目の年を迎え、世界への大きな飛躍を目指し名称変更が検討されているサイトウ・キネン・フェスティバル松本への支援など、生活を彩る文化芸術の振興に取り組んでまいります。
【暮らしの安心確保】
第三に、「暮らしの安心確保」について申し上げます。
安心で質の高い医療の確保につきましては、医療の担い手の養成・確保を図るため、医学生への修学資金の貸与や、医療事務作業補助者(医療クラーク)を新たに配置する病院を支援し、勤務医の負担軽減を図るなど医師確保対策を進めます。看護大学に認定看護師の養成講座を開設するとともに、老朽化した木曽看護専門学校を旧木曽山林高校の校舎を活用して移転するなど、専門性の高い看護師の養成と教育環境の整備を図ってまいります。また、地域医療再生基金を活用して、各地域の課題に対応した体制整備への支援を充実するとともに、昨年、地方独立行政法人に移行した県立病院が、効率的な経営の下、各病院の特徴を活かしながら質の高い医療を提供できるよう支援を行います。さらに、歯科保健推進計画の策定をはじめ、関係者からなる「がん対策推進協議会(仮称)」の設置、市町村が行う認知症高齢者の見守り活動の実施、うつ病も含めた自殺予防対策など、心と体の健康づくりを総合的に推進します。なお、検討を重ねてまいりました中南信地域へのドクターヘリの増強につきましては、信州大学医学部附属病院に配備することとし、佐久総合病院とあわせた2機体制で、県内全域での救急医療体制の強化を図ってまいります。
高齢者や障害者が地域で安心して暮らすことができる社会づくりにつきましては、援護を必要とする方に対して、保健、福祉、医療、介護などの連携により、よりよいサービスを提供し、地域全体で支えていく体制を構築するため、リハビリや在宅介護など住み慣れた地域でのケア体制の充実を図るとともに、特に入所待機者の増加が課題となっている特別養護老人ホームについては前倒しで整備を行うなど、地域の実情を踏まえた社会福祉施設の整備を積極的に促進します。また、介護などの担い手確保や資質向上を図るため、介護職員の処遇改善や資格取得に向けた研修支援などを行います。
発達障害のある方への支援につきましては、県発達障害者支援センターにおける相談や発達障害支援専門員による小・中学校、高校などの教育現場のサポート、こども病院をはじめとする県立病院機構における専門的な診療などにより、ライフステージに応じた支援を推進するほか、継続的な支援のあり方について検討いたします。また、障害のある人もない人も、誰もがお互いに尊厳を重んじて支え合い、心豊かに地域で安心して暮らすことができる県づくりを目指し、「障害者差別禁止条例(仮称)」の制定に向けた研究会を設置いたします。このほか、ひとり親家庭の就業支援、乳幼児や障害者、ひとり親家庭等の医療費自己負担分の軽減措置を図るなど、誰もが安心して日常生活を送ることができるような支援を行ってまいります。
人権が尊重される社会づくりにつきましては、人権啓発センターによる相談・支援のほか、学校、家庭、地域、職場など様々な場における啓発などを通じて、県民一人ひとりの人権尊重意識の高揚を図ってまいります。
男女共同参画社会づくりにつきましては、第3次長野県男女共同参画計画に沿って、県の審議会等への女性委員の積極的登用や起業などに挑戦する女性への支援、男女ともに職場や家庭、地域活動に参画できる社会を目指すワーク・ライフ・バランスの推進などに重点的に取り組みます。
二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの増加による地球温暖化の問題は、すべての生物の生存基盤に影響を与えかねない喫緊の課題となっています。これまでの産業や家庭など各部門における自主性を尊重した取組から一歩進んで、排出削減のための新たな仕組みづくりや新エネルギー導入促進策など、より実効性の高い施策を展開できるよう、「温暖化対策課」を設置し、温暖化対策の再構築を進めます。電気自動車の民間とのカーシェアリングをモデル的に実施するほか、県有施設の省エネを促進するため、新たに松本文化会館へのESCO事業導入を検討するなど、参加と連携で地球温暖化対策を推進してまいります。
県民の皆様から広く御負担いただいております森林づくり県民税を活用して、手入れの遅れている里山を中心とした間伐を進めるとともに、新たに「炭素固定量認証制度」を構築するなど、県民の皆様の一層の御理解をいただきながら、未来へつなぐ森林づくりを推進します。また、生物多様性確保対策を進めるほか、県産木材の使用や環境に配慮した「信州型エコ住宅・環(わ)の住まい」の整備促進、食べ残しの削減、廃棄物の適正処理の推進などにより、資源循環型社会の形成に取り組みます。さらに、県が実施主体となる公共事業について、環境アセスメント制度に加えて県独自の基準を設け、できるだけ環境へ負荷をかけないよう努めるなど、長野県の誇りである豊かな自然環境の保全を推進します。
生活の安全面での対策も重要です。地域防災体制の強化と災害に強い県土づくりを図るため、社会福祉施設などに配慮した砂防施設の整備や、森林の山地災害防止機能を発揮させるための治山事業、災害時の緊急輸送路となる道路や橋の整備など、住民生活に身近な社会資本整備を着実に推進するとともに、防災拠点となる県庁舎や高等学校など県有施設の耐震化や住宅等の耐震診断・改修を計画的に進めます。また、地域防災の要である消防団の充実強化への支援や各機関が連携して行う様々な防災訓練を通じて、災害時に即応できる体制の確立と防災意識の高揚を図り、日ごろの備えに万全を期するとともに発生時の適時適切な対応に努めてまいります。
犯罪の起きにくい社会をつくるため、地域の防犯ボランティアの育成や万引き防止対策、地域住民の自主防犯活動の支援を総合的に行います。また、捜査体制等の強化を図るため、警察官を10人増員するほか、交番・駐在所の改築や統合、上田警察署の移転改築を進めるとともに、松本警察署の耐震化事業に着手します。
交通安全対策の推進につきましては、信号機の新設・改良や歩道の整備など安全・安心な道路環境の確保、高齢者等に配慮した交通安全教育を推進するほか、東信地域に運転免許サブセンターを設置します。
このほか、消費生活の安定と向上を図るため、住民に最も身近な市町村における相談窓口の機能強化に向けた支援を行います。また、食品の安全を確保し、県民の食品に関する不安を解消するため、「食品安全・安心条例(仮称)」の制定に向け検討を進めてまいります。
【県民主役の自立した県政の実現】
第四に、「県民主役の自立した県政の実現」について申し上げます。
これからの長野県づくりは県民の皆様が主役です。そのためには、県の情報をより広範にわかりやすく提供するなど、県民の皆様との情報の共有化が必要です。県の施策などの県政情報を、「広報ながのけん」の冊子の全戸配布やインターネット放送などにより、一人でも多くの県民の皆様にお知らせし御理解いただけるよう、情報発信力の向上を図ってまいります。また、引き続き、県政ランチミーティングやタウンミーティング、市町村長との意見交換などをきめ細かく行ってまいります。
「新しい公共」の担い手として、自立的・主体的な活動を行っているNPO等の果たす役割はますます大きくなってきております。有識者やNPO代表者等からなる円卓会議において、これまで行政が担ってきた「公」の領域を、住民や企業、ボランティアやNPOなどの「民」が参画し協働して支えていく仕組みを検討し、長野県にふさわしい形を構築してまいります。また、「県民協働・NPO課」を設置し、県民の皆様から様々な御提案をいただきながら、県民の皆様と県との協働の取組を進めます。
自立した県政を支える基盤となる県財政につきましては、引き続き厳しい状況が見込まれることから、現行の「行財政改革プラン」の取組を検証し、簡素で効率的、効果的な行政運営の確立と持続可能な財政構造の構築を図るため、新年度早々に「行政・財政改革推進本部」を立ち上げ、平成24年度以降に講じるべき新たな方策について検討してまいります。自主財源の根幹である県税については、厳正な滞納処分の実施や本年4月から本格的に業務を開始する長野県地方税滞納整理機構の取組などを通じて、収入増を図ってまいります。地方分権の時代にあって、長野県にふさわしい税制のあり方などを検討する場として、有識者による「長野県地方税制研究会(仮称)」を設置します。また、公共資産としての県有財産全体について、長期的な観点から費用と便益の最適化を図りながら、総合的な利活用を行うファシリティマネジメントに本格的に取り組みます。
信州型事業仕分けにつきましては、先行実施した先月15日及び16日には、会場での傍聴者だけでなく、ケーブルテレビやインターネットでの同時中継を通じて、多くの皆様に御覧いただき、多くの御意見も頂戴しました。限られた時間の中での実施であったこともあり、課題は様々ありましたが、行政の効率化や国などとの役割分担の明確化を図り、県民参加を推進し、県民主権の県政を実現していくための有効な手段になり得るものと強く感じたところです。仕分けを行った29事業のうち、「不要」とされた4事業につきましては、「廃止」又は「一部廃止」とするなど、仕分けの結果を新年度予算に最大限反映することといたしました。その他、「要改善」とされた事業につきましても、一部新年度予算に反映するとともに、一定の時間をいただきながら、今後関係団体との調整などを鋭意進めていくことといたしました。新年度においては、この先行実施の結果を踏まえて、更に県民参加を進める観点で県民判定人方式を取り入れて、信州型事業仕分けを本格的に実施してまいります。
県の施策をより効果的に推進していくためには、部局横断あるいは官民協働の取組により、長野県の総合力を発揮していくことが重要です。これまで述べてまいりました国際戦略や移住・交流推進戦略の策定、「新しい公共」のあり方検討や長野県の魅力発信、信州まつもと空港の活性化や有害鳥獣対策など様々な分野において、部局横断の取組を更に強めてまいります。
また、経済情勢が厳しい中、あるいは格差社会と言われる中で、暮らしの困難に直面されている方に対し、県としてきめ細かな配慮を行っていくことも重要であると考えます。発達障害者へのライフステージに応じた支援や軽度・中等度の難聴児の補聴器購入への助成、私立高等学校の授業料減免制度の拡充、パーソナル・サポート・サービスの提供、うつ病に対する支援体制の充実などを行ってまいります。
最後に、TPP(環太平洋経済連携協定)について申し上げます。
TPPに関しては、特に農業関係者を中心に反対する声、不安視する声が上がっております。この協定は、農業の市場開放のみならず、労働、環境、金融のサービスなど、様々な分野に影響が及び、県民生活にも深く関わってくると思われますので、十分な国民的議論を尽くした上で、慎重な対応を行うよう引き続き政府に求めてまいります。県といたしましても、昨年末に庁内に設置した「包括的経済連携に関する連絡会議」において情報収集に努め、農業の体質強化をはじめとする政策の提言を行うなど、国の動向を注視しつつ必要な対応をとってまいります。
以上、施策の概要について申し上げました。
【条例案ほか】
条例案は、新設条例案2件、一部改正条例案16件で、合わせて18件であります。
新設する「長野県暴力団排除条例案」は、社会全体で暴力団の排除を推進していくため、県、県民及び事業者の責務や基本的施策など必要な事項を定めるものであります。また、「長野県立中学校条例案」は、中高一貫教育を導入するため、屋代高等学校に附属中学校を設置するものであります。
一部改正条例案のうち、「一般職の職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例案」など給与関係条例4件は、昨年の人事委員会勧告に基づき、自宅に係る住居手当を廃止するなど所要の改正を行うものであります。
事件案は、「副知事の選任について」など21件であります。
私は、昨年8月の県知事選挙の公約の一つに、副知事への女性登用を掲げました。このたび選任をお願いする高田(たかた)さゆりさんは、この1月まで消費者庁におられ、また、政府の男女共同参画会議の議員も務められている方であります。私が求める女性の視点での県政運営、また、消費者行政や男女共同参画を推進していく上で正に適任であると判断したところであり、御理解を賜りますようお願い申し上げます。
専決処分の報告は、「交通事故に係る損害賠償の専決処分報告」など5件であります。
最後に、一言申し上げます。
昨年の暮れから、児童養護施設などに、私も子どもの頃にテレビの前に釘付けになったタイガーマスク、伊達直人の名でランドセルなどが贈られるという心温まる動きが、長野県をはじめ全国で広まりました。きっかけや動機など、それぞれ事情はあるでしょうが、こうした、誰かを支えたいという人々の「共感」が社会を変えていく大きな原動力となり得ることを改めて認識いたしました。
私が長野県知事に就任し、県民の皆様とともに、県政発展に向けて歩みを始めてから、およそ半年が経とうとしています。この間、現場の重視を掲げ、既に12回を数えるタウンミーティング及びランチミーティングをはじめ、小学校や病院あるいは工場などの現地に出向き、多くの方々と直接対話を重ねてまいりました。私はその中で、県民の皆様と共感しあうことの重要性を強く感じてまいりました。県民の皆様との共創・協働を一層進めることにより、県民と「共に悩み、共に考え、共に行動する」県組織にしてまいります。
私が執務している知事室には、一色白泉先生の作品である「衆心成城(しゅうしんせいじょう)」という大きな書が飾られています。「衆心城を成す」、皆が心を合わせれば、城のように堅固で破りがたいものになる、すなわち、人々が心を一致させると、大きな力を発揮するという言葉です。県民の皆様と心を一つにし、職員一丸となって取り組んでいくならば、必ずや長野県は新しい時代をいち早く切り拓いていけるものと、私は確信しております。どうか皆様の一層の御支援、御協力を賜りますようお願い申し上げます。
以上、今回提出いたしました議案につきまして、その概要を申し上げました。何とぞよろしく御審議の程お願い申し上げます。
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