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更新日:2015年2月16日

平成26年2月県議会定例会における知事議案説明要旨(平成26年2月19日)

平成26年度当初予算案の概要
平成25年度2月補正予算案(経済対策分)の概要
平成26年2月県議会定例会提出予定条例案の概要
平成26年4月組織改正案

 

 

 ただいま提出いたしました平成26年度当初予算案をはじめとする議案の説明に先立ち、新年度の県政運営に向けての所信などについて申し述べさせていただきます。

 まず、このたびの記録的な大雪についてであります。
 今月14日から降り続いた大雪は、菅平、軽井沢、開田高原及び飯田で積雪の深さが気象庁の観測史上第1位を記録し、県内各地で道路の通行止めや列車の運休のほか、住家の損壊や停電など、住民生活に大きな被害と混乱をもたらしました。この災害でお亡くなりになられた方々と御遺族に対し、深く哀悼の意を表しますとともに、被害を受けた皆様に心からお見舞いを申し上げます。
 この大雪により長時間にわたり多数の車両が道路上に滞留する状況が発生したことを踏まえ、滞留している車両の一刻も早い移動の確保や車内に留まっている方々への水・食料等の支援を行うとともに、孤立集落の解消や最大限の除雪体制による県民生活の安定確保などに関係機関と連携して取り組んでまいりました。この間、15日には、茅野市、軽井沢町、富士見町、御代田町に対し災害救助法を適用し、また、15、16日の両日、自衛隊に災害派遣要請を行いました。引き続き、孤立集落の解消や道路の除雪など、県民生活の安定確保に努めてまいります。

【県政に取り組む基本姿勢】
 今月7日、ロシアのソチで冬季オリンピックが開幕しました。これまで、渡部暁斗選手がスキーノルディック複合で銀メダル、竹内択選手がスキージャンプ団体で銅メダルを獲得するなど、連日、長野県関係選手の活躍が大きく報じられています。選手たちの健闘を称(たた)えますとともに、来月開催されるパラリンピックも含め、引き続き、県民の皆様とともに大きな声援を送りたいと思います。声援を力に変え、夢の舞台で最高のパフォーマンスを発揮されることを期待しています。
 振り返りますと、今から16年前の長野冬季オリンピック・パラリンピックの成功は、私たちに自信と誇りをもたらしました。ボランティア活動を通じて培った支え合いの心、一校一国運動をきっかけとして発展した国際交流、大会の基本理念である「自然との共存」を実践する環境保全の取組など、オリンピック・パラリンピックを通じて得た貴重な経験は、今も大きな財産として県民の中に息づいています。
折しも、1998年は、バブル景気が崩壊した1991年からの失われた10年、20年とも言われる時代の真っただ中にありました。1991年以降も、低いながらも我が国の経済成長は続いておりましたが、1998年には名目経済成長率がマイナスとなり、本格的なデフレ時代に突入することとなりました。日本全体の生産年齢人口がピークを迎えたのもほぼこの時期です。
 長野県に目を転じますと、例えば、年平均の有効求人倍率は1997年の1.23倍から1998年には0.92倍へと後退し、その後、今日に至るまで1997年の数値を上回ることがない状況が続いています。また、本県でもフリーターを含む非正規雇用が拡大するとともにニートが増加し、いわゆる「格差社会」もこの頃から意識されるようになりました。県財政においても、県税収入は1998年の2,647億円がピークであり、その後この水準を超えることができておりません。
私は今、この長野冬季オリンピック・パラリンピック開催後の伸び悩む地域経済に活力を与え、新しい時代を創造していく必要性を強く感じています。そのためには、再度、私たちの足元の価値を見つめ直し、経済的繁栄の確保と心豊かな暮らしの実現のため、英知を結集して取り組んでいかなければなりません。

(経済的繁栄の確保)
 今からちょうど60年前の甲午(きのえうま)の年、1954年からの神武景気により日本の高度経済成長が始まりました。終戦後の焼け野原から出発した日本は、皆が力を合わせて一所懸命働くことにより、世界の中でも最も物質的に豊かな国の一つとなりました。今では、テレビや冷蔵庫、自動車が多くの家庭に行き渡り、パソコンや携帯電話も一人ひとりが持つ時代となりました。この経済的な繁栄を築くため、長野県を含む全国の地方自治体は、学校を作って人材を育て、道路や下水道の整備等でインフラを整え、企業を誘致して働く場を増やし、農業基盤を整備して農作物がたくさん収穫できるようにするなど、大きな役割を果たしてまいりました。
 しかし、経済成長によってモノが飽和状態となり、さらに人口減少時代に突入した今、時代に即して経済構造を大きく転換し、産業競争力の高い安定感のある地域を目指した政策を、これまでとは異なる新たな視点に立って推進していくことが行政に求められています。
 大阪大学社会経済研究所の小野善康教授が指摘するように、我が国は「発展途上社会」から「成熟社会」に移行していることから、経済活動においても、これまで追い求めてきた生産拡大や効率化重視の姿勢から、新たな需要の創造へと重点を移していくことが必要です。
 こうした観点から、「長野県ものづくり産業振興戦略プラン」に基づく次世代産業の創出支援や「おいしい信州ふーど(風土)」プロジェクトによる信州の食のPR、木材需要の増大を目指した「信州F・POWERプロジェクト」の推進、国際観光推進室の設置による海外からの誘客促進などに取り組んでまいりました。今後は、これらの取組を更に加速し、新しいモノやコトの創造を強く意識して、経済の更なる発展を目指してまいります。
また、日本総合研究所主席研究員の藻谷浩介氏が「里山資本主義」で提唱したように、世界人口の急激な増加の中で持続可能な社会を構築していくためには、マネー資本主義の経済システムの横に、お金に依存しないサブシステムを再構築しておくことが重要だと考えます。幸い長野県は、水や農産物、バイオマスといった生活に不可欠な資源に恵まれており、加えて、農産物の自家消費や御近所の「お裾分け」、集落挙げての道路や水路の補修など、必ずしもGDPに換算されない活動が県民の皆様の力で維持されており、現在でも、相対的には安定感の高い地域であると自負しているところです。
 こうした長野県のポテンシャルを一層活かすべく、「長野県豊かな水資源の保全に関する条例」による水資源保全地域の指定や、農業の担い手確保、遊休農地の再生・活用、屋根貸しシステムのような支え合いによる太陽光発電の拡大、薪(まき)ストーブや小水力発電など身近な資源を活かした自然エネルギーの普及などにより、水・食料やエネルギーの安定確保と地産地消を一層推進し、持続可能な生活圏を築いてまいります。

(心豊かな暮らし)
 戦後日本は、経済的な豊かさを第一に追求し、経済成長は多くの果実を私たちにもたらしてくれました。しかし、暮らしのゆとりや精神的な満足感が重視されるようになり、また、人口減少時代に入るなど社会経済環境が大きく変化する中で、県民一人ひとりが安心で心豊かな人生を送るためには、暮らしの確かさを一層向上させていくことが必要です。
これまで、「信州医師確保総合支援センター」の設置やドクターヘリの中南信地域への配備などによる医療体制の強化、パーソナル・サポート・センターによる様々な困難を抱える方々一人ひとりに寄り添った支援、「いじめNO!県民ネットワークながの」による県民全体でのいじめ対策、県民共有の財産である美しい農村風景や文化財の保全活動への支援などに取り組んでまいりました。今後は、県民一人ひとりが健康でいきいきと暮らすための健康づくりと医療の充実、女性や若者、障害者、高齢者など誰もが持てる能力を最大限に活かすことができる社会の実現、美しい景観や豊かな自然環境を守り育てる施策、文化芸術に親しむ機会の充実など、安心、満足、誇りを得られる長野県ならではの心豊かな暮らしの充実に、これまで以上に力を注いでまいります。

(人材の確保・育成)
 以上、申し上げたことを進めるに当たっては、それぞれの分野に人材を得ることが重要です。殊に、教育・人づくりは地域の競争力の源泉でもあります。小・中学校、高等学校における教育の充実により、豊かな心と健やかな身体を育むとともに、県立4年制大学を整備して、地域や産業にイノベーションを創出していく人材を育成します。また、工科短期大学校や農業大学校、林業大学校等では、本県の産業を支える技術・技能を持った職業人材を育成します。このほか、県民の健康を支える食生活改善推進員や保健補導員、発達障害者を支援するサポート・マネージャー、自殺防止活動に取り組むゲートキーパー、地域の風景の魅力や歴史を語り継ぐ「語り部」など、県民の豊かな暮らしを支える人材の確保・育成を進めてまいります。

【組織改正等】
 県組織につきましては、先の県議会定例会で部の改編について御議決をいただきました。これに伴い、本庁課室の再編を行います。政策全般の企画・調整を行う「総合政策課」、健康長寿先進県を継承・発展させる「健康増進課」、山岳県である本県の特性を活かした観光施策を展開する「山岳高原観光課」など新たな組織体制を構築し、「しあわせ信州創造プラン」を力強く推進します。また、横断的な課題に柔軟かつ的確に対応するため、「産業政策監」、「こども・若者担当部長」、「信州マーケティング戦略担当部長」等を配置し、関係部局間の連携を図りながらスピード感を持って施策を推進します。さらに、「職員による政策研究」や「地域に飛び出す職員支援研修」等を通じて職員の「共感力」、「政策力」、「発信力」を更に高め、県民の皆様に信頼され、期待に応えることができる県行政を目指します。

【条例による施策の推進】
 長野県の様々な分野における基本的な考え方や取組の方向性を決める上で、県議会の議決を経て定める条例は大変重要な役割を有しています。今定例会に提出いたしました条例案のうち、政策的に重要な二つの条例案について御説明申し上げます。
 なお、「長野県子ども支援条例」につきましては、より良い条例とするため更に議論が必要と考え、今定例会には条例案を提出せず、先般、要綱案としてお示しをいたしました。今後、多くの皆様の御理解を得て条例案を提出してまいりたいと考えておりますので、議員各位におかれましては、幅広い観点から御議論を賜りますようお願い申し上げます。

(長野県中小企業振興条例案)
 まず、「長野県中小企業振興条例案」についてであります。
 県内企業の99パーセントを占める中小企業は、地域経済の発展と地域社会の安定に重要な役割を果たしてまいりました。しかしながら、人口減少やアジア新興国の台頭などにより経営環境は厳しさを増しており、中小企業の振興は県政の重要課題となっています。そこで、中小企業振興のための基本理念や県の責務、基本的施策などを定めた「長野県中小企業振興条例案」を今定例会に提出いたしました。この条例に基づき、県自らが県内中小企業者の受注機会の拡大と県産品の積極的な購入に努めるとともに、国や市町村、関係団体等と連携して中小企業者の挑戦を応援し、中小企業者が未来への希望を持ち、一層発展していく長野県を目指します。条例の制定を機に、来年度は、100年以上事業を継続し、地域社会・経済の発展に貢献してきた老舗(しにせ)企業を顕彰し、次の100年を担う県内企業の活力向上と起業家精神の高揚を図ります。

(長野県の契約に関する条例案)
 次に、「長野県の契約に関する条例案」についてであります。
 県が締結する契約につきましては、これまで、透明性・公平性の確保や品質の確保が求められてまいりました。これに加え、近年は、県内中小企業者の受注機会の確保、労働者の賃金水準の適正化、障害者雇用の促進、さらには、契約の内容を総合的に優れたものとすることにより県民の皆様に長期的に安全かつ良質なサービスを提供することなど、県の契約に対する社会的要請が多様化しています。そこで、こうした社会的要請に応えるため、県の契約に関する基本理念などを明らかにした「長野県の契約に関する条例案」を今定例会に提出いたしました。今後、この条例に基づいて契約に関する県の取組方針を策定し、契約の締結及び履行の確保を通じて様々な行政目的の実現を図り、県民の福祉の増進を目指します。

【新幹線を活かした地域づくり】
 来年春にはいよいよ北陸新幹線(長野経由)が金沢まで延伸します。この効果を早期に発現させて長野県全体の発展につなげるため、平成27年度新幹線利用者数を平成24年度比80万人以上増加させることを目標に、市町村や経済団体、沿線各県と連携して、首都圏・北陸圏・関西圏での観光PR、広域観光ルートの開発、海外バイヤーの招聘(しょうへい)による商談会の開催など、観光誘客や経済交流の拡大につながる事業を重点的に実施します。また、JR長野駅の長野市観光情報センターに県観光協会の職員を配置し、県内全域の観光情報を発信して観光客の県内周遊を促進します。長野以北並行在来線につきましては、経営を引き継ぐしなの鉄道株式会社の安定的な経営を確保するため、JR東日本からの譲受け資産の取得費や施設・設備整備費、開業準備経費を支援するとともに、北しなの線開業に向けた機運の醸成と利用促進に取り組みます。
 リニア中央新幹線につきましては、まずは「環境影響評価準備書」への対応をしっかりと行ってまいります。関係市町村長からは、これまでに、工事用車両の通行に伴う騒音等の影響や、トンネル掘削に伴う地下水への影響など、様々な御意見をいただいており、現在、技術委員会で慎重に審議が進められています。こうした声を十分に受け止め、環境への負荷ができる限り低減されるよう知事意見を取りまとめるとともに、本県の意見が反映されるよう、環境省や沿線都県とも連携を図ってまいります。地域に丁寧な説明を行うことなど環境保全にとどまらない様々な御意見につきましては、JR東海に対し適切な対応を求めてまいります。また、リニアの整備効果を広く県内に波及させるため、現在、「長野県リニア活用基本構想」の策定を進めています。この中で、県内駅を駅勢圏とする上伊那・下伊那地域を「伊那谷交流圏」、県内駅に加えて山梨・岐阜両県の駅利用が見込まれる諏訪・木曽・松本及びその近隣地域を「リニア3駅活用交流圏」、県内全域を「本州中央部広域交流圏」と位置付けて、それぞれの交流圏の目指す姿を明らかにし、地域振興や道路ネットワークなどの基盤整備に取り組んでまいります。さらに、4月には庁内に私を本部長とする「リニア中央新幹線地域振興推進本部」を設置するとともに、「リニア推進担当部長」を配置して、総合的・効果的な施策推進のためリニア中央新幹線に関する体制を強化します。

【県立4年制大学と高等教育の振興】
 新たな県立4年制大学につきましては、県立大学設立準備委員会における議論を踏まえ、先般、施設整備基本方針を決定いたしました。
 新たな県立大学のキャンパスは、現在の長野県短期大学が所在する長野市三輪に設置し、長野市立後町小学校の跡地に学生寮と地域貢献型施設を整備します。施設整備に当たっては、グローバル社会に対応する実践的な英語力の習得や一学年全寮制による人間関係形成能力の育成など、特色ある教育を行い、学生が勉学に集中できる設備・機能を備えるとともに、自然エネルギーの活用など環境・景観と調和するキャンパスとします。建設事業費につきましては、施設の効率的配置や既存施設の有効活用などの工夫を行い、概算で97億円程度と見込んでいます。なお、開学の時期は平成30年4月を目標とし、施設整備のほか、優秀な教員の確保、海外留学先の開拓など、教育内容の充実を図るべく準備に万全を期してまいります。
 教育課程につきましては、県内私立大学や県民の皆様からいただいた御意見等を踏まえ、現在、教育課程・教員選考専門部会で人材育成機能を重視した教育課程のあり方等について検討を進めており、今後、年度内を目途に教育課程編成方針を固めてまいります。

 長野県が持続的に発展していくためには、県内の大学・短期大学が「知の拠点」として教育・研究の成果を地域課題の解決に活かしていただくことが必要です。幸いにも、県内大学の地域貢献の取組は全国的にも高い評価を得ており、こうした取組を更に加速し、大学・短期大学が持つ資源を活かした活力ある地域づくりを進めることが肝要と考えます。そこで、県内大学・短期大学と地域が連携して行う地域課題の解決に向けた取組を財政的に支援することといたしました。また、意欲や能力が高いにもかかわらず、経済的な理由から進学が困難な高校生の県内大学・短期大学への進学を支援するため、全国で初めて、入学一時金に相当する金額を支援する給付型の奨学金を創設します。さらに、県内大学、産業界、行政の協働による「長野県産学官協働人財育成円卓会議」の成果をアクションプランとして具体的に取りまとめ、実行に移してまいります。

【経済・雇用情勢、国の予算編成】
 昨年の我が国経済を顧みますと、「大胆な金融政策」、「機動的な財政政策」、「民間投資を喚起する成長戦略」のいわゆる「三本の矢」による一体的な政策効果もあり、個人消費は持ち直し、企業収益の増加から設備投資が持ち直しつつあるなど、着実に景気が回復してまいりました。先行きにつきましては、雇用・所得環境が改善し、景気回復の動きが確かなものとなることが期待されるものの、消費税率の引上げに伴う駆け込み需要の反動減などに留意が必要であり、景気下振れリスクに適切に対応することが求められています。

 こうした経済・雇用情勢を受け、国の平成26年度予算案は、経済の再生とデフレ脱却を目指し、「好循環実現のための経済対策」に基づく平成25年度補正予算と一体的に編成されました。未来への投資や暮らしの安全・安心の確保など、経済成長に資する施策に重点化が図られています。地方財政への対応につきましては、地方が求めてきた歳出特別枠と地方交付税の別枠加算の存続が図られ、本年度を上回る地方一般財源総額が確保されたこと、また、臨時財政対策債が縮減されたことは一定の評価をしています。引き続き、地方分権の推進と地方財政の健全性を確保する観点から、国・地方の税体系の抜本的な見直しや臨時財政対策債の廃止を国に求めてまいります。

【平成26年度当初予算編成】
 今定例会に提出いたしました平成26年度の当初予算案及びその他の案件について御説明申し上げます。
 平成26年度の当初予算総額は、一般会計8,491億2,339万6千円、特別会計2,519億9,748万2千円、企業特別会計142億1,336万6千円であります。特別会計は、公債費特別会計など12会計、企業特別会計は、電気事業及び水道事業の2会計であります。
 当初予算案は、経済・雇用情勢への対応に加え、本庁組織の改正と相俟(あいま)って部局横断的な取組や政策推進体制を強化し、「しあわせ信州創造プラン」の推進を更に加速する予算として編成いたしました。また、「信州 山の日」制定の年として、信州の「山」を盛り上げる取組を全庁挙げて展開するほか、「信州」の価値向上と発信に重点的に取り組みます。
 歳入・歳出の見通しにつきましては、景気の回復傾向や国の地方財政計画等を反映して、県税、地方交付税等の主要一般財源は38億円増加する一方で、社会保障関係費は43億円増加するなど、引き続き厳しい財政状況が見込まれます。このため、財政調整のための基金を本年度とほぼ同額の85億円取り崩して対応することといたしましたが、平成26年度末残高は442億円程度確保できる見通しです。県債発行額につきましては、「可能な限り子どもたちの世代に付けを回さない」という観点から、建設事業債、臨時財政対策債を合わせて99億円減少させ、財政の健全化に努めました。これにより、現時点で試算すると、平成26年度末の県債残高は減少し、実質公債費比率も低下する見通しです。
 消費税率の引上げに関しましては、地方消費税の増収額42億8千万円を活用して、保育士の処遇改善、国民健康保険料等の軽減対象者の拡大、難病対策の対象疾患の拡大など、社会保障の充実・安定化を図りました。
 また、職員の発想や創意工夫、地域特性をできる限り予算編成に活かすこととし、「職員による政策研究」では12事業、「一人1改善・提案事業」では30事業、「地方事務所長からの施策提案」では39事業を施策化したほか、「県民協働による事業改善」の結果を踏まえて文化芸術に関する予算を増額するなど、県民意見の施策への反映にも努めました。

 以下、主な施策につきまして、順次御説明申し上げます。

【経済・雇用対策】
 まず、経済・雇用対策についてであります。
 昨年の県内経済につきましては、国の動きに後れを取りつつも徐々に持ち直し、昨年12月の有効求人倍率は5年5か月ぶりに1.00倍となりました。来年度は、消費税率引上げによる影響を最小限に抑え、景気回復の動きを確かなものとするため、国の経済対策を最大限活用して、後ほど御説明する補正予算案と当初予算案一体で、県内経済の活性化と雇用の確保に取り組みます。
 県内中小企業の技術や製品等をアピールして販路の拡大を図るため、海外・大都市圏で行われる展示会・商談会への出展を引き続き支援します。消費税率の引上げに伴う対応につきましては、地方事務所に情報受付窓口を設置して、消費税の転嫁拒否等の行為の防止に取り組むとともに、中小企業融資制度資金に新たなメニューを追加して、経営環境が悪化した中小企業者の資金繰りを支援します。
公共事業につきましては、本年度と同様、補正予算案と合わせて1,000億円を上回る事業費を確保して、産業競争力の強化や地域防災力の向上につながる社会資本整備、社会基盤の長寿命化対策等を重点的に実施します。また、補正予算案に計上した事業も含め、公告期間を短縮するとともに地方事務所単位での発注を拡大するなど、早期発注と地元企業の受注機会の確保を図ります。さらに、県有施設の改修等も含め、維持修繕に係る事業費を225億円から280億円に増額して、ライフサイクルコストを縮減させるとともに、県内経済の下支えを図ります。
 雇用の確保につきましては、ジョブカフェ信州におけるキャリア・コンサルティング、就職情報の提供、職業紹介のワンストップサービスによる若者の就職支援に加え、地方事務所にハローワークの求人情報端末を設置して、職業紹介機能の強化を図ります。また、合同企業説明会や就職セミナー等を開催して若者の県内企業への就職を促進するとともに、緊急雇用創出基金を活用して1,400人を超える雇用の創出を図ります。

【信州の山 新世紀元年】
 次に、「信州 山の日」の制定を契機とする「山」に関する一連の取組について申し上げます。
 県民共通の財産であり貴重な資源である「山」に感謝し、「山の恵み」を将来にわたり持続的に享受していくため、「山」を守り育てながら活かしていく気運醸成の機会として、7月第4日曜日を「信州 山の日」とすることを決定いたしました。そこで、来年度を「信州の山 新世紀元年」と位置付けて、信州の「山」の価値を更に高め、全国に向けて発信する取組を全庁挙げて展開します。
 まず、「信州 山の日」制定の趣旨や信州の「山」の魅力を様々な媒体を活用して発信するとともに、学校登山の促進や「信州登山案内人と行く親子登山」の開催など、山に親しみ、学ぶ機会を充実します。また、南アルプス国立公園指定50周年記念イベント、ユネスコエコパーク全国サミットin志賀高原(仮称)、日本ジオパーク南アルプス大会を市町村や隣接県等と共同で開催し、貴重な自然資産を再認識する機会とするとともに、その魅力を全国に発信して地域の活性化につなげます。
 世界水準の山岳高原観光地づくりにつきましては、重点支援地域に指定した3地域における観光地づくりをハード・ソフト両面から支援し、先進的なモデルとして県内各地に広めてまいります。また、トレッキングやサイクリング、カヌーなど山岳高原を活かしたアクティビティをしながら移動行程自体を楽しむ「NAGANOモビリティ(仮称)」のルートを構築・発信して観光誘客につなげます。
 中高年登山者や未組織登山者が増加し、昨年の山岳遭難件数が過去最多の300件を記録する中で、安全に登山を楽しむことができる環境を整備するため、夏山常駐パトロール隊の設置期間の延長、主要登山口における相談員の増員、老朽化した無線設備の更新など、山岳遭難防止対策協会の活動を強力に支援します。また、新たに夏山診療所における医薬品・医療機器の購入等を支援し、救護体制の強化を図ります。
 平成28年春に本県で開催する第67回全国植樹祭につきましては、先月、実行委員会において、長野市のエムウェーブで式典を開催し、県内複数箇所で県民参加による植樹行事を行うことなどを盛り込んだ基本構想を決定いたしました。私たちに様々な恵みを与えてくれる森林を守り育て、未来に引き継いでいくとともに、自然豊かな長野県の魅力を全国に発信する機会とするべく、開催準備に万全を期してまいります。

【「信州」の価値向上と発信】
 「信州ブランド戦略」では、信州の「しあわせ」を構成する三つの要素として、「健康長寿」、「勤勉で教育熱心な県民性」、「自然の美しさ、環境との共生」を掲げました。来年度からは、「健康」と「美しさ」に焦点を当て、信州の日常にある価値に一層磨きをかけるとともに、強力に発信し、信州のブランド力向上に努めてまいります。

(オール信州 健康イニシアティブ)
 まず、信州が誇る「健康」を磨き上げ、発信する取組についてであります。
 男女ともに日本一の平均寿命を更に伸長させ、世界一の健康長寿県を目指すためには、乳幼児から高齢者まで、それぞれのライフステージに応じた健康づくりの取組を、家庭や学校、職場、地域など様々な場面で推進していくことが必要です。そこで、事業者、健康ボランティア、保健医療関係者など様々な関係者を有機的に結びつける「しあわせ信州・健康ネットワーク」を構築し、県民一丸となった健康づくり県民運動を展開します。
 食生活の改善につきましては、本年6月、食育推進全国大会を開催し、食育に関する県民の理解と関心を深めて積極的な取組を促すとともに、長野県の健康長寿とそれを支える「信州の食」を全国に発信します。運動習慣の定着につきましては、現在よりも15分以上、1,500歩以上運動量を増加させることを目標に、市町村が行う運動支援ボランティアの養成を支援するとともに、これまで取り組んできた小・中学生を対象とする「長野県版運動プログラム」に加えて、幼児期を対象としたプログラムを新たに開発し、子どもの体力・運動能力の向上を図ります。また、地域の薬局を身近な健康情報拠点と位置付けて、健康に関する広報・啓発を行うほか、県民の皆様から健康づくりに関する提案を募集し、効果的な取組を普及させて県民の実践につなげるなど、県民総参加で健康づくりを推進します。
 こうした取組に加えて、「健康」をテーマに県の施策を多角的に展開します。まず、産業分野では、健康長寿志向の食品の試作開発等を支援する「しあわせ信州食品開発センター」を整備するほか、医療機器展示会への出展や製品開発を支援するなど、「健康」をキーワードに県内産業の振興を図ります。また、旅行会社が行う健康と観光を融合させた旅行商品の開発を支援し、観光誘客を促進します。食の分野では、「健康」を付加価値として発信し、「おいしい信州ふーど(風土)」や「NAGANO WINE」、信州ジビエのブランド化と消費の拡大に取り組みます。また、小・中学校における栄養教諭の配置を60人から90人に拡充して、学校における食育を一層推進します。このほか、スポーツ合宿の誘致や森林浴のための歩道の整備など、スポーツ、自然、暮らしなど様々な分野で「健康」に関する取組を推進します。

(美しき信州 新発信)
 次に、景観、自然環境、伝統文化など、信州が誇る「美しさ」を磨き上げ、発信する取組についてであります。
 美しい景観の保全・創造につきましては、豊かな自然や農山村の営みにより形成される信州の農村風景を再認識し、その美しさを求めて訪れる人々との交流を拡大して地域の活性化を図るため、現在選定を進めている「ふるさと信州風景百選」をホームページで発信するとともに、「ふるさとの風景」の魅力や歴史を地域で伝承する「語り部」を育成します。また、美しい自然環境を守り、継承するため、官民協働で諏訪湖の水質浄化と生態系の保全に取り組み、人と生き物が共存する諏訪湖の実現を目指します。
 美しい伝統・文化の継承・発展につきましては、サイトウ・キネン・フェスティバル松本に対する県負担金を増額して、スクリーン・コンサート実施箇所の拡充や中学生・高校生等に対する楽器の技術指導講座の開設など、世界最高水準の音楽芸術を県民の皆様に提供する機会を拡大します。また、高野辰之作詞による唱歌「ふるさと」誕生100年を記念して、作曲者岡野貞一の出身地である鳥取県と共同で、小澤征爾総監督の指揮の下、日本各地で「ふるさと」を合唱するプログラムを実施します。
 美しく魅力的な観光地域づくりにつきましては、観光地の無電柱化を推進するほか、トイレの洋式化やバリアフリー化とともに地域住民が定期的に清掃に取り組む「信州まごころトイレ」の整備を支援し、旅行者が快適に旅行できる観光地域づくりを進めます。

(「強み・価値」の発信)
 磨き上げた強みや価値を、県内外に発信する取組についてであります。
 本年夏、首都圏でのオール信州活動拠点となる「しあわせ信州シェアスペース(仮称)」を東京銀座に開設します。この拠点を最大限活用して、「信州の美しく健康なライフスタイル」を全国に発信し、信州ファンの裾野を広げるとともに、継続的かつ双方向で信州とのかかわりを持つコアな信州ファンを創出します。また、Iターン・移住の促進や北陸新幹線(長野経由)の金沢延伸を見据えた観光PRなどを通じて交流人口の拡大を図るとともに、商談会や信州産農畜産物を使用した料理教室、県内美術館・博物館の作品展示など様々なイベントを展開し、首都圏と信州とのつながりをより強固なものとしてまいります。
 県内も含め、より多くの皆様に信州の魅力を伝えるため、メディアや県ホームページなど様々な媒体を活用して信州の価値を「健康」と「美しさ」の視点で積極的にPRしてまいります。また、「アルクマ」の著作権を県有化し、名実ともに県のキャラクターとして様々な場面で活用し、情報発信力を高めます。

【「政策推進の基本方針」に基づく施策の推進】
 次に、「政策推進の基本方針」に基づき平成26年度に推進する主な取組について申し上げます。

(方針1 「貢献」と「自立」の経済構造への転換)
 第一に、「次世代産業の創出」であります。
 「長野県産業イノベーション推進本部」では、昨年11月、県民や企業からいただいた100件を超える規制改革の提案を踏まえ、医療機器分野への参入促進など12件の提案を国に提出し、現在、5月以降の特区申請に向けて関係省庁と調整を進めています。来年度は、具体的な事業に取り組むタスクフォースに民間のメンバーも加え、ビジネス・投資環境の整備、大胆な規制改革、イノベーションを起こす人材の育成につながる施策を検討し、実行に移してまいります。
 成長期待分野への展開支援につきましては、引き続き長野県テクノ財団が中心となって国際的な産学官の連携をコーディネートし、県内企業の製品開発や早期事業化を支援します。一例を挙げると、信州大学が持つカーボン技術を水処理に応用して新たな淡水化・造水技術の実用化を目指す国家プロジェクト「アクア・イノベーション拠点」に県も参画し、世界的課題である水不足の解消に貢献する技術開発・ビジネス化を進めてまいります。また、「健康・医療」分野への事業展開を促進するため、本県の強みである微細加工技術や小型化技術を活かした医療・福祉機器の試作開発に係る新たな助成制度を創設します。さらに、産業労働部に「サービス産業振興室」を設置するとともに、「長野県サービス産業振興戦略(仮称)」を策定し、成長期待分野や有望市場への展開を集中的に支援するなど、サービス産業の振興に取り組みます。
 戦略的な企業誘致として、航空宇宙産業とICT産業の集積に重点的に取り組みます。具体的には、本県が参加に向けた準備を進めている「アジアNo.1航空宇宙産業クラスター形成特区」内における企業立地や設備投資を促進するため、ものづくり産業応援助成金の助成率を引き上げます。また、ICT産業などサービス産業の企業立地を支援する新たな助成制度と融資制度を創設します。
 「日本一創業しやすい長野県」の実現に向けては、これまで、「ながの創業サポートオフィス」の設置、他県に例のない創業を応援する減税の実施、創業支援資金の利率の引下げなどにより、創業しやすい環境づくりを進めてまいりました。来年度は、県内大学生等を対象としたベンチャーコンテストを開催して若者の創業意欲の醸成を図るとともに、「ながの創業サポートオフィス」に「創業・ベンチャー推進員」を配置して、提案されたビジネスアイデアの具体化等を支援します。また、企業経営者の高齢化や後継者不在が大きな課題となる中で、商工会連合会が行う「シニア専門指導員」の配置を支援し、長野県中小企業振興センターに設置した「長野県事業引継ぎ支援センター」と連携を図りながら、県内中小企業の事業承継を進めてまいります。
 産業人材の育成につきまして、産業界の急速な技術革新に柔軟に対応できる高度な技能・技術を持った人材を県内全域に輩出するため、「長野県南信工科短期大学校」の平成28年4月開校に向けた準備を進めます。

 第二に、「農山村産業クラスターの形成」であります。
 長野県が元気であるためには、県土の大部分を占める農山村の活性化が不可欠です。このため、観光と農林業を基礎に、農山村の暮らしを支える産業の活性化を進めます。
 観光の振興につきましては、先ほど申し上げました世界水準の山岳高原観光地づくりのほか、国内外から多くの人々が繰り返し訪れる魅力的な観光地域づくりを進めるため、「信州・観光マネジメント塾」、「信州おもてなし未来塾」を開催し、観光地域づくりや地域の「おもてなし」をリードする中核人材を育成します。また、農村体験を取り入れた旅行商品の商談会を首都圏で開催するなど、農村ツーリズムを推進して都市と農山村との交流の拡大を図ります。
 農業の高付加価値化につきましては、自然豊かな本県の地域特性を活かして農業の6次産業化を進めるため、6次産業化を仕掛ける人材の育成、異業種とのネットワークづくり、新商品の開発、農産物加工施設の整備等を一体的に支援します。また、「日本一就農しやすい長野県」を実現するため、これまで、就農希望者に対するきめ細かな相談・研修の実施、青年就農給付金の支給等により就農支援を行ってまいりましたが、来年度は、青年就農給付金の支給対象者を470人から628人に拡大するとともに、市町村等の就農支援情報を一括して閲覧・検索できるシステムの運用などにより、新規就農者の確保・育成を強化します。農業大学校につきましては、外部講師による実践的な講義や実習等を通じて企業的農業経営者を育成する「実践経営者コース」を新設するとともに、手厚い就農支援、農ある暮らしを希望する方への入門研修の創設などにより、将来の長野県農業を担う多様な担い手を育成します。
 力強い林業・木材産業づくりにつきましては、経営感覚を持って地域の林業を牽引(けんいん)する「信州フォレストコンダクター」を平成27年度までに30人養成するとともに、高性能林業機械の導入や林内路網の整備等を支援して、素材生産量を平成24年度の36万4千立方メートルから平成29年度には61万立方メートルにまで拡大させることを目指します。また、「信州F・POWERプロジェクト」による木材加工施設と木質バイオマス発電施設の平成27年度稼動に向けて、チップ保管庫など必要な施設整備を支援するとともに、「サプライチェーンセンター」を組織化して原木の安定供給体制を構築します。

 第三に、「環境・エネルギー自立地域の創造」であります。
 省エネルギー化の促進につきましては、これまで、県民の皆様の御協力を得て、平成24年度における県内の使用電力量を平成22年度比で5.9パーセント削減させることができました。来年度は、省エネサポート事業者による家庭の省エネアドバイス実施件数を1万件から1万5千件に拡大して、家庭における省エネ・節電の取組を一層促進します。また、本年4月から、事業者が温室効果ガスの削減目標や具体的な対策等を記載する新たな計画書制度がスタートすることから、この制度に基づいて事業者に助言や技術的支援を行い、事業活動に伴う温室効果ガスの排出抑制を図ります。
 自然エネルギーの普及・拡大につきましては、固定価格買取制度を活用して企業局が発電により得た利益の一部を原資として「長野県自然エネルギー地域基金」を創設し、地域主導型の自然エネルギー事業等を支援してまいります。来年度は、小水力発電に係る流量調査、全国小水力発電サミットの開催、高校生が行う自然エネルギーに関する研究等への支援に活用します。また、本県の豊富な地域資源を最大限活用して「エネルギー自立の地域づくり」を進めるため、ペレットストーブ・ボイラー等の導入を支援するとともに、市町村や土地改良区が行う農業用水を活用した小水力発電施設の建設に係る県補助率を1パーセントから5パーセントに引き上げて、小水力発電の普及・拡大を図ります。
 県民共有の貴重な財産である水資源を保全するため、先般、県内で初めて小海町の一部64.34ヘクタールを「長野県豊かな水資源の保全に関する条例」に基づく水資源保全地域に指定いたしました。今後も市町村からの申出に基づき水資源保全地域の指定を進めるとともに、県内全域の地下水の賦存量や利用可能量等を調査して、水資源の保全と適正な利活用に活かしてまいります。
 食料が安定的に確保される自立した地域づくりにつきましては、農業従事者の高齢化や耕作放棄地の増加に伴い農業生産力の低下が懸念される中で、長野県農業開発公社を農地の中間的受け皿となる農地中間管理機構に指定し、機構による農地の貸借を通じて地域の中心となる経営体に農地の集積を進めることにより安定的な農業生産の確保を図ります。初年度となる来年度は、制度の啓発や市町村等との連携体制づくりを進め、500ヘクタールの農地集積を目指します。

(方針2 豊かさが実感できる暮らしの実現)
 第四に、「健康づくり・医療の充実」であります。
 がん、心疾患、脳血管疾患の三大死因に対する診療機能の向上を図るため、地域医療再生基金を効果的に活用して、ICU用の医療機器やX線テレビ装置など救急医療やがん診療に係る高度・専門医療機関の施設・医療機器の整備を支援します。また、昨年の「長野県がん対策推進条例」制定を受けて、「がんと向き合う週間」を中心に、がんに対する理解を深めるためのイベントを重点的に実施するとともに、がん患者の経済的負担の軽減を図るため、先進医療費の借入れに係る利子補給制度を創設します。
 地域医療体制の強化につきましては、地域保健医療活動をよく知り、患者の全身を幅広く診療できる「信州型総合医」の養成を来年度から始めるとともに、女性医師向けのドクターバンクを設置するなど、地域医療を担う人材の確保・定着を図ります。また、「地域包括ケア体制」の構築に向けて、医療・介護の資源が十分ではない小規模町村が行う移送・配食など生活支援サービス等の体制づくりを支援し、高齢者が要介護状態になっても住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができる社会の実現を目指します。

 第五に、「雇用・社会参加の促進」であります。
 女性の雇用促進は、労働力人口の減少が懸念される中で新たな成長分野を支える人材を確保するとともに、女性の感性を活かした新たなサービス・製品の創出により、社会全体に活力を生み出すことも期待されます。一方で、出産前に仕事をしていた女性の約6割が出産を機に退職し、女性の就業率は依然としてM字カーブを描いています。そこで、「子育て等応援制度導入推進員」による企業訪問や社会保険労務士の派遣等により、「短時間正社員制度」や「在宅勤務制度」など、子育てをしながら安心して働き続けることができる勤務制度の普及を図ります。また、新たにジョブカフェ信州長野分室に「女性就業アドバイザー」を配置し、ハローワーク長野のマザーズコーナーと連携して女性の就職活動をきめ細かに支援します。
 若い世代の雇用と自立の促進につきましては、生活困窮者の就労や生活面の自立を促進するため、これまで、パーソナル・サポート・センターを県単独で県内4か所に設置していましたが、来年度は市と共同で6か所に拡大し、体制の強化を図ります。発達障害者に対する支援につきましては、困難事例の解決に当たる「発達障害サポート・マネージャー」の配置を4圏域から8圏域に拡大するとともに、発達障害者やその家族を地域で支えるサポーターを養成し、分野や年代で切れ目のない一貫した支援を提供します。
 人生二毛作社会の仕組みづくりにつきましては、高齢者が長年培ってきた知識と経験を活かして就業・創業・社会活動を積極的に行うことができるよう、長野県長寿社会開発センターに「人生二毛作推進クリエイター(仮称)」を配置し、ボランティア団体、商工関係団体など関係機関相互の連携体制を構築して高齢者の活躍の場づくりを進めます。
 障害者の社会参加と雇用の促進につきましては、農業法人等における就労を開拓して障害者とのマッチングを行う「農業就労チャレンジコーディネーター」を配置するとともに、障害者の農作業を補助する「農業就労チャレンジサポーター」を農場等に派遣して、農業分野における障害者の就労を促進します。

 第六に、「誇りある暮らしの実現」であります。
 人口の減少や高齢化の進展などにより集落の消滅が危惧される中で、「信州の宝」である美しい農山村を維持・発展させるため、本年度は県内4地区で、伝統野菜の商品化や空き家活用のための仕組みづくりなど、地域の活性化に向けたビジョンづくりを進めています。来年度は、これらビジョンの具体化を進めるとともに、新たに4地区でビジョンづくりに取り組み、持続可能な地域づくりのモデルとして県内各地に広めてまいります。また、地域づくりの原動力となる人材の確保・育成を図るため、フィールドワークを通じて課題解決の手法を学ぶ「地域に飛び出せ!信州元気づくり実践塾」を開催するとともに、農山村の活性化に取り組む「地域おこし協力隊員」のスキルアップや定住・定着を支援します。さらに、企画振興部に、地域振興の企画や移住交流、土地利用などに関する総合窓口として「地域振興課」を設置し、市町村や民間団体等による地域づくりの取組を支援します。
 景観の維持創造と文化芸術の振興につきましては、先ほど「美しき信州 新発信」で申し上げた取組に加え、農村の持つ美しい景観や環境の維持を図るため、棚田の保全に取り組む住民の活動等を支援するほか、若手芸術家に観光地や公共施設で発表の機会を提供し、暮らしの中に豊かさや潤いを感じることができる信州を目指します。

(方針3 「人」と「知」の基盤づくり)
 第七に、「活動人口の増加」であります。
 長野県の平成24年の出生数は1万6千人余と過去30年の間に3分の2に減少し、今後も減少傾向が続くと見込まれています。現在、男性の約2割、女性の約1割が生涯独身であり、また、この20年間で男女とも平均初婚年齢が2歳以上上昇し、それぞれ31.2歳、29.3歳となっています。少子化が一層進むことは社会の活力を低下させる要因であることから、県民の総力を結集して結婚、そして子育てをしやすい環境づくりを進めます。これまでも、「出会い応援ポータルサイト」の構築や婚活セミナーの開催等により結婚を希望する方々を支援してまいりましたが、来年度は、未婚者に出会いの機会や婚活に関する情報を提供する「しあわせ信州婚活サポーター」を150人から300人に倍増させるとともに、サポーターの活動や市町村の取組等を支援する「ながの婚活コーディネーター」を配置して、「ながの出会い応援プロジェクト」による成婚数100組を目指します。
 子育てを支える環境づくりにつきましては、国の地域少子化対策強化交付金を最大限活用して、ライフデザインセミナー等による若者への妊娠・出産に関する知識の普及、子育ての経験を活かして地域における子育ての担い手となるボランティアの養成などに取り組みます。また、「森のようちえん」など自然環境を活かした体験型保育に関する県独自の認定制度を構築し、社会的認知度を高めて長野県らしい子育てのあり方として普及を図ります。
移住者や交流人口の増大に向けては、「しあわせ信州シェアスペース(仮称)」を効果的に活用して情報発信を行うとともに、県内の道の駅で行う移住相談や体験ツアーなどを通じ、移住者の一層の増加を目指します。また、スポーツ合宿、国際会議や「国際青少年交流農村宣言」に基づく学習旅行・訪日教育旅行の誘致を進め、交流人口の拡大を図ります。
 公共的活動を寄附により支援する「長野県みらいベース」には、昨年4月の開設以来、これまでに約400万円の寄附が寄せられておりますが、公共的団体の活動支援に十分な資金が集まっているとは言えません。寄附により公共的活動を支える社会を目指し、来年度は、企業訪問等による積極的な寄附の呼びかけやメディアによる情報発信などにより「長野県みらいベース」の認知度を高めてまいります。また、NPOなど様々な主体と県との協働を推進するために設置した「協働コーディネートデスク」では、本年度、「りんご3兄弟」をセットにした贈答用商品の開発・販売など約50件のコーディネートを行っており、来年度は、各部局に配置する「県民協働推進役」とも連携して、県民との協働を一層強化してまいります。さらに、市町村や公共的団体が住民とともに自主的・主体的に行うモデル的で発展性のある取組を、引き続き「地域発 元気づくり支援金」により支援します。

 第八に、「教育の再生」であります。
 子どもたちの学力向上には不断の取組が必要ですが、特に、昨年の全国学力・学習状況調査において国語Aを除き全国平均を下回った中学生の学力向上に危機感を持って取り組みます。これまで、生徒の学力定着状況の確認が十分ではなかったとの認識の下、来年度は、定期的に学力の定着状況を確認し、授業内容を改善して学力の定着につなげるPDCAサイクルを構築します。また、学習意欲の向上と学習内容の定着につながる効果的な家庭学習のあり方について研究します。
 高等学校につきましては、モデル校3校で電子黒板やタブレット端末などICTを活用した授業の実践研究を行うほか、語学力と国際的素養の修得に重点を置いたスーパーグローバルハイスクールの設置により、信州に根差し世界に通じる人材の育成を目指します。また、私立高等学校に関しては、各学校が授業料等の軽減を行った場合の県助成額を引き上げて、保護者の経済的負担の一層の軽減を図ります。
 特別支援学校につきましては、これまで、教育委員会とそのあり方について議論を重ねてまいりました。これを受けて、児童生徒の障害の重度化・重複化にきめ細かく対応するとともに、特別支援学校から小・中学校、高等学校への支援体制を強化するため、自立活動担当教員を平成29年度までに80人増員することといたしました。教員定数と配置人員との間には依然として乖離(かいり)が生じますが、来年度新たに介助職員20人を配置するとともに、専門性を活かした支援を行うため理学療法士、作業療法士等の派遣なども行い、特別支援教育の充実を図ります。
 教職員による不祥事が依然として跡を絶たない状況にあって、信州教育への信頼回復には一刻の猶予も許されません。このため、学校で生じた非違行為に対する解決策や再発防止策等に関して具体的な助言を行う「コンプライアンスアドバイザー(仮称)」の設置、教職員及び学校評価制度の改善、不祥事を発見した教職員が安心して通報・相談できる窓口の整備など、「信州教育の信頼回復に向けた行動計画」に基づく施策を着実に実行に移します。また、地域に開かれた信頼される学校づくりを進めるため、保護者や地域住民が学校運営に参画し、教育活動を支援する「信州型コミュニティスクール」の取組を11校から25校に拡大し、平成29年度までに全ての小・中学校での実施を目指します。

【県民生活の安全・安心の確保など】
 次に、県民生活の安全・安心の確保、総合的な交通施策の展開、スポーツの振興について申し上げます。

(県民生活の安全・安心の確保)
 まず、県民生活の安全・安心の確保についてであります。
 地域防災力の向上につきましては、南海トラフ巨大地震など大規模地震による被害を最小限に抑え、県民の生命と財産を守るため、地盤の揺れや人口分布、建物の状況など最新のデータを活用した新たな地震被害想定を策定し、県や市町村の地域防災計画に反映させてまいります。また、県有施設の耐震対策につきましては、木曽合同庁舎、大町合同庁舎の耐震改修工事に着手するなど、学校や庁舎等の平成27年度末の耐震化完了を目指して取組を進めます。さらに、大規模災害等への対応力の強化を図るため、昨年8月、全国で初めて重点地域に指定した上伊那地域の消防広域化に要する経費を支援します。
 県民生活の安全確保につきましては、通学路の安全対策を建設部、警察本部、教育委員会が連携して計画的に進めており、来年度は154か所で歩道の整備などの安全対策を実施します。また、狭隘(きょうあい)で老朽化している佐久警察署の建設事業に着手するとともに、通信指令に関するシステムを増強して初動体制を強化するなど、安全・安心を担う警察の機能強化を図ります。さらに、昨年、過去最高の10億8千万円を記録した特殊詐欺被害の拡大防止を図るため、身近な地域や職域で消費者教育を行う「消費生活サポーター」を100人養成するとともに、キャラバン隊を編成して啓発活動を重点的に実施します。このほか、豪雪地域に暮らす住民の雪下ろしによる身体的負担の軽減と作業中の転落事故の未然防止を図るため、屋根の雪を融かして雪下ろし作業を不要とする「克雪住宅」の新築・リフォーム工事に要する費用を支援する市町村に対する助成措置を新たに講じます。

(総合的な交通施策の展開)
 次に、総合的な交通施策の展開についてであります。
 県民の快適な生活と経済活動を支える高速交通ネットワークの整備につきましては、平成22年5月をもって運航が休止された松本・大阪便が、本年8月、JALにより季節運航便として復活することから、路線開設に必要な機器の整備を支援するとともに、通年運航の実現に向け、認知度向上のためのPR活動を集中的に実施します。また、中部横断自動車道や三遠南信自動車道など高規格幹線道路の整備を促進するとともに、木曽川右岸道路などの整備や松本糸魚川連絡道路の早期事業化に向けた調査を実施します。
 地域公共交通につきましては、鉄道事業者が行う安全輸送確保のための設備整備や、赤字が見込まれる乗合バス路線の運行経費等を支援し、住民に身近な交通機関の維持・確保を図ります。また、鉄道による移動が困難な地域を結ぶ広域間運行バス路線の維持・確保を図るため、バス事業者の車両購入費を新たに支援します。これまで、市町村や県議会の皆様から御要望をいただいていた三才山トンネル有料道路など4区間の通行料金割引につきましては、市町村が住民負担軽減の観点で行う回数券利用による実質的な通行料金の引下げに要する費用を助成することにより、通勤、通学、通院等で日常的に有料道路を利用されている方々の経済的負担の軽減を図ります。

(スポーツの振興)
 6年後の2020年夏、東京でのオリンピック・パラリンピック開催が決定しました。過去にオリンピック・パラリンピックを成功させた県として、東京から発信するオリンピックムーブメントの取組を全面的に応援、協力を行ってまいります。また、多くの長野県出身選手がこの大会に出場することができるよう、世界大会への派遣や指導者の招聘(しょうへい)等を支援し、活躍が期待される選手の育成に重点的に取り組んでまいります。このほか、プロスポーツチームの活躍が地域の活性化や県域を超えた交流人口の拡大に大きく貢献することから、長野市が行う南長野運動公園総合球技場の整備を支援するほか、武道を振興するための施設のあり方について、有識者による検討会議を設置して検討に着手します。

【平成25年度補正予算案】
 次に、平成25年度の補正予算案について申し上げます。
 補正予算案は、一般会計256億2,964万1千円、特別会計2億8,300万円であります。
 補正予算案には、「好循環実現のための経済対策」に基づく国の補正予算を最大限活用して、産業競争力の強化、防災・減災対策に要する経費を計上いたしました。
産業競争力の強化につきましては、インターチェンジにつながるアクセス道路や林道の整備、農地の区画整理など、産業の活性化につながる社会資本整備を重点的に進めるほか、農山村の活性化を図るため、農産物直売施設等の整備を支援します。
 防災・減災対策につきましては、栄村における道路や砂防施設の整備のほか、災害時の緊急輸送路となる道路や治山・砂防施設の整備、ため池の耐震性点検など、社会基盤の長寿命化対策と地域防災力の向上につながる事業を重点的に実施します。
 今回の補正予算案には、早期発注が可能な事業を計上しており、県内経済の下支えとなるような執行を心がけてまいります。
 このほか、農地利用集積・集約化基金の積立て、緊急雇用創出基金、森林整備加速化・林業再生基金、安心こども基金等の積増しを行い、今後の経済・雇用対策の財源として効果的に活用します。
 以上申し上げました一般会計補正予算案の財源として、国庫支出金159億4,841万3千円、県債91億3,400万円、その他繰越金など5億4,722万8千円を見込み、計上いたしました。
 本年度の一般会計予算は、今回の補正を加えますと、8,761億5,804万2千円となります。
 特別会計の補正予算案は、流域下水道事業費に係るものであります。

【条例案ほか】
 条例案は、新設条例案3件、一部改正条例案21件、廃止条例案1件の、合わせて25件であります。
 新設条例案は、先ほど申し上げました「長野県中小企業振興条例案」などであります。
 一部改正条例案のうち、「長野県松本空港条例等の一部を改正する条例案」など8件は、受益者負担の適正化や消費税率の引上げ等を考慮して、使用料及び手数料の額の改定を行うものであります。

 事件案は、「包括外部監査契約の締結について」など30件であります。

 専決処分の報告は、「交通事故に係る損害賠償の専決処分報告」など11件であります。

 以上、今回提出いたしました議案につきまして、その概要を申し上げました。何とぞよろしく御審議の程お願い申し上げます。

お問い合わせ

総務部秘書課

電話番号:026-232-2002

ファックス:026-235-6232

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