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更新日:2017年9月21日

平成25年2月県議会定例会における知事議案説明要旨(平成25年2月20日)

平成25年度当初予算案の概要

平成25年2月定例会提出条例案の概要

 

ただいま提出いたしました平成25年度当初予算案をはじめとする議案の説明に先立ち、新年度の県政運営に向けての所信などについて申し述べさせていただきます。

 

【長野県総合5か年計画】

 今定例会に、「長野県総合5か年計画」の策定に関する議案を提出いたしました。今生まれた子どもたちが大人になるおおむ ね20年後に次の世代に引き継ぎたい「未来の信州」の姿を見据えながら、今後5年間の県づくりの方向性とそのための方策を明らかにするものであります。

折しも、本年は、伊勢神宮において、20年に一度、木曽の「御杣山みそまやま 」から木材を調達して社殿を建て替え、御神体を新宮にうつ す、「式年遷宮」の年に当たります。常に若々しく瑞々みずみず しくという「とこ わか 」の精神を象徴するものであり、神宮が新しくなることで日本全体が若返り、永遠の発展を祈るものとされています。長野県においても、新たな総合5か年計画の下、自然環境や伝統文化など大切に維持すべきものはしっかりと守ると同時に、時代の変化に即した新しい視点からの政策により時代を切り拓き、次なる発展を目指してまいります。

現代のような変化が大きな時代にあっては、20年の間に社会・経済の姿は著しく変貌します。今から20年前の平成5年の我が国は、今や当たり前の存在となったパソコンやインターネットが広く普及する前の段階で、携帯電話でさえ普及率は1パーセント台でありました。長野県では、県財政が初めて1兆円を超える予算規模となり、長野自動車道の全線開通、県立こども病院の開院、信州博覧会の開催などが相次ぎ、観光地利用者数は1億人以上を維持するなど、冬季オリンピック・パラリンピックの開催を控え、県全体が活気に満ちた時代でありました。その当時、今の日本、そして長野県の姿を的確に予見することは難しかったことでしょう。

「未来を予測する最善の方法は、それを発明することだ。」パソコンの父ともいわれるアメリカの計算機科学者アラン・ケイ氏の言葉です。個人の未来はもとより、社会の未来も、それを創造するためには明確なビジョンとその実現への強い意志がなければなりません。まずはこの総合計画に掲げたビジョンとしての基本目標・将来像と達成目標とを広く県民の皆様と共有し、そして、県職員全体が強い意志、すなわち具体的な成果を上げることに対するこだわりを持って、総合計画の推進に全力を傾注してまいります。

新たな総合5か年計画の基本目標は、「確かな暮らしが営まれる美しい信州」です。「確かな暮らし」とは、明日への希望を持って日々の生活を送ることができ、万一の場合には温かな支援を受けることができるという安心があることです。また、「美しい」とは、豊かな自然や農山村の原風景・町並みの美しさに加え、郷土への誇りやきずな を大切にする心、未来に向かってひたむきに努力している姿などを表しています。そして、私たちが目指す「未来の信州」の姿として、「世界に貢献する信州」、「『豊かな』ライフスタイルを実現する信州」、「誰にでも居場所と出番がある信州」、「健康長寿世界一の信州」、「一人ひとりの力を引き出す教育県信州」の五つの将来像を掲げました。

幸いなことに、長野県は、美しく豊かな自然環境、全国トップレベルの健康長寿や優れた伝統・文化とそれを支える県民の力、さらには、際立つ個性を持った観光地や農産物など、数多くの「強み」を有しています。日本総合研究所による昨年の「日本でいちばんいい県都道府県別幸福度ランキング」の総合ランキングで全国第1位となるなど、客観的にも高い評価をいただいております。こうした長野県のポテンシャルが今の時代にあってはひときわ輝くものであることを改めて強く意識し、更に磨きをかけていくことにより、将来像の実現につなげてまいります。

今回の総合計画では、これら将来像の実現に向け、今後5年間に県民の皆様と県行政の力を結集して重点的に進めていく政策の方向性として、三つの柱からなる「政策推進の基本方針」を定めることといたしました。

第一は、「『貢献』と『自立』の経済構造への転換」であります。

県民の生活を支えるためには、力強く安定した経済を構築することが必要です。このため、長野県の優れた技術力や豊かな自然環境、多様な農林水産物などの強みを活かし、世界に評価され、貢献できる付加価値の高い産業づくりを進めます。また、自然エネルギーの活用や水資源・食料を安定的に確保する取組などにより、地域の自立を目指します。

第二は、「豊かさが実感できる暮らしの実現」であります。

持続可能でゆとりある暮らしを実現するためには、県民一人ひとりが持てる能力を最大限に発揮していただきながら、安心して長生きができ、自然や文化に誇りをもって暮らせる環境づくりが必要です。このため、先人たちが築いてきた全国トップレベルの健康長寿、全国一の就業率の高さ、美しい景観や自然環境など、安心・満足・誇りを得られる信州ならではのライフスタイルの基盤を一層強化し、豊かさが実感できる長野県を実現します。

第三は、「『人』と『知』の基盤づくり」であります。

長野県の発展のためには、活動人口の増加と人材の育成が極めて重要です。このため、未来を切り拓く知恵と行動力を持った人材が育つ知の拠点づくりとともに、人口減少の抑制や社会活動に参画する人の増加に取り組みます。また、地域の課題を県民の皆様や市町村などと知恵を出し合い協働して解決するべく、県の行政能力を高めてまいります。

地域間の競争が激しくなる中で、長野県の価値を高めていくためには、地域ブランドの確立が重要です。このため、以上三つの方針に加えて、「信州の価値向上と発信」に取り組むことといたしました。長野県の強みを活かしながら信州らしさに磨きをかけ、「信州」の持つ価値を更に向上させていく総合的なブランド戦略により、「信州」の統一感ある発信を行います。

この「政策推進の基本方針」の下、「未来の信州」に向けた先駆的で先導的な取組を部局横断的に推進してまいります。なお、総合計画を着実に推進していくためには、政策の方向性に即して県組織のあり方を改変することが必要と考えており、今後、行政機構審議会において専門的な見地から県組織のあり方の検討を進めてまいります。

 

【総合計画推進の基本姿勢】

私は、知事に就任して以来、「県民参加と協働」を強く意識し、県民の皆様が主役の県政を実現するべく全力で取り組んでまいりました。これまで、災害時の応援や、プロスポーツチームによる元気な信州づくり、ライオンズクラブなど公益的活動を行う団体による社会貢献活動、スーパー・コンビニエンスストアとの連携による県産品の販路拡大や美しい環境づくりなど、様々な団体との協定に基づく協働や、東日本大震災支援県民本部との協働による被災者の心に寄り添う支援など、県内各界の皆様との協働を、様々な場面、様々な形で推進してまいりました。本年度中に策定する「信州協働推進ビジョン」に基づき、県自らも様々な主体との協働を更に積極的に進めるとともに、賛同の輪を広げ、民間と行政、民間同士など、信州における様々な協働を一層拡大させながら総合計画を推進してまいります。また、県政タウンミーティングや県政ランチミーティングの実施に加え、1,200人規模の「県政モニター」の皆様からも継続して御意見をお聴きし県政に反映させるなど、県民の皆様との対話を重視して総合計画を推進します。さらに、「県と市町村との協議の場」や「地域戦略会議」などを通じて市町村と対等の立場で意見交換を行うことにより、総合計画推進に向けた協力関係を強化し、協働での施策推進に取り組みます。

掲げた目標を確実に達成していくためには、県職員一人ひとりの能力を最大限に引き出すと同時に、職員の主体性・能動性を高めていくことが大切です。このため、自治研修所に新たに政策研究所としての機能を付加し、民間企業やNPO、市町村の職員にも参画を募り、協働して具体的な政策を企画立案し、施策に反映させることなどを通じ、職員の「共感力」、「政策力」、「発信力」を高めてまいります。また、来年度からは、新たな政策評価制度により、目標の進捗状況等を確認するとともに、有識者や県政モニターの皆様の参画も得て目標達成に向けた取組を検討するなど、総合計画を着実に推進するための仕組みを整えてまいります。

県民の皆様と県行政の英知を結集し、「確かな暮らしが営まれる美しい信州」を創造してまいりたいと存じます。議員各位をはじめ、県民の皆様には、総合計画の推進に向け力を合わせて取り組んでいただきますようお願い申し上げます。

 

【東日本大震災からの復興支援】

 東日本大震災の発生からまもなく2年が経過しようとしています。復興に向けた動きが本格化する中で、被災地の復興と被災者の生活支援に、状況の変化に対応しつつ全力で取り組みます。

栄村につきましては、昨年10月に策定された「栄村震災復興計画」に基づき、栄村復興基金や国の復興交付金などを効果的に活用しながら、生活の再建に向けた復興を全庁挙げて支援します。具体的には、被災した住宅を自力再建する方への支援や、被災者の総合的な生活支援を行う「総合サポートセンター」の設置・運営など、震災復興計画に盛り込まれた事業を迅速に実施するため、栄村に対し、当面必要と見込まれる5億円を栄村復興基金から一括して交付します。また、復興交付金を活用して、被災した農地の区画整理や排水施設の整備を進めるとともに、集落営農活動の強化や農業の6次産業化に必要な施設等の整備に対し助成するなど、農業を中心に産業の振興を図る村の取組を支援します。

県内では、今もなお1,200人を超える大勢の方々が、福島県をはじめとする東日本大震災の被災地から避難をされています。県では、被災された方々が県内で安心して暮らすことができるよう、民間借り上げ住宅の入居期間を1年間延長して最大3年間とするとともに、「『信州絆』プロジェクト」により、社会福祉協議会等と連携して、健康相談や就業相談など、被災者の生活支援を行ってまいります。また、被災地の復興が本格化する中で、被災自治体への支援体制を強化することとし、任期付職員の採用により通常の業務体制を確保した上で、土木、建築など被災地復興の即戦力となる技術職員をはじめとして20名の職員を被災自治体に長期的に派遣してまいります。

 

【教育の再生と子どもの育ちを支える仕組みづくり】

昨年春、公立学校の教員が東御市青少年健全育成条例違反により逮捕されるなど、教員の不祥事が相次いで発生し、教育委員会における本年度の懲戒処分の件数は前年度の2倍を超える38件に及んでいます。児童生徒や県民の信頼を大きく損なう事態であり、県を代表する立場の知事として、県民の皆様に大変申し訳なく思うと同時に、看過できない状況であると考えています。教育委員会と連携し、大いなる危機感を持って、教育の再生と信頼の回復に取り組んでまいります。昨年7月に教育委員会と知事部局が共同で「教員の資質向上・教育制度あり方検討会議」を設置し、外部の視点から教員の倫理向上策や教育制度のあり方等について議論を進めてきたところであり、来月には検討会議から御提言をいただく予定です。これを受けて具体的な行動計画を早急に策定し、有識者による委員会で計画の進捗状況を確認していただきながら、教育の再生に向けた取組を着実に実行してまいります。また、有識者による検討会を立ち上げて、不祥事の公表等、情報公開に関する新たなガイドラインの策定を速やかに進め、教育に対する透明性を確保することにより、学校や教育委員会に対する信頼の回復を図ります。

いじめや不登校、体罰など学校における様々な問題が生じておりますが、学校は本来、子どもたちにとって安心して学べる場でなければなりません。いじめの根絶に向けては、これまで、「いじめを見逃さない長野県」を目指す共同メッセージの発信や、民間の支援団体や関係機関による「いじめNO!県民ネットワークながの」の設立、すべての公立学校への訪問活動、「こどもの権利支援センター」による電話相談などに取り組んでまいりました。来年度は、医師や臨床心理士など外部有識者からなる「いじめ等学校問題支援チーム」を組織して、専門的な助言や課題解決に向けた支援を行うなど、いじめ問題に対する取組を強化し、いじめを見逃さない、いじめに苦しむ子どもを出さない環境づくりを進めます。また、部活動等における体罰が浮き彫りになる中で、現在、学校関係者、児童生徒、保護者に対する実態調査を実施中です。調査の結果も踏まえ、教員の意識改革や指導方法の改善に向けた研修会を開催するなど、学校から体罰を根絶するための具体的な取組を進めます。さらに、「子どもの育ちを支えるしくみを考える委員会」において、いじめや不登校など、より困難な状況にある子どもたちの支援につながる仕組みづくりを議論する中で、来年度には、第三者機関による相談や救済活動など、子どもたちに対する支援策を県として具体化してまいります。

 

本県は、全国で唯一、いわゆる「青少年保護育成条例」を制定せず、県民の皆様の御理解と御協力による住民運動や関係業界の自主規制など、県民主体の取組により青少年の健全育成を推進してまいりました。これにより、一定の成果を上げてきたものと評価をしております。しかしながら、携帯電話やインターネットの普及など、子どもたちを取り巻く環境の変化に加え、子どもが性被害を受ける事件が相次いで発生するなど、憂慮すべき状況にあります。このため、有識者による専門委員会を立ち上げるとともに、県民の皆様とも丁寧に対話を重ね、子どもたちを性被害等から守る効果的な防止策を検討してまいります。

 

【県立4年制大学】

新たな県立4年制大学につきましては、昨年9月の第4回県立大学設立準備委員会で基本構想の素案が示されて以来、県議会での御議論のほか、パブリックコメントなどを通じて数多くの御意見が寄せられました。

こうした多様な御意見を踏まえ、目指すべき大学像を、未来を見据えてしっかりと描くことが重要であると考え、昨年中の基本構想取りまとめにはこだわらず、教育の特色や学部学科構成を含め、大学のあるべき姿について広く検討を行ってまいりました。今後、設立準備委員会の委員や関係者の皆様とも意見交換を行うなど更に議論を深め、県議会や県民の皆様の御理解を得つつ、来年度のできるだけ早い時期に基本構想を策定してまいりたいと考えております。

新たな県立大学は、長野県の持続的な発展を支えていく人材を育成することはもとより、「知の拠点」として地域の振興に貢献するとともに、長野県の高等教育全体の充実に資するものとすることが重要です。こうした観点から、将来にわたって社会の要請に応えることができる大学像を描き、大学設立に向けた準備を進めてまいります。

 

【経済・雇用情勢、国の予算編成】

 昨年の我が国経済を顧みますと、東日本大震災からの復興需要等を背景として景気は緩やかに回復しつつあったものの、欧州や中国など世界景気の減速等により、夏以降、輸出が弱含み、生産が減少するなど、景気は弱い動きとなりました。また、10年以上続くデフレの進行が企業の収益率の低下や給与所得の減少をもたらし、雇用情勢についても、有効求人倍率が0.8倍台と足踏み状態が続きました。

こうした厳しい経済・雇用情勢の下、国の平成25年度予算案は、日本経済の再生に向けて、「復興・防災対策」、「成長による富の創出」、「暮らしの安心・地域活性化」に重点化が図られ、先月策定された緊急経済対策に基づく平成24年度補正予算と合わせ、いわゆる「15か月予算」として編成されました。現在、いわゆる「アベノミクス」への期待もあり円安・株高が進行し、先行きについても、世界経済を巡る不確実性はあるものの、輸出製造業を中心に景気は緩やかに回復していくことが期待されております。県としても、国の予算を最大限積極的に活用して、経済の回復軌道が確実なものとなるよう取り組んでまいります。

 

【平成25年度当初予算編成】

 今定例会に提出いたしました平成25年度の当初予算案及びその他の案件について御説明申し上げます。

 平成25年度の当初予算総額は、一般会計8,298億9,829万3千円、特別会計2,409億9,459万4千円、企業特別会計120億4,188万9千円であります。特別会計は、公債費特別会計など12会計、企業特別会計は、電気事業及び水道事業の2会計であります。

 当初予算案は、現下の厳しい経済・雇用情勢を受けて、後ほど御説明する補正予算案と一体的に編成して経済・雇用対策に強力に取り組むとともに、「長野県総合5か年計画」の初年度として、「確かな暮らしが営まれる美しい信州」の実現に向けた確かな一歩を踏み出す予算として編成いたしました。

県債発行額については、国の地方財政対策を受けて、臨時財政対策債は前年度当初予算額から23億円の増加となる一方で、中長期的に財政健全化を進める視点から建設事業債を54億円減少させ、県債の新規発行額は31億円縮減しました。このため、残高で見ると、臨時財政対策債が大幅に増加いたしますが、通常債は408億円減少する見込みであり、実質公債費比率も低下する見通しです。また、事業の見直しにより財政の健全化に努めたものの、地方公務員給与の削減を前提とした地方交付税の大幅な減額等により、やむを得ず、当面、財政調整のための基金を132億円取り崩して対応することといたしました。財源の確保については、これまで、ふるさと信州寄附金の集中的なPRや、新たなネーミングライツ・パートナーの募集などにより歳入の確保に努めるとともに、事務事業の見直しを進めてまいりました。引き続き創意工夫を凝らしながら、持続可能な財政構造の構築に取り組みます。

なお、予算編成過程の透明化に向けては、事業内容や成果目標に加え、要求から予算案に至る変更点なども明記した「事業改善シート」を今回の予算編成から新たに作成することとし、既に、予算要求段階、予算案発表段階で公表しております。予算に関する情報を県民の皆様と共有するとともに、目指すべき目標を明確にして、成果を上げることにこだわりを持つ県政を具現化します。

 

以下、主な施策につきまして、順次御説明申し上げます。

 

【経済・雇用対策】

平成24年度においては、世界経済の減速等を背景として県内の経済・雇用情勢が一段と厳しさを増す中で、県としても切れ目なく経済・雇用対策に取り組むとともに、当初予算、補正予算に計上した事業の早期執行や11月補正予算における債務負担行為の設定などにより、年間を通して県発注工事の事業量確保に努めてまいりました。現在、景気は下げ止まりつつあり、こうした好転の兆しを確実なものとするため、今後とも経済・雇用対策を当面の最重要課題と位置付けて、補正予算案と一体で、県内経済の下支えと雇用の創出を図ってまいります。

具体的な取組について申し上げます。まず、県内企業のビジネスチャンスを拡大し、長野県の優れた技術力に培われた工業製品や、地域資源を活かした加工食品等の販路拡大を図るため、「長野県国際戦略」の重点地域であるASEAN諸国をはじめ、海外での展示会・商談会への出展に対する補助限度額を引き上げて、中小企業の海外展開を重点的に支援します。また、いわゆる「金融円滑化法」が本年3月末をもって終了することから、長野県中小企業振興センターに中小企業の経営改善に関する相談窓口を設置するとともに、中小企業融資制度資金に「経営力強化支援資金」を創設して、金融機関等の支援を受けながら経営改善を図る中小企業の資金繰りを支援します。

公共事業につきましては、補正予算案と合わせ前年度当初予算額を29.7パーセント、259億円上回る事業費を確保して、災害時の緊急輸送路となる道路の整備や、道路、橋梁きょうりょう 、治山・砂防施設の維持修繕・長寿命化など、地域防災力の向上と社会基盤の老朽化対策を重点的に実施します。また、県単独の公共事業については、維持修繕工事の割合を更に高くして、ライフサイクルコストの縮減と地域企業の受注機会の確保を図ります。さらに、県産材を活用し、省エネ性能を向上させる「信州型住宅リフォーム」工事に対する助成要件を緩和して利用を促進し、住宅産業、木材産業の活性化を図ります。なお、地方における経済対策を迅速かつ円滑に実施するため国の平成24年度補正予算で創設された「地域の元気臨時交付金」につきましては、配分額が確定し次第、速やかに実施計画を策定し、今後の社会資本整備の財源として効果的に活用します。

現下の厳しい雇用情勢に対応するため、ジョブカフェ信州におけるキャリア・コンサルティング、就職情報の提供、職業紹介のワンストップサービスにより若年失業者等の就労を支援するとともに、県内4か所のパーソナル・サポート・センターにおいて、新たに就労開拓担当者を選任し、就労や生活面で悩みを抱えた方一人ひとりのニーズに応じた寄り添い型の支援を行います。また、ものづくり産業応援助成金について、雇用機会を拡大する観点から、雇用者数に応じて助成率の引上げを行い、企業立地の促進と雇用の創出を図ります。さらに、今定例会には、「創業等を行う中小法人等を応援する県税の特例に関する条例の一部を改正する条例案」を提出いたしました。創業等を行う中小企業、障害者や母子家庭の母等の雇用に取り組む事業者に係る事業税の軽減措置を拡充するとともに、その適用期間を3年間延長し、創業や雇用の創出を税制面から支援します。このほか、緊急雇用創出基金を活用して、1,500人を超える雇用の創出を図ります。

国内外の厳しい経済情勢などを背景に、県内事業所の統廃合が進み、雇用への不安が広がる中で、昨日は、経済界と連携して、県内に事業所がある県外企業の皆様と意見交換を行いました。お伺いした長野県への期待や要望などを今後の施策に活かしてまいります。

 

【「政策推進の基本方針」に基づく施策の推進】

 次に、「政策推進の基本方針」に基づき平成25年度に推進する主な取組について申し上げます。

 

(次世代産業の創出)

第一に、「次世代産業の創出」であります。

 長野県の誇る高度な技術の集積や信州人の持つ起業家精神を基礎に、健康長寿や自然環境など地域の強みや資源を活かし、長野県経済を担う次世代産業の創出を目指します。このため、成長期待分野への展開支援、戦略的企業誘致と創業促進、産業人材の育成・確保の強化に取り組みます。

 「健康・医療」、「環境・エネルギー」、「次世代交通」、「ナノテク」など今後成長が期待される分野への事業展開を促進するため、長野県テクノ財団の「イノベーション推進本部」が中心となって国際的な産学官の連携をコーディネートするなど、中小企業等の研究開発や事業化を支援します。また、次世代産業への事業転換や新規参入を計画する中小企業者に対しては、中小企業融資制度資金の「新事業活性化資金」について、貸付利率を引き下げるとともに融資目標額を4億円から10億円に拡大して、次世代産業の育成を資金面から支援します。

長野県経済の活性化のためには、既存の企業に対する支援に加え、地域経済を担う新たな企業を育成することが必要です。このため、「日本一創業しやすい長野県」を目指して、長野県中小企業振興センターに設置した「ながの創業サポートオフィス」における相談・助言のワンストップ化、女性や移住者向け創業セミナーの新規開催、中小企業の創業を応援するための政策減税の拡充などにより、創業意欲の向上と、創業しやすい環境づくりを進めます。

新たな産業展開に対応した高度技能・技術を有する産業人材の育成も重要な課題です。長野技能五輪・アビリンピック2012の成果を活かし、次代を担う若年技能者の育成と障害者の技能向上に継続して取り組みます。また、高度な技術を持った人材を継続的に輩出するための拠点として、上伊那地域への「工科短期大学校南信キャンパス(仮称)」の設置に向けた取組を進めます。

こうした取組により、一人当たりの県民所得について、平成29年度には、現状の全国第13位を上回る、第10位以内とすることを目指します。

 

(農山村産業クラスターの形成)

第二に、「農山村産業クラスターの形成」であります。

 山岳や高原、美しい景観、伝統・文化など長野県の強みを活かし、農山村に県民の暮らしを支える産業の集積を目指します。このため、世界水準の山岳高原観光地づくり、県民参加型観光地域づくり、農林業の高付加価値化に取り組みます。

平成23年の長野県の観光地利用者数は、ピーク時の平成3年に比べ20パーセント以上減少し、特にスキー場利用者数は3分の1にまで落ち込んでいます。また、ブランド総合研究所による昨年の都道府県の「魅力度ランキング」では、長野県は第7位に位置するものの、その点数は、上位の北海道、京都府、沖縄県とは大きな差があり、長野県観光のポテンシャルは高いものの、その魅力が十分に浸透しているとは言えない状況にあります。そこで、雄大な山岳やさわやかな高原、優れた雪質、魅力あふ れる温泉など、信州の強みを更に伸ばし、世界に評価される山岳高原観光地づくりを進めます。具体的には、山岳高原を活かし、「美しく」、「楽しく」、「手軽に」を実現する滞在型観光地を目指して、目指す姿や課題、取組の方向性を明確にした上で、モデルとなる2地域を選定し、地域が主体となった観光地づくりの取組を支援します。併せて、民間企業からの寄附金やふるさと信州寄附金を活用して自然公園内の登山道の整備など山岳環境の保全を進めるとともに、老朽化した無線機の計画的な更新など長野県山岳遭難防止対策協会の活動を支援します。さらに、海外での商談会の開催や旅行関係者の招聘しょうへい 、中華圏からの個人旅行者をターゲットとした周遊バスの運行などにより、外国人宿泊者数を、平成23年の約20万人から32万人以上に増加させるべく取り組みます。

県民参加型観光地域づくりにつきましては、国内外から選ばれる観光地を目指して、観光地域づくりを牽引けんいん する中核的な人材を育成するとともに、幅広く県民や団体の参画を得て「おもてなし」推進のための県民運動を展開し、平成29年度には少なくとも旅行者の5人に1人が「大変満足」と本県のおもてなしを強く支持いただけるよう取組を進めます。また、これまでも力を入れてきた教育旅行については、市町村や関係団体等と連携して、農村ツーリズムや国内外からの学習旅行の誘致に取り組み、過去最大であった平成22年度の107団体を上回る110団体以上の海外からの受入れを目指します。

長野県が元気でいるためには農山村が元気でなければなりません。また、そのためには農業・林業の振興が不可欠です。まず、農業については、「日本一就農しやすい長野県」を実現するため、就農情報の一元的な発信、就農相談、体験・研修、青年就農給付金の給付など段階に応じた支援を徹底して行い、40歳未満の新規就農者数250人を目指します。また、地元商工業者、観光業者等との連携による商品開発や販路開拓を支援して農業の6次産業化を促進し、地域での雇用の創出や農家所得の向上を図ります。さらに、「おいしい信州ふーど(風土)」大使を先頭にした積極的な情報発信、商談会の開催、キャラバン隊によるPR活動などにより、「プレミアム」、「オリジナル」、「ヘリテイジ」の三つの基準で厳選した信州産農畜産物のブランド力向上と消費の拡大を図ります。加えて、野生鳥獣被害の対策として市町村と連携しシカの捕獲等を進めることと並行して、シカ肉等を森の恵みの食材として活用してまいります。具体的には、信州ジビエのブランド化を推進し消費を拡大するため、安全・安心なシカ肉を供給するための認証制度の構築を支援するとともに、捕獲や調理を行う人材の育成や県内外への情報発信などに取り組みます。

林業につきましては、森林の管理から木材の出荷・利活用、里山を活用した地域づくりまで総合的に指揮することができる高度な知識と技術を有する人材(信州フォレストコンダクター)を育成して林業経営の中核を担っていただくとともに、公共施設等における県産材の利用を拡大し、力強い林業・木材産業づくりを進めます。また、木材を安定的に供給するための情報収集の拠点となる「サプライチェーンセンター(仮称)」を構築して「信州F・POWERプロジェクト」を推進し、製材加工とバイオマス発電・熱供給を一体的に行う自然エネルギーのビジネスモデルの具現化に取り組み、素材生産量の大幅な増加を目指します。

 

(環境・エネルギー自立地域の創造)

 第三に、「環境・エネルギー自立地域の創造」であります。

 森や水、太陽の光や熱など長野県が誇る貴重な財産を守り、活用して、地球環境への負荷が少なく、水資源・食料やエネルギーが安定的に確保される環境エネルギー自立地域の創造を目指します。このため、省エネルギー化の促進、自然エネルギーの普及・拡大、水資源の保全、安定的な農業生産の確保に取り組みます。

温室効果ガス総排出量・エネルギー消費量の削減と経済成長とを両立させる「持続可能で低炭素な環境エネルギー地域社会」を目指し、新たに策定した「長野県環境エネルギー戦略」に沿って、地球温暖化対策と環境エネルギー政策を統合して推進します。省エネルギー化の促進については、省エネアドバイザーや省エネパトロール隊の訪問・診断により家庭や事業所の省エネルギー対策をサポートするとともに、引き続き県民総ぐるみによる「信州省エネ大作戦」を展開し、節電・省エネルギーに取り組みます。また、「信州型エコ住宅」の認定基準を断熱性能から住宅全体のエネルギー消費量に改めるとともに、国の省エネ基準に比べエネルギー消費量を10パーセント以上削減する住宅については助成金を加算する制度を創設し、県産材を活用して、高い省エネルギー性能を有する住宅づくりを促進します。

自然エネルギーの普及・拡大に向けては、「1村1自然エネルギープロジェクト」として、地域主導型の自然エネルギー事業の立ち上げ、及び、避難所など防災拠点への自然エネルギー設備の導入等を支援することにより、地域に必要なエネルギーは地域内で賄う「エネルギー自立の地域づくり」を進めます。また、自然エネルギー信州ネットの活動を通じ、官民協働で自然エネルギー分野での「Made in信州」の技術研究を進めるほか、富士見高原産業団地や諏訪湖流域下水道豊田終末処理場におけるメガソーラー事業については、本年12月の発電開始を目指して事業を推進し、県有施設を活用した自然エネルギーの導入モデルを構築します。事業の継続を決定した企業局電気事業につきましては、事業規模の拡大により経営の安定を図るとともに、自然エネルギーの普及・拡大に寄与するため、高遠発電所及び奥裾花第2発電所の新規建設に着手します。こうした取組を進めることにより、後ほど御説明する地球温暖化対策条例の改正と相まって、県内の最大電力需要に対する大規模水力発電も含めた再生可能エネルギー発電設備容量の割合を平成29年度までに70パーセントとすることを目指します。

雄大な山々と豊かな森林に育まれた長野県の清らかで豊かな水資源は、県民共有の貴重な財産です。近年、全国的には目的不明の土地取引による地下水への影響や、水源涵養かんよう 機能の低下などによる地下水の減少が懸念される中で、県民が将来にわたって豊かな水資源の恵みを享受することができるよう、水資源保全地域の指定と、同地域における土地取引等の事前届出制の導入を盛り込んだ「長野県豊かな水資源の保全に関する条例案」を今定例会に提出いたしました。条例に基づく施策を着実に推進するため、市町村を越えて広域に存在する地下水の賦存量を調査するとともに、水資源の保全を図るため水源林を取得して公的管理を進める市町村の取組を、森林づくり県民税を活用して支援します。

安定的な農業生産の確保につきましては、県民の生きる糧である「食」を守るため、長野県農業開発公社による農地売渡し面積を増加させるなど、平成29年度には再生・活用される遊休農地の面積を現状の約1.5倍の600ヘクタールとすることを目標に、効率的で継続的な農地利用を推進します。

 

(健康づくり・医療の充実)

第四に、「健康づくり・医療の充実」であります。

 世界に誇れる健康長寿先進県を将来にわたって継承し、県民一人ひとりが長寿かつ健康で生涯にわたりいきいきと暮らせる長野県を目指します。このため、健康づくり県民運動の展開、三大死因に対する診療機能の向上、地域医療体制の強化などに取り組みます。

 「健康で長生き」を実現するため、これまで長野県の健康長寿を支えてきていただいている食生活改善推進員や保健補導員の皆様と力を合わせ、減塩や食育など健康を維持・増進するための取組を県民運動として展開します。また、幼児期からの「運動遊び」や成長段階に応じた運動を取り入れた「長野県版運動プログラム」等を普及させ、県民一人ひとりが生涯にわたって健康づくりを実践する環境づくりを進めます。

本県の死因の状況は、がん、心疾患、脳血管疾患の順となっており、三大死因の割合は全体の54.1パーセントを占めています。このため、「長野県地域医療再生計画」に基づき、救急医療やがん対策における高度・専門医療機関の整備・充実を図るとともに、「がん診療連携拠点病院」が整備されていない4医療圏においては、現行の相談支援に加え、新たに緩和ケアの提供等を行う体制を整備するなど、県民誰もが質の高い最適な医療を安心して受けることができる環境づくりを進めます。

地域医療体制の強化に向けては、人口10万人当たりの医療従事医師数を、平成29年度には現在の全国平均を上回る230人以上とすることを目標に、医学生に対する修学資金の貸与や、地域医療を担う医師のキャリア形成支援、働きやすい環境整備などを総合的に推進します。また、幅広い診療に対応し、地域医療の現場で活躍できる「信州型総合医」の養成を図るため、病院が行う研修プログラムの作成等を支援します。

 

(雇用・社会参加の促進)

第五に、「雇用・社会参加の促進」であります。

 雇用環境や社会参加の仕組みを整備することにより、県民誰もが持てる能力を最大限に活かすことのできる社会を目指します。このため、女性の雇用と社会参加の促進、若い世代の雇用と自立の促進、高齢者の就労と社会参加を促進する「人生二毛作社会」の仕組みづくり、障害者の社会参加と雇用促進、多様で安心できる働き方の研究・普及に取り組みます。

 女性の雇用と社会参加の促進につきましては、子育てをしながら安心して働くことができる環境を整備するため、病児・病後児保育、休日・夜間保育など多様な保育サービスの提供や放課後児童クラブの運営を支援します。また、県職員が県内企業を訪問し、女性の登用やワークライフバランスの実現を働きかけるなど、女性の能力を最大限発揮することができ、男女ともに仕事と生活が両立できる職場環境づくりを進めます。

若い世代の雇用と自立の促進につきましては、ジョブカフェ信州における若年失業者等の就労支援に加え、ニートやひきこもりなど社会生活に困難を有する子ども・若者の社会的自立を進めるため、「子ども・若者支援地域協議会」において、一人ひとりの状況に応じたきめ細かな支援を行います。また、障害の認定には至らない就労困難者に就労の機会を提供するため、パーソナル・サポート・センターに「中間的就労支援コーディネーター」を配置して、福祉的就労と一般就労の中間となる就労の場づくりを進めます。発達障害者に対する支援につきましては、障害者総合相談支援センターに「発達障害サポート・マネージャー」4名を配置するとともに、発達障害者を地域で支えるサポーターを2,000人養成し、すべての年代と分野の連携・協力により途切れのない支援を提供します。

全国に先駆けて高齢化が進む長野県においては、定年等でリタイアされた方々などが長年培ってきた知識や経験を活かして、就業し、社会参加ができる環境づくりが喫緊の課題です。このため、「人生二毛作推進県民会議」を立ち上げて、経済団体、労働団体等と連携して、人材登録や紹介を行う新たな仕組みづくりなど、高齢社会にふさわしい雇用と社会参加の促進に向けた取組を進めます。

障害者の社会参加と雇用促進につきましては、県民や企業・団体がサポーターとなって、障害の特性を理解し、障害者の日常生活や就労を支援する「信州版『あいサポート運動』」を展開します。また、障害者の平均月額工賃を、平成23年度の約13,000円から平成29年度には22,000円に引き上げるとともに、平成29年度には障害者の就職率を全国上位の水準となる55パーセントとすることを目標に、民間企業での短期職場実習等を支援するほか、未利用県有地を活用して障害者を雇用する事業所の設置を進めます。

多様で安心できる働き方の検討につきましては、誰もが自らの価値観を尊重し、仕事と生活の両立が可能な社会を実現するため、有識者による研究会を立ち上げて、短時間勤務や在宅勤務など、新しい価値を生み出す多様な働き方を研究し、県内企業等への普及を図ってまいります。

 

(誇りある暮らしの実現)

第六に、「誇りある暮らしの実現」であります。

 美しい景観や自然、文化を守り、育て、活かすことにより、豊かなライフスタイルを充実させ、誇りを持って暮らせる地域の形成を目指します。このため、農山村の活性化支援、美しい景観の維持創造、身近な自然環境の保全創造、個性際立つ文化芸術の振興などに取り組みます。

美しい農山村は、信州の宝です。急激な人口減少や高齢化の進展により農山村を支える集落機能の維持が困難になることが懸念される中で、まずは県内4地区において、市町村と住民が一体となって取り組む地域の存続に向けたビジョンづくりと、その具体化に向けた取組を支援し、持続可能な地域づくりのモデルとして県内各地へ普及させてまいります。

信州の魅力ある農村風景をより豊かで美しいものに磨き上げ、都市との交流や観光の展開を通じて農山村の活性化を図るため、優れた農村風景を県民の皆様から募集して「ふるさと信州風景百選」を選定し、世界に誇れる信州の農村風景を県民の皆様に改めて認識していただくとともに、その美しさを県内外に発信します。また、地域住民による農村風景の視点場(ビューポイント)づくりを支援して、景観に対する住民意識の醸成と農山村の活性化につなげます。

身近な自然環境の保全創造につきましては、引き続き県民の皆様に御負担をお願いする森林づくり県民税を活用して、緊急に手入れが必要な里山において約3,000ヘクタールの間伐を実施するとともに、間伐材の利活用を推進し、継続的な森林づくりにつなげます。また、諏訪湖の環境改善に向けて、昨年11月に設立した「諏訪湖環境改善行動会議」の活動等を通じ、官民協働で水質の浄化や生態系の保全に取り組みます。

個性際立つ文化芸術の振興につきましては、優れた文化芸術の鑑賞機会を提供するため、サイトウ・キネン・フェスティバル松本の開催等を支援するとともに、観光地のホテル等で若手芸術家に発表の機会を提供するなど、暮らしの中に豊かさや潤いを感じることができる「アート・リゾート信州」を構築します。

 

(活動人口の増加)

第七に、「活動人口の増加」であります。

 少子化対策の充実と移住・交流の促進により人口減少を抑制することに加え、様々な社会活動を活発化させることにより活動人口の増加を目指します。このため、結婚しやすい環境づくり、移住・交流推進施策の積極的な展開、公共的活動の支援と協働の積極的推進などに取り組みます。

 結婚しやすい環境づくりにつきましては、未婚者の増加が少子化の最大の要因となっていることから、これまで個人の問題とされてきた「結婚」を社会全体の問題として捉え、県民が一体となって結婚を希望する方々を応援します。具体的には、県が年齢構成等から推計した来年度の初婚の婚姻者数、男性7,748人、女性8,009人を上回ることを目標に、市町村や関係団体等と連携して「ながの結婚・子育て応援宣言(仮称)」を行うとともに、若者の結婚を支援する「出会いサポーター(仮称)」制度の創設、出会いの機会や婚活に関する情報の提供、婚活セミナーの開催などにより、結婚しやすい環境づくりを進めます。

田舎暮らしに関心がある人向けの情報誌「いなか暮らしの本」の読者による「移住したい都道府県」ランキングで、長野県は4年連続第1位となるなど、長野県への移住は全国から注目を集めています。そこで、県や市町村の支援による県内への移住者・Iターン就職者数600人を目標に、本年度東京に開設した「長野県移住・交流センター」を名古屋・大阪に拡大し、中京圏、関西圏からの移住の促進に向けた相談・支援体制を強化します。また、東京の「長野県移住・交流センター」にハローワークの職業紹介業務を付加する国への提案が実現し、先月から運用を開始したことから、関係機関と連携して、長野県へのIターン・Uターンを一層促進します。さらに、会員1万人を目標に「楽園信州ファンクラブ」の加入を促進するとともに、スポーツ合宿、国際会議等の誘致を進めることにより、観光誘客や交流人口の拡大を図ります。

公共的活動の支援と協働の推進につきましては、様々な主体との協働により地域課題等の解決を図るため、日常的に協働に関する相談や、NPO等と県との協働のコーディネートを行う「協働コーディネートデスク」を県民協働・NPO課に設置します。また、公共的な活動を資金面から支援する寄附募集の仕組みの運用開始や人材の育成支援などにより、公共的団体が活動しやすい環境づくりを進めます。「地域発元気づくり支援金」につきましては、市町村との役割分担や補助率の適正化などの観点から制度の見直しを行った上で、引き続き、市町村や公共的団体が住民とともに自主的・主体的に行うモデル的で発展性のある取組を支援します。

 

(教育の再生)

第八に、「教育の再生」であります。

 子どもたち一人ひとりが、学力や体力、人間性などを身に付け、社会に貢献できる人材として育つとともに、県民誰もが生涯にわたる学びを通じて自己を磨き、豊かな人生を送ることができる教育県を目指します。このため、学力・体力の向上と多様な学習機会の提供、体験活動の推進、高等教育全体の振興などに取り組みます。

 児童生徒一人ひとりへのきめ細かな指導により基礎学力の定着度を向上させるとともに、不登校の児童生徒数を減少させることを目標に、30人規模学級編制を中学校3年生まで拡大します。また、児童生徒数が減少し、学校の小規模化が進む中で、教育の質を確保するための新たな小・中学校のあり方について、市町村とともに検討します。さらに、発達障害のある児童生徒一人ひとりに応じた多様な支援が求められる中で、発達障害に対する先進的な教育課程やノウハウを持ち、発達支援を専門的に行う学びの場について、平成26年度の開設を目指し取組を進めます。

 体験活動の推進につきましては、子どもたちの自立心やコミュニケーション能力を養うため、公民館などで異年齢児童と共同生活をしながら学校へ通う通学合宿に取り組む市町村を増加させるほか、障害のある子どもを対象とした就労体験活動である「ぷれジョブ」を県内10か所に普及させ、障害者を地域で支える体制づくりを進めるとともに、障害のある子どもの社会参加を促進します。

日本経済新聞社産業地域研究所が全国733大学を対象に行った昨年の「全国大学の地域貢献度ランキング」では、信州大学が第1位、長野大学が第4位、松本大学が第6位にランクされ、ボランティアや住民向け講座の開設、インターンシップなど、地域における県内大学の取組は全国的にも高く評価されています。こうした環境を活かして、長野県の高等教育の一層の振興を図るとともに、人材育成に関して大学と地域との連携を一層強化するため、人材を供給する県内の大学、人材を受け入れる産業界、行政により「長野県産学官協働人財育成円卓会議(仮称)」を立ち上げて、相互に問題意識を共有し、具体的な取組を進めてまいります。

 

(信州ブランドの確立)

第九に、「信州ブランドの確立」であります。

 長野県は、本年を「信州ブランド元年」と位置付けて、都道府県レベルでは日本初の県民の総力を結集した総合的ブランド戦略を策定し、「信州」の価値に一層磨きをかけるとともに統一感のある発信を行い、信州ブランドが幅広く認知されることを目指します。このため、信州ブランドの普及・拡大、商品や物産・サービスの新たな価値の創造・発信に取り組みます。

「信州とは何か?」をしっかりと見つめ、発信していくための基本姿勢である信州ブランドコンセプトに「信州主義(Nagano Principle)」を掲げました。信州の日常そのものに大きな価値があり、未来の様々な課題の答えが今の信州にあるという思いを込めたものであります。今後、県内向け及び国内外向けのキャッチフレーズを決定し、様々な媒体を活用して「信州らしさ」を発信してまいります。また、市町村や産業界等と協働して、首都圏における信州ブランドの総合的な発信拠点のあり方について検討します。

新たな価値の創造・発信につきましては、一つの具体的な取組として、ぶどう栽培からワイン醸造、プロモーションまでを一貫して支援する体制を構築し、「信州ワインバレー」として日本を代表するワイン産地としてのブランド化を推進します。

 

【暮らしを支える基盤づくり】

 「政策推進の基本方針」に基づく施策の推進に加え、県民生活の安全・安心の確保や総合的な交通施策の展開など、県民の皆様の確かな暮らしを支える基盤づくりも着実に進めてまいります。

 

(県民生活の安全・安心の確保)

まず、県民生活の安全・安心の確保についてであります。

災害による被害を最小限に抑え、県民の皆様の生命と財産を守るため、地域防災力の向上を図るとともに、治安の確保や交通安全対策の推進などにより、県民の皆様が安全に暮らせる社会の実現を目指します。

 危機管理体制の整備につきましては、地震発生時の人的・物的被害を想定する「地震対策基礎調査」の実施から10年が経過したことから、最新のデータを活用した新たな地震被害想定を策定し、県や市町村の地震対策の基礎資料として活用します。また、原子力災害への対応につきましては、専門家による検討会を設置して、健康被害の防止など放射線防護対策や県外からの避難者の受入れについて具体的な検討を進めるとともに、市町村が行う地域防災計画の策定を支援します。

 犯罪や交通事故のない安全な社会は県民すべての願いです。サイバー犯罪捜査と暴力団対策を強化するため警察官を9人増員するとともに、松本警察署の耐震化・大規模改修、再編整備計画に基づく交番・駐在所の整備など、安全・安心の拠点となる警察施設の機能強化を図ります。また、子どもを交通事故から守るため、通学路の緊急合同点検等の結果を踏まえ、本年度に引き続き、歩道の整備や歩車分離式信号機の導入など、補正予算案と合わせ338か所で通学路の安全対策を実施します。

 

(総合的な交通施策の展開)

 次に、総合的な交通施策の展開についてであります。

長野県の発展にとって、高速交通体系の整備と地域交通の確保は大変重要な課題です。このため、平成39年を目標年次とする「長野県新総合交通ビジョン」の策定を進めており、県民の皆様の日常生活をしっかりと支え、県内各地を快適につなぎ、全国各地や海外へと広がる交通の実現に向けて、単に交通基盤の整備による移動時間の短縮を求めるだけでなく、県民生活の安定や県内産業の振興といった視点から交通課題に取り組みます。

北陸新幹線長野・金沢間の開業まであと2年となりました。引き続き長野・金沢間の建設を促進するとともに、金沢延伸を県内経済の活性化や観光振興につなげるべく、沿線各県や経済団体等と連携して、海外バイヤーの招聘しょうへい による商談会の開催や観光PRなどに取り組みます。また、長野以北並行在来線の安定的な経営を確保するため、しなの鉄道株式会社が行う施設・設備整備や開業準備を支援します。

北陸新幹線金沢延伸に伴いJR東日本から経営分離される並行在来線の資産につきましては、過去のしなの鉄道での経験を踏まえてJR東日本と交渉を重ねた結果、譲受け価格を当初見込みを大幅に下回る35億円余とする一方、JR東日本からは、鉄道施設の整備や開業に合わせた観光宣伝・キャンペーンの展開など、約44億円に相当する支援を受けられることとなりました。今後も県とJR東日本が連携して、金沢開業に向けた広域観光ルートの整備や、観光資源の開発・商品化、幅広い情報発信など、観光振興・地域振興に向けた取組を進めてまいります。金沢開業時における新幹線の呼称につきましては、正式な路線名は「北陸新幹線」でありますが、愛称として「長野」の文字が残ることが望ましいと考えます。平成9年の長野開業から15年が経過し、「長野新幹線」の呼称が全国的に定着しており、また、長野を経由することが利用者にとってわかりやすいものであることが重要です。これにより路線全体の利用拡大にも貢献し、沿線全体のメリットにもなることから、今後、経済界や沿線市町村とも連携して、北陸各県の御理解と御協力を得ながら、愛称の使用をJR東日本・JR西日本に要望してまいります。

リニア中央新幹線につきましては、本年秋にも詳細ルートと駅位置が公表されることから、山梨県・岐阜県に設置される駅の利活用も含め、リニア中央新幹線の整備効果を地域振興に結びつけるための「リニア活用基本構想」を策定します。道路ネットワークの整備につきましては、中部横断自動車道や三遠南信自動車道など高規格幹線道路の整備促進のほか、松本糸魚川連絡道路の早期事業化に向けた調査を進めます。このほか、信州まつもと空港の認知度向上と利用の拡大により、定期便利用率を平成23年度の64.5パーセントから70パーセント以上に向上させることを目標に、市町村、経済団体等と連携して誘客キャンペーン等を実施します。

 住民に身近な交通機関である地域の公共交通ネットワークの維持・確保を図るため、広域的、基幹的なバス路線を維持する乗合バス事業者による赤字路線バスの運行や低床型バス車両の導入を支援します。また、人口減少や高齢化が進む中山間地域等において、地域の実情に即した持続可能な交通サービスの導入を促進するため、県内2地域で、市町村とともに交通利用の実態調査や地域交通の新たな仕組みづくりを進めます。

 

(課題とされてきた事業への対応)

今回の予算案では、これまで必ずしも予算措置が十分ではなく、私自身も積み残してきたと感じていた事業にも積極的に対処しました。

まず、高等学校の維持修繕工事につきましては、特に老朽化が著しい箇所すべてについて、3年間で完了させるべく計画的に取組を進めます。また、県民共有の財産である文化財を保存・活用し後世に継承するため、文化財の保存修理等に対する補助率を引き上げるとともに予算額を4,000万円から約6,100万円に増額して、所有者の負担軽減を図ります。さらに、地域鉄道の安全性の向上を図るため、鉄道事業者が行う安全輸送を維持するための設備整備について、設備の更新に加え大規模修繕工事にも支援の範囲を拡大したほか、予算額についても約7,800万円から補正予算案と合わせ約2億9,000万円と大幅に増額いたしました。このほか、雪害救助員の派遣について、地域の実情を踏まえて19年ぶりに見直しを行い、機械による除雪や自宅から生活道路までの除雪を補助対象とするとともに、補助基準単価を引き上げて、豪雪地域における人命の安全と生活の安定確保の取組を強化します。なお、特別支援学校における教員定数と配置人員との乖離かいり の問題については、速やかに検討を開始し、平成26年度予算編成までに方向性を固めてまいります。

 

【平成24年度補正予算案】

次に、平成24年度の補正予算案について申し上げます。

 補正予算案は、一般会計449億9,120万8千円、特別会計1億9,100万円であります。

 補正予算案には、国の予備費を活用した経済対策及び今回の国補正予算を最大限活用して県内経済の下支えと雇用の創出を図るべく、防災・減災対策、暮らしの安心確保に要する経費を計上いたしました。

防災・減災対策といたしましては、補助公共事業について、補正予算としては過去10年で最大となる約293億円の事業費を確保して、社会基盤の老朽化対策等を重点的に実施します。

暮らしの安心確保といたしましては、地域における医療体制の充実を図るため、救急医療を担う医療機関の機器整備等を支援します。また、安全で快適な住環境を確保するため、県営住宅のエレベーター改修工事や集会所の整備を前倒しして実施します。さらに、鉄道輸送の安全性を確保するため、鉄道事業者が行う施設・設備の老朽化対策を支援するほか、災害発生時の停電対策として、緊急輸送路となる道路上の交差点信号機に発動発電機を設置します。

このほか、緊急雇用創出基金や安心こども基金、森林整備加速化・林業再生基金等の積増しを行い、今後の経済・雇用対策の財源として効果的に活用します。

以上申し上げました一般会計補正予算案の財源として、国庫支出金270億2,701万3千円、県債159億2,400万円、その他分担金及び負担金など20億4,019万5千円を見込み、計上いたしました。

本年度の一般会計予算は、今回の補正を加えますと、9,014億3,267万円となります。

特別会計の補正予算案は、流域下水道事業費に係るものであります。

 

【条例案ほか】

 条例案は、新設条例案5件、一部改正条例案18件の、合わせて23件であります。

 一部改正条例案のうち、「長野県地球温暖化対策条例の一部を改正する条例案」は、事業活動に伴う温室効果ガスの排出を抑制するための計画書に対する県の助言・評価制度を導入するとともに、全国に先駆けて、延べ床面積が2,000平方メートル未満の建築物を新築しようとする建築主にも、環境への負荷の低減を図るための措置や自然エネルギー設備の導入についての検討を義務付けることなどにより、「長野県環境エネルギー戦略」と併せ、持続可能で低炭素な環境エネルギー地域社会づくりを推進するものであります。

 

事件案は、「長野県総合5か年計画の策定について」など13件であります。

 

専決処分の報告は、「交通事故に係る損害賠償の専決処分報告」など9件であります。

 

 以上、今回提出いたしました議案につきまして、その概要を申し上げました。何とぞよろしく御審議の程お願い申し上げます。

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